「じゃあ今日からよろしくな!」
「ああ。」
ギリは今日から一人部屋ではなく、一夏との二人部屋で過ごすことになった。
箒達は部屋割りが変わることに不満な様子だったが、頭が冷えて正気に戻ったのか、不満げながら甘んじて受け入れたようだ。
「お前そこそこ荷物多いんだな...調理道具とかか?」
「そうだ。というかお前が少なすぎるんだ!」
「いやこんなもんじゃないのか?」
「この部屋お前の私物あるのかよ。」
「教科書とか?」
「それは全員だろうが...とりあえずさっさとシャワーでも浴びてきたらどうだ。俺は荷物を整理する。」
「なら俺はそうさせてもらうよ。」
一夏はそのままシャワーを浴びに行った。ギリは荷物整理を再開する。調理器具以外はギリも私物などないので、比較的すぐに終わった。
「上がったぞー...正直男にも浴場作って欲しいよなぁ...湯船が恋しいぜ...」
「...今作ってる最中なんじゃなかったか?もう少し待てよ。」
「それホントか!?やったぜ!」
どうやら知らなかったらしい。
(それにしても風呂...か。)
元々木星に住んでいたギリは湯船に浸かるという概念そのものがあまり無かった。地球ではそれが当たり前だと知った時はさぞ驚いた。
あまりいい印象もなかったが、確かにあればいいものだとギリも思う。
その後はさっとシャワーを浴びて、特に何をする訳でもなく寝た。
「お前、朝飯いつも作ってんのかと思ってたわ。コックって言ってたし。」
「必要もないのに毎朝毎朝作るわけないだろう。たまにしか作らん。」
「作ることはあるのか。」
そんな気の抜けた雑談をしながら登校。その後も何事もなく放課後を迎えることができた。
いつも通り一夏の周辺は女性で荒ぶっていたが。
「...えぇ!?今日は来てくれないのかよ!?」
「お前の周辺は面倒くさいんだよ!」
「酷えな!?」
「事実だろうが...」
いくら一夏がアピールだなんだに気づかないとはいえあの二人は面倒なのだ。他の女子は珍しい男子に対しての純粋な興味や悪ノリ的な雰囲気を感じるが、やつらは本気なのだ。
そもそもなぜこの男はここまで面倒な好かれ方をしているのか...恋愛感情など抱いたこともないが、とりあえずこいつらは異常だろうとギリは考えていた。
「それに課題を終わらせてゆっくりしたいんでな。じゃあ俺は戻る。」
そう言ってさっさと部屋に戻ってしまった。
そして宣言通り課題を終わらせて適当に過ごす。
帰ってきた一夏はいつも以上に疲れた様子だったが特に気にすることもなく時間を潰した。
そんな生活を続けてついにクラス対抗戦の日が来た。
一夏は早速出撃準備に入る。なんと1回戦目から鈴との勝負だった。
機体の準備が整ったところで山田先生から機体のデータとともに通信が入る。
「あちらのISは『甲龍』。白式と同じ近接格闘型です。」
「俺のと同じタイプなのか?」
「私たちとの戦闘とは勝手が違いましてよ?油断は禁物ですわ。」
「固くなるな。いつも通りにリラックスして行け。」
箒とセシリアがそれぞれ言葉をかけ、一夏もそれに頷きを返す。
ギリもその場にいたが、鈴のISについて考えていた。
こちらの世界は武器が機体の本体に隠されている訳でもないため、外見からではどんな武器を使うか見えないのだ。
MSの場合は機体のどこかに必ず武器が隠されており、外見からある程度の予測をつけることができた。
だが、ISは違う。あのクロスボーンガンダムよりも何が飛び出してくるか分からない兵器なのだ。
「あれに殴られたら痛そうだなぁ...」
...どうやら緊張はしていないらしい。
そしてすぐに発進準備へと取り掛かる。
「よし!勝ってこい!」
「頑張ってください!」
「ああ!二人に鍛えてもらったからな!勝ってみせるよ!」
そうして出撃。
すぐに鈴も上空へ上がってきた。
「今すぐ謝るなら痛めつける時間を減らしてあげるわよ?」
「そんなのは必要ない!全力で来い!」
「言っておくけど、絶対防御も完璧じゃないのよ?シールドを貫通できる攻撃力があれば、殺さない程度に嬲り続けることも可能なの。」
「...わかってる。」
謎に物騒な会話を繰り広げる二人に試合開始の合図が鳴った。
二人とも開始前から近接武器は展開済みだ。
同時に構え、先に突っ込んだのは一夏。鈴はそれを回避し、一夏に攻撃を仕掛けるも受け止められる。
「へぇ?意外とやるじゃない?」
「こっちも伊達に専用機を使ってないからな!」
「ふふ!でも...」
鈴はもうひとつ武器を展開し二刀流で再び近接攻撃を仕掛ける。幾度かの攻防の中、一夏は何とか防いでいるが、このままではジリ貧と言った様子だ。
鈴は2つの武器を繋げ、両刃の薙刀のようにしてスタイルを変える。が、一夏はそれも何とか受け切り距離をとる。
「甘い!」
その時、見えないなにかが白式を襲いかかった。一夏は鈴の様子からなにか仕掛けてくるのを察知しかろうじて回避したようだが、後方で爆発が起きる。
「今のはただのジャブだからね?じゃあ行くわよ!」
再びなにかが甲龍から発射され、今度は直撃を受けてしまう。かなりの威力のようだ。白式は強く吹き飛ばされ、地面を滑る。
「なんだ!?今の攻撃は!?」
「衝撃砲ですね。空間に圧力をかけて砲弾を撃ち出すというものです。」
「...ブルー・ティアーズと同じ第三世代の武器ですわね...」
「...タイミングが読めれば躱せないものでも無いな。見えないのは厄介だが...」
一夏はよろめきながら立ち上がるも、衝撃砲は容赦なく繰り出される。
かろうじて全て横に回避した。
「よく躱すじゃない!衝撃砲は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに!」
その様子を見て山田先生はさらに付け加える。
「加えて衝撃砲には射角の制限がほぼありません!」
「つまり死角がないということですね...」
(とにかくこっちから仕掛けないとこのままじゃジリ貧だ!)
「...鈴。本気で行くぞっ!」
「何よ!そんなこと当たり前じゃない!格の違いを見せつけてあげるわ!」
そして再び先程と同じような攻防。
「織斑くん...なにか策があるように見えます。」
「おそらくは『瞬時加速』だろう。」
「『瞬時加速』?」
「瞬時に最高速度へと加速し、敵へ接近する奇襲攻撃だ。私が教えた。あれなら代表候補生相手でも通用するだろう。」
「なるほどな。確かにあれなら上手く使えれば行けるだろうよ。」
「ああ。...2度は通用せんがな...そして、敬語を使えとこの間も言ったはずだ!」
「ぐっ!?」
ギリは頭に出席簿を叩き付けられた。なんでこの時間も手元に用意してんだよ...とギリは内心で突っ込む。
鈴が牽制の射撃攻撃を飛ばす。
「今だ!」
瞬時に一夏は瞬時加速を使用。一瞬視界から消えた隙に切りかかろうと突っ込む。
「な!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
だがその攻撃が実現することはなかった。
「っ!?」
突然頭上から光の柱が落ちてくる。
一夏達が上を見上げた時、そこにあったのは巨大な天井の穴と
ISとは思えない異形の形をした巨大な兵器だった。
今日から更新再開します。
ただこれから更新頻度は多分結構落ちると思います。
まああんまり期待せず読んでみてください。