「枕」
ある日曜日。
「明日は学校か」なんてことを考えていると、
先輩から急に電話がかかってきた。
『やあ、枕木君』
「急になんですか先輩」
『明日、君の写真が欲しいんだ。できれば、一人で写ってるものがいいな』
「はい?」
話を聞くと、枕の下に相手の写真を入れると、
その人が夢に出てくるという、おまじないを試したいらしい。
「それ俺じゃなきゃダメですか?」
『うん、君が夢に出てきたらいいなって』
「……ま、まあそんな先輩が、俺のこと好きなら仕方ないですね」
『ふふっ、枕木君は分かりやすいね』
「ん? 今なんか言いました?」
とにかく、俺は電話のあと写真を探し、
ちょうど、一人で写ってる写真を見つけた。
そして次の日の朝──。
「はい、どうぞ」
『わあ、助かるよ枕木君。じゃあこれ』
そう言うと、先輩は鞄から自分が写った写真を取り出した。
その写真にはピースしている先輩が写っていた。
とても可愛らしい。
『僕だけが写真を貰うのも忍びないからね、これで君も試してみて』
「ど、どうも」
俺は受け取った写真を鞄にしまった。
『じゃあまたね、枕木君』
そうして先輩は教室へ行き、
その日はそれで終わった。
そして夜、俺は寝る前に写真を鞄から取り出し、
枕の下に置き、その日は眠りについた──。
『残念だよ、枕木君』
先輩の声が聞こえてくる。
「……え、なんですか先輩」
俺が周りを見回すと、そこは檻の中だった。
先輩は檻の外から、俺に話しかけてきているようだ。
『君が僕のことしか考えていなくて、テストで最下位になるなんてね』
「い、いや、なんで俺は檻の中にいるんですか」
『この学校ではテストで最下位の人は処刑されてしまうんだよ、さようなら枕木君』
そう言うと、先輩は遠くへ歩き始めた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
俺がどれだけ声を出そうとも、
まるでなにも聞こえていないかのように、
先輩は俺から離れていく。
「先輩、先輩〜ッ!」
──ジリリリリと目覚ましが鳴っている。
どうやらあれは夢だったらしい。
夢のせいか、胸の鼓動が止まらない。
確かに夢に先輩が出てきはしたが、
こんな悪夢なら出てこない方がマシだ。
俺は写真を急いで枕の下から取り出し、
近くの机に置いておいた。
そのあと支度を済ませ、
学校へ向かった。
『やあ、どうだったかな』
「先輩……よかった、あれが現実じゃなくて……」
先輩が不思議そうな目で見つめてきたので、
俺は夢のことを話した。
『ふうん、それは災難だったね。安心して、最下位でも処刑なんてされないからね』
「それは知ってますよ……それより、先輩がいなくなってたらどうしようって……」
俺が夢のことを思い出し、うつむいていると、
先輩が俺の頭を優しく撫でながら、励ましてくれた。
『大丈夫だよ、僕が君から黙っていなくなるなんてことはしないさ』
「先輩……」
『はあ、でもおまじないは残念な結果で終わってしまったね』
そう言ったあと、先輩は顎に手を当て、
考えているような、素振りを見せたあと、
なにかを閃いた表情になった。
『……ねえ、枕木君。もう一回だけ試してみないかい?』
「え、また悪夢みたら嫌ですよ」
『今度は写真じゃないよ、僕のお腹を枕にして寝るんだ』
「はい?」
先輩が言うには、写真で夢に出てきたのだから、
自分を枕にすれば、もっと夢に出てくるはず。
そして、枕より自分のお腹で寝た方が気持ちいいと思うから、
良い夢が見られるはず、ということらしい。
正直、めちゃくちゃな理論な気がするし、
悪夢を見たせいで少し迷ったが、
それを踏まえても、先輩のお腹で寝れるのは嬉しいので、
俺はその提案に頷いた。
『ふふ、じゃあまた放課後ね』
「はい、先輩」
そして放課後──。
俺は先輩を家に招き、
二人で部屋へ入った。
『じゃあ、やろうか』
そう言うと、先輩は俺のベッドで仰向けになった。
『おいで』
俺は先輩に吸い寄せられるように、
ベッドへ向かい、先輩のお腹に頭を乗せた。
『どうかな?』
「柔らかくて、確かにいつもの枕より気持ちいいです」
俺がそう言うと、先輩は嬉しそうに微笑んだ。
「そういえば、なんで膝枕じゃなくてお腹なんですか」
『膝枕は前やったからね、それよりほら、早く寝ないと』
「……ですね、おやすみなさい」
『おやすみ、枕木君』
そのまま、俺は目を閉じた──。
『ふふっ、今日は楽しかったね枕木君』
先輩の声がしたので、周りを見ると、
どうやらここは観覧車の中らしい。
外は暗くなっていて、
中には俺と先輩、二人きりだ。
『初めてのデート楽しかったね』
「えっ」
デートという言葉に、
思わず驚いてしまう。
『えっ、てなにかな?もしかして楽しくなかったのかな?』
「い、いやそういう訳じゃ……」
『ふふ、なんてね。君がこういう時に言葉が詰まってしまうのは知っているさ』
そのあと、少しの間を置いて先輩が口を開いた。
『ねえ、枕木君。デートの最後に、したいことがあるんだけどいいかな』
先輩は席を立って、俺に近づいてくる。
「な、なんですか」
『枕木君、僕を見て』
そう言うと、先輩は顔を近づけてきた。
「せ、先輩、これって……」
『いいから』
先輩はさらに顔を近づけてくる。
もしかして、これはキスだろうか。
それに気づいた瞬間、胸の鼓動が高まっていく。
先輩と唇が触れ合うことを考えただけで、心臓が破裂しそうだ。
『好きだよ、枕木君』
そう言いながら、先輩は俺の頭に優しく手を添えた。
『ねえ、する前に聞いてもいいかな』
「な、なんですか……?」
『枕木君は僕のこと好き?』
「す、好きです」
『もっと……大きな声で言ってほしいな』
「……お、俺は先輩のことが……」
『僕のことが?』
「大大大好きです!!」
──気がつくと、天井が見えた。
いつもの……見慣れた俺の部屋の天井だ。
『起きたね、枕木君』
「せ、先輩」
『どうだったかな?いや、聞くまでもないかな』
「へっ?」
どうやら俺は「好きです」と言いながら飛び起きたらしい。
かなり恥ずかしい。
『突然、君が大きな声で言うからビックリしてしまったよ』
「すいません……」
『ふふ、それで、どんな夢だったのかな』
「そ、それは秘密ですっ」
先輩がニヤついている。
もうどんな内容だったか察されていそうだが、
一応、俺の口からは言わないことにした。
『まあ、言いたくないなら大丈夫さ。さて、おまじないも成功したし、僕はそろそろ帰ろうかな……おや』
「どうしました?」
先輩の視線の先にあったものは、
俺が朝、机に置いておいた先輩から貰った写真だった。
『この写真は悪夢になってしまって、縁起が悪いし、僕が貰っていくよ』
「その……俺はその写真、欲しいです」
確かにその写真を枕の下に置くと、悪夢になってしまったが、
俺はそれでも、この写真に罪は無いと思うし、
なにより、先輩の写真は美しいし、せっかく先輩から貰ったので、
俺は先輩に、写真は手元に置いておきたいと伝えた。
『……そっか、なら置いておくよ。君がそんなに思ってくれているなんて嬉しいしね』
「ありがとうございます、先輩」
『ふふ、じゃあ僕はそろそろ帰るとするよ。またね枕木君』
そして俺は玄関まで見送り、先輩は家へ帰っていった。
……最初は悪夢だったが、最後は先輩のおかげで、
いい夢を見ることができたし、いいおまじないだった──。
後日──。
「そういえば先輩、先輩は夢に俺出てきました?」
『そもそも夢を見なかったよ』
「えっ、いやいやおかしいですよね!?」
『まあ、君の写真は夢を見ないくらいよく眠れるということさ』
いい感じに誤魔化されたが、こんなの納得できない──。
「先輩のお母さん」
休日の朝は気持ちがいい──。
学校がなく、リラックスして過ごせる。
予定もないし、
今日の朝ごはんは、
いつもより気合いを入れて作ろうかなんて考えていると、
突然、チャイムが鳴った。
俺がなんだろうと思い、
玄関を開けると、そこにはリオさんが立っていた。
手に持っている鞄は、荷物かなにかで膨らんでいて、
さらにスーツケースまで持っている。
「ど、どうしたんですか、そんな大荷物で。というかリオさんに住所教えたことありましたっけ……?」
「それは……ひ、秘密だよ」
「そうですか」
秘密ってなんなのだろうか。
先輩から聞いたりしたならば、
素直にそう言ってくれてもいい気がするが……。
「それより遊星君」
「なんですか?」
「し、しばらく、泊めてくれないかな……」
俺は予想外の一言に衝撃を受けた。
こんな早朝にアポ無しで泊めてほしいなんて、
言われると思わなかったからだ。
先輩でも泊めたことはないというのに……。
いや、先輩と姉弟だから、同じように冗談かもしれない。
俺はリオさんに聞いてみることにした。
「あ、あの冗談ですよね?」
「違うよぉ……遊星君しか頼れる人いないの……うぅ……」
なんとリオさんが泣き始めてしまった。
相当なにか嫌なことがあったのだろうか、
大粒の涙を流し、啜り泣いている。
どうやら冗談ではなさそうだし、話を聞くため、
一度家にあげることにした。
「えっと……お茶です。とりあえず話を聞かせてもらえませんか?」
「うん……」
話を聞くと、お母さんが久しぶりに家に帰ってくることになって、
そのお母さんが怖いから、家から逃げてきたそうだ。
「……まあ、詳しいことはわからないですけど、一旦うちにいても大丈夫ですよ」
「あ、ありがとう、遊星君。優しいね……へへ」
俺はとりあえず、リオさんにいてもらうことにした。
しかし、そんなにそのお母さんは怖いのだろうか?
先輩からはそんな話、聞いたことはないが……。
そんなことを思っていると、またもやチャイムが鳴った。
俺は「またか……」と思いながら、玄関へ向かった。
すると、今度は先輩が立っていた。
『やあ、枕木君』
「あの、先輩も別に泊まるのはいいですけど、泊まるなら事前に連絡してくれないと……」
『違うよ』
「えっ」
『お姉ちゃん、ここに来てるよね』
どうやら、先輩はリオさんを探しにきたらしい。
俺が先輩を家にあげると、リオさんを探し、
見つけた瞬間、一瞬で背後に回って捕まえるように抱きしめた。
『やっぱりいたね、お姉ちゃん』
「は、離してマオ。わ……私は帰らないから」
リオさんは、手足をバタバタし、
先輩から離れようとしたが、
諦めたのか、しばらくして動かなくなった。
『ごめんね、枕木君。迷惑をかけてしまったね』
「大丈夫ですけど……その……」
『ん〜?』
「リオさんが嫌がってますし、無理して連れ帰るのは……」
それを聞いたリオさんが、目を輝かせるように言った。
「ほ、ほら、遊星君もこう言ってるよ!だから離してマオ〜」
『……枕木君、これはいつものことだから気にしなくて大丈夫さ』
「はあ」
先輩が言うには、お母さんが帰ってくるたびに、
逃げたり隠れたりするらしい。
「だ、だってお母さん、怖いんだもん……」
『それはお姉ちゃんの将来を思っているからだよ。お姉ちゃんもそれは分かっているだろう?』
「……うん」
どうやら、リオさんも落ち着いたらしい。
先輩も抱えるのをやめて、リオさんを離した。
最初はリオさんが泣く姿を見て、虐待でもされているのかと思ってしまったが、
そうではなさそうで俺も安心した。
『じゃあ、僕らは帰るとするよ。枕木君』
そして先輩たちは玄関へ向かい、
俺もお見送りに向かうと、リオさんが俺の服を掴んできた。
「ど、どうしましたリオさん」
「遊星君……抱っこして」
少し困ったが、持ち上げて抱っこすると、
嬉しそうな顔でリラックスしている。
すると、リオさんがなにか思いついたような表情になった。
「そうだ、遊星君も家に来てよ、そしたらお母さんも怖くないよ」
「ええ……」
俺は少し戸惑った。なぜなら、
ついていくと、ほぼ確実に先輩のお母さんに会うことになるからだ。
先輩のお母さんも久しぶりに家に帰った時に、
知らない男がいたらきっと嫌だろう。
『お姉ちゃん、枕木君が困ってしまうよ』
「だってぇ……」
「俺は別にいいですけど、お母さんが嫌がるんじゃ……」
『言えば大丈夫だと思うよ』
そう言うと、先輩はメールを送った。
すると、すぐ通知音が鳴った。
『ふふ、いいってさ、どうやらお母さんも君に会ってみたいらしいね』
「えっ、なんで俺のこと知ってるんですか」
『僕が、今日はこんなことがあったよってたまにメールしているからね』
「はあ」
いいと言った手前、もう断ることはできないが、
お母さんが会いたいと言っていることを知り、
俺も怖くなってしまった。
『怖くなったかな?』
「い、いやそんなことは」
『ふふっ、じゃあ、行こうか』
「……ですね」
「レッツゴーだね、へへ」
『ところで……お姉ちゃんはいつまで枕木君に抱っこされているのかな』
先輩がリオさんを真顔で、じーっと見ている。
『枕木君も疲れただろう?そろそろ下ろしても大丈夫だよ』
「いや、俺は大丈夫ですよ、全然疲れてないです」
そう言うと、今度は俺をじーっと見てきた。
なにかまずいことでも言ってしまったのだろうか。
『……まあいいや、じゃあ行こうか』
「へへっ、任せたよ遊星君」
「はは…」
こうして、俺は先輩の家へ向かい始めた──。
……俺は今、リオさんを抱っこしながら、
先輩の家へ三人で向かっている──。
家へ近づいていくたび、
心臓の鼓動が速くなっていくのを感じる。
その理由は、おそらく先輩のお母さんが原因だろう。
会ってみたいと言われてしまったし、
ここまで来て帰ることはできないが、
もし、会った途端に「あなたは真央に相応しくないわ」なんて言われたら、
俺はだいぶ落ち込んでしまうだろう。
そんな不安を抱えていると、
表情に出てしまっていたのか、
先輩に『そんなに、不安にならなくて大丈夫さ』と言われてしまった。
先輩がそう言ってくれるなら、
不安も抑えられる。
そのあと、リオさんが「やっぱ、いやだあ……」と言って、
逃げようとしたりしたが、なんだかんだ無事に、
先輩の家へ着き、俺はリオさんを抱っこから下ろした。
『おや、まだお母さんは来ていないみたいだね』
思わず、ほっとしてしまった。
いきなりいたら、俺は緊張でおかしくなっていただろう。
まあ、今でも緊張はしているが……。
『ふふ、ほっとしたね枕木君』
「い、いやこれは」
『まあ気にしないで、まだ時間はあるから一旦リビングで休んでておくれよ』
先輩に言われたので、俺はリビングのソファーで休むことにした。
そこで一息つこうとしたが、心臓の鼓動が収まらない。
俺は今まで友達がいなかった。
だから当然、友達の親など会ったことはない。
もしかしたら、これほど緊張しなくてもいいのかもしれないが、
経験がない俺にはそれが分からない。
そんなことを考え、緊張で休めないでいると、
先輩が俺の隣に座ってきた。
『やっぱり、緊張するかな?』
「……はい」
俺がそう言うと、
先輩は体をこちらに傾け、耳を俺の胸に当てた。
『ふふっ、ほんとだ。君の音がよく聞こえるよ』
「な、なあっ」
先輩の急な行動に、余計ドキドキしてしまう。
「な、なにするんですか、余計に落ち着かないですよッ」
『ふふっ、ごめんね。君の音が気になってね』
「もお……先輩はいつも通りですね」
先輩はいつもと変わらず、よく分からない。
だが『君もいつも通りでいいんだよ』と言われたようで、
少し落ち着いた。
先輩はこのことまで考えていたのだろうか。
落ち着いて、俺の表情が変わったのを見たのか、
先輩が話しかけてくる。
『少し落ち着いたみたいだね』
「そうかもしれません……先輩はここまで考えてたんですか?」
俺は考えていたのか気になったので聞いてみた。
だが、返事は『どうかなあ』という、
曖昧なものだった。
相変わらず、不思議な人だ。
──そういえば、リオさんはどこに行ったのだろう。
「先輩、リオさんはどこ行ったんですか?」
『お姉ちゃんは、今君の近くのカーテンに隠れているよ』
「えっ」
俺が「そんな訳は……」と半信半疑でカーテンをめくると、
本当にリオさんが隠れていた。
「な、なんで言うのマオ」
『隠れても無駄ということさ』
「ちょっ、ちょっと待ってください。い、いつ隠れたんですか?俺は結構すぐリビングに来たと思うんですけど……」
話を聞くと、俺がリオさんを抱っこから下ろし、
先輩と話している最中に、そっと抜け出し隠れたらしい。
なんてスピードなんだ。
そのあと、三人でソファーに座って話していると、
急に先輩が『さて、そろそろかな』と言い、
玄関の方から音がしてきた。
そして、足音がどんどんこちらへ近づいてくる。
ついに……ついに先輩のお母さんが来てしまった──。
「久しぶりね、マオ、リオ。そして初めまして、遊星君」
先輩のお母さんに最初に抱いた印象は、
「想像していたより身長が高い」だった。
180cm以上はありそうで、
人のお母さんにこういうことを思うのはあれだが、
スタイルが良く、胸も大きい。
髪は先輩と同じ綺麗な白髪で、
顔もまるで先輩が大人になったような、
まつ毛が長くて、青い瞳のとても綺麗な顔立ちだ。
「ど、どうも初めまして、ま、枕木遊星です。先輩にはいつもお世話になってます……」
「あら〜緊張させちゃったみたいね」
「い、いえそんなことは……」
すると、先輩のお母さんがこちらに近づき、
じっと見つめてきた。
なにかまずいことをしてしまったかと思い、
俺が震えると、先輩が俺の手を握ってくれた。
『お母さん、あまり見つめすぎると枕木君が困ってしまうよ』
先輩にそう言われると、お母さんはハッとしたような表情になった。
「あら、見すぎちゃった、ごめんなさいね遊星君。マオがどんなところに惹かれたのか気になっちゃって……」
「いえ、だ、大丈夫です」
「ふふふ、あなたのことを、マオから何回も聞いたわ。その時のマオは、いつも嬉しそうに話すのよ」
そうだったのかと、俺が思っていると、
先輩がそれ以上話すのを牽制するかのように、
『お母さん』と言った。
「あら、マオに怒られちゃったわ。反省反省っと」
容姿は似ているが、
先輩のお母さんの性格は、二人とは違ってかなり明るそうだ。
「……遊星君、少しいいかしら」
「あっ、はい、なんでしょうか」
「良かったら……これからもマオと仲良くしてあげてね」
俺は嬉しくなった。
会う前は、先輩と別れさせられたりするかと思っていたが、
実際はそんなことは言われず、むしろ仲良くしてほしいと言われるなんて。
「も、もちろんです」
「ふふふ、なら良かったわ。は〜、今度は竜崎ちゃんとも会ってみたいわね」
『いつかね』
そのあと、俺はお母さんから、いろいろと先輩の話を聞いた。
先輩が体育でヘロヘロになった話や、
苦いものが苦手で、ブラックコーヒーを初めて飲んだ時は、
一口飲んですぐお母さんに渡した話など、いろいろなことを聞いた。
いろいろな先輩の話が聞けて、俺は楽しかった。
「あら、いろいろ話しすぎてしまったわ。ごめんね遊星君」
『お母さんは話すと長いからね』
「俺は、先輩の話を聞けて楽しかったです」
「ならよかったわ、ほんとはもっと話したかったのだけれど、そろそろ本題に入らなきゃね」
俺が「本題ってなんだ?」と思っていると、
お母さんは、いつのまにかカーテンに隠れていたリオさんを見つけ、
持ち上げた。
「さて、リオ。お母さんと、リオの部屋でお話し、しよっか」
そう言った時の表情は先ほどまでと変わらない笑顔のはずだが、
なぜかとてつもない恐ろしさを感じた。
「た、た、助けてーっ」
そう叫びながら、リオさんはお母さんと部屋へ入っていった。
「あ、あのリオさん大丈夫ですかね」
『ん?いつものことだし大丈夫さ、それより』
「はい?」
先輩がこちらに近づいてくる。
『これからもよろしくね、枕木君』
「……はい!」
俺は先輩とまた一つ、仲を深められた気がした──。
「真央先輩はおとこ♂の娘」のR-18版を見たいですか?
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はい
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いいえ