Fate/magi sister's 冬木の天秤   作:高島智明

19 / 19
本作の士郎は、好い加減な魔術しか教わっていない未熟者であることは変わりませんが、セイバー召喚には正規の呪文を教えられて正規に詠唱していますので、セイバーのパラメーター的に『原作』より有利に成っているかも知れません。


Episode.19 聖杯戦争とは何か

衛宮家の武家屋敷。

その庭を飛び回り、セイバーとランサーは槍と不可視の剣を激突させて戦っていた。

 

「けっ!セイバーならセイバーらしく、剣を見せやがれ」

「どうかな。槍剣かも知れんし、弓かも知れん。あるいは戦斧かもな」

「ぬかしやがれ!」

 

サーヴァントVSサーヴァント、その人知を超えた戦いをマスターの筈の衛宮士郎は唖然と見守っていた。

 

埒が明かぬとみたか、大技でも繰り出す積もりかランサーは飛び退り、セイバーから間合いを取った。

ところが…

「ちっ、又サーヴァントの近づいて来る気配が2つ。さっきの奴らか。

そう成るとマスターの御守も留守に出来んな。セイバー、決着は又だ」

「待て、逃げるか、ランサー」

撤退と成ると、俊敏のスキルを誇るクラスらしく、たちまち姿を消した。

 

「マスター。ランサーを取り逃がしました…む、またしてもサーヴァントの近づいてくる気配。

それも2騎。なのに戦っている様子も無い」

その時、玄関のインターホンが鳴った。

その音を聞いて、衛宮切嗣は悟った。

「取り敢えず、敵対する意思は無さそうだな。お客さんを迎えるか」

 

「「御免下さい。夜分に失礼致します」」

声を揃えて挨拶する遠坂姉妹を衛宮父子が出迎えた。

「遠坂、それに桜も。さっきの奴らについては聞きたいことが在るんだが」

「そのことだけど…」

姉妹は士郎の後ろから現れた、油断無く構えた甲冑姿の美少女と士郎の手の甲に刻まれたものに気付いた。

その瞬間、アーチャーとライダーも霊体化を解いた。

 

「まあ、話はしないといけないだろう」

切嗣が取り成すように言って、衛宮家の居間に場を移した。

 

「さて…」

切嗣は話し出した。

「士郎には、今迄教えていなかったことを話さないといけないな」

衛宮切嗣は話し始めた。

聖杯戦争のこと。御3家のこと。そして…

「僕は前回の第4次聖杯戦争で御3家の1つアインツベルンに傭兵として雇われた「魔術師殺し」だった。

そして、そこに居るセイバーを召喚して参戦した」

 

「そんな人が、10年も此の冬木でモグリの魔術師をしていたのですか。衛宮君の御父様」

凛は、流石に冬木のセカンドオーナーとして見過ごせないとばかりに詰めた。

「僕は、前回の戦争限りで魔術師なんて隠居した積もりだったからね。

だから、士郎にも魔術なんか好い加減にしか教えて来なかった」

 

「それにしても」

切嗣は話題を変えようとするかの様に言った。

「今回の遠坂は、姉妹で2騎のサーヴァントを召喚して参戦とはね。

そんな裏技が出来るのは「天秤」のエーデルフェルト位の筈だと思っていたが」

「私たち姉妹の曾祖母様の旧姓はエーデルフェルトですわ。知らなかったのですか」

「さっきも言った通り、僕は前回限りで聖杯戦争なんてものから身を引いた積もりだったからね。

それなのに、火の粉の方から息子に降り掛かって来た」

 

「息子」という単語にセイバーが微かに反応した様だった。

(やはり貴方はアイリスフィールを裏切っていたのですか、キリツグ)

とでも言いたげだった。

 

凛が結論を出す様に切り出した。

「何れにせよ、衛宮君がセイバーを召喚してしまった以上、監督役には届け出ないといけませんわ。

教会に行きましょう。衛宮君」

「え?教会」

「そこに、今回の聖杯戦争の監督役が居るのよ」

 

監督役、という単語に父親の切嗣の方が不穏を感じた様だった。

「監督役ね。また今回も、裏で遠坂と繋がっていないかい」

凛も何かに触れた様な微妙な態度で答える。

「とんでも無いですわ。あんな腹の底の見えない奴。

まあ、確かに父の魔術の弟子で、私たち姉妹の師代わりではありましたけれども」

 

この返答に切嗣は心当たりが在った。

「あいつか…確かに、前回の監督役の息子でありながら、僕と最後に戦ったマスターだった。

あいつに会うなら、若い士郎だけで会わせる訳にもいかないな」

そう言って、切嗣は立ち上がった。

 

そして、セイバーも、

「シロウ、そう呼ばせて頂きます。

既に他のサーヴァントが参戦している以上、私はシロウの傍を離れる訳にはいきません」

「だけれども、その恰好は目立つだろう。そうだな…」

そう言って、切嗣は何処からか、少女用の衣服を取り出して来た。

「キリツグ?この服は」

「あの子を僕の手元に置けたら、そう思ってね」

着替えたセイバーと衛宮父子、遠坂姉妹と2騎のサーヴァント(無論、霊体化して姿を隠していたが)という1行で、ゾロゾロと新都の教会へと夜道を出かけることに成った………。

 

……。

 

…その道中。

切嗣は、ふとした様に話しかけた。

「遠坂凛さん。君のアーチャーは、私の知っている誰かを思い出させる気もするのだか」

それを聞いて、アーチャーがどんな態度をしたか、霊体化している為か分からなかった………。

 

……。

 

…教会。

サーヴァントたちを中立地帯の外に待たせて、遠坂姉妹と衛宮父子は教会の中に入った。

 

「夜分にどうした、遠坂姉妹」

「最後のマスターを連れて来たわ、監督役の処に」

「ほう、彼か。又、若いな…何故ここに居る「魔術師殺し」が」

「息子に火の粉の方から降り掛かって来たのでね」

「そうか…」

 

若い、ぶっちゃけていえば未熟な者たちだけなら、どうとでも出来ただろうが、後ろに「魔術師殺し」が控えていては余分なことも言えず、

「これで全てのマスターとサーヴァントが揃った。第5次聖杯戦争の開戦を宣言する」

と告げて、1行を送り返した………。

 

……。

 

…教会からの帰り道。

外人墓地の傍まで戻ったところで、遠坂凛は衛宮士郎に語り掛けた。

「親切は此処まで。明日からは敵同士ね」

「遠坂…俺は…」

 

その時、幼気な声がした。

「もう召喚したの、お兄ちゃん」




ご意見ご感想をお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

Fate/BlackRod(作者:雑草弁士)(原作:Fate/)

雨生龍之介が呼び出したのは、『青髭(あおひげ)』ジル・ド・レェでは無かった。ぎりぎりの瞬間に、その召喚に割り込んだ物があったのだ。もっとも、その存在にとってもソレは本意では無かったが。▼公安組織によって強制された、自己精神拘束(セルフギアス)により自らを縛るという約定より逃れる事が叶ったその男は、しかして想像以上に良心的かつ人間的な男であった。その彼が、Fa…


総合評価:561/評価:8.45/完結:17話/更新日時:2026年08月06日(木) 02:27 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>