「あれは...!MAだと...!?」
突然乱入してきた人型ですらない何か。機械はISの反応を示している。
通常ISの3倍はある大きさだ。
木星帝国のMA、『エレファンテ』
5つの大きなビット兵器とフレキシブルに動く象の鼻のような大型メガ粒子砲を備えたニュータイプ専用の機体である。
「何よあいつ!?ちょっとデカすぎるんじゃないの!?」
「本当に人が動かしてるのか...!?」
「一体どうなっているんですの!?」
「一夏は大丈夫なのか...!?」
『システム破損!あの巨大兵器がアリーナの遮断シールドを貫通してきたみたいです!』
『試合中止!織斑!凰!試合は中止だ!直ちに退避しろ!』
すぐに千冬が退避命令を下すも、敵は容赦なくビームを撃ち込んでくる。
「セシリアやギリのやつよりもはるかに出力が高い!」
巨体から放たれる複数のビームを何とか回避する。
「あたしが時間を稼ぐからあんたは戻りなさい!」
「はあ!?お前一人でやり合うのかよ!」
「あたしだって最後までまともにやり合うつもりはないわよ!」
『二人とも!すぐに脱出してください!すぐに先生たちが制圧に向かいます!』
「いや...みんなが逃げるまで時間を稼がないと!」
「それはそうですが...って、アスピスくん!?扉は全てロックされていたはずなのに...!?」
「ギリか!?どうしてここに!?」
ギリはエレファンテを確認してすぐにISを装着し現場に急行していた。
「お前らはもう一体を相手しろ!こいつは俺一人で十分だ!」
「もう一体って...?」
ギリがそう言った直後、ビーム兵器で空いた穴から黒いISが入り込んでくる。
「なんだよあいつは...!」
「でもひとりであれとやるのは無茶よ!」
「あの機体との戦い方なら把握している。心配するな。
悠長に会話してる暇があるならさっさと行けっての!」
直後黒いISは一夏に狙いを定めてビームを放ってくる。
「こいつもビーム兵器を...!」
「ああもう!さっさとこいつを無力化して、デカブツを止めるわよ!」
「あ、ああ!無茶すんなよギリ!」
「さっさと行けと言ってるだろうが...お喋りが過ぎるんだよ!」
ギリはエレファンテを誘導しながら一夏たちの元を離れていく。
エレファンテのビット兵器が一夏たちを同時に狙うことを危惧したからだ。
エレファンテもギリに狙いをつけており、追いかけながらビットを展開してくる。
「速いだけの攻撃にみすみす当たるかよ!笑わせるな!」
ギリは迫ってきた1つをスネークハンドですれ違いざまに破壊し、エレファンテに接近していく。
木星帝国のエレファンテのパイロットだった男は優秀なニュータイプだった。だが、今目の前にいるこいつは動きも単調で捻りがない。
まるで経験のない、サイコミュを動かせるだけの新米パイロットだ。
ギリは近づきながらライフルで攻撃するも、辿り着く前に弾かれてしまう。
やはりIフィールドで射撃は通じないようだ。
向こうはこちらのビームなど意にも介さず逃げ回りながらひたすら攻撃を続ける。
「チョロチョロと逃げ回りやがって...!」
が、何とか追いつき、スネークハンドでIフィールドの内側へビーム刃で攻撃する。
...シールドバリアが機能している様子はない。
一応あの機体もISではあるが、どうやら機体の制御とIフィールドの消耗のためか、シールドバリアという機能そのものがオミットされているらしい。
それでも装甲自体が厚く、サイズも大きいため数発程度で仕留められるものではないようだ。
「しゃああああ!」
だがやることは変わらない。ギリは再びスネークハンドで攻撃を仕掛けていった。
「今だ!」
一夏と鈴は黒いISと戦闘していた。
鈴が牽制し、一夏が隙を見て突っ込んで連撃を仕掛ける。が、全て正確に回避されてしまった。
「ちょっと!ちゃんと当てなさいよ!」
「わかってる!もうエネルギー残量も少ない...次で決めないと!」
直前まで激しい試合をしていた2人には既にあまり余裕がない。
そんなことはお構い無しにビームを連射してくる敵に、2人は攻めきれない。
「なにか作戦立てないと、あいつには勝てないわよ!」
「逃げてもいいんだぜ?」
「あたしは代表候補生よ!逃げるなんて有り得ないわ!」
「頼もしいな!だったら背中くらいは俺が預かってやる!」
「っ...ってあんたの機体が決めなきゃいけないんじゃないの!むしろあたしが背中を守ってあげるから、あんたはちゃんと...っうわ!?」
会話の途中で突然ビーム射撃が飛んでくる。かろうじて回避して視線を向けた先にはギリを狙うエレファンテの姿。
「ちょっと!あんたが一人で十分だって言ったんじゃない!流れ弾が飛んできたんだけど!?」
「知るか!流れ弾程度自分で対処しろ!お喋りしてる暇があるならさっさと倒せ!」
「ああ!さっさと倒してそっちに手を貸してやるよ!ギリ!」
「倒してから言えっての!」
ギリはそのままエレファンテに向かっていく。
一夏と鈴も黒いISの方へ向き直って動き始める。同時に黒いISも一夏達に向かって射撃をしかけながら接近。
一夏が前に出て注意を引きつけ、鈴は上空へと上がっていく。
「...今っ!」
一夏が引き付けている間にチャージした最大威力の衝撃砲を発射。
見事直撃し、黒いISは地面に叩きつけられ辺りには砂煙が立ち込める。
「危ねぇ〜...俺にも当たるかと思ったぜ...」
「あれで倒せてる...なんてことはないわよね...」
「...なあ、あいつ本当に人が乗ってるのか?」
「はあ?人が乗ってないとISは動かないでしょ?」
「そうだけど...」
「...そういえば、私たちが話してる時はあいつ攻撃してこないわよね...でも無人機なんてありえない!ISってそういうものなのよ...」
これだけ隙を晒しているのに未だ攻撃を仕掛けてこないISに疑問を感じながらも鈴は無人機という可能性を否定する。
「でも仮に無人機だとしたら...勝てる!」
「...どうやって?」
「『零落白夜』。白式の単一仕様能力で、雪片弐型の全力攻撃だ。人が乗っていないなら容赦はいらないだろ?これなら一撃で仕留められるはずだ...!」
「それが使えるとして、どうやって当てるのよ?1度も当てられてないじゃない!」
「今度は当てるさ。」
「答えになってないわよ...でも、言い切ったわね?だったらちゃんと倒してきなさい!あまり気は進まないけど...無人機と仮定して攻めるわ!あまりどうこう言ってられる状況でもないから...」
「じゃあ俺の合図であいつに最大出力の衝撃砲を撃ってくれ。当たらなくてもいい!」
「はぁ?まあ考えがあるならいいけど...」
「じゃあ...」
「一夏!!」
一夏が前に出ようとした瞬間、アリーナに突然箒の声が響いた。
一夏は驚いて動きを止める。
「男なら...このくらいの敵に勝てなくてどうするっ!!」
そうして一夏を鼓舞するが、遠くで動き回るギリにも反応を示さなかった黒いISが動き出し、箒へと狙いを定め始める。
「箒!?...鈴!やれぇっ!!」
「わかった!」
一夏は衝撃砲を貯め始めた鈴と黒いISの間に移動する。
「ちょっと!?あんたが当たるわよ!!」
「構わず撃て!それが狙いなんだ!」
「っ...どうなっても知らないわよ!」
鈴は最大出力の衝撃砲を躊躇なく発射。白式の背部へ直撃するが、白式はなんと衝撃砲のエネルギーを吸収し、自分のエネルギーを回復させた。これにより『零落白夜』の使用が可能になる。
そして衝撃砲の勢いを利用して、凄まじい加速力を得て黒いISに突っ込む。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!」
(もう千冬姉に守られるだけじゃない!これからは俺が...!)
その攻撃は確かに直撃し、黒いISの巨大な腕を綺麗に切断してみせた。しかし、一切怯むことなく、逆の腕で殴りつけられ、地面に叩きつけられる。
「ぐっ...!?くっそ...!」
確実に倒し切るつもりではなった一撃だったがあと一歩届かず。
「一夏!!」
叩きつけられた衝撃で動けない一夏に黒いISは腕部のビーム砲を向ける。
なにか抜け出す手段はないか...そう考えて頭を働かせるが思いつかない。
これまでか...そう思った時だった。
バラバラな方向から青いレーザーが黒いISに次々と直撃していき、攻撃を中断させたのだ。
「まさか...!」
「...完璧ですわね!無事ですか!?」
「セシリア!?」
休む間を与えずライフルで狙撃。そのレーザーが黒いISを貫いた。
「良かった...」
「ギリギリでしたわ...」
「ありがとな。セシリア。」
「え...えぇ!礼には及びませんわよ!」
「さあ、ギリの方は...っ!?」
「一夏!あいつまだ動いて...!?」
胴体を貫かれたにも関わらず再びビームを収束させるIS。反応が遅れた一夏に直撃すると思われたが...
「うわっ!?」
「え...!?」
遠くからさらに別のビーム砲がISに直撃し、そのまま活動停止してしまった。
「まさか...またあのデカブツか!?」
「なんであたしたちを...!?」
「いえ...あれは狙って撃ったものではありませんわね...ただの流れ弾。どうやら運が良かっただけのようですわ。」
全員がビーム砲の飛んできた方向を見る。
そこに居たのはビットが全て破壊され尽くしたボロボロのデカブツと、ほぼ無傷に近い状態のクァバーゼだった。
「そっちは終わったみたいだな。だったらこいつを手伝え!無駄に固くて面倒なんだよ!」
「あ、ああ...もちろん手伝うが...」
「いや、お前はいらん。あの衝撃砲とかいうのを当てるだけで十分だ。機動力も削ぎ落としてある。無力化させる程度の出力に留めて当てろ!」
「まあいいけど...」
そう言われるがまま衝撃砲を貯める鈴。ギリは大きな衝撃で必要以上の傷をつけることなく無力化させようと考えていた。
スネークハンドで切り裂いた隙間から見えたもの...その正体を確かめるために。
貯めている間に最後に残った象の鼻のようなメガ粒子砲を破壊し、攻撃手段が完全に失われる。
「行くわよ!」
鈴は返事を待つことなく衝撃砲を発射。Iフィールドに遮られることなく直撃し、エレファンテは完全に動きを止めた。
「...呆気ないな...なんか...」
「まあ俺だけでもやれたが、時間がかかってしまうからな。」
『...どうやら終わったようだな。機体が無力化されたことでアリーナのロックも解除された!4人とも!速やかに帰還しろ!』
「了解。」
「あんたには聞きたいことが山ほどあるけど...後にするわ。」
4人はそのままアリーナを後にした。
これから先は更新頻度が多分これくらいかさらに遅くなると思います
割とモチベーション次第で変わりますが、まああんまり期待はしないでお待ちください