コードギアス反逆のルルーシュ 善果のセロ   作:Marthe

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人はァ! 平等ではない。生まれつき足の速い者ォ、美しい者、親が貧しい者、病弱な体を持つ者ォ、生まれも育ちも才能もォ、人間は皆ァ、違ってェ、おるのだァ。そォう、人はァ、差別されるためにある! だからこそ人は争い、競いィ合い、そこに進ン歩がァ生まれる。不平等はァ! 悪ではない、平等こそが悪ゥなのだ。権利を平等にしたEィUゥはどうだ。人気取りの衆愚政治に堕しておる。富を平等にした中華連邦はァ、怠け者ばかり。だが…我がブリタニアはそうではない。争い競い、常に進ン化をォ続けておる。

虐殺が進化だって?バカバカしい。彼は永い眠りから覚める。この異形の国を仮初に満ちた世界を破壊しに。


白の眠り

「オール・ハイル・ブリタァニア!!!」

 

「「「オール・ハイル・ブリタァニア!」」」

 

帝国ブリタニアはあっという間に世界地図を塗り替え、全世界にその力を轟かせた。その中でもエリア11と呼ばれる、かつて『日本』と呼ばれた国は搾取され、暴力と狂乱の中で日々を懸命に生きてきた。

 

一つの希望を信じて。

 

「この大きな卵、いつ生まれるのかなぁ?」

 

「きっとあなたの願いが届けば生まれてくるわよ」

 

優しく子供をなでる母。

 

実のところこの巨大な卵がいつからあったのか誰も知らない。

 

ブリタニアが日本を占拠した時からか、はたまた日本がまだ日本として機能していた頃からか。

 

誰も知らないが日本人の多くはこの卵を幸せで埋め尽くされた幸せを呼ぶ卵だといい、崇めている。

 

逆にブリタニアは市民を先導する危険物質として排除を試みようとした。

 

だが、

 

「マシンガン、効果ありません!」

 

「RPGもです!そんな馬鹿な・・・」

 

「グラスゴーを出撃させろ!何としてもこの邪魔者を排除しろ!」

 

今は亡きクロヴィスは相当に頑張った。だが、この時代のロボット、KMFと呼ばれるロボットの中の、グラスゴーと呼ばれる機体でも結果は散々だった。

 

数機で押してもびくともしないことに腹を立て、スラッシュハーケン(射出式のアンカー)で押すだけでなく引っ張りもしたが動くことはなく。

 

ついには当時最強クラスの、グラスゴーが数機がかりで発射するバズーカ砲を発射したが全くの無傷。結局それは不動のオブジェクトとして放置されることになった。

 

(早く天使様が孵ってこの国を救いますように・・・)

 

その時。

 

ドゴン!

 

「比奈!」

 

「お母さん!」

 

咄嗟に二人は卵の陰に隠れる。

 

「おかぁさぁん・・・」

 

「大丈夫。天使様が守ってくださるわ」

 

それでも状況は最悪だった。テロリストのバスがこちらに横倒しに倒れてきていい的になっている。

 

いくら無敵を誇る卵も背後は守れても正面は守れない。

 

そこにテロリストを追うグラスゴーがアサルトライフルを向けた。

 

「!いけない!」

 

母は自ら盾になるように子供を卵の隙間に押し込み、うずくまった。

 

チュン!と弾丸が不規則に跳ねるその弾の行先は――――

 

ぱっと血しぶきが飛んだ。

 

「・・・おかぁさん?」

 

「――――」

 

「お母さん!おかあさーーーん!!!」

 

惨劇は起きてしまったよりにもよって卵の前で

 

ドクン!強い鼓動があたりに強く鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で毒ガスのカプセルを運んでいるという情報を得た扇グループ。その中のエース、紅月カレンは奪った車両を護衛していたが、敵のグラスゴーのアサルトライフルで護送車のタイヤを射抜かれ転倒し、必死の防衛線を張っていた。

 

「あいつら!ここで毒ガスが蔓延したら多々じゃすまないってわからないの!?」

 

そこに通信でグループリーダーの扇から通信が入る。

 

『相手は最悪それでもいいのさ・・・俺たちが死ねばそれでいいと思ってる』

 

『くっそがぁ!俺たちみたいなレジスタンスがなくなったら誰が子供に飯をやるっつうんだ!』

 

思わず悪態をつく玉城。

 

そこへ、

 

『レジスタンス諸君。そこにあるのは毒のカプセルではない。囮に使われたダミーだ』

 

「誰!?」

 

「変声機で誰だかわからないな・・・」

 

「誰だかわっかんねけどよ!なんで確信を持って言えるんだ!」

 

玉城の言い分はもっともである。

 

『当然の問いだな。確証があるのはこちらで本物を見つけたからだ』

 

「「「なんだって!?」」」

 

「こ、これが偽物・・・?」

 

『そうだ。それは君たちをおびき出す餌だ。・・・くるぞ』

 

「ブリタニアからの援軍だ!」

 

「もうだめだ・・・俺たちは・・・」

 

「ちっ・・・あなた、名前は!?」

 

『名乗るなら君からが道理じゃないのかね?まぁ、レジスタンスでは己の名など喋れんか』

 

「いい・・・から・・・!命令をよこせって言ってんのよ!」

 

「カレン!?」

 

怪しい人物にカレンは指示を求めた。このタイミングで無線をよこしたのだ。腹芸で負けたことは奥歯をかみしめて耐える。だが今はこの声の主が少なくとも自分たちには必要だと、カレンの直感が言っていた。

 

『いい状況判断だまずは――――』

 

「その話。俺にも一口噛ませてくれないかな」

 

「あ・・・」

 

『・・・何者だ』

 

カレンはその光景を見て言葉を失い、

 

ルルーシュは極力感情を出さずに問うた。

 

「うーんそうだねぇ・・・天使様って呼ばれてたかな」

 

『・・・シンジュクゲットーの動かない卵の主、か?』

 

「そうそ。卵の中でいろいろな知識を頭に流し込まれてたんだけど――――」

 

ちらりと背後を見ると、涙を流して抱き合う母子の姿が。

 

「ふふ。絶望ごときがこの俺の流儀を妨げるなんておこがましいだろ?」

 

大胆不敵に宣言する天使・・・と呼ばれた男。

 

ここに黒と白が出会う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所を移しビルの一室。中は荒れ放題で風が差し込む。

 

「寒・・・これなら地上のほうが――――」

 

「なんとまぁひどい有様だな。まずは・・・」

 

パチン!と指を鳴らすとそこが壁が張られ天井からは豪華なシャンデリアが煌々と部屋を照らす。

 

先ほどのぼろ小屋が見違えるようだ。

 

「!?」

 

「ほう・・・」

 

「ついでにほいっと」

 

パチン!ともう一度指を鳴らすそうすると豪華絢爛な料理が。

 

「・・・おれ・・・ゴホン!私たちは夢でも見ているのか・・・!?」

 

思わず素が出かけたゼロ状態のルルーシュ。C.Cは面白げだ。

 

カレンはとんでもない景色を見て唖然。扇はカレンと同じ反応。玉城は涎をぬぐっている。

 

「まずは食事をしよう。腹が減っては何とやらだ。お互い語りこともあるだろうしね。あ、僕のことももちろん話すよ。心配しないで食べておくれ。もちろん毒の類もないから」

 

いただきます、と手を合わせて率先して取り皿に料理を取って食べ始める。

 

「私は仮面を外すわけにはいかないので――――」

 

「そうだったそうだった。はい」

 

パチン!と手を鳴らすと仮面が口元だけなくなった。

 

「!!!」

 

「心配しないでもボイスチェンジャーは有効だよ」

 

「・・・。」

 

あーあーとチェックして大丈夫そうなので彼もまた料理を取り分ける。

 

「あんた・・・この状況で食べるの・・・?」

 

「害のないものなのだろう?生憎、どこかの誰かのせいで経費がかさんでこんな素晴らしいものを食べられないんだ」

 

「おい創造の魔法使い」

 

「「「!!?」」」

 

創造の魔法使い。ルルーシュの隣にいた女、C.Cは確かにそう言った。

 

「魔法・・・使い?」

 

「なんだ?お前たちも見ただろうこいつが指を鳴らすだけで壁やシャンデリアが直り、豪華な馳走が出てきたのが」

 

「おいおい順番的にみて俺はアウトだろう・・・で、なに?コードを引き継ぐ謎を秘めた小娘」

 

ビキ!とC.Cの眉間に血液が上ったのを誰もが見た。いわゆる怒りマークである。

 

「ほーう。私を小娘とな?つけあがるなよインチキ魔法使いが。このシンジュクゲットーでも随分と長い間眠っていたようだが気は済んだか?このくそ爺」

 

ビキビキ!こちらも眉間に血流良好。怒りマーク出現。

 

「小娘といって何が悪い。いつまでたっても伸びぬ背丈!そしてこれでもかっていうほどの貧乳!とんと削れた女の魅力!!なんだ?処刑されすぎて根本から削れちまったんじゃねーのか?」

 

「くきー!貴様こそ童貞を卒業できない臆病者だろう!それに!この体形はは私の体質だ!太りもしなければ瘦せもせん!何を食おうが私の勝手だ!」

 

ここで魔法使いがニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。

 

「じゃあこれはいらないかぁ」

 

ポンと煙と一緒に出てきたのは・・・

 

「な、なななな貴様ぁ!」

 

「あれは・・・」

 

「はぁ・・・」

 

出てきたのはピザだ。それも期間限定のチーズマシマシ味の。

 

「ピザ・・・よね?」

 

「ああ、ピザだ」

 

頭が痛いと頭を振るルルーシュ。

 

「おいC.C。ここにはピザなど霞む高級料理が・・・」

 

「黙れ小僧!私の体はピザ出できている!ほかの料理が入る余地などない!」

 

「いやそもそもお前、食べても食べなくても平気とか言ってたじゃないか・・・」

 

ヒョイッ、パシン、ヒョイッ、パシンとなんとも会談とは言えない空気になってしまった。

 

ついには、

 

「比奈ちゃーんおいでー」

 

「はあい!」

 

「あの子・・・」

 

「これ、あげるからみんなで食べなー?」

 

「うんと・・・そちらのお姉さんがすごいお顔でにらんでいるんですが・・・」

 

ガルルルル!!!

 

「あははは!大丈夫大丈夫」

 

パチン!

 

「ふが!」

 

バラバラバラと落ちてくるピザの箱。それもわざと顔を狙ったように落ちてきた。

 

「えと・・・いただきます・・・?」

 

「うんいい子だ。明日はサラダなんかも食べるんだよ?」

 

「はい!」

 

やったー!と駆けていく少女を見送ってカレンはほっとした顔で、

 

「ずいぶん、好かれてるのね」

 

「ああ、なんだか僕の卵の前でお母さんが撃たれてさ。それを治してあげたらあっという間にね」

 

「あ、あなた治療もできるの?」

 

「まぁね軽傷は薬で大怪我は魔法で。そして・・・死者も魔法で、ね」

 

「死者の蘇生!?」

 

「あーこの話をする前に一つ忠告。蘇生は死んで間もない人しか蘇生できません。できて半日かな。それが条件。それに何らかの後遺症が残るかもしれないからゾンビ作戦はできないよ。ていうか頼まれてもやらないけどね」

 

「そ、そうか・・・」

 

明らかに落胆の声。それほど死者の蘇生は余人には魅力的に見えるものだ。若くして旅立ったのなら、なおさら。

 

「さて。そこのちんくしゃ魔女に順番がしっちゃかめっちゃかにされちゃったね。僕は創造の魔法使い。魔女狩りも乗り越えた正真正銘の魔法使いだよ」

 

「紅月カレン。レジスタンスのエースパイロットをやってるわ」

 

「僕は扇、扇要だ。一応レジスタンスのリーダーをしている。すまないが君の名を教えてもらっても?通信では聞けなかったからね」

 

「私の名はゼロ。神聖ブリタニア皇国を本気で叩き潰したいと思っている人物、それだけわかってもらえればいい」

 

緊迫感のあるやり取りだこの邂逅が運命を決めるのだから。なのに・・・

 

「おいくそ爺。なんだこれは。全部箱だけじゃないかぁ!!」

 

ガブ!

 

「いたっいたたた!小娘!今シリアスな場面・・・」

 

「知るかそんなもの!そんなもの坊やに任せておけばいい!いいからピザを出せ!!!」

 

「はぁ・・・君にシリアスという言葉は似合わないね」

 

パチン!と指を鳴らすと今度こそ出来立てアツアツのピザが入った箱が出てきた。

 

「はい。これ食べておとなしくしててよ」

 

スンスンとC.Cが鼻を鳴らすと、

 

「ん」

 

「な、なに?」

 

「さっき娘たちが持って行った限定品も」

 

「一体いくつのピザを食べる気なんだい?」

 

「全部!」

 

「「胸を張ることか!!」」

 

ルルーシュと魔法使いの張り手が見事に決まった。

 

「まったく・・・」

 

「C.C・・・貴様には今後野菜しか出さん」

 

「あ僕も。野菜を食べたってルル・・・ゴホン!ゼロから聞くまでピザは出さないからね」

 

「なっ・・・」

 

ピシャァン!と雷が落ちるエフェクトが見えたが、C.Cはもう限界だとピザを食べ始める。

 

「おいひい・・・ピザおいひい・・・」

 

「このピザジャンキーが・・・」

 

「こんな豪華な料理あんのに持ったいねぇよな、ムグムグ」

 

「「玉城!」」

 

「大丈夫ですって。俺もう結構食べちゃってるけど、なーんの心配もありません」

 

「当然だよ。僕は正直に言えば君たちの恐れる毒や幻覚剤を混ぜることもできる。でも僕は、余程切羽詰まった環境でもなければ使いたくないんだ」

 

「その根拠は?」

 

カレンが鋭く言う。その言葉が発せられた瞬間。

 

「だってそんなことをしたら『救済』を貴ぶ僕の料理が食べてもらえなくなるだろう?」

 

ビリビリと肌が震える。

 

「僕はねこの力を使って誰もが痛まない国にしたい。それを――――」

 

ギリ!と歯を食いしばる音が聞こえる。

 

「人は平等ではない。これはシャルル・ブリタニアの言葉だ。確かにそうだろう。体つき、運動の才能、知識の才能。ありとあらゆる不平等がある。でもいいじゃないか。それは神様から授けられたその人にとっての掛け替えのないアイデンティティだ。不自由なものには手を差し伸べ、互いを尊重しあえばいい。とても簡単なことだ。が彼は・・・」

 

誰かがゴクリと唾を飲んだ。

 

「奪い、獲得し、支配しろだって・・・?それが進化?バカバカしいそれこそが持っているものが行使する悪だ。散々いろんな国の汚点を挙げていたけど、それとブリタニアが行っていることの何が違う?怠惰も暴力も権利争いも等しく悪だ。だから僕はこの世界を変える多少のお目こぼしくらいはするけど少なくともブリタニアには滅んでもらう。それが僕の・・・いや俺の意思だ」

 

シーンと静まり返った中C.Cがだらしなくソファに寝転がり、ピザを食べながら言った。

 

「そいつの覚悟は本物だぞ。ブリタニアができる・・・200年・・・いや400年くらい前だったか?盗賊がなんやかんやで国の王になってしまった時があってな。それはもう傍若無人の振る舞いに、個人はもとより周辺国家さえもひどい目にあわされた時代があった」

 

「まるでブリタニアね・・・」

 

「そこで出てきたのがそいつだ。どこからともなく現れた魔法使い・・・当時は賢者だったか?そいつが反抗勢力を立ち上げ、瞬く間にその国を駆逐し、周辺国家の力も借りて世界を平和に導いた。・・・とな」

 

「C.Cさんは何で知っているんですか?」

 

「私は不老不死の魔女だからな。いつの時代も不老不死を求めるのは権力者の常だろう?で、いきなり拷問とかされそうになった訳だが・・・」

 

「懐かしいねぇ・・・まだ麗しの女性だと思ったから助けたのに、助けた後もつんけんされてさ。恥ずかしがってるのかと思えばマジで興味ない的な顔されて・・・惚れた晴れたじゃなくて純粋になにもされてないか気にしただけなのに」

 

「救世主様には興味がなかったものでね。それより次、照り焼き・・・「もうピザは出さないよ」んな・・・」

 

「おとなしく野菜も食べなさいよC.C」

 

カレンが嘆息とともに言う。

 

「むぅ・・・!」

 

ぷくりと頬を膨らませるC.C。だが残念ながら彼女を弁護するものは一人としていなかった。

 

「俺は野菜も食うけどな!ムグムグ・・・カニのシーザーサラダなんて絶品・・・「ふん!」ふが!!」

 

C.Cが玉城を蹴り飛ばし、猛然とカニのシーザーサラダを食べ始めた。

 

「どうする~?ゼロ~このままだと一応約束は守ったことになるけど」

 

「捨て置け。ピザなど一食でどれだけのカロリーになると思っている」

 

「「「そこなんだ・・・」」」

 

ということで緊張感に溢れた会合は、本当に互いのあいさつ程度に終わってしまうのだった。

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