ここでは都市に転移したと思ったら目の前に指令を受けたソラがいた男について語られる 作:ケジメされた人差し指
ついに来たリンバス10章、これまでにないゲーム体験にどよめきつつも演出と情報、脳天をぶん殴られるような濃密さで大変な事になってしまいましたね。お、お前なんで9章の終わり際に9章メインの二次なんて書き始めたんだ……お、お前何か変な薬指に所属しているのか……
ソラちゃんがにこにこなのはわかる、すげーわかる。また自分の望みと来た指令が一致してて喜んでるんだろうなって想像出来るから。かわいいね……でも実態としてはキングボンビーになるの回避してるだけのミニボンビーなんだよなぁ。【ピピピピピピピピ】 おや? ソラのようすがなんか変だぞ??? じゃないんだわ。ソラちゃんの様子は指令関係なく常に変とかは言っちゃダメなやつね。
ただ反対にリアン、ぱっと見は笑っても怒っても悲しんでもいない真顔ではある。多分今日の表情持っててもダイス威力が変動しないくらいには。だがそれはさっきまでの本当に万物を何とも思ってないようなそれとは全然違う。最初から黒として出した絵の具と多種の絵の具を混ぜた結果産まれた黒では同じ黒でも違うように、今のリアンの真顔は様々な感情が互いを相殺した結果として真顔になっているだけに見える。
それの何が怖いって、あのリアンだぞ? 愛娘である良秀との思い出の品で自害しろとか言われた時になって漸く狂笑するぐらいには指令に耐性あるやつが、こんな何でもないタイミングで目に見えてダメージ喰らってる内容の指令とか考えたくないんだけども……
マジでなんだろう想像つかんな。全く同じタイミングでピピった以上両方とも内容は類似、十中八九俺に関する事なんだろうけど……それでソラちゃんが喜んでる一方でリアンがああなる理由って特に無いだろ。俺を殺すとかって書かれてたとして、ソラちゃんが仮に止めようとしてくれたところで何の差し障りもなく、何の躊躇いもなく実行して完遂するだろうからそういう線でもないだろうし。でもソラちゃんの方がこういう状態なら酷過ぎることは……
「ええっと、どうしましょうか。ボ、ボクで来た指令の事なんですけど……リアンさん?」
「……俺とお前に同時に指令が来たみたいだな、それも同じくアンデルセンが関係していると見える。そうなんじゃないか?」
「は、はい! えっと……【交際した相手を指令遂行の供回りとし、生活を共にすること】って事でして」
「は?」
は?
「……なるほどな、アンデルセンを遂行者のような形で随伴させるということか。お前の来歴は特別だから、今まで遂行者達を伴った指令はこなした事がなかったろう」
「は?」
「ア、アンデルセンさんと一緒に……楽しみですね、で、でも、アンデルセンさんはお身体が脆いでしょうから、巻き込んでしまったりしたら……」
「……そうならない為にも、お前がしっかり守ってあげるんだ。幸いにも、色々と知っているようだ。情報面でお前をサポートもしてくれるだろう」
何を言われたのかさっぱりわからない。いやわかってる、わかってるけど理解したくないというか理解する訳にはいかないというか……人差し指に所属しろって意味に聞こえたけどなんでだろうまさかソラちゃんの代行者稼業を手助けしろって言われた訳じゃないだろうし。
「失礼します」
俺達が入って来た扉とはまた違う扉が開き、服装からこちらも人差し指の所属であろう事が伺える男性が入ってくる。知らない見た目だしネームドキャラじゃないよな多分、一体なんの……あっ伝令。なんすかこの手紙、ああ指令か。どうも……
【代行者ソラの指令遂行に同伴し、人差し指の廊下で生活すること】
「?????????????????」
えっ、この状態から入れる生命保険は無いんですか? ここには俺の意思がないんか? 後半はまぁそうしないと裏路地の夜でDIEだから当然……いやそうか当たり前だろ対価も無しにただ怪しいだけのボンクラ庇護なんてする訳ないだろう……いや俺がソラちゃんにくっついて行って戦闘とかになったら速攻でメフィのおやつになっちまうよぉ〜ッ!
「わ、伝令の方を見るのもひ、久しぶりな気がしますね」
「俺たちには端末があるからな。それにどうやら……アンデルセンに来た指令も、同じような内容なんじゃないか?」
「これは……はい、そうですね。扱いとしては遂行者をやれというのではなく、人差し指の庇護を受けている人達と同じように指令遂行の義務を課されたという認識でいいんでしょうか」
「その通りだ、飲み込みが早いな。ちなみにだが、俺の方に来たのはお前達を監督する旨の指令だったから……立場としても公認の物と考えてもらって構わない」
「じゃ、じゃあ……アンデルセンさんも、蜘蛛の巣の一員って事になるんですよね!」
凄い勢いで話を進められている、会話の主導権を相手に握らせるな! って言いたいところだがこれ無理だぞ。指令が来たっていうのは『これをやってもらえますか?』ではなく『これをやってください、やれ』という事なので俺がソラちゃんのリュックサックになる事は確定してしまったんだ。なっちゃったからにはもう……ね? とくらい開き直れたら楽かもしれないが……俺がソラちゃんとドタバタ血みどろラブコメをする事をお望みですか。良い趣味してんなぁお前ほんっと!
「……蜘蛛の巣の目的と直接は関わらないだろうから、他の連中にも伝えておくべきではあるが、そういうものでは」
「ち、違うんですか……?」
(別にゴミ箱の一員にとかはなりたい訳じゃないんですけお!)
「……そうだな、住人という意味ではその通りだろう」
折れんなや! お前実は俺のリアクション見てちょっと楽しんでるだろサドマゾおじさんがよ……なんかさっきまでキツそうな顔してたのに今では皮肉げな笑みを浮かべていやがる。切り替え早いなオイ。
いや、気にするとこそこじゃないな。切り替えが早い、ならそれは良い。リアンに来た指令……別にあんな風に憔悴する必要がある内容じゃなかったよな? 別に俺が蜘蛛の巣に追加されるからってリアンが特別困り過ぎる事もないだろうし……近くで俺とソラちゃんのカップリング見せつけられ続けるのがキツイとかその辺か? だからってあそこまでなる気もしないが……
「リアンさん、さっき来た指令の内容って本当にそれだけですか?」
「……どうした、何か気になる事でもあるのか」
「まぁ、自分の気のせいだったらいいんですが……少しばかり」
「ふむ……まぁそちらはお前達が気にする必要のある事じゃ無い。俺個人に向けた内容で、また難しそうな指令だったからな」
本当にござるか〜? でも俺だって別にメンタリストな訳じゃないしただの勘違いだったかもな……勘違いだったかも……不安要素だけ残るけどこれ以上考えたって答えは出ないし記憶の片隅にだけ留めておこう。
最優先で心配する事、はソラちゃんに着いて回らないと行けなくなった事じゃない? 完全にお荷物な気するし、そらゲーム情報で一部の事にはちょっと通じてるけど開示されてない技術やら組織やら、なんなら翼でさえどういうところなのかわかってないのに俺をナビィ代わりにするのだいぶ心許ないだろ。
「そ、それじゃあ明日はアンデルセンさんが使う道具なんかを買いに行くのがいいかもしれませんね! ち、力が弱いでしょうから……護身用には銃とかがいいかもしれませんね……」
「待ってくれソラさ「さん?」……ちゃん。俺は都市に来たばかりで一眼足りとも持ってない訳でね、銃なんてハイコストな物俺には……」
「え、えっと……勿論そういうのはボクがお出ししますから、お、お金の事は気にしないでください!」
判断が早い! せやな効く範囲の相手なら都市でも銃は充分な脅威になるもんな、終止符親指ゼミで習った。けど銃殺ってマンチキンでツマンネ! してる頭のせいでクソデカ規制と税金が掛かっている為に性能は頭打ちでナーフを超えたナーフをされてもいるものだ。絶妙な頼りなさと、あと歳下の女の子にお金周り全部出されるのはあまりにも情けなさ過ぎるんじゃないか?
「し、しかしね……俺としてはソラちゃんにお金を出されるのは申し訳ない立場にあるのだから……あれだよ、人差し指の指令で動く事になるんだったらほら、俺にもそういうの出るだろうから」
「で、でも……アンデルセンさんみたいな人がボクと交際してくれるんだとしたらお、お金みたいなメリットがあった方が、良いと思って……」
お宅の娘さんどういう教育してらっしゃるんだリアンシ。指令来てねぇだろカドゥケウス覗き込んでんじゃねぇぞ! 何処となく貢いだり彼氏をヒモにしそうな気配がなくも無いがそれで提供されるのが銃器の類なのは……は、都市ということか……
興奮気味のソラちゃんを宥め、落ち着きはしてもらったが実際のところ護身用の武器としては銃が一番丸い選択肢ではある。ユーリとかみたいな八級っていう低位のフィクサーであったとしても、その身体能力は現実の人間のそれとは比較にならない。
膂力脚力反射神経からまるで違う都市の戦いの中で、多少でもおっつく為にはそれが一番だろうから……とりあえずは後々出るであろう、出てくれないと困るし流石に不服な給金で後払いさせてもらう形になった。まさか仕事帰りにヘッドスカウトされて反社に所属させられるとは想像も出来なかった出来てたまるか! これも2回目だな……
「他の指の親方達には明日紹介する。余っている部屋など多過ぎるくらいだから、好きなように使ってくれて構わないが……着替えは我慢してくれ。食事の方は……ソラ、頼めるか?」
「は、はい! ……って、リアンさんは食べられないんですか?」
「ああ、さっき来た指令はもう一つあってな。それの為にI社の方まで買い物に行く予定なんだ。だから先に食事にして、休んでいてもらって構わない」
それじゃあ、と足早に去って行ったリアン。その姿が遠ざかる度に早まっていた心臓の鼓動が落ち着いていくのを感じる……あー怖かった。しかしこれで俺も指令のオモチャのチャチャチャなのでリアンを笑う事も出来ない立場になったな……これどっかで実は夢オチって事になってくれないかな。
自分が死ぬ事、なんていうか……それはもうそう言うものと考えられるかもしれない。いつ死んだって良いって覚悟とかまでしてる訳じゃないが、そうなる可能性自体は都市に転移させられたとわかった瞬間からずっと頭の中にあるから。だけど、俺に人を殺せって指令が来た時には……どうだろう。
殺さなければ死ぬといったって、そんな事と無縁だった俺に簡単に出来る事だろうか? こうしてはっちゃけて居られるのだって、結局は何処か夢見心地だからではないだろうか。武器でも何でも使って、なんならソラに手伝われたり……目の前で何の疑問もなく人を殺してきたソラに、普通の接し方が出来るのかどうかもわからない。
時間が過ぎていけば過ぎていくだけ、現実感が殺到してくる。ここは都市、蜘蛛の巣……そんな惰弱な考えを持ったままでは、ただ糸に絡め取られて吊られるだけだろう。
「え、えっと……さっきお話していたように、ご飯は冷蔵庫にあってですね……で、でもボクは良かったですけどアンデルセンさんもいるなら、ご飯はもっとちゃんとした物の方が良いのかも……」
「……明日、身の回りを整えるついでに食材の買い物にも行こう。ソラちゃんが好きな食べ物も、作れそうなら作りたいからね。初デートって形にもなるだろうし」
「デ、デデッ……! そ、そうで、そうな、そうなるんですね! デートかぁ……わぁ……」
ただそれでも、こうして普通の女の子みたいな姿を見せるソラちゃんを目にするとそんな悩みは些細にさえ思えてくるな。何も無かった俺の人生だが、初めて命を賭けてでもするべき事に出会えた気がするから……その点だけはヘルメスのあほにも感謝してやる。どんな事を企んでるにしても絶対に思い通りになってやると思うなよ!
「どちらにしても今日はある物を食べようか。飲み物とかもあるかな……昔旅先で飲んだ水道水で酷く腹を壊したことがあってね……都市の水なんかもそうなりそう、それ以上になりそうで心配なんだが」
「お、お水もちゃんとありますよ。け、けど、もしかしたらお身体に合わないかもしれませんから、気をつけてくださいね?」
ありがとね。折角韓国旅行だったのに地獄だったからなあれ……ちょっとだけでも文化的に都市と通ずる所があれば経験を活かせそうである。2人でパジョン食いに行ってやるからな見てろよリアン、フッフッフフッフッ!
アンデルセン
今のこの瞬間情けない現代人は死に、ソラの理解ある彼氏クンアンデルセンが生まれたのだ!!俺が守護らねばならぬという気持ちはあるがそれはそれとして怖いもんは怖い
ソラ
初デートの予定が決まりうきうき代行者。良かったね。いくら何でも日常生活で不便過ぎるので手枷のEGOは食事や風呂なんかの時には外れるものとする。普段付けてるのは指令との一体感を感じていたいから
リアン
指令にピアノの練習をするようにも言われた