入学式の翌日の朝...
ギリは一夏に誘われて、一夏、箒の2人と朝食を取っていた。最初は自分で作ったものを食べようかと考えていたギリだったが、この世界の和食というものが気になり、食べてみることにしたのだ。
が、明らかに2人の様子がおかしい。入学して1日しか経っていないというのに箒は明らかに一夏に怒っていた。
「なあ...なあって!」
一夏の2度の呼び掛けにようやく箒は箸を止める。
「いつまで怒ってんだよ...」
「怒ってなどいない。」
「顔が不機嫌そうじゃん...」
「生まれつきだ。」
ギリは箒の怒りに関しては、我関せずという態度を貫いていた。事情も知らない自分が出張ったところで意味がないし、何より面倒だからだ。
「箒、これ美味いな!」
一夏は箒に明るく話しかけたが完全に無視された。
ギリはそんな様子の2人をスルーしながら、和食、中でも味噌汁というものに感心していた。基本的に洋風の料理を食べ、作っていた彼は味噌というものに初めて触れたのだ。
見たこともないそれだが、今まで触れたことのないタイプの美味しさだった。
「なあ、箒。」
「名前で呼ぶなっ!」
「...篠ノ之さん...」
一夏は小さくため息をついた。
そんな調子で飯を食べていると、女子学生3人がこちらに近づいてきた。
「ご一緒してもいいかな?」
一緒にご飯を食べようということらしい。
「ああ、別にいいけど。」
「俺も構わん。」
そう言うと3人はギリの隣の方に並んで座った。
「織斑くんもアスピスくんも朝すっごい食べるんだぁ...」
「男の子だもんね。」
「これくらい食わないと後できついからな。」
「逆に女子は朝それだけで平気なのか?」
すると女子たちは気まずそうに笑いながら答える。
「あっはは...私たちは...ねぇ...」
「うん...平気かな...」
「お菓子よく食べるし!」
「...私は先に行くぞ。」
「ああ、また後でな。」
そうして箒は立ち去っていった。
「...織斑君って篠ノ之さんと仲がいいの?」
「同じ部屋だって聞いたけど...」
「ああ、まあ幼馴染だし。」
『幼馴染!?』
女子3人は非常に驚いてしまったようだ。ついでにギリも初耳だった。
「小学校1年生の時に剣道場に通い出して、そこから4年生まで同じクラスだったんだ。昔のこと...あんまりよく覚えてないんだけどな。」
「ガキの頃の記憶なんてそんなもんだろう。」
突然手を叩く音が2回響いた。
「いつまで食べている?食事は迅速に効率よく取れ!遅刻したらグラウンド10週させるぞ!」
その場にいる人間はみんな急いで食べ始めた。
朝食を食べ終え、教室で授業が始まった。
「これより再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決める!代表者は対抗戦だけでなく色々と仕事をしてもらうが...まあ、クラス長と考えてもらっていい!自薦他薦は問わない。誰かいないか?」
「はい!織斑くんを推薦します!」
「私もそれがいいと思います!」
「え!?俺!?」
「他にはいないのか?」
「私はアスピス君がいいと思います!」
「私も!」
一夏が推薦された時点で予想はしていたが、ギリは辞退する気でいた。特にメリットもないだろうにわざわざクラスのために何かするなど面倒だからだ。やりたいやつにやらせておけばいい、と考えていた。
「...他にいないならこの2人から決めるぞ!」
「ちょっと待った!俺はそんなのやらな...」
「納得が行きませんわ!」
一夏の抗議の声を遮りセシリアが話す。
「そのような選出は認められません!男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!わたくしにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか!?
だいたい!文化としても後進的な国で暮らさなければならないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で...」
「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一不味い料理で何年覇者だよ。」
まくし立てるように話すセシリアの言葉を遮るように一夏がそう言った。
「美味しい料理なら沢山ありますわ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
明らかに面倒なのでギリは特に発言せずにその様子を眺めている。
「決闘ですわ!」
「おういいぜ?四の五の言うよりわかりやすい!」
「わざと負けたらわたくしの小間使い...いえ、奴隷にしますわよ!関係ないとでも言いたげな表情をしていますが...あなたもですからね!?」
何故かこっちに飛び火したギリは反論する。
「俺はクラス代表なんてものに興味は...」
「いいえ!戦ってるもらいますわ!」
「話通じねえのかよ...」
恐らく勝てばクラス代表になるであろう戦いだが、結局ギリも決闘を逃れられなくなった。
「ハンデはどのくらいつける?」
「あら早速お願いかしら?」
「いや、俺がどのくらいハンデつけたらいいのかなって...」
一夏のその発言にクラスの女子達が一斉に笑い始める。
「織斑くんそれ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのなんてISができる前の話だよ。」
「むしろ男が女と戦争したら3日持たないって言われてるよ〜?」
(しまった...そうだった...)
と一夏は自分の発言に早速後悔している。
が、ギリは女子たちのその言葉に反論した。
「こいつが何を思ってハンデをつけようなどと言い出したのかは知らんが...女が男より強いってのはISの優位性あってこそだろう。ISを持つ俺たちにそれは通用しないぜ?」
そう言われて沈黙が走る。
「それを差し置いても、代表候補生であるこのわたくしがあなたがたを相手にハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。本当によろしいのでして?」
「むしろこっちがハンデをつけてやりたいくらいだぜ。」
「あらそうですか。あなたは?」
「俺もなくていい。」
「話はまとまったな?では勝負は、来週の月曜日に行う。3人は準備しておくように。
それと...織斑。お前のISだが...予備の機体がないため学園が専用機を用意することになった。準備まで時間がかかるぞ。」
すると専用機という言葉にクラスがざわめき出す。
「専用機?この時期に?」
「つまりそれは政府からの支援が出るってこと?」
「すごいなぁ〜あたしも早く欲しいなぁ〜」
が、肝心の一夏にはよくわかっていないようだ。
「専用機って...そんなにすごいものなのか?」
「簡単に言えば実力者に渡される特別なISらしいぜ?まあ、俺達の場合は、今までいなかったISを動かせる男ということで、データ収集を目的に与えられるようだが...」
「俺達ってことはお前も専用機があるんだな。」
「まあな。」
セシリアが一夏の前に突然現れて話し出す。
「それを聞いて安心しましたわ!さすがにこちらだけが専用機ではフェアではありませんものね?」
「お前もその専用機ってのを持ってるのか?」
「ご存知ないの?よろしいですわ。庶民のあなたに教えてさしあげましょう。」
そして自身が代表候補生であり、専用機を持っていることを説明し始めた。要約すると、自分はエリートであるということだ。
しかし一夏はその説明の中で、ISが世界に467機しかないということに驚いていた。
その様子を見て1人の女子が解説を始める。
ISのコアの技術は一切開示されていないそうだ。現在世界のISの数は467機。
「その全てのコアは、篠ノ之束博士が開発したものなのよ?」
(それって箒の姉さん...)
「ISのコアは完全なブラックボックスだから、篠ノ之博士以外は誰もコアを作れないんだって。」
たった一人の人間が作ったものなのに、実物がありながら世界のどこにも再現できていないという事実。ギリは参考書からある程度知ってはいたが、改めて聞くと篠ノ之束という人物は恐ろしく天才なのだろうと思う。
(篠ノ之...まさか、篠ノ之箒の血縁者か?)
女子は続けて解説する。
篠ノ之束は一定数以上のコアを作ることを拒絶しており、世界中でコアの数を割り当てて使用するしかないということらしい。
その解説に千冬が続けて話す。
「本来なら、IS専用機は国家、あるいは企業に所属する者にしか与えられないが、お前は状況が状況なので、データ収集を目的に専用機が用意される。理解できたか?」
「な...何となく...」
一応ギリも同じような設定になっているらしい。さすがに異世界から来たなどという情報を出す訳にも行かずこうなったそうだ。
「先生。篠ノ之さんって篠ノ之博士の関係者なのでしょうか?」
1人の女子生徒が気づき、質問する。
「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ。」
『えぇ〜!?』
またクラスが騒ぎ始めた。
「嘘!お姉さんなの!?」
「篠ノ之博士って今行方不明なんでしょ?」
「どこにいるかわかるの?」
すると箒が突然大きな声を出す。
「あの人は関係ない!」
その声にあんなに騒がしかった教室も静まり返ってしまった。
「私はあの人じゃない...教えられるようなことは何もない!」
『.....................................』
「...........山田先生、授業を。」
が、千冬の一声で授業が開始された。
授業はそのまま進み、昼休みになった。
一夏は箒を昼食に誘っていた。
箒は返事を返さないが、一夏は他に一緒に食べる人がいないか周りに聞く。
それに対し、朝1緒に食べた3人が反応した。
「やっぱり、クラスメイト同士仲良くしたいもんな!お前もそう思うだろ?」
「...私はいい。」
「まあまあそう言うなって。ほら立てよ!」
そう言って箒の手首をつかみ立ち上がらせる。
箒はまだ拒絶していたが、
「なんだよ歩きたくないのか?俺がおんぶしてやろうか!」
「っ!は、離せっ!」
箒は反射的に一夏に本気で攻撃してしまう。
「痛ってぇ...腕上げたなぁ箒。」
「お...お前が弱くなったんだ。」
一夏は何事も無かったかのように立ち上がったが、一緒に行くと言った3人はその様子を見て、やっぱりやめておくとその場を離れていった。
なお、一夏への攻撃を遠目に眺めていたギリはその3人に連行されていくのであった。
次の日になると、一夏と箒は元の様子に戻っていた。
なんでも箒が一夏にISやらなんやらを指導することになったらしい。
ギリも試合に向けて機体を動かしておいた方がいいかと思い、アリーナを借りて1週間で慣らしをすることにした。
結構な数の学生がいるはずだが、意外とすんなりと借りることができた時は驚いた。
ギリがやったのは基本的にはできることの確認だ。急旋回、急停止など、クァバーゼが一体どこまでの機動ができるか、武器の機能として確認しきれていなかったことはあるか、などのことを検証しながら慣らしていた。
千冬との試合の時に機動力に関してはあらかた理解したが、やはり思い浮かべての飛行というものはなれておかないと難しい。
ギリはニュータイプであり、このような直感的に動かすという操縦に適正が高かったために最初からある程度飛行することができただけなのだ。
さらにこのハイパーセンサーとかいうシステムだ。ISに乗った途端自身の知覚がとんでもなく強化されたようなものだ。普段の視界以上の視野角の感覚には未だに慣れない。
全天周モニターとはわけが違うのだ。
そしてクァバーゼのスネークハンドには、MSの時にはなかった機能が追加されていた。というより、元々の機能が強化されたと言った方が正しいが。
元々クァバーゼのスネークハンドのビーム・ソー...ビーム刃を発振する部分は本来投擲可能なビームシールドとして開発されていたものであり、射出することで射撃武器として使用できた。
しかし、ISのクァバーゼのスネークハンドは、ビーム刃のみを斬撃のように放つことが可能になっている。つまり放ってもビーム・ソーは失われず、連射も可能なのだ。
また、本来クァバーゼにも量産型にも装備されていなかったジェムズガン用のビームライフルも装備されている。これはギリが地球で影のカリストと戦闘した際に用いていたものだ。
本来の装備ではないために気づくのが遅れてしまったようだ。
「アスピス君のIS、変な武器持ってるよね〜?」
「長いけどそれちゃんと当てられるの?」
見物に来ていた女子が話しかけてくる。
「そう難しいものでも無い。間合いさえ把握してしまえば、お前らにだって扱えるだろうぜ。」
そう返したギリだったがかなり懐疑的な目を向けられてしまった。
気にせずに機体を動かし始める。
ギリは放課後に毎日放課後に1時間だけ、このように慣らしをして試合に備えた。
エクバではスネークハンドのビーム刃を飛ばしまくってたので、こっちでもできるようにしました。
他にクロスボーンからキャラを出す予定は相変わらずありませんが、多少クロスボーンのあれこれを物語に入れ込んでいこうかと考えています。
しかし、まあ基本的にはただIS世界にギリがいるってだけになると思います。
ていうかキャラの性格を考えて色々させるのって難しいな
なんだか口調とかも自分で書いてて違和感がすごいですね