「百合って聞くと間に挟みたくなるよねw」「分かる〜w」 作:超かぐや姫!沼から抜け出せない人
今回なのですが、主にKASSENの話のため独自設定が出てきます!できるだけ公式設定に合わせてはいますが、「これ公式設定に無いな…」みたいなのがあっても超余裕の心で見逃してください!
そして長くなりそうだったのでキリのいいところで切ってます!続きはそのうち上がると思います!
やってきたかぐやちゃんたちと黒鬼が戦う当日。
時間までかぐやちゃんたちは三人での動きの練習とか俺とのプライベートマッチでキャラコン練習とか色々とやっていたのだが、帝アキラと対面して大興奮した真実ちゃんが帝アキラの
不戦敗かと思いきや、人数埋めの月見ヤチヨが参戦。三人揃ったところで試合は行われた。
助っ人でたまに出てくる月見ヤチヨは、参加したチームと相手チームとの実力差(主にレートの差)によって操作AIのパワーが増減する仕様だ。
先日終わった前回シーズンの成績がトップクラスの黒鬼と、一度もランクマに参加したことがないかぐやちゃん+時間がなくて全然ランクマに行っていない彩葉ちゃんの対戦だと、おそらく今回の月見ヤチヨのAIレベルは最高、トッププロクラスになっているはずだ。
普通はレート最上位と初心者が当たることなんてないのでこのレベルの月見ヤチヨが出ることはあり得ないんだけどね。今回は相当運がいい。悪い言い方になってしまうが、元々参加予定だった真実ちゃんよりもプレイヤーとしての実力はずっと上のはずだ。
始めたばかりだがセンスあるかぐやちゃん、完全ランク詐欺で相当な腕前を持つ彩葉ちゃんにこの月見ヤチヨが加わればチャンスはある。
もちろん黒鬼が最初から最後までガチモードだった場合はワンチャンもないのだが、今回の試合の主旨からして黒鬼は盛り上げる方を選ぶだろうし。
試合自体は概ね順調に進んでいた。予想通りというか、黒鬼はトライデント(三つのレーンに一人ずつ向かう、一対二でも勝てる自信がないとやらない戦法)という魅せプレイ、というか舐めプをしてきた。けど、かぐやちゃんと彩葉ちゃんの二人が行くレーンに黒鬼最強の帝アキラが来たということはそこまで舐めてもいないのか?
とか思ってたら帝アキラと彩葉ちゃんが兄妹だったという事実が判明。身内の様子を見に行ったということも考えられるか。
……その、彩葉ちゃんの実のお兄ちゃんって、つまり帝アキラは
せめて俺の正体がバレていないことを祈ろう…
一戦目は順当に取られたがこれは想定内。黒鬼はトップクラスのプロゲーマーだしな。そしてかぐやちゃんの奇策により取った二戦目。
そして今行われた最後の三戦目では月見ヤチヨが黒鬼の雷と乃依を相打ちにし、かぐやちゃんと彩葉ちゃんが帝を破ってそのまま勝ちかと思われたのだが…
『逆転ー!! 決まってしまった!! 勝者、ブラックオニキスー!!』
「あらー残念」
「惜っしいー!」
「彩葉…」
抜け目のない雷が仕掛けた地雷トラップによりかぐやちゃんが爆散。その隙を突いて復帰した帝が
ただ、試合には負けてしまったが、これは元々ヤチヨカップを盛り上げるためのものだ。もっと言えば、双方のファンを獲得するための試合。結果自体は黒鬼の勝ちという順当なところに落ち着いたが、それまでのかぐやちゃんと彩葉ちゃんの奮闘はこれを見ていた多くの人の心を動かしたはずだ。
そして、多くの人の心を動かしたとき、新規ファンを獲得しやすいのは元々のファン数が少ないほうだ。つまりは…
『ヤチヨカップ優勝者は〜〜〜☆かぐやいろP〜〜!!!』
そういうわけだ。
「おめでとう、かぐやちゃん、彩葉」
いつの間にか近くまで来ていた帝アキラが雷と乃依を引き連れてかぐやちゃんたちを讃えた。そうだろうそうだろう、かぐやちゃんと彩葉ちゃんは凄いのだよ。多分その妹さん、今後凄い百合ハーレムを築くからちゃんと見とけよ?
そしてそれを横から割り込んで狩ろうとしている俺。朝日さんにバレないようにやらないと処刑されそうだな……流石に彩葉ちゃんのお兄さんにサキュバスの力を使うわけにもいかんし。
かぐやちゃんが結婚がどうとか言ってるけど、あれはそもそも冗談だろう。帝アキラとしては俺様なキャラだけど、朝日さんは基本真面目で冷静な人だからな。たまにお茶目だけどね。
「これじゃ、勝負に勝ったとは言えないな。ま、元々無理やり結婚する気なんてねーし…」
「だよな! かぐやも知ってた!」
「…勝ったら、一つお願い聞いてくれるんだよね?」
「ま、ヤチヨカップには負けちまったしな。いいぜ」
そこで彩葉ちゃんが朝日さんに、引っ越ししたら新しい住居の身元保証人になってくれないかとお願いした。うんうん、人を頼るの下手すぎ人間だった彩葉ちゃんも少しは成長したようだ。まぁ朝日さんは実の兄なんだからもっと気軽に頼っていいと思うが。
いいぞ、これからもどんどん成長して今度は俺を積極的に頼るようになってくれ。今のうちに好感度を稼げれば俺が百合に挟まるときにも有利になるしな!
で、それはいいとして。
かぐやちゃんたちがヤチヨカップで優勝できたのは間違いなく黒鬼が勝負を提案してくれたおかげだ。これでかぐやちゃんと彩葉ちゃんの仲ももっと深まるだろう。
そのお礼ということで……そろそろ俺も働くとしよう。
「うし、それじゃ……本題だ」
「え? まだ何か用?」
「まぁな。ヤチヨカップには負けたが、さっきの試合に勝ったのは俺たちだ。権利は行使させてもらう」
「え、やっぱり結婚!?」
かぐやちゃんがげんなりした表情になり、先程まで和気藹々としていた彩葉ちゃんの表情も警戒したものになる。
「そんな警戒すんなって。用があるのはかぐやちゃんたちじゃない。…居るんだろ、
朝日さんは兄の顔から帝アキラへと一瞬で移り変わり、好戦的な笑顔で後ろの群衆に話しかけた。周囲の視線が何かを探すようにキョロキョロと見回され……一瞬にして、クソ派手なエロ衣装を着ている俺に集まる。めちゃくちゃ分かりやすいしな……
ともかく、もちろん居るとも。かぐやちゃんたちが勝ったら即帰ってたけどね。
「そんな大声出さなくても聞こえてるよー」
「来たか。約束だ。これから付き合って貰うぞ!」
「え!?
『な、なんと!? 帝アキラ、かぐやへのプロポーズを撤回したと思ったら、今度はUMA2に熱烈告白か〜!?』
そっちの付き合うじゃないから。朝日さんは言い方が悪いし、忠犬オタ公ちゃんも乗るなよ。彩葉ちゃんも本気にしないで。
「あは、その言い方だと誤解されるよ帝アキラ。SENGOKUの勝負に付き合えって話でしょー」
「ああ、悪い」
「ど、どういうこと? なんでお兄ちゃんと夢魔が戦うことに…?」
「おいゴルァ帝ぉ! かぐやとの結婚やめたと思ったら今度は夢魔? させんぞ!!」
混乱している彩葉ちゃんとまだ勘違いしてて怒るかぐやちゃんに、俺が内部通信用のチャットで帝アキラとの取り決めを教えてあげた。別に言わなくても良かったんだが、多分俺が言わなくても朝日さんが教えるだろうしな。
「そんなことが…」
「で、準備はできてんのか?」
「んや、全然。かぐやちゃんが勝つって信じてたからー」
ざわつく周囲への説明を終えた帝アキラが俺を試合に連れて行こうとする。が、俺の方はなんの準備もしてないんだなこれが。かぐやちゃんが勝つと思ってたってのは半分本当なんだが、単純に準備できなかったというのもある。
SENGOKUは三対三のバトルなので片方の陣営につきプレイヤーが三人必要なのだが、俺はプレイ当時は固定メンツではなくソロでランクマに行って他のプレイヤーと共闘していたので、声をかけられる人がいない。
最後の試合でチート使ったときは流石に
そして配信で募集するには、説明に帝アキラとの密約を話さなければいけなくなってしまいそうだったので、ヤチヨカップ中だったそのときはかぐやちゃんたちの配信へのアンチ集結といった悪影響を回避するために言えなかった。
「ま、今から養分どもに声かけるし、多分十分もすれば集まると思うから準備しといてー」
「分かった。じゃあ俺は乙事照とかオタ公に声かけて来るから、UMA2は準備できたら…」
そういうわけで適当に募集しようと思って配信を開いたのだが、募集文言を考える前に横から爆音が聞こえた。
「そんなら!! 彩葉とかぐやがやる!!」
「ちょ、うるさ…って、ええ!?」
うん、部屋の壁を貫通してリアルで余裕で聞こえたよね。彩葉ちゃん大丈夫? 鼓膜的な意味でも、急遽試合に参加させられそうという意味でも。
「さっきの試合は、夢魔がかぐやたちのために後で試合するって約束してくれたおかげでできたんでしょ? なら、そのお礼ってことで!」
「ダメに決まってんでしょ! お世話になったのを返したいのは私も山々だけど、夢魔だってもっと上手い他のプレイヤーの方が…」
「ウチは別にいいよー? 帝アキラがいいならねー」
「え!?」
「こっちはいいぜ。俺が勝ちたいのはアンタだしな」
「ええ!?」
「それはそれでムカつく!!」
俺としては、最低限の実力を持っていれば仲間は誰でもいいというのが本音だ。彩葉ちゃんはもちろん、かぐやちゃんもいいセンスしてるしな。最強レベルの月見ヤチヨとチームを組んでいたとはいえ、それだけで一勝できるほど黒鬼は弱くない。
それに彩葉ちゃんとかぐやちゃんの二人は一度とはいえ帝アキラを倒している。上位帯のプレイヤーでも、二人がかりで確実に勝てるとは言い切れないのが帝アキラだ。
そう考えれば、かぐやちゃんと彩葉ちゃんのコンビネーションは上位プレイヤーに比肩すると言っても過言ではない。
「それじゃ、行こっか」
「今日こそお前に勝つ」
「……そうだね」
それは……ごめん。
例えゲームだとしても、男性相手では自動で行動が読めてしまう俺に勝つのはほぼ不可能だ。朝日さんには悪いが、その目標は達成させてあげられないな。
でもこうして戦う以上、こっちだって手加減なんてしない。それが、俺が朝日さん…帝アキラにしてあげられる唯一のことだ。
来いよ、帝アキラ。俺は、今日も負けてなんてやらないからさ。
ヤチヨカップが終わったかと思いきや突如始まった黒鬼vsUMA2&かぐやいろPの対決。
帝によってエキシビションマッチとして周知されたそれに、ツクヨミのユーザーたちは少し困惑しつつも直ぐに盛り上がって後夜祭の如くそれぞれの配信チャンネルに群がった。
帝から急遽実況解説を頼まれた…と見せかけて事前に根回ししてあった
両者が準備を整えている最中、忠犬オタ公からの質問という体でUMA2のプレイヤー紹介が入った。
他のメンバーは先ほどまで勝負していたためUMA2の個別紹介の時間が欲しかったというのもあるが、忠犬オタ公の本心からの質問でもある。
忠犬オタ公もKASSENを嗜む程度にはプレイしているがガチ勢ではなく、かつ『SENGOKUの三日天下事件』が起きた当時はUMA2に関して曖昧な噂が多かったので、KASSENプレイヤーとしてのUMA2にはそこまで詳しくなかった。
「解説の乙琴照さん。今更な質問ですが、UMA2の実力はどの程度なんですか? 今回黒鬼がUMA2を対戦に誘ったとのことですが、私もUMA2のKASSENプレイヤーとしての実力をよく知らないんですよ」
「UMA2がKASSENのランクマにいたのはワンシーズンだけだから、オタ公が知らないのも無理はないと思いますよ」
「なるほど。…実は噂だけは知っていまして、あまり良くないものも聞くのですが…その、日常的にチートを使ってたとか」
「ああ…まぁ、もうかなり前のことだし言ってもいいかな。UMA2が現役だった頃によく言われてたことだけど、それはガセですね」
恐る恐る、というふうに忠犬オタ公が乙事照に尋ねるが、乙事照はバッサリとそれを否定する。これも帝アキラにお願いされていた流れだが、忠犬オタ公は素直に驚いていた。
乙事照の回答はあまりにも自然で、UMA2のチート疑惑に対して絶対の自信で否定していることがありありと分かったからだ。
「そうなんですか? でも、チート使用でランキングから除外されたんですよね?」
「ええ、彼女は最後の試合だけチートを使い、除外されました。ただ、使ったのはその一度だけですね。それによく誤解されているんだけど、UMA2はよくある強化チートを使ったわけではないんですよ」
「え?」
これも忠犬オタ公は知らなかったことだ。当時の情報を漁ってみても、出て来るのはアンチと一部のプレイヤーによる徹底的なUMA2下げだけ。試合に使われたチートの種類に対する言及など見つからなかった。
それに対して、乙事照は軽く笑ってから話す。
「彼女が使ったのは、敵の変更。どちらかというとMODに近いね。それを使用して、UMA2は出現する敵mobを全て触手に変更しました」
「…は?」
「ミニオン、牛鬼、
「ええ…」
「変わるのは見た目だけなんで性能とか行動は変わらないんだけどね。ちなみに試合はUMA2の除外によって俺の勝ちになりました」
忠犬オタ公のドン引きする声に、乙事照は笑って実情を話した。当時はスポンサーから止められていたことも、数年経った今はこうして上に許可をとって堂々と話すことができた。あの時これができたら、と乙事照に少しだけ悔恨の表情が浮かぶ。
しかしすぐに切り替え、いつもの色々な事に詳しいちょっと抜けた実況のお兄さんの顔に戻った。
「そもそもUMA2の強さはそこではありませんからね」
「ああ、話が逸れてましたね。で、結局UMA2はどういうプレイヤーだったんで?」
「それはですね──っと、そんなことを話してたら両者準備が終わったみたいだ! それじゃ、開始宣言おなしゃす!!」
「ええ!? ここで!? まぁいいや、続きは試合中にお願いします!! 試合開始ー!!」
乙事照としても語りたいのは山々だったが、タイムスケジュールというものがある。忠犬オタ公は唐突な乙事照の説明放棄にやり場のない感情を募らせながらも、今はとにかく試合を開始させる事にした。
「さて始まりましたエキシビションマッチ! 初動はどうだ!?」
「黒鬼、UMA2陣営ともに2-1の形を選択! トライデントをやらないあたり、黒鬼もどうやら最初から本気のようだー!!」
マップを確認すると、黒鬼側は上のレーンに帝アキラ、下のレーンに雷・乃依を向かわせる形。対してUMA2陣営は、上のレーンにUMA2、下のレーンにかぐや・いろPを向かわせた形だった。
「セオリー通りといった感じですね?」
「はい、黒鬼側はランクマの対戦でよく見るいつもの形! UMA2側は、先ほどの試合でもみられたかぐや・いろPの組み合わせですね!」
「UMA2側はタイマン最強格の帝をUMA2が足止めして、かぐや・いろPで櫓を取ろうという動きですか? しかし雷・乃依もトッププロ、そう易々とは行かないはずですが…」
ヤチヨカップのときは、最強クラスのパワーを持った月見ヤチヨが雷・乃依と相打ちになった。しかしその前の場面ではかぐや・いろPが雷・乃依の相手をしており、劣勢になっていたはずだ。疑問に思ったオタ公が乙事照に確認すると、乙事照は首を横に振ってそれを否定した。
「いや、多分逆だねあれは。タイマン側に出てきた帝をUMA2が仕留めようとしていて、かぐや・いろPは雷・乃依の足止めです」
「なっ…!?」
数々の試合を実況し、帝の強さを散々知っているオタ公は驚きのあまり声に詰まって乙事照のほうを向く。視線の先の乙事照は、これから起こることに期待しているかのように、非常に楽しげな笑みを浮かべていた。
「ねー彩葉、実際夢魔って強いの?」
彩葉と共に下のレーンに来たかぐやは、ハンマーに乗って高速移動しながら隣でオオタカに乗っている彩葉に尋ねた。彩葉は露骨に何いってんだコイツ、という表情になってかぐやに呆れ声で返す。
「あんたね…さっきの練習の時に、散々タイマンでボコられたのを覚えてないの?」
「そうだけどさ。でも、ムカつくけど帝って強いじゃん? 夢魔一人で大丈夫なんかなーって」
かぐやはそう言いつつ、始まる前に夢魔から伝えられた作戦を思い出す。
『上に来た帝アキラをウチが倒してそのまま天守も取りに行くから、かぐやちゃんと彩葉ちゃんは下側で雷と乃依を相手に時間稼いどいてー。あ、ウルトはかぐやちゃんは使ってもいいけど彩葉ちゃんは取っておいて』
何でもなさそうに言って颯爽とサカバンバスピス神輿に乗って行った夢魔に、かぐやは少し置いてけぼりになったような気分になった。
「そっちを心配するより、まずは自分の心配をしなさい。雷と乃依だって私たちより格上なんだからね?」
「いけるって! だってかぐやと彩葉だよ?」
「謎の自信でたよ…」
会話しているうちにミニオンたちの猛攻が来始めるポイントまで辿り着き、かぐやたちは乗り物から降りてミニオンを狩り始めた。ウルト溜め兼、牛鬼が出るまでの時間待ちである。先に辿り着いてミニオンを狩っておいた方が、後から来る雷・乃依のウルトが溜まりにくくなるという側面もある。
「そーいえば、夢魔の武器って…」
「おしゃべりはそこまで! 来るよ!!」
「うわっ!」
かぐやが話し始めるのを遮った彩葉は自身に飛んできた複数の矢をブーメランで弾き落とした。かぐやも飛んできた弾幕を大袈裟に避け、代わりにウナギ砲弾を相手に撃ち返していく。
「さっきの雪辱…ってわけじゃないけどさー。そもそも負けてないし。でも、今回も勝たせてもらうよ? 帝ちゃんのためにもねー」
「戦うからには、勝つ」
かぐやたちに遅れて雷と乃依が参戦してきたのだ。乃依が弓から次々と矢を、雷は芭蕉扇を錫杖へと変形させて魔法による球を飛ばしてくる。二人とも遠距離攻撃が主体の武器だ。近接戦も出来ないことはないが、距離をとって戦うほうが強い武器種である。
対してかぐやと彩葉は基本的に近距離主体の武器だ。かぐやのウナギランチャーは近距離ハンマーとは思えないほどの遠距離火力があるが、その分重く地上での機動力に欠ける。彩葉のブーメランも、投げる以外にかまいたちのような遠距離スキルはあるが、クールタイムが長くそれを主体とした戦略は組めない。
雷・乃依はいかにかぐやたちと距離を取るか、逆にかぐやたちはいかにかして近づくかが勝利の鍵だった。
「かぐや、牛鬼出るまでは無理しないで! 出たらそいつを盾にして接近!」
「おっけー!」
「流石に牛鬼出る前に倒すのは無理っぽいから、今は牽制優先で。出たら牛鬼にダメ与えつつ釣り出し」
「了解」
双方がそれぞれの思惑を持って時間経過を待つ。そして牛鬼が出現し、かぐやたちが仕掛けた。
「おらー! ランチャーくらえー!」
「…っ!」
「はいそこー」
「ぐえっ!」
「かぐや、雑撃ちしない!」
「く…」
「ごめーん!」
かぐやが牛鬼を盾にしつつランチャーをぶっ放すも、雷が芭蕉扇を錫杖と盾に変形させて冷静にガード。迂闊な突出を乃依の矢が咎めた。
雷が追撃を狙うも、乃依の打ち終わりの硬直を狙って彩葉がかまいたちを放ち、雷はそれを防がされた。しかし完全に間に合った訳ではなく、乃依も軽微なダメージを負う。
そこからは両者が牛鬼を挟んでの乱戦となった。追尾系のスキルは牛鬼に肩代わりさせて牽制で着実にダメージを狙う雷・乃依と、かぐやの大技で大ダメージを狙い、咎められそうならフォローする彩葉。お互いがジリジリとダメージを負う中、ついに牛鬼が倒れたことで局面が動く。
「今」
「しまっ…!?」
「彩葉!!」
「ついでだ、受け取れ」
「んなー!?」
牛鬼に当たったダメージを計算していた乃依が、消えると確信した瞬間にウルトを放つ。先んじて放たれた雷の弾幕が牛鬼を撃ち抜いて消えたところに、乃依の巨大な水晶の矢が飛んできて彩葉を撃ち抜いた。
蓄積したダメージとウルトによって彩葉の体力が消し飛ぶ。それに動揺したかぐやも、雷の追撃によって大量の弾幕をモロに喰らって落ちた。
「俺って今日も完璧♡それじゃぱぱっと櫓をとって…!?」
「これは…」
かぐやといろPを倒した雷と乃依は、あとは櫓を占拠するだけの段階で驚愕に動きを止めた。それもそのはず、まだ自分たちが櫓を占拠していないのに太鼓の音が鳴り響いたのだ。それが意味するのは…
「悪い、やられた。俺はこのまま天守防衛に入るから、攻撃頼む」
『ここでUMA2が先制して櫓を占拠ー! だが下レーンでは雷・乃依がかぐやいろPを破って占拠目前! 試合はほぼ互角だー!!」
帝からのチーム内通信が届くと同時に、実況からの全体音声が響く。かぐや・いろPを倒すことに集中していて実況まで聞いていられなかったが、反対側では帝がUMA2にタイマンで負けていた。
いつも不敵なキャラを保っている帝の珍しい弱気に、乃依が口角を上げる。
「帝ちゃん、ざっこー。ま、俺らがささっと決めてあげるからさー、タイマンで即死だけはやめてねー」
「こちらも今占拠した」
「ああ、防衛は任せろ」
言いつつ乃依は矢を構え、復帰してからジャンプ台ですぐに櫓付近へと戻って来ようとしているかぐや・いろPに照準を合わせた。
その後、かぐやのウルトで雷が一度やられるも、その隙を突いて乃依がかぐやの残機をもう一つ失わせることに成功する。
彩葉の妨害を躱しつつ天守に接近した乃依は、高威力の狙撃スキルを放って大正落としを打ち抜き、UMA2陣営の天守を破壊した。
「乃依、助かった」
「貸しイチねー」
「いいぜ、何でもするから内容考えとけ」
「…そういうこと言っちゃうんだ」
一ゲーム目は黒鬼側がバランスの取れた強さを見せつけ、見事に勝利をもぎ取ったのだった。
ぶっちゃけ今回の話はKASSENのバトルパートやりたかっただけとも言う。だってあんなに面白そうなゲームなのに本編で描写少ないし…(言い訳