「百合って聞くと間に挟みたくなるよねw」「分かる〜w」 作:超かぐや姫!沼から抜け出せない人
正直、週一以上の投稿が難しい状況です…不定期投稿で申し訳ないのですが、ご勘弁ください。
ヤチヨカップが終わり、またこれまでと同じ日常が戻って…こなかった。
「はい、冷蔵庫は奥で…」
「彩葉ちゃーん、ベッド二階に持ってくねー」
「あ、うん。って、それ一人で持ってくの?!」
「よゆーよゆー」
今日は引っ越しということで、ボロアパートからかぐやちゃんが選んだタワマンへと荷物や家具を運んでいる。
あのアパートの利点は安いことだけだからな…。セキュリティーは皆無、立地は最寄り駅まで徒歩四十五分、建物はオンボロで厚紙レベルの壁の薄さ。どう考えても女子高生が一人暮らしする部屋じゃないよねって。金があるならわざわざあそこを選ぶ理由は無い。
「彩葉、
「ちょっと、落ちないでよね!」
「最強になった気分…」
「おー良いねー」
ベランダから下界を眺めて美味しい空気を吸っている二人の、さらにその後ろから俺も同じ空気を吸う。はぁぁぁ…百合の香りだ…最高。
で、なぜ俺が彩葉ちゃんたちの引っ越しに着いてきているかと言うと、俺も彩葉ちゃんたちと一緒に暮らすことになったからである。
確かに一緒に引っ越すとかいう話が出たことはあったが、あれはかぐやちゃんがノリだけで言った冗談だと思っていた。あのときは彩葉ちゃんも同意してたけど、まぁそのうち撤回するだろうと。
だってそうじゃん? かぐやちゃんはともかく、彩葉ちゃんには俺が同性愛者だって話したよね? サキュバスだってことも言ってあるよね?? 普通の感性ならそれで一緒に住もうとか考えないはずなんだが。
この子、危機感大丈夫か??? 俺からしたら鴨がネギ背負って鍋も調味料も全部持って目の前に身を投げ出したレベルなんだが。流石にOKサインかと勘違いしたよね。
まぁまだ百合が完成してないから対象外だし食べないけど。少なくとも彩葉ちゃんがかぐやちゃんとか芦花のことを意識し始めないと。
そんな訳で、俺は本当に同居するとは一ミリも考えてなかったのだが、この前朝日さんと会ったときに話は急転した。
『夢魔も一緒に住むから。ね、夢魔?』
『へ? いやそれは…』
『 ね ? 』
『ひゃい!』
『よし』
彩葉ちゃんが身元保証人の件で朝日さんを呼んだとき、俺も挨拶しに真実ちゃんおすすめの菓子折りを持って部屋を訪ねたら、なんか一緒に住むということにされた。
夢魔も一緒に住むから、じゃないんだよ彩葉ちゃん。かぐやちゃんが言い出すならまだ分かるが、君は止める側だろうに。
でも彩葉ちゃんの笑顔の圧が強すぎて反射的にOKしてしまった。ま、まぁ俺にとってもデメリットは無いしね?
ちなみに朝日さんはそのやり取りに対してひとしきり笑った後、俺に向かって大丈夫? と確認してきた。
心配そうな表情だったが、百合の間に挟まろうとしている俺に聞いてどうするんだ。朝日さんの立場なら俺を追い出すほうに動いたほうがいいと思うよ。
まぁ挟まりたい側からそんなこと言い出すはずもないんですけど(邪悪)。
ごめんね朝日さん。妹さんとそのお嫁さん達は、そのうち俺が全員まとめて美味しく頂くね…笑
そういえば、タワマンの賃貸契約が終わって朝日さんが昼飯奢ってくれたとき、朝日さんから面白い話を聞いた。
なんでも、昔俺の親族っぽい人を見かけたことがあるとのことだった。
引っ越し先の契約も終えて昼過ぎ。かぐやちゃんの「行ってみたい!」とのご要望でファミレスに四人で入り、ドリンクバーを彩葉ちゃんとかぐやちゃんに任せて俺は朝日さんと喋っていた。
いやーしかしマジでイケメンだなこの人。性格も良いしモテるんだろうなー。兄妹揃って顔も性格も良い。
くそ、俺も転生したらこんなイケメンになりたかったのに…そして百合の間に挟まりたかったのに…。本人の同意もなくTSさせやがって、邪神マジ許せねぇ。
「今日はありがとねー朝日さん」
「いや、俺も久しぶりに夢魔ちゃんと話せて楽しかったよ。美味そうなお菓子も貰ったしな」
「あーそれね、真実ちゃんっていう、彩葉ちゃんとウチの友達がおすすめしてくれたやつでー」
「この前気絶した?」
「そうそう。それでその真実ちゃんがさー…」
友達の兄も友達ってことで良いんか? 前世の男友達みたいな感じですげー話しやすい。今世では男友達とか存在しないしな。
そういや朝日さんへ渡す手土産について相談したとき、真実ちゃんが『私が選んだものが帝様の口に入る…!? それって実質…!!』とかなんとか言ってたな。
実質も何も、なんもねーだろ。友人の兄が店売りのお菓子食うだけだぞ、正気に戻れ。
そんなことを考えながら朝日さんと喋ってたら、俺の目の前に飲み物が勢いよくゴン!と置かれた。何事?? グラスに入ってた茶色の液体がちょっと溢れたけど。
「……どうぞ」
「飲み物持ってきたよー! かぐやスペシャル!!」
彩葉ちゃんとかぐやちゃんが俺たちの分の飲み物も持って帰ってきたようだ。彩葉ちゃんが俺に、かぐやちゃんが朝日さんにそれぞれ飲み物を置く。
外暑かったし、喋ってたら喉乾いたから助かる。彩葉ちゃんにお礼を言い、早速グラスに口をつけた。
「お、ありがとかぐやちゃん」
「彩葉ちゃんもありがとねー。で、よく一緒にご飯とか行くんだけどー、この前真実ちゃんったr不ッッッッッッッッ味いこれ何入れたの彩葉ちゃん」
「アイスコーヒーとカルピスのブレンド」
「俺のは…オレンジとカルピスかな。センスいいねかぐやちゃん」
「でっしょぉぉぉ??」
彩葉ちゃんから渡されたものをちゃんと確認もせずに飲んだらものすごい味がして吹き出しかけた。え、なに? もしかして俺なんか彩葉ちゃんにやった? さっきまで普通そうだったのに急に機嫌悪そうだな…。
何か彩葉ちゃんの気に触ることをした覚えがない。ただ朝日さんと喋ってただけやぞ。ああ、もしかしてお兄ちゃんを取られる的な? 流石に友達のお兄さんに手を出したりしないからそんな警戒しなくても…
そんな俺の予想は当たりだったようで、四人で話を再開したら彩葉ちゃんの機嫌も戻った。良かった良かった。
あ、激まずドリンクは飲み干したよ。苦味と酸味が強烈な不和を生み出していてくっそ不味かったけど、精液に比べたらマシというものだ。あっちはSAN値減少するレベルの味だからな…
「……」
「どうかしたー? 朝日さん、ウチのことじっと見て。好きになっちゃった?」
「あ、いや違うけど」
「違うんかーい笑」
「ちょっとお兄ちゃんセクハラだよ」
「せくはら?」
飯も食べ終わり、食後のデザートでアイスを食べていたら、隣の朝日さんがめっちゃこっち見てたので流石に気になった。あと俺も自分で言っといてなんだが、朝日さんの視線にいやらしい感情は含まれてないから彩葉ちゃんは安心していいぞ。かぐやちゃんは…そのままの君でいて。
「こんなところで言うことじゃないんだが…夢魔ちゃんは、孤児なんだよな?」
「そだよー。物心着く前から孤児院にいたからねー」
「え!? そうなの!?」
「かぐやちゃんには話してなかったっけ? まー昔のことだし気にしないでー」
聞きづらそうに言ってくる朝日さんに軽く返す。かぐやちゃんも驚いているようだが、本当に気にしないでほしい。俺はマジで何とも思ってないしな。
そして物心着く前とは言ったが、そんな時期はほぼなかった。気づいたら孤児院にいたのは確かだが、多分生後数ヶ月時点でもう俺の意識はあったよ。無かったのは生まれた直後くらいじゃないかな。
「それがどうしたの?」
「…実は十年くらい前、夢魔ちゃんによく似た女の人を見たことがあるんだよ」
「へー」
「え!?」
「それって、夢魔の家族ってこと!?」
「そこまでは分からねぇけど…今、夢魔ちゃんのことを見て思ったんだ。そういえば、あのとき見た人によく似てるって」
何で彩葉ちゃんたちが驚いてんだよ。俺としてはフーンくらいの感じ。
てか俺、邪神の製作物じゃなかったんだね。血の繋がってる人とかいたんだ。気になることと言えば、親もサキュバスだったかどうかくらい。逆に一般人から産まれてたらこえーよ。
ま、そもそも似てるだけの人って可能性も高いけど。
「というか朝日さんも十年も前のことをよく覚えてたねー。しかも、十年前ってウチが彩葉ちゃんと会う前の話じゃない?」
「そなの?」
「あ、うん。私と夢魔が初めて会ったのは小学生四年生のときだったから。その前から知ってはいたけどね」
初めて同じクラスになったのがそのときだからな。ちなみに俺も彩葉ちゃんのことは会う前から知ってた。彩葉ちゃんは学年で一番優秀ってことで有名だったからね。彩葉ちゃんが俺のことを知ってた理由は明白だろう。俺はその頃から悪い意味で有名だったからな。
「ちなみにお兄ちゃんはその人のことをどこで見たの?」
「彩葉のピアノのコンクールだ。後ろの方に座ってたけど、見た目が特徴的だったから覚えてる」
「夢魔に似てるならちょー美人だろうしね!」
そんなに褒めてくれるなよ、かぐやちゃん。てか、俺の親族っぽい人なのになんで彩葉ちゃんのピアノコンクールに来てるんだよ。当然だが俺は出ていない。ピアノなんて出来ないしな。いや、俺以外の知り合いを見にきた可能性も普通にあるか。
「いや、目を引く美人だったってのは間違い無いんだが…よく覚えてるのはそのせいじゃなくてな」
「?」
「その人、左腕が無かったんだよ。だからすげーよく覚えてる。あと、左目にものもらいのときに付ける白い眼帯もしてたな」
「え…」
え、なに、厨二病? それとも人体錬成でもした?? 失った肉親でも作ろうとして俺が発生したとか? 絶対違うだろうけどそうだったら面白すぎる。
「もってかれちゃったのかなー?」
「それって右腕じゃなかった? 左腕なら赤髪の人のほうじゃない?」
「確かに笑」
「俺から言っといて何だが、笑い事か?」
「そ、そうよ!」
つってもな。仮にその女が俺の肉親だったとして、俺ほぼ関わりないしな…ネタにするくらいしかやることないよ。
「いやー、だって…ねぇ? そもそもウチの親族と決まったわけじゃないしさー」
「まぁ、それもそうか…」
そういうことです。それにもし本当に親だったとして、腕がないとか言われても特に何とも思わん。
俺みたいな人外が普通の人間から産まれるとは思えんし、なんかヤバいことやらかしたんだろ。腕はその代償とかな。普通にありえる。むしろ死ななくて良かったね。
邪神が勝手に俺を生み出す母体にした可能性もなくはないけど、あの邪神なら無から生成できるだろうし態々そんなことやらなそう。
あ、でもその人はサキュバスでは無さそうだな。もし俺と同じ種族だったら腕が無くなるとかないでしょ。この体めちゃくちゃ頑丈だし。
前に車に轢かれたことあるけど、車側が大破して俺は軽傷だったくらいだよ。その傷も溜めてた精エネルギーですぐ治った。警察に通報したとき、説明したら逆に困惑されたくらいだ。
『はい、轢かれたのはウチで…いや、倒れてるのは轢いた方で…冗談とかじゃなくて。驚いて気絶しちゃったみたいで。あ、いや轢かれたのはウチで、耐えたのもウチなんです。体が頑丈だからか結構耐えちゃったっていうか…』
あのときは酷かったな…現場に来た救急と警察がキョドってておもろかった。
あとは、俺も流石に腕を欠損したら治らないと思うけど、サキュバスならそもそも欠損するような状況にならねーよって話。
日本刀で斬られた? 断面綺麗だったら多分そのままくっつくよ。それとも火事に巻き込まれて炭化した? 燃える前に脱出しろって話。
ともかく、サキュバスだとしたらただの
「まぁ面白い話だったし、配信のネタにでもするかなー。ありがとね朝日さん」
「お、おう」
「ええ…」
朝日さんは親切心で関係者っぽい俺に話してくれたんだろうが、残念ながら俺はサキュバス。人の心はあんまり無いのだ。
ただその人が本当に親だったとして、別に不幸になってほしいわけでもない。俺のことを孤児院に預けて縁も切れたんだし、今頃は好きに生きてることだろう。
引っ越しの力がいる部分は手伝って残りの仕分けとかは彩葉ちゃんとかぐやちゃんに任せ、俺は周辺の竿役狩りへ。彩葉ちゃんやかぐやちゃんに危害が及んだら嫌だからね。
…という心配だけなら綺麗な理由なのだが、早く効率がいいエネルギー収集に行きたいという気持ちも半分くらいある。俺は強欲だからね、百合の成立だけじゃなく、男体化という自分の目的もさっさと進めたいのだ。
流石に一年半も同じ場所を拠点としていると、効率が落ちるんだよね…。というわけでまだたくさんいるであろうこの辺の竿役どものエネルギーを徴収だ! いやー、一々遠出しなくてもエネルギーが集まるのはいいね。
「だれか、たすけて…」
「────?」
軽く拠点周囲の掃除が終わって、タワマンに帰る道すがら、呼ばれたような気がして振り返る。すると、はるか道の先に目立つ金の髪と隣に黒い髪。間違いなく彩葉ちゃんとかぐやちゃんだな。
流石にこの距離では俺の淫魔イヤーも音を拾えないと思ったのだが…もしかしてマーキング(芦花にやったやつ)すると感知距離伸びたりする? 気にしたことないから分からんかったな。
あ、かぐやちゃんへのマーキングは引っ越しの話が出たときにやった。引っ越しするなら近くに居られなくなっちゃうと思ったからね。結局は杞憂だったが。なお彩葉ちゃんにはとっくの昔にしてる。
「夢魔、おかえり!」
「彩葉ちゃんたちはお買い物ー? ウチも持つよー」
「ありがと、夢魔。じゃあ、こっちお願いできる?」
「お任せあれー」
朝イチから引っ越しして、今は夕方くらい。夕飯はもちろんかぐやちゃんにお任せだ。買い物袋の中身を見ても夕飯の内容はさっぱり想像できない。
俺は料理できないからね…。この最強淫魔ボディー、何故か料理だけは不味くなるのだ。ちゃんとレシピを見ながら忠実に作っても全部炭になってしまう。おかしい。
夕飯はジェノベーゼパスタだった。彩葉ちゃんが製麺機で麺を作って、かぐやちゃんがそれを見てやりたがって、俺はそんな二人がわちゃわちゃしてるのを眺めて幸せになっている係。これで付き合ってないんだぜ? こいつら。色々な意味でめちゃくちゃ美味しかったです。
部屋割りに関しては、一階に彩葉ちゃんの勉強兼作業部屋、二階にかぐやちゃんの配信部屋、そして寝室兼物置。
はい、寝室は全員一緒です。俺の私物であるキングサイズベッドが火を吹くときが来たというわけだ……まぁちょっと前から寝るときはみんなで一緒に寝てることも少なくなかったんだが。
俺の私室は存在しないが、強いて言うならみんなの寝室が俺の部屋。言うて俺は狩りで家に居ないことも多いしな。自分の部屋が絶対に必要かと言われたらそんなこともない。勉強もリビングでいいし。人がいても気にならないタイプなんです。
今日は夕飯の後かぐやちゃんの配信を手伝い、先に役目が終わった俺が一足先にベッドイン。少ししてから配信を終えたかぐやちゃんが隣に潜り込んできて、それに更に遅れて勉強が終わった彩葉ちゃんがその間に入ってきた。自ら真ん中に入るとは、さすが百合ハーレムの王(予定)は格が違った。
かぐやちゃんが隣に来た彩葉ちゃんに爆速でしがみつきに行ったのもいつもの光景だな。彩葉ちゃんは若干苦しそうだが、引き剥がさない時点でもうね。
必ずこの百合を成立させる。そして割り込む。そんな強い意志を胸に、俺も静かに眠りについた。
起きたらいつの間にか位置が入れ替わってて、俺が真ん中になってた。うける。
無意識に割り込んでしまうとか、俺も生粋の百合の間に挟まる男だってことだな!
引っ越し当日だったが、彩葉は新しい部屋で勉強を進めていた。彩葉のスケジュールに余裕はない。元々は引っ越しなどする予定はなかったので、その分遅れてしまっていた。つまり、寝る時間を削ってでも遅れを取り戻さなければいけなかった。
しかし、無理にやりすぎても身につかないし、先日のように倒れたら余計に遅れてしまう。なので深夜一時頃には切り上げ、睡眠時間を五時間は確保することにした。
「むにゃ…えへへ、夢魔…」
「ん…」
彩葉が勉強を終えて寝室に向かうと、ベッドでは既にかぐやと夢魔が寝ていた。いつもは彩葉にしがみついて寝ているかぐやだが、今日は彩葉の方が寝るのが遅かったため、隣で寝ていた夢魔に抱きついて寝ている。夢魔の豊かな胸に顔を半ば埋めてだらしなく笑うかぐやはとても幸せそうだった。
(多分今このベッドの上、世界で一番顔面偏差値が高いな…)
寝ていても変わらず絶世の美貌を持つ二人。そんなことを考えながら、彩葉はかぐやを夢魔から引き剥がしていつもの位置に潜り込み、全員にかかるようにタオルケットをかぶった。抱きつく対象を求めたかぐやが即座に彩葉へと絡みついてくる。
「ん…? いろはちゃん、おつかれさま…」
「あ、ごめん。起こした?」
「いーよぉ気にしないでー…」
電気が消えて薄暗い部屋の中、彩葉に触られたことで夢魔が薄く目を開いた。彩葉の謝罪の言葉に、夢魔はへにゃりと笑って返す。
「かぐやが抱きついて苦しかったでしょうに。引き剥がして良いのよ?」
「うち、頑丈だからー。それより、流石ですねぇいろはちゃん…」
「? 何が?」
「ふへへ…」
夢魔は彩葉がかぐやと自身の間に入ってきたことに対して言ったのだが、この位置どりを自然なものとして考えている彩葉には何のことか分からなかった。夢魔はそういう部分も含めて言ったのだが。
(なんか…いつもよりだいぶふにゃふにゃでかわいいな…)
そんなことより、彩葉は寝ぼけて呂律の回っていない状態の夢魔に気を取られていた。
夢魔は普段、ゆるゆるに見えて結構しっかりしている。出かけない休日でも、芦花ほどではないがしっかり化粧しているし、寝起きが良いので朝もぼんやりしていることは無い。
そのため、こんなに頭が回っていない夢魔はかなり珍しかった。
「どうしたの、いろはちゃん…」
「ふふ。ううん、何でもない。私も寝るわ」
こてんと首を傾げている夢魔に首を振る。その動作も子供っぽく、彩葉は思わず笑ってしまう。
「うん、おやすみ…。あ、そうだ」
「?」
珍しいものを見られて気分を良くし、そのまま就寝しようとした彩葉だったが、その前に夢魔から声がかかった。
「いろはちゃんも、うちのことぎゅってしていいからねー…」
「なっ…?!」
夢魔が彩葉に向かって腕を広げる。顔を赤くして驚いた彩葉の視線は、当然というかナニかが服を押し上げている夢魔の胸元に向かっていた。
反論しようとした彩葉だったが、その前に夢魔の腕から力が抜けた。夢の世界へと旅立ったらしい。彩葉のことを煽るだけ煽っておいて、本人はあっという間に意識を失った。
(う…)
彩葉とて、その大きな脂肪の塊に興味がないわけでもない。本人から許可が出たこともあって、視線が吸い寄せられてしまう。
普段なら理性で振り払える誘惑だったが、このときは慣れない引っ越し作業と勉強で疲れていて、さらに彩葉自身が自覚していない何かに心を押されていた。
「い、一瞬だけ…」
誰も聞いていないというのにそう言い訳し、だらりと力の抜けた夢魔の腕を退けて、自身の顔を柔らかいものに少しだけ沈める。そして。
(あ、これやばい)
本当に一瞬だけその感触を確かめた彩葉はガバリと顔をあげた。何というか、二度と帰ってこられないような感じがした。彩葉はかぐやを引き剥がしてそのまま夢魔の背中側に移動し、そちらで改めて眠ることにした。
極上の柔らかさがまだ頬に残っていたが、幸いなことに非常に疲れていた彩葉はすぐに眠りにつくことができた。もう少し元気があったら興奮して眠れなかったかもしれない。
(かぐや、よくあれに抱きついて普通に寝られるな…)
眠る寸前、かぐやが再び夢魔にしがみつこうとしているのが目に入った。
そんなかぐやに戦慄すると共に、少しだけかぐやを羨ましく思う彩葉だった。
ちなみに神戦での主人公くんちゃんの武器ですが、主人公くんちゃんが最初にプレイしたときにおすすめに表示されたやつを気に入ってずっと使っています。
そしてそれを表示したのは……