「百合って聞くと間に挟みたくなるよねw」「分かる〜w」 作:超かぐや姫!沼から抜け出せない人
原作:超かぐや姫!
タグ:R-15 ボーイズラブ ガールズラブ オリ主 神様転生 残酷な描写 アンチ・ヘイト 転生 性転換 酒寄彩葉 かぐや 百合の間に挟まる男(TS) クズ 勘違い
オリ主「待てや」
超かぐや姫世界(エロ同人ベース)で百合の間に自分以外の竿役が割って入ろうとするのを全力で食い止めたいTS転生サキュバスが最終的に百合に挟まれて堕ちる話
つまり中身はヤチヨ誕とは全く関係ないです。
思いついただけ短編。ここで供養します。
「はい、れっちごー!」
「後生ですから〜…」
二人の少女が黒髪の少女をカフェへと引きずっていく。引っ張っている側の少女たち──諫山真実と綾紬芦花は勿論のこと、引き摺られている少女、酒寄彩葉も本気で嫌がってはいなかった。三人の少女たちが繰り広げる姦しい空間。通行人も微笑ましそうに見ている。
しかしそこに割って入ろうとする無粋な影があった。
「なぁ、あの子たちめっちゃ可愛くね?」
「声かけてみるか」
いかにも軽薄そうな明るい髪の男が二人、彩葉たちの後を追って店に入ろうとする。その目は下心満載で、隙あらば女子高生たちを食ってやろうと言わんばかりの顔だった。何故か警察があまり機能していないこの世界ではそれなりの頻度で見られる光景だ。このまま行けば、狙われた女子たちは哀れにも花を散らしてしまうだろう。
だが、その悍ましいナンパが実行されることはなかった。
「ね、おにーさんたち。ちょっといい?」
男たちのさらに後ろから声がかかる。振り向くとそこには彩葉たちと同じ制服の女子高生が一人立っていた。
同じ制服とは言っても、校則に従ってしっかりと制服を着ている彩葉たちとは異なり、かなり着崩している。
スカートは階段下から中身がギリギリ見えない計算された短さ。タイはゆるゆるで、開かれた襟元からは年齢不相応に大きく膨らんだ胸の谷間が見えていた。手先はラメラメした長い付け爪が輝き、手を使った仕事を一つもしたことが無いのではないかと想像できる。黒のストレートロングの髪は丁寧に手入れされていることがよく分かり、瑞々しく光を反射していた。
そして綺麗と可愛いのちょうど間、あらゆる男を魅了するようにパーツが配置された完璧な顔。遊んでいるようにも、清楚なようにも見える不思議な化粧。また顔の幼さと体の成熟がとてもアンバランスで、それがより男たちを惹きつけている。
一言で言えば、そこにいたのは分かりやすい『白ギャル』だった。ただし、魔性の、という枕詞が付くが。
男たちの視線が自分に向いたことを確認した白ギャルは、挑発するように前屈みになり、腕を少し前に寄せる。巨乳がさらに強調され、男たちの目が思わずといったように吸い寄せられた。
「もし時間あるならさ……そこでウチと遊んでいかない?」
化粧で磨き上げられた可愛らしい笑顔で小首を傾げた白ギャルに対し、男たちは正気を失ったように何度も頷いたのだった。
五分後。
「あー、まっず。おええ……。てかこんだけ? 分かりやすくエロ同人の竿役みたいな見た目してる割に薄すぎでしょ、もっと溜めとけよ雑魚が。まー早漏なのは楽だから助かったよ」
この時期は汗かくし蒸れるし臭いしサイアク、と白ギャルが一人毒づく。
少し道を外れた路地裏で、白ギャルは制汗シートとスプレーで臭いを誤魔化し、身なりを整えていた。足元には先ほどの男二人が重なるように倒れているが、気絶しているのか白ギャルへの反論はなかった。
白ギャル含めた全員顔色が真っ青だったが、今にも吐きそうな顰め面の白ギャルとは対照的に、男たちの方は何かとても良いことがあったかのように安らかな寝顔だった。
白ギャルが自身のスクールバッグからミント味の口臭ケアのお菓子を取り出し、何個かまとめて口に放り込む。暴力的なまでの刺激に思わず涙が出そうになるが、代わりに口の中のイカ臭さと吐き気は消えていった。
飲み込んだ粘性の
それに、どちらにせよサキュバスである白ギャルには精が必要だった。ならばこの行為は、竿役を排除できて尚且つ飯にもなる。白ギャル本人は一石二鳥だと思うようになっていた。
「何はともあれ、これでオッケー。『駆除完了』送信っと」
すっかり搾り取られた男たちは、少なくとも向こう一年は性的なアクションを起こせなくなってしまっただろう。
また一つ百合に挟まろうとする害虫を駆除した白ギャルは、SNSアプリで彩葉の護衛仲間、そして自身の獲物でもある綾紬芦花に速報を送った。
その後少しその場で息を整えて顔色をある程度戻し、転がる男たちを踏みつけながら彩葉たち三人がいるカフェに向かった。
自動ドアを抜けた先に見えた三人組に、先ほどまでの行為を微塵も見せない笑顔で声をかけた。
「おーっす、やってる?」
「いらっしゃい、
「おー待ってたよー」
「な、
「うん。だってウチも彩葉のノートにお世話になってるし。何ならウチが一番見てるっしょ? つーわけで今日はみんなの分まとめてウチが払ってやんよ」
白ギャルがカフェの中に入ると、ちょうど三人のパンケーキがテーブルに届いていた。百合を堕とすために友好的な関係を築こうと努力している白ギャルは、全員分の代金を奢ると話す。もっとも、そのお金は先ほど絞りカスにした男どもから徴収したものなのだが。
しかし、白ギャルとしては三人のテーブルの前にいる見慣れない少女が気になっていた。
正確に言えば気になったのは見知らぬ少女がいることではない。少女が彩葉に向ける感情のほうだ。それを敏感に察知した白ギャルは内心で涎を垂らす。
(これは……濃厚な百合の気配…!?)
白ギャルが百合の気配を感じて目を細めていると、少女のほうから白ギャルに言及があった。
「あれ、ゆま?」
「んん? なんでウチの名前知ってんの?」
「だってかぐや、ゆまのおっぱい吸──」
「はいストップー!! ちょーっと黙ろうか!!!???」
少女が何かを言いかけた途端、彩葉が少女の口を塞いで店の隅へと連れていく。そしてそのまま小声で相談を始めた。
「彩葉、何すんの?」
「いいから黙って!! とりあえず今は初めましてってことにしといて!!」
「えー」
「えーじゃない!」
(聞こえてるんだよなぁ)
彩葉と少女の会話は十分小声だったが、人間よりも耳がいい白ギャルには全て聞こえていた。それでも一応空気を読んだ白ギャルは聞こえていないふりをしていた。
一分弱の相談の後、冷や汗をかいた彩葉が少女を連れて戻ってくる。そして少女は何事もなかったかのように自己紹介を始めた。
「かぐやはねー、かぐやだよ!!」
「彩葉のいとこなんだってー」
「そう! いとこ! いとこなの!!」
「ほーん…? 嘘だね(ボソッ」
「それで、貴女のお名前は?」
初見の少女はかぐやと言うらしい。彩葉が従姉妹だと紹介するが、白ギャルの持つ淫魔センサーは二人に血のつながりが無いことを知らせていた。
何か事情持ちなことは確定。しかし、そんなもの百合を食らうときのスパイスにしかならないと白ギャルは考えていた。何なら、その問題を自分が解決することで好感度を得てもいい。
「ウチは、
美味しそうに彩葉の分のパンケーキを食べながら訪ねてくるかぐやに対し、白ギャル…夢魔はギラギラとした内心をおくびにも出さず、朗らかに笑った。
(てかこの子、よく見たら魂の形が三日前に彩葉ちゃんが拾ってきた赤ん坊と一緒じゃね?)
なお、彩葉の隠し事は淫魔センサーにより一瞬でバレていた。
百合に挟まる男に憧れていた。
神業のような喋りで女の子たちの間に割り込み、その口八丁、あるいは手練手管で百合の片方、もしくは両方を堕として侍らせる。そんなクズ男の頂点。それが百合に挟まる男。
前世ではそういった内容のエロ同人を読み漁っていたし、どうにかして自分がそうなれないか試行錯誤していた時期もあった。
結局その座に着くことは出来なかったが、死後に転生という好機があり、そして俺の転生に立ち会った神が俺と同じ趣味の邪神だったのは幸運だった。
俺は喜び勇んでその邪神に、転生後の世界で百合の間に挟まりたいことを申し出た。俺と意気投合していた邪神も快く了承し、エロ同人的な能力付きで、エロ同人ベースの世界に送り出してくれると言ったのだ。
しかし誤算があった。俺と邪神の趣味の間には、致命的に相容れないことが二つばかりあったのだ。
「じゃー君の転生先の世界は、とある原作ありきのエロ同人ベースの世界にしてあげるよw特殊能力もあげる」
「マジすか?! あざーす!w」
「それでは行ってらっしゃい! あ、そーだ」
「?」
「僕、百合に挟まる男も好きだけど、百合に堕とされるTS娘も好きなんだよね笑」
「流れ変わったな?」
「あと転生先の世界は竿役が沢山いるから仲良くするといいよ笑」
「は? (竿役同担拒否)」
「ばいばーい」
こうして俺はこの世界に降り立った。
百合を堕とす竿役が溢れるエロ同人ベースの世界に、TS娘として。
クソわよ。
邪神に文句言っても始まらない。転生させて貰っただけでも御の字ではあるしな。とりあえず色々と確認しよう。
この世界での俺は孤児として生まれたようで、気づいたら孤児院にいた。それは別にいい。今更両親の愛に飢えてるわけでもなし、実害はない。
問題は二つ。一つは、俺があの邪神の言ったとおり女として生まれていたということ。俺は百合の間に挟まる男になりたかったんだよ! TS願望があったわけじゃねーよ!
そしてもう一つ。この体、人間のものじゃなかった。そう、俺はサキュバス、淫魔として生まれていたのだ。それの何が問題かと言えばこの体、人間の「精」を取り込まないと生きていけないのだ。精自体は男でも女でも持っているが、俺がサキュバスだからなのか、女からの吸収効率が異常に悪い。男の1/1000くらいしか吸収できない。
幼い頃は男女問わず周囲の孤児の子供が普段から発する精エネルギーを吸い取っていれば間に合っていた。だが、体が成長するにつれて生命維持に必要な精の量は増えていった。小学校に上がるくらいの年齢になった頃には、もう大人の男の精液が必要になるくらいに増えていた。
つまるところ、俺は生きるために男から精を絞らざるを得ないということだ。クソわよ。
「んほおおおおお♡♡♡」
「うええ、まず……ごちそうさま、せんせ」
「あへぇ…」
「きも」
とはいえ、流石エロ同人ベースの世界といったところか。精を絞る対象には困らなかった。
孤児院の院長、学校の変態教師、その辺のチャラ男、種付けおじさん。この世界には至る所に竿役がいたのだ。小学生の体に欲情する変態ロリコンもそこそこいたし、そいつらを狙えば生きるためのエネルギーは余裕で確保できた。この体で味わう精液がゲロ以下のSAN値削れる味がするってことを除けば問題はなかった。
「よし、それなりにエネルギーが貯まってきた……ただ、まだダメだねー」
で、生命維持分は確保できてるのに何故俺が積極的にゲロまず飲料を集めているのかと言えば、集めたエネルギーを使ってサキュバスの能力が色々使えるからである。
例えば身体の変化。胸を大きくしたり小さくしたり、顔つきを多少変えたり、肌の状態を最高にしたり。身長もある程度なら伸び縮みさせられる。体液を媚薬に変えるのもできる。
あとは催眠光線とか、淫紋とか、サキュバスっぽいことなら割とできることが多い。ちなみにそういう系の能力は男性特攻なので女には効かない。クソわよ。
ともかく、そんな自由度のあるエネルギーで俺が何をしたいかと言えば…
「遠いな、男体化」
そう、俺が目指しているのは男体化。つまり自身を男性特化のサキュバスから女性特化のインキュバスへと変異させることだ。身体変化できるんだからもっとエネルギーを貯めれば大規模なことができるのではと考えるのは自然だろう?
ただ、やっぱり体の構造を丸々変化させるようなことは必要エネルギーが桁違いらしく、インキュバス化は勿論のこと、男の象徴であるアレを生やすことすらできていない。もう市内の幼女趣味の奴らからは大体取り尽くしてしまったのだが……それでも全然足りなそうということだけは分かった。
まぁいいさ。幸い、悪魔の一種である俺の寿命はかなり長そうだし、いつかは必要分も貯まるだろう。まだ男はたくさんいるしな。
「足りなーい」
そう考えてはや数年。俺の肉体年齢は十五歳になっていた。市内どころか、俺が生まれた京都府、ひいては隣接する府県に存在する全ての竿役から精を搾り尽くしたと言っても過言ではないくらい集めているのだが、それでもまだ全然足りない。クソわよ。
ちくしょー、正直これ以上集めるとなると、日本国内では上京するしかなくなるぞ。
いくら俺がサキュバスとはいえ、瞬間移動できるわけでもないJCの体では稼げる距離に限界がある。それでも近畿の人口の多そうなところは網羅して吸い尽くしたと思うのだが、エネルギーの足りる気配が全くないのはどういうことだ。
「どーすっかなー」
「何が?」
「ん? あー、彩葉ちゃんか」
中学の教室の自分の席で悩んでいると、かれこれ小学校からの付き合いである酒寄彩葉ちゃんが話しかけてきた。
この子なー、めちゃくちゃ百合の素質あると俺は思ってるんだが……いかんせん相手が存在しないのだ。文武両道、容姿端麗とは正にこの子のためにある言葉だと思う。とっても凄い子だが、凄い子ゆえに誰も釣り合わないのだ。
どのくらい凄いかというと、まず成績は学校で一番、どころか学力調査で全国一桁クラス。運動のほうは、部活に所属していないというのにその部のエースを置き去りにする活躍を見せるので助っ人として引っ張りだこ。顔面偏差値も高く、神に調整された俺という例外がいなければ間違いなくこの子が学校一の美少女だっただろう。
そしてそんな主人公のような能力を持つのに、それを鼻に掛けることはなく性格もいい。もしかして超人か?
勿論しょっちゅう告白を受けているのだが、彩葉ちゃんは今は恋愛している余裕がないと毎回断っている。まぁ俺から見ても彩葉ちゃんに釣り合う子は今のところ存在してないと思うしいいんじゃないかな(何様)。
ちなみに彩葉ちゃんに告白するのは女の子が多い。彩葉ちゃんに百合の素質があるってのもあるけど、男が行かない理由の八割は彩葉ちゃんに行く前に俺の色気に引っ掛かかるから。俺に告ってきたやつは全員食ってやった。残念でもないし当然である。
で、完璧美少女の彩葉ちゃんと、不本意にもクソビッチになってしまった俺が何のバグか友達になっているという、傍からみたら何とも訳のわからないことが起きている。おもろ。
「で、何に悩んでるん?」
「んや、卒業後の進路についてだけど……ま、彩葉ちゃんなら話してもいいか」
「普通に進学じゃあらへんの?」
「進学は進学だけどさ。ウチ上京しようと思ってんだよね」
「え?!」
露骨に驚く彩葉ちゃん。まぁそんな素振り一切見せてなかったしな。普通は近くの高校に進学すると思うか。
あ、ちなみにこの口調に関しては強制です。俺は邪神の呪いだと思ってる。まぁこの白ギャルの見た目で『俺』とか言い出してもおかしいが。
「…実は、私も上京しようと思ってて……」
「へー? まぁ彩葉ちゃんならどこでもやってけると思うけど。でも、彩葉ちゃんのお母さんってけっこー厳しくなかった? 許してくれんの?」
「許してくれへんと思うから、強引にでも出ていくつもりや」
なんと。あんなに驚いたのは彩葉ちゃんも上京するつもりだったからか。いいんじゃね? 人に頼れないこと以外は完璧美少女の彩葉ちゃんなら何とでもなるでしょ。
放置された孤児である俺とは違い、彩葉ちゃんはお母さんが厳しい人なので許してくれなそう感はある。が、なんか彩葉ちゃんのお母さんって反抗待ちっぽくない? そしてその後に頼られるのを期待してるっていうか……。所詮一回しか会ったことない俺の評なんて当てになるわけもないが。
しかし彩葉ちゃんも上京か……俺にできることは何もないな。
助けないのかって? 俺も彩葉ちゃんとは友達だと思っているが、そもそも彩葉ちゃん、あんま施しとか受けないタイプだしなぁ。俺が彩葉ちゃんを狙ってるなら多少強引にでも手助けするけど、そういうわけでもないし。
俺の恋愛対象は百合カップルか、ギリ百合カップル未満の関係にある女の子だからな。そうじゃないと間に挟まれないじゃん(クズ)
「まー頑張ろーよ。上京者同士さー」
「まだ行けるって決まったわけじゃあらへんけどね…。なぁ、夢魔はどこ受けるん?」
「ウチ? 私立も一応受けるけど、本命は都立武蔵川高校ってとこ。公立の」
「…ま、あんたなら平気か。学年二位の
「あは、一位の彩葉ちゃんに言われちゃしょうがないよねー」
はははこやつめ。煽りよる。
ただ、ガチ超人の彩葉ちゃんとは違い俺の学力は前世の記憶ありきだ。流石にちゃんと勉強しないと受かるもんも受からんから、そろそろ吸精は最低限にして勉強に充てるか…
そして翌年四月。
「およ? 彩葉ちゃん? まさかお隣さんとはねぇ…」
「……凄い偶然もあったもんだわ」
「ほんとにねー。こっちでもよろしくー」
「…よろしく」
なんと引越し先のボロアパートで彩葉ちゃんと隣になった。ついでに進学先も同じ。どんな偶然だよ。おもろ。
まぁ何でもいいか。彩葉ちゃんへの挨拶もそこそこに、俺は早速東京の街へと繰り出した。何しに行くのかって? そんなん決まってるだろ。
俺に
そしてさっさと俺を男にさせやがれえええええええええ!!!!
彼は知らない。
彼の浅はかな考えなどとっくにお見通しの邪神が男体化を実質封じていることも。
近い将来、かぐやを救うためにせっかく貯めたエネルギーを全て使ってしまうことも。
それが原因となってかぐやと彩葉に挟まれてしまうことも。
弱点:女性を邪神から付与されているせいで百合に挟まれたら即堕ちしてしまうことも。
彼は何も知らない。
彩葉はボロアパートの部屋から早速飛び出して行った友人を見送る。
「……」
小学校が同じで、中学校も同じ。さらには上京するのも同じで、進学先の高校まで同じ。挙げ句の果てには一人暮らし先のアパートが同じで隣の部屋。
なんて偶然、なんて奇跡的な確率だろう。
(そんなわけないじゃない)
そう、そんなわけがないのだ。
小中学校が同じなのは偶然、上京が同じなのまでは本当に偶然だった。しかし、進学先の高校、まして一人暮らし先まで偶然同じになるわけがない。
進学先と居住先を選んだのは彩葉の意思だった。
(とはいえ、運も良かったけど)
夢魔が進学先に公立高校を選んだこと、居住先にボロアパートを選んだことは幸運だった。夢魔が私立を選んでいたら、セキュリティーがしっかりしている家賃の高い住居を選んでいたら、学費と生活費を自力で稼がなければいけない彩葉には無理だった。
夢魔が公立高に落ちるとは微塵も考えなかった。彼女はギャルギャルしい見た目をしているくせに勉強ができる。試験ではいつも僅差で学年二位だった。彩葉も抜かれるかとヒヤヒヤさせられたこともある。
ともあれ、彩葉は自ら夢魔の近くにいることを望んだ。しかし、もしそれが中学時代の同級生や周囲の人間に知られたら、とても不可解に思われるだろう。
彩葉と夢魔は確かに友人だが、明確に彩葉が『上』で夢魔が『下』だった。彩葉がそう思わずとも、少なくとも周囲は確実にそう見ていた。
超がつくほど優等生、誰もが羨む彩葉と、何人もの男を取っ替え引っ替えしている、勉強だけはできるビッチでクズ女の夢魔。
まさに頂点と底辺。
彩葉が夢魔に合わせる意味はない。
(あの子が男を取っ替え引っ替えしてるのは知ってる)
彩葉も夢魔の噂は知っていた。それが真実であることも。本人も隠していなかったし、確かめる機会もいくらでもあったから。
(でも、あの子の周辺だけ、
同時に、夢魔の周囲では異常なほど性犯罪率が低いことも知っていた。
この世界では性犯罪が多い。警察が働くのはいつもことが終わったあとで、何なら働かないことも多い。少しでも可愛い女子が何事もなく成人して生涯を幸せに過ごせる、なんてことは非常に稀だった。
しかし、その摂理に反している存在がいた。
彩葉はそれを利用しようと考えたのだ。自衛のために。東京という、輝かしくも危険な都から身を守るために。
おかしいことではない。一人暮らしの女の子が、無事に過ごすために万全を尽くしているだけ。
きっと夢魔も、彩葉の考えを聞いても何とも思わないだろう。そんなことを気にする子ではない。
しかし、彩葉が自分でどう思っているかは別だった。
(…ごめん、夢魔)
彩葉は夢魔を友人だと思っているし、そこに他の意味を含ませたことは無かった。
しかし、この日から。
『友人』という関係の中に、※ただし一方的に利用している、という記号が挟まることになった。
母親の圧力から解放されて自由になり、先ほどまでは清々したと感じていた彩葉。
しかし夢魔を利用しているという罪悪感が、その心を少しだけ蝕んでいた。
ここまで読んでいただきありがとうございました。