OVERLORD︰ReVerse Seraphim 作:reel
モモンガ玉は、転移による影響で外せないことになっております。
「鈴木悟」という真実の名を突きつけられ、自らの魂がアンデッドに蝕まれていく未来を宣告されたモモンガ――悟は、言葉を失い、ただその場で立ち尽くしていた。
そんな彼に、ミラは希望の光を差し伸べるように、隣に立つキーノをそっと前に促した。その手つきは、どこまでも優しく、慈しみに満ちている。
「この世界には『タレント』と呼ばれる、生まれつきの特殊な能力を持つ者がおるのじゃ」
ミラは、この世界の基本的な理から説明を始めた。悟が知るユグドラシルのシステムとは異なる、この世界の固有の法則。
その一つが、この『タレント』だ。
「基本的にタレントは一人一つしか持てぬ、極めて稀な才能じゃ。じゃがこのキーノには、二つ目のタレントが発現した。
ワシがその事実を知った時、これなら行ける、と確信したのじゃ」
ミラの言葉に、キーノは少しだけ胸を張り、しかし恥ずかしそうに頬を染めて俯いた。彼女の視線が、ちらりと悟に向けられる。
「キーノの二つ目のタレント、その名は『
ミラはそう言うと、自身の胸元で淡い光を放つペンダントを指し示した。精巧な天秤を模した、神々しいまでの輝きを放つアーティファクト。
ユグドラシルにおいて絶対の力を持つワールドアイテム。その名を耳にして、悟の眼窩の光が再び強く揺らめく。
ワールドアイテム所持者に対しては、他のワールドアイテムの効果以外はほぼ無効化される。それがユグドラシルの常識だった。
「本来なら、ワールドアイテムを装備しておるお主のような存在には、外部からの干渉は効果がない。
じゃが、キーノの祈祷は、ワシのワールドアイテムの効果を増幅させ、その対象を限定的に拡張することができる。
『カルマ値を反転させる』という、ただ一つの効果に絞ってな。これにより、お主が装備しているワールドアイテムの防御効果を突破し、その魂に直接干渉することが可能になるのじゃ」
それは、ユグドラシルの法則すら捻じ曲げる、まさに神業。悟は息を呑んだ。カルマ値を、反転させる? マイナス500という極悪の数値を持つ自分が? それが、目の前の可憐な吸血姫の力で可能になるというのか。
「ワシはこれをお主たち――いや、ナザリックは来なかったからのうお主に使うため、この数百年の間、ずっと準備をしてきたのじゃ」
数百年の準備。その言葉の重みに、悟は言葉を失う。この少女は、自分がこの世界に来ることを予見し、その時からずっと、自分を救うために動いていたというのか。
ミラはふと、遠くを見るような目をした。
「ワシはの、ハピエン派なのじゃよ。お主が、かつての仲間たちが遺したナザリックという殻に閉じこもり、永遠に帰らぬギルドメンバーを待ち続けるそんな亡霊のようになる姿を、ワシは見たくなかった。それは、ワシには辛くての…お主が人ならざる者になるのは見れられぬ。それだけじゃよ」
そう言うと、彼女は少し目を伏せ、すぐにまた顔を上げた。その青い瞳には、嘘偽りのない、純粋な同情と、そして悟を救おうとする強い意志が宿っていた。彼女は、キーノの金色の髪を優しく撫でながら、改めて悟に向き直る。その仕草は、彼女が語る言葉の全てが真実であることを、何よりも雄弁に物語っていた。
ハピエン派という、場違いなようで、しかし彼女の行動理念を表す言葉。そして、
「見てられぬ、それだけじゃよ」
というあまりにも純粋で、あまりにも優しい理由。更には共にいる吸血姫の優しげな瞳、貴方を救わせて欲しいと、その瞳が悠然に語っていた。
「俺を救うために? 数百年も? だが、なぜ。君と俺は、今日初めて会ったはずだ。それに、俺はこんな骸骨の姿だぞ。君にとって、何の得があるというんだ?」
悟の声は、疑念よりも純粋な戸惑いに満ちていた。無償の善意。かつて彼が生きていた汚れた社会では、最も信じがたいもの。
ましてや、これほどの労力をかけてまで、見ず知らずの自分を救おうとする理由が、彼にはどうしても理解できなかった。
「モモンガ様。損得で動く者ばかりではございません。このお方からは、清廉にして、気高い魂の輝きを感じます。あるいは、我々には計り知れぬほどの、大いなる慈悲をお持ちなのかもしれませぬ」
セバスは、主君の横で静かに頭を下げた。彼の目には、ミラがただの少女ではなく、神聖な使命を帯びた超越者であるかのように映っていた。
キーノは、ミラの言葉と悟の反応を交互に見ながら、胸の前でぎゅっと手を握りしめていた。
ミラからの問いかけは、選択の余地などない、最後の通告にも似ていた。
「どうする?」
――その一言が、骸骨の身体の中で凍てつきかけていた鈴木悟という人間の魂を激しく揺さぶる。
このままアンデッドとして、感情も記憶も摩耗させながら、孤独な支配者として君臨するのか。それとも、この少女たちが差し伸べる、あまりにも非現実的で、しかし甘美な人として生きるという道を選ぶのか。答えは、初めから決まっていたのかもしれない。
悟が逡巡する、そのわずかな沈黙を破ったのは、キーノだった。彼女は、今までミラの近くで控えていたのが嘘のように、毅然とした足取りで悟の目の前に進み出た。
そして、その吸血姫特有の、血のように赤い瞳で、まっすぐに悟の眼窩の奥を見据えた。
「私はミラ様に救われました。かつて絶望の底にいた私を、光の中へと導いてくださったのです。
そして今、悟様、貴方のこともミラ様は救おうとしています。どうか、そのお手伝いを私にさせて下さい」
その言葉と共に、キーノはそっと手を伸ばし、悟の骨ばった右手を両手で優しく包み込んだ。
人間とは比べ物にならないほど冷たいその手を、彼女の温もりがじんわりと溶かしていくかのような錯覚。
そして、彼女は花が綻ぶように、柔らかく微笑んだ。その純粋で、一切の打算のない微笑みは、悟の心の最も深い部分に突き刺さった。
ドクン、と心臓が鳴ったような気がした。もちろん、この身体に心臓などない。だが、確かに何かが、強く、激しく脈打ったのだ。精神を強制的に安定させるアンデッドの特性が、この瞬間だけは完全に機能を停止していた。
感動、感謝、そして言い知れぬほどの安らぎ。様々な感情が奔流となって押し寄せ、悟の魂を満たしていく。
骸骨の顔に表情は浮かばない。涙を流すこともできない。しかし、その魂は確かに、歓喜に打ち震え、泣いていた。
そんな悟の様子を察したのか、キーノはさらに一歩近づき、その小さな体で、巨大な骸骨の体をそっと抱きしめた。そして、まるで幼子をあやすように、彼の硬い頭蓋を優しく撫でた。
彼女の柔らかな身体の感触と、金色の髪から漂う甘い香りが、悟の感覚を支配している。
「大丈夫です、悟様。私とミラ様にお任せ下さい。貴方はもう、独りではありません」
その言葉は、何よりも強い魔法となって、悟の孤独と不安を霧散させていく。
ああ、これがこれが、温もりというものか…かつて、ギルドの仲間たちと分かち合った温もりとは違う、もっと個人的で、もっと深い安らぎ。
この少女を、信じたい。この少女たちが示す未来に、賭けてみたい。
悟は、ゆっくりと、震える骨の腕を上げて、キーノの背中にそっと手を回した。その動きは、どこまでもぎこちなく、壊れ物を扱うように慎重だった。
「ああ…頼む!俺を…俺を、救ってくれ…俺は人として生きたい…」
絞り出した声は、もはやギルドマスター『モモンガ』のものではなく、ただの男『鈴木悟』の、心の底からの叫びだった。
その光景を、ミラは静かに、そして満足げに見守っていた。彼女の青い瞳は、まるで我が子の成長を見守る母親のように、優しさに満ちている。計画は、完璧に進んでいる。
セバスもまた、主君が救いの手を得たことに安堵し、深く頭を下げていた。
彼の忠誠心は、主君を救う者に対しても、最大限の敬意として向けられるのだ。この瞬間、三つの異なる魂――転生者、転移者、そしてこの世界の住人――の運命が、確かに交わり、新たな物語を紡ぎ始めたのだった。
ミラの決断を受け入れた悟の前に、彼女は静かに歩み寄る。そして、胸元に輝いていたワールドアイテム『秩序の天秤』をそっと外すと、キーノの小さな手に手渡した。その瞳は、絶対の信頼をキーノに向けている。
「キーノ、頼むのじゃ」
「はい、ミラ様!」
こくり、と力強く頷いたキーノは、ワールドアイテムを両手で胸の前に掲げた。彼女の赤い瞳が真剣な輝きを宿し、唇がかすかに動き始める。彼女の二つ目のタレント、『無垢なる者の祈祷』が発動する瞬間だった。
キーノの祈りに呼応するように、『秩序の天秤』がまばゆい光を放ち始める。
それは白でも金でもなく、あらゆる色を内包したかのような、清浄でいて力強い光。光は一条の筋となって、まっすぐに悟の骸骨の胸へと伸びていく。
「ぐっ!?」
光が触れた瞬間、悟の全身を激痛にも似た衝撃が駆け巡った。それは、彼の存在の根幹――マイナス500という極悪のカルマ値が、強制的に書き換えられていく過程で生じる霊的な軋みだった。魂が引き裂かれ、再構築されるかのような感覚。だが、それは決して不快なものではなかった。むしろ、長い間こびりついていた不浄なものが、聖なる炎によって浄化されていくような、どこか神聖な痛みだった。
光が収まった時、悟は自らの内側に起きた劇的な変化に気づいた。頭が、思考が、驚くほどクリアになっている。
今まで、まるで分厚いフィルター越しに世界を見ていたかのような感覚が消え去り、全ての物事が鮮明に、直接的に心に響いてくる。喜び、悲しみ、怒り、そして感動。
それらの感情が、何の抑制も受けずに、かつての鈴木悟であった頃のように、素直に湧き上がってくる。
「ああ… これが…俺か…!ありがとう…それ以外…何も言えない…!」
骸骨の身であるため、涙は流れない。だが、彼は確かに泣いていた。自分が自分で在るという、当たり前のはずの事実を、これほどまでに愛おしく感じたことはなかった。
彼は、震える手で自らの顔を覆い、噛みしめるように感動に浸っていた。
その姿を見て、キーノの赤い瞳から、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。彼女は、再びその小さな体で悟の大きな体を力強く抱きしめる。
「よかった! 本当に、よかった! 悟様!」
泣きじゃくりながら、彼女は何度も何度もそう繰り返す。彼女の涙が、悟の纏うローブに染みを作っていく。その温かい雫は、悟の魂にまで染み渡り、彼をこの上ない安らぎで満たしていった。彼は、キーノの華奢な背中に、そっと腕を回す。もう、そこにぎこちなさはなかった。
ミラは、その光景を腕を組みながら、満足げな表情で見守っていた。ハイネックの修道風ドレスに身を包んだ彼女の姿は、まるで一幅の絵画のようだ。
(これじゃよ、これ! これが見たかったのじゃ! やはり悟は、キーノと一緒におるのが一番絵になるのぉ。原作の孤独な魔王なぞ、クソくらえじゃわい!)
彼女は心の中で快哉を叫び、後方理解者面で深く頷く。自らが紡ぎ始めた、誰も見たことのないハッピーエンドへの第一歩。その確かな手応えに、彼女の口元には自然と笑みが浮かんでいた。セバスもまた、主君が真の安らぎを得たことを喜び、二人の姿を静かに、そして敬意のこもった眼差しで見つめているのだった。
ドイツ語にしたらとりあえずかっこよくなるんですよね!悟様!!(無垢な瞳)
その言葉を聞いたとある骨は大ダメージを受けたという…
主人公のクラス構成はどれだとおもいますか?
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純粋な物理職!
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マジックキャスター
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修道服ということでヒーラー
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まさかの召喚術?
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それ以外!