「百合って聞くと間に挟みたくなるよねw」「分かる〜w」   作:超かぐや姫!沼から抜け出せない人

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前回あと二話で終わるとかほざいたのですが、長くなったので分けます。あと二話で終わりませんでした。すみません。

てかアンケートしておいてあれですが、ハーメルンの特殊タグを切っている方もいらっしゃるんですね。感想をいただいて初めて気づきました。そういや切れるんだったと。

隠した気になっていただけでした。恥ずかしい…!


縄文時代って長すぎるよね

 

 

 

『だから、ここは多分現代の日本じゃないの。下手したら、何千年レベルで前かも…」

「ほーん」

 

 かぐやちゃんに呼ばれて転移した先は大昔の日本だったとさ。うける。

 

 いやそんなことある?? 精々月まで三十八万キロくらいの距離を移動するだけだと思ってたらこれだよ。よく転移できたなほんとに。転移直前に何故かエネルギーが溢れてきたから行けたけど、自前のエネルギーだけじゃ絶対足りなかっただろうな。

 

 てかこの転移って時間逆行もできるのか…自分の能力ながら初めて知ったよ。いやでも原理的にはそもそも転移自体が時間移動なのか? 光より速く動いてるわけだし。なら逆行もあり得る…? 

 

 ダメだ分かんね。俺は物理含む理数系は苦手なほうなんだよ。こういうのは頭いい人に任せよ。彩葉ちゃんとか。あ、今はいないんだった。

 

『ごめん、夢魔(ゆま)…』

「え、何が?」

『かぐやが夢魔のこと呼んだから、夢魔まで巻き込んで…』

「ちょちょ、待って何の話ー?」

『こんなところに来ちゃって……後悔してる、でしょ?』

「あー、そういう」

 

 ちょっと考え込んでたらかぐやちゃんがもの凄い勢いで落ち込み始めてしまった。どうやら俺が何も言わなかったから、ここに来たことを後悔していると思ってしまったらしい。

 

 こんな状況だから仕方ないのかもしれないが、かぐやちゃんもだいぶネガティブ思考になってしまっているようだ。まずはかぐやちゃんを安心させるべきか。

 

「ぜーんぜん、してないよー」

『え…?』

 

 いやいや、後悔なんてしてるはずがない。あくまで俺の意思で転移したわけだしな。かぐやちゃんが気にすることはない。それに、元々は月に行くつもりだったんだしな。

 

 んで、月人の住むところってツクヨミみたいな感じなんだろ? 電脳空間的な。最悪、自分の体が消滅して今のかぐやちゃんみたいに魂(思念体?)だけの状態になることも想定してたっつーの。

 

 それに比べたら、ちょっと昔に来ちゃった、くらいなんてことはない。

 

『でも、もし今いるのがすごく昔だったら、彩葉のいる時代になるまでに夢魔は死んじゃうじゃん…』

「あ、それは多分大丈夫。ウチ人間じゃないから」

 

 なるほど、俺が寿命で死んでしまうことを心配してくれてたのか。でもそれは不要だ。人外たる俺は寿命の概念が多分無いからな。

 というか明らかに人間にはできない転移をしてきたのに、まだ俺のことを普通の人間だと思ってくれてたのか…

 

『え?』

「さっき見たっしょー? ツクヨミのアバターみたいになってる姿。あっちが本性なんだよね。ウチ、実はサキュバスなんだー」

 

 転移してすぐに戻していた姿を再びサキュバスのものへと変化させる。そういやかぐやちゃんにはちゃんと言ったことは無かったな。

 見よ、これがサキュバスバージョンの俺だ! どう? 

 

『うおー! すげー!!』

「でっしょー? まぁそんなわけで、多分寿命とかも無いから安心してよー」

 

 言うてさっき見たし新鮮味はないかと思ったのだが、かぐやちゃんは思いのほか喜んでくれた。かぐやちゃんって結構小学生みたいな喜び方するよね。地球人歴は二ヶ月くらいだし分からなくもないが。

 

『うん! …本当にありがとう、夢魔』

「どーいたしましてー。そこそこ長い二人旅になりそうだし、これからよろしくねー」

『こっちこそよろしく!』

 

 かぐやちゃんの元気が出たみたいで俺も嬉しいよ。顔はないので表情は分からないが、魂がキラキラ光ってるのでそれで喜んでくれてることは分かる。

 

 現代までどのくらいの時間があるかは知らんが…まぁ一人で過ごすわけじゃないし大丈夫だろ(適当)。

 それにかぐやちゃんと彩葉ちゃんの再開まで長い時間がかかるということは、俺が精エネルギーをたくさん集める猶予ができたということでもある。

 

 というわけで、今度こそ俺はそれまでにエネルギーを集めきってインキュバスになってやるぜ! 今まで十年くらいかけても集まらなかったが、これは逆にチャンスだ…!! 

 

『でも、体が無いとなんもできないなー…ねー夢魔、なんか暇つぶし思いつかない?』

「暇つぶし? そうだねー…」

 

 っと、かぐやちゃんが暇を持て余している。いやそれは今後も持て余し続けるとは思うが…それはおいおい考えるとして。

 今すぐできそうなことかぁ。うーん。あ、そうだ。

 

「なら、卒業ライブの曲、もう一回歌ってくれない?」

『卒業ライブの曲?』

「うん。ウチ、かぐやちゃんを襲撃してきた黒い触手みたいなのを相手にしてたから、卒業ライブ見れなかったんよー。ね、お願い?」

 

 卒業ライブ見れなかったの結構悔しかったんだよな。だからいつかかぐやちゃんにはライブでやった曲をもう一回歌ってもらおうと思ってたんだが…結構早くその機会が来た。

 

『もっちろん! 十回でも百回でも、夢魔のために歌ってあげる!!』

「さっすがー。そんじゃお願いしますよー」

 

 かぐやちゃんの魂が入ったタケノコ宇宙船を砂浜に置き、俺自身もその場に座り込む。今更だけど、かぐやちゃんの声は魂から直接聞いている。

 

 普通の人間相手じゃこんなことはできないが、思念体であるかぐやちゃんの特性と、魂が見える俺自身の特異性が合わさった結果なのか、俺にはかぐやちゃんの声が聞こえている。マーキングのおかげもあるかもしれない。

 

『じゃー行くよー!』

 

 そうしてかぐやちゃんはノリノリで歌い始めた。卒業ライブでやったであろう曲を一つ一つ、俺一人を観客にして。

 

 …歌ってる間は、寂しさを忘れてくれたらいいんだが。どこまでいっても俺にできるのはサポートだけだしな。かぐやちゃんがこれ以上寂しくならないように、一緒にいてやることくらいしかできない。どうあっても、俺では彩葉ちゃんの代わりにはなれないのだ。

 

 結局かぐやちゃんが飽きるまでアンコールし続け、気づいたときには夜が明けていた。いつの間にか水平線に朝日が昇っていて、それがなんだかすごく可笑しく感じて、二人して大爆笑してしまった。完全に深夜テンションだったよね。

 

 

 

 それから、俺とかぐやちゃんの長い二人旅が始まった。

 

 

 

 これは後から知ったんだが、どうやら俺たちは紀元前六千年くらい…縄文時代に飛ばされていたようだ。まぁ竪穴式住居があったのを見た時点である程度察したよね。少なくとも二千年くらいは前なんじゃないかって。実際はもっと前だったわけだが。

 

『暇だし日本縦断の旅でもしようよ!』

「いいねー行こ行こ」

 

 で、何が辛いって、この時代には娯楽なんてものがほぼ存在しないのだ。話し相手も一人だけだし、これまでの人生であったことを全て話してもそんなに時間は稼げない。なので俺たちは暇つぶしを兼ねてこの古代日本を縦断し始めた。とりあえずは海沿いで。

 

 ただ、そんなに見るものもなかった。自然が豊富といえばそれはそうなのだが、流石に一週間も見ていれば飽きるよ。人を探しても、人口が少なすぎて全然見当たらない。俺としては精エネルギー枯渇の問題もあったので、最終的にはセンサー全開で人を探し始めた。

 

「人間いたあああああ!!!」

「え、何この毛玉!? あ、もしかしてかぐやちゃん?」

 

 ようやく浜辺の集落らしきものを見つけたところで、暇が限界値を迎えていたかぐやちゃんが真っ白なウミウシの体を作り出して話しかけに行った。背負ってたタケノコ型宇宙船から毛玉が出力されたときは何事かと思ったよ。

 

 なんか犬DOGEの体は作れそうだったから作って、そこにかぐやちゃんの意識を乗せたらしい。月人すげえ、なんでもアリか? 

 でもなんでウミウシ? 海近いから? 

 

「何言ってんのか分かんないやー」

「もうちょい言語サンプルが集まれば翻訳できるようになるから待ってて! それまではかぐやがボディーランゲージで何とかしちゃる!」

「おおー頼もしい」

 

 古代人が何を言ってるのかなんて全く分からなかったわけだが、そこは月人&かぐやちゃんクオリティー。半日もしないうちに翻訳できるようになった。

 翻訳もだけど、俺としてはその半日をボディーランゲージだけで乗り切ってたのがすごいと思う。絶対真似できないわ。

 

「かぐやの歌を聞けー!!」

「「「────!!!!」」」

「あは、盛り上がってんねー」

 

 かぐやちゃんが歌い始めたことで、縄文人たちが大いに盛り上がり始めた。音楽は人の心を繋ぐってのは本当らしい。もちろんかぐやちゃんの天才的なアイドル性があってのことではあるが。ウミウシ姿でも何の支障もなく人を魅了できているあたりにかぐやちゃんの凄さが窺える。

 

 久しぶりに他の人と話せたかぐやちゃんはとても楽しそうだった。ウミウシの体なのに嬉しそうな表情まで見えるようだったよ。良かった良かった。

 

「おええ、クソまずいけど生き返るー…これでしばらくは平気だー」

 

 そして俺も集まってきた男どもから精エネルギーを徴収できた。エネルギーを貯めるどころかもう少し吸えなかったら餓死するところだったよ、あぶねー。

 

 時代が違うから男どもの趣味も変わるかと思っていたが…こっちも問題なく、かぐやちゃんとは別の意味で男たちを魅了することができた。魅了スキルを使うまでもなかったな。

 

「ふ、時代が変わってもウチはパーフェクト・サキュバスだったってことだねー…嬉しくないけどー」

 

 ただ俺はかぐやちゃんと違って別に嬉しくない模様。あと当たり前だけど現代人より臭い。今のかぐやちゃんは嗅覚ないから気づかなかったようだが。まぁ風呂とかないしな。現代でも嫌だったことがさらに嫌になるとは…クソわよ。

 

 え、俺は臭くならないのかって? なるわけねーだろサキュバスだぞ。何ならデフォルトで常に良い匂いしてるっつの。というか嫌だろ臭いサキュバスとかいたら。俺は嫌だよ。

 

「なに、してるの……?」

「あ、いやこれはー、そのー…」

 

 なお、最初の頃は当然かぐやちゃんに隠れてそういうことをやっていたのだが、何回か目であっさりばれた。あんときはめちゃくちゃ焦ったよね。ウミウシの顔なのにかぐやちゃんの目が澱んで見えたよ。流石に錯覚だと思うけど。

 

「夢魔、嘘だよね……?」

「これは生命維持みたいなものでー」

「かぐやよりその人たちを選ぶの…?」

「え?」

「え?」

 

 あわや絶縁かと思われたが、どうやらそれは回避できたようだった。かぐやちゃんにもしっかり説明し、嫌でもやらないと俺の命に関わるということで、いい顔はされなかったがなんとか事情を飲み込んでもらえた。ギリセーフ(見られたのはどう考えてもアウト)だった。

 

「夢魔は平気なの…?」

「んー、平気ではないけど、もう慣れちゃったからさー」

「そっか…」

 

 てか逆に心配されてしまったくらいだ。いや生きるだけならそんなには要らないからそこまで心配されると申し訳ないんだが…でも俺の夢のためにも吸うの辞められないし…さーせん。

 

 ちなみに心配された原因は、多分あの激まず飲料を飲んでもの凄い顔をしてるの見られたことだと思う。まぁ控えめに言って人様には見せられない顔してるよね。

 あとそういう行為中に俺が苦しそうだったのを見られたのもあるかも。別に気持ち良くも何ともないからな。俺自身は不感症だし、何なら男とそういうことしてる分で、ただただ気持ちが悪い。たまにSANチェック失敗して吐く。

 

 いや普通に同行者が頻繁に男とそういうことしててドン引きってのが一番か。ま、まぁ今後もかぐやちゃんには見えないところでやるようにするから許して…

 

「そ、その、もしあれだったらかぐやが、夢魔とその、そういうことしても…」

 

 恥じらうかぐやちゃんからそんなことを言われたけど、残念ながら女の子からじゃエネルギーを得られないんだよね。

 いや女の子とシたことは無いんだけど、孤児院時代に周りの子供から発するエネルギーを吸ってたときは明らかに男女で差があったし。

 

 あと気持ちは非常に嬉しいんだが、流石に俺もウミウシの体じゃ…いやー、きついでしょ(食い気味)。かぐやちゃんのことは大好きだけどその体でするのはちょっと…。

 

 てかその体は犬DOGEのじゃん。犬DOGEって性別どっちなんだ。今はウミウシだから両性? 犬DOGEの意識もあるっぽいし今度聞いてみるか? 普通に失礼だな、やめよう。

 

 まぁそれはいいとして。将来、彩葉ちゃんとかぐやちゃんがくっついたらまとめて食べる予定なのでね。かぐやちゃんの提案はそのときの楽しみにしておくよ笑。

 

 

 

 

 

 

 多分六千年くらいはそんな感じでずっと旅してた。本当に少しずつ発展していく文明をかぐやちゃんと眺めながら、俺たちも少しずつ移動していった。

 

 その中で人が死ぬことも珍しく無かった。病気で子供のうちに死ぬことも多いし、怪我が原因で死ぬこともある。別の集落との抗争で村ごとなくなることもあったし、この頃の人間はそもそも寿命が短くて、何事もなくても四十年くらいしか生きなかった。

 

「行こ、かぐやちゃん」

「うん…」

 

 かぐやちゃんと一緒に遊んでくれた子も、歌を聞いてくれた人も、怖がって石を投げてきたやつも、俺に欲情してきた竿役も。みんな平等に、あっという間にいなくなっていく。

 そして関わった人が亡くなると、かぐやちゃんは必ずその人のために歌を歌い、俺はその度に遺体を土に埋めてきた。

 

「ぐす、夢魔ぁ…」

「おー、よしよし」

 

 かぐやちゃんは何度別れを経験しても、毎回必ず泣いていた。うん、悲しいときは泣いたほうがいい。それはちゃんと心が動いている証拠だから。俺はこういうとき泣けないからさ。悲しくないわけじゃない。でも、そこまで動じなくなってしまった。悪い意味でね。

 

 元々かぐやちゃんほど情動豊かじゃないってのもあるし、俺が人外だからってのもあると思う。何千年という時間を狂わずに過ごせるように邪神が調整したのだろう。

 精神が一般人のままだったら発狂してると思うから、調整自体はありがたくはあるんだが……こういうときは少し歯痒い。

 

「夢魔は、いなくならないよね…?」

「あは、ならないならない。ウチはかぐやちゃんと一緒に彩葉ちゃんのいる未来に行くってー」

「うん…」

 

 あったりまえだろ。こちとらかぐやちゃんと彩葉ちゃんの間に挟まるためにこうして付いてきたんだぞ。嫌と言われても一緒に行く所存です。嫌って言われないために普段から気を遣ってはいるけど。

 

 でもかぐやちゃんの凄いところは、こうして何回も何十回も泣いてしまうほどの死別を繰り返しているのに、その魂が変わらず輝いていることだ。

 

 長年生きてきて分かったことだが、人間は強いショックを受けると魂が傷ついてしまう。彩葉ちゃんも結構傷だらけだったし。かぐやちゃんだって無傷というわけではない。目を凝らすと、その内側に引っ掻いたような傷が見え隠れする。

 

 しかしその程度で済んでいるのが既にすごい。普通の人間がこんなに離別を繰り返したらもうとっくにボロボロで魂の形も人格も変わって、何なら発狂して死んでると思う。

 

 だがかぐやちゃんは変わらない。魂の形は初めて会った赤ん坊の頃と同じだし、その太陽のような輝きは少しも落ちない。

 本当に綺麗だ。これまで見てきたどんな魂よりも。

 

「彩葉…会いたいよ……」

「そうだねぇ…」

 

 これは俺が守ってたおかげだな! ……などと妄言を吐くつもりは無い。百合の間に挟まろうとしている奴が守ってたとか鼻で笑われてしまうわ笑。

 

 ここは素直に『さすいろ』と言っておこう。ここまで思われてる彩葉ちゃんやっぱスゲーわ。百合ハーレムの王の素質を持つだけのことはある。師匠と呼ばせてください。

 

「大丈夫。ウチが絶対、かぐやちゃんを彩葉ちゃんのところまで連れていってあげるからー」

「…約束だよ?」

「うん、約束」

 

 ……きっとかぐやちゃんなら、俺がいなくても彩葉ちゃんだけを頼りにして未来まで辿り着けると思う。数千年旅をして、これだけ人々を見送っても変質しなかった強い子だしね。本質的には、俺がかぐやちゃんのところに来た意味はないのだろう。俺が好きで来たわけだし別にいいんだけどね。

 

 まぁそれはそれとして俺は百合の間に挟まるための努力を欠かしませんが! かぐいろが完成したときのために今から布石を打っておくのだ。隙間がなくとも俺が作ってでも入り込んでやる。

 

 仮にかぐやちゃんが俺を必要としなくても、俺にはかぐやちゃんと彩葉ちゃんが必要なんだよ……!! 

 二人とも絶対逃がさないから覚悟しとけよ…!

 

 

 




感想欄に予言者とか超能力者が多くて素直に凄いと思います。
私は普段他の人の作品見る時に何も考えてないので…( ᐛ )

何がとは言いませんが、どこで「声」に気づきました?

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