転生者たちの戦争~山本五十六の記憶を受け継ぐ者、前世の知識で無双する~ 作:やきそばVer2
【ナルヴィナ国:王城謁見の間】
「よくぞ首都レイキャナスへの攻撃を退けた、アレクセイよ。」
「もったいなきお言葉です、陛下。」
国王ナグラート八世の前に跪く私。
陛下は勝利の報告を受けて、満足げな様子を見せていた。
だが、私の心には一抹の後悔が残っていた。
(勝利はしたが......こちらの損害は大きかった。近衛艦隊は事実上壊滅状態だ。)
そう思ってはいたが、今は陛下の御前だ。
この場で弱音を吐くわけにはいかない。
意識して顔に出さないようにする私。
そんな私に、陛下は質問を投げかける。
「アレクセイよ、お主は今の戦況についてどう思う?」
戦果を上げたとはいえ、下級貴族出身の一介の将校に過ぎない。
そんな私が、国王陛下に意見するなど常識外れだ。
恐れ多く、答えられずにいる。
そんな私に、陛下は続ける。
「無能な将軍どもではなく、お主個人のな。」
「此度の海戦も、お主の働きがなければ敗北したと聞く。無能な提督のせいで苦労したそうじゃないか。」
「余は有能な人材を探しているのじゃ。将軍や提督どもの無能さに辟易しておる。」
「お主の忌憚なき意見を申してみよ。」
「率直に申し上げます。今のままでは......」
だが、次の言葉を続けられない。
言ってしまえば、文字通り首が飛ぶだろう。
言葉に詰まる私に、陛下が言葉を促す。
「よい、続けよ。」
意を決して言葉を紡ぐ私。
「陛下......我が国は......このままでは確実に敗北します。」
鋭い目つきになる国王。
緊張する私に陛下は意見を促す。
「なぜそう考えるのか、申してみろ。」
「僭越ながら申し上げます。」
「現在イゼル帝国は、我が国の保有する陸軍戦力の総数の二倍以上の戦力を投入しています。航空戦力であるドラゴンナイトも、こちらの1.5倍程の数を此度の侵攻に用いています。」
「海軍の兵力差に関しては同数に近いですが......焼け石に水でしょう。」
そして、最大の懸念点を伝える。
「また、敵は膨大な数の予備兵力を保有しています。投入された敵の全戦力を撃滅しても......帝国は予備兵力を用いて、再度侵攻を行ってくることが予想されます。」
最後に、軍事的な観点からみた地形を説明する。
「敵が陸路で侵攻可能なルートは北部の国境地帯のみです。ルートが限られているので、比較的防衛しやすいですが......戦力差で強引に押し切られる可能性が高いです。」
少し間を空けて続ける。
「そして、大変申し訳ないのですが、この国の指揮官は......いえ、敵国には優れた指揮官が多数おります。ですので、数字以上の戦力差があるとみるべきです。」
「お主は敵国の指揮官が有能と申したな。だが、言いたいのは本当にそれだけか?」
「我が国の指揮官が無能と申したいのではないか?言い淀んでいたではないか。」
こちらの考えを指摘され、慌てて答える私。
真実だとしても、それを一介の将校が口にすることは許されない。
将軍クラスの高級将校に任命されるのは、王族に次ぐ権力を持つ高位貴族のみだ。
すぐに訂正の言葉を発する私。
「滅相もありません、陛下。そのような考えなど私にはございません。」
鋭かった目つきを和らげる国王。
どうやら、こちらを試していたようだ。
「ふむ、まあそういうことにしておこう。」
「して、アレクセイよ。どうすれば奴らの侵略を食い止められるか。お主の考えを聞かせてみよ。」
「恐れながら申し上げます。」
「この兵力差を埋めるには、『航空戦力の運用の抜本的な見直し』と『新型艦艇の開発』の二つが必須です。」
「地形に左右されずに移動でき、高火力を出せる航空戦力。これの運用を根本から変更します。これによって航空戦力の力を最大限に発揮して、陸戦での数的劣勢を覆せします。」
「海軍戦力に関しては、『空母』という新型艦艇を作ります。これを用いて、洋上でも航空戦力を運用できるようにし、海戦での圧倒的な優位性を確保します。」
そして私は続ける。
「具体的には......」
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「なるほどのう、面白い案じゃな。うまくいけばこの戦争に勝つこともできるやもしれぬ。」
「だが、本当にうまくいくのか?試す機会を与えよう。」
私の改革案を聞き、微笑む陛下。
表情は笑顔だが、その目には疑念の色が浮かんでいた。
王は召使いに命令する。
「ゼオルグ将軍に伝えよ。こやつに陸軍が保有するドラゴンナイト12騎とワイバーン30騎、そしてありったけの黒色火薬を与えさせるのだ。」
「試験的にお主にこれらを与える。北部国境の最前線で、こちらの反攻作戦が計画されておる。この作戦を支援して、敵の前線を押し戻せ!」
「ああ一つ忘れとった。お主らの部隊名は、『ケプラービク飛行隊』としよう。首都レイキャネスの古代名じゃ。その名に恥じぬ活躍を期待しておるぞ。」
国王は続ける。
「『クウボ』とかいう新型艦艇の建造案は一旦保留じゃ。少し戦果を挙げただけの人物の案に、膨大な資金を注ぎ込むことはできぬ。だが、そなたが十分な戦果を上げたら話は変わる。」
「戦線を見事押し戻せた暁には、そなたの案をすぐに実行させる。それでいいな?」
従来の運用では、渡された戦力のみで敵を押し戻すのは困難だ。
ドラゴンナイトの数が足りず、効果的な攻撃ができない。
敵後方への少数の兵員輸送を主任務とするワイバーンは、直接攻撃に用いるものではない。
だが、先程話した運用方法の改革を行えば、話は大きく変わる。
取るに足らないはずの戦力でも、十分すぎるほどの活躍が可能となる。
この世界では、『敵に魔法やドラゴンによる攻撃自体を行わせない』ことが最重要事項とされている。
それらの火力が高すぎるせいで、もろに食らってしまうと大部隊であっても一撃で
壊滅することも珍しくない。
逆に、銃や火砲などの通常兵器に対する対策は、特にこれといったものがない。
また、通常兵器の発展も非常に遅れている。
通常兵器を改良しなくても、十分すぎる火力を出す方法が既にあるからだ。
なら、その対策されていない『通常兵器』で敵を翻弄してやろう。
『航空部隊の運用』と『通常兵器の改良』
この二つを主軸にして全てを変えていく。
私の頭の中でには、それを実現するための具体的な案ができていた。
(だが、どれだけ優れた案であっても、成果なしでは誰も信用しない。まずは結果を出す。そして、陛下の協力を取り付ける。)
(勝って平和を得るには......これが一番の近道だ!)
(次の戦場で、さっそく実行だ!さて、敵さんはどう反応するかな?)
私は、陛下に決意の眼差しを向ける。
そして、決意を口にする。
「承知いたしました。陛下。」
「私の軍事改革案が、机上の空論でないことを証明してみせます。」
「そして、必ずや勝利の報告をもって戦況を覆してみせます!」
(前世の記憶とこの世界の既存の技術。その二つの組み合わせで、不可能を可能に変えてみせる。)
(それが、この戦争を早期に終結させて、『平和』を勝ち取る最適解なのだから。)
第四話に続く
ここまでで導入は終わりです。
次回より、本格的に『前世の記憶』を活かした話が始まります。
第四話は9月10日公開予定です。