真央先輩はおとこ♂の娘    作:ろあタルト大福

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第18話 R-15有り 「先輩の家&お風呂」

 「先輩の家」

 

 真夏に家のクーラーが、

全て壊れるという災難に襲われてしまった俺は、

先輩にそのことを話し、そのあとなんやかんやあり、

俺はクーラーが直るまで、

先輩の家に泊まることになってしまった。

 

 そして今、俺は先輩のお母さんの車に乗って、

先輩の家へ向かっている。 

 

 ……俺は、先輩の家で平気でいられるだろうか。

そんなことを思っていると、車が止まった。

どうやら家に着いたようだ──。

 

「ついたよ〜」

『おや、ついたようだね。じゃあ荷物を下ろして行こうか』

「あっ、はい……」

 

 俺は、まだ少し泊まることに緊張を感じながら、

車から降り、トランクから荷物を出した。

 

 途中、先輩のお母さんに「荷物持とうか?」と言われたが、

そこまでしてもらうのは申し訳ないので、断った。

そして、荷物を持って家へ行こうとすると、

先輩がこちらの顔を見てきた。

 

『まだ緊張するかな?』

「そ、そりゃしますよ……先輩の家だし」

『ふふ、そっか。まあ、きっとすぐ慣れるさ』

 

 そう言うと、先輩は俺の荷物を持った。

 

「ちょ、俺が持ちますから、先輩は大丈夫ですよ」

『誘ったのは僕なんだから、これくらいしないとね』

「いやでも……」

 

 俺がそう言うと、先輩は急にじゃんけんを仕掛けてきた。

あまりに急だったので、俺はパーとも、チョキとも言えないような、

微妙に開いた手を出してしまった。

 

 先輩を見ると、グーを出している。

 

「きゅ、急にじゃんけんとかビックリしましたよ」

『ふふ、ごめんね。それで、君の手はなにかな?』

「え、だって急にじゃんけんって言われたから……だから、パーでもチョキでもないっていうか……」

『ふーん、じゃあチョキってことにして、枕木君の負けでいいかな』

 

 俺はあまり納得はできなかったが、

じゃんけんくらい別にいいかと思い、

俺の負けでいいと言った。

 

『じゃあ、敗者には罰ゲームだね』

「えっ、なんすかそれ聞いてないですよ」

『言ってないからね』

 

 嵌められた。

先輩の言うことを、安易に受け入れるべきではなかった。

 

『じゃあ、枕木君に与える罰ゲームは、他の人に荷物を持ってもらうことだよ』

「はい?」

 

 俺は驚いてしまった。

わざわざ、俺の荷物を持つためだけに、

こんな回りくどいことをしてくるなんて。

 

『……おや、枕木君の近くにいる他の人は僕しかいないね』

 

それに対して俺は「先輩のお母さんがいますよね?」と言ったが、

『はー、こうなったら仕方ないさ、僕が荷物を持つよ』と、

無視されてしまった。

 

 ……これ以上、荷物を持たないでと言っても、

先輩がまた回りくどいことをしてきそうなので、

俺は抵抗を諦めて、荷物を先輩に持ってもらった。

 

 先輩の顔を見ると、

嬉しそうな表情になっていた。

 

「そんなに俺の荷物持ちたかったんですか」

『うん。でも、君はなかなか持たせてくれないから、こうしたんだよ』

 

 先輩がなんで持ちたかったのかはよく分からないが、

まあ、俺の荷物を持てて嬉しいのならそれでいいのかもしれない──。

 

 そのあと、俺たちはエレベーターに乗って、

家に向かった。

そして家に着き、ドアを開けると、

リオさんが立っていた。

 

「わ〜、本当に遊星君がいる」

 

 リオさんを見ると、目を輝かせていて、

なんだか嬉しそうだ。

 

「本当に泊まるの遊星君っ」

「え、まあはい」

 

 それを聞いたリオさんは、

一瞬フリーズしてから、飛び跳ねた。

 

「やったあ〜。私うれしいよ、さあ、早く入って入って」

『お姉ちゃんがいるから入れなかっただけだよ』

「もーっ、マオは水を差すようなこと言わないでよ〜っ」

 

 そのあと、リオさんと先輩が、

少しだけ言い争っていたが、

先輩がリオさんを抱っこして、言い争いは落ち着いた。

 

 そして、俺は家へ入り、

手を洗ったあと、

先輩のお母さんに俺が寝る部屋を案内された。

 

「遊星君はここを使ってね」

「あ、ありがとうございます」

「ふふふ、いいのよ〜」

 

 お母さんと少し話したあと、俺は部屋へ入った。

ここは、お泊まり会の時に俺が寝た部屋だ。

……あの時、ここで先輩と一緒に寝たことを思い出すだけで、

心臓の鼓動が速くなって、破裂してしまいそうだ。

 

 そんなことを思い出しつつ、

俺は部屋に荷物を置いて、ベッドに転がった。

 

(……はあ、クーラーが壊れた時はどうしようかと思ったけど、先輩が泊めてくれてよかったな)

 

 そんなことを考えながらくつろいでいると、

先輩が部屋に入ってきた。

俺は急いでベッドから起き上がり、

そのままベッドに座った。

 

『やあ、枕木君』

「な、なんですか急に」

 

 俺がそう言うと、先輩は俺の顔を見てきた。

 

『ふふ、落ち着いてきたみたいだね』

「あんまり顔を見ないでくださいよ……っていうか、なにしにきたんですか」

『ん〜、二人きりで話したいと思ってね』

 

 すると、先輩がベッドに座ってきた。

距離が近い。

 

「な、なんですか話って」

『お風呂とか寝る時のことだよ』

「いや、お風呂はともかく寝るのはここじゃないんですか……?」

『ふーん、じゃあ僕もここで寝ようかな』

 

 俺はその言葉を聞いて驚きそうになったが、

なんとか声を出さずに表情に出すだけで耐えることができた。

 

 ……しかし、先輩はナチュラルに俺と一緒に寝るつもりなのだろうか?

 

『嫌かな?』

「嫌ではないですけど……」

『じゃあ決まりだね』

 

 俺は先輩に流されてしまった。

まあ、先輩と一緒に寝られるのは俺も嫌ではない。

というか、寝てほしい。

 

『それで、お風呂はどうしようね』

 

 そういえば、お風呂のことを忘れていた。

……まさか『一緒に入ろうか?』と言うつもりなのだろうか。

 

「お、お風呂は一人で入りますから」

『ふふっ、僕はお風呂に入る順番を聞こうとしただけだよ』

 

 嵌められた。

まさか、俺が勘違いすることを分かっていて、

お風呂の話題を出したのだろうか。

だとしたら、なんていやらしいんだ。

 

「せ、先輩が勘違いするようなことするからですよ」

『ふふ、ごめんね』

「もう……」

 

 そう言って、俺がため息をつくと、

先輩が体を俺の方に近づけてきた。

 

『ねえ、枕木君』

「な……なんですか」

『お風呂、一緒に入ってほしい?』

 

 来た。

先輩お得意の、俺をからかう時間だ。

はいと答えれば『ふふ、冗談だよ』と言い、

いいえと答えれば『君が「はい」って答えたら、一緒に入るつもりだったよ』と言ってくるのだろう。

 

 先輩は、少し目を細めていて、

流し目でこちらを見てきている。

これは俺をからかっているに違いない。

俺はもう惑わされない。

 

「お、俺は一人で入るので結構ですっ」

 

 これでどうだ。

 

『ふうん……僕は一緒に入るつもりだったけれどね』

 

 やはり俺の予想通りだ。

……ここまではそう思っていた。

先輩は、俺の腕に自分の腕を絡ませてきた。

 

『僕は、一緒に入りたいよ』

「ど、どうせ冗談なんでしょう?」

『……違うよ』

 

 先輩はそう言うと、絡ませていた腕を使って、

俺の腕を自分の胸に当てさせた。

先輩の胸からは、服の上からでも分かるほど、心臓の鼓動が伝わってきた。

 

『これで、信じてもらえたかな……?』

「……信じますけど、それはそれとして、は、入りませんってば」

『……そういえば、君は前、僕が男かどうか気にしていたよね』

「そ、そんなこともありましたけど、身分証送ってくれたじゃないですか」

 

 俺がそう言うと、先輩はぴたりと俺にくっついてきた。

距離が近くて、先輩のいい匂いがしてくる。

 

『でも……まだ少し疑っているんじゃないのかな? 一緒に入ったら、その疑問も解消されるかもしれないよ』

 

 ……確かに、疑っていないわけではないが、

だからといってお風呂に一緒に入ることは……。

だが、先輩のものは少し見てみたいような、

小さいのだろうか、それとも大きいのだろうか……?

 

 それを考え始めた瞬間、

俺の頭の中では、先輩とお風呂に入った時のイメージ映像が流れていた。

先輩の体は、白くて綺麗で……。

 

 こ、これはまずい。

俺は先輩にペースを握られてしまっている。

このあたりで、しっかり言い返さなければ。

 

 だが、俺がそう思った瞬間、

先輩は少し顔を赤らめて『僕は、一緒に入りたいよ』と言ってきた。

なんてずるいんだ。

先輩にそんなことを言われたら、俺にはもう「はい」と答える以外の選択肢はない。

 

 ……それに、これは先輩が押してきたのだから、

なにかあっても俺のせいではなく先輩のせいだ。

うん、そうだ。

俺は悪くない。

 

 俺はそう、自分に言い聞かせながら、

先輩の誘いを受け入れた。

すると先輩は、嬉しそうな顔をしたあと、

『じゃあ、夜楽しみにしているよ』と言い、部屋から出ていった。

 

 ……勢いで受け入れてしまったが、

俺は今日の夜、どうなってしまうのだろうか──。

 

 

 

 R-15 「お風呂」

 

 俺は、今日の夜、

先輩と一緒にお風呂に入ることになってしまった。

 

 お風呂の先輩の姿を想像するだけで、胸の鼓動が速くなり、

体温が上がってくる。

……これ以上、先輩のことを考えるのはやめよう。

このままだと、興奮しておかしくなってしまいそうだ。

 

 そして、先輩のことを考えるのをやめた瞬間、

突然、部屋のドアがノックされた。

 

「ひいっ」

 

 俺は思わず声が出てしまった。

もしかして先輩だろうか。 

だとしたら、俺はお風呂の先輩を想像してしまい、

理性を失ってしまうだろう。

 

 だが、入ってきたのはリオさんだった。

俺は、先輩じゃないことに少し、ホッとした。

 

「ああ、先輩じゃなくてリオさんか」

 

 俺は安心感で、思わず口を滑らせてしまった。

 

「むう、私よりマオがいいの?」

 

 リオさんは、ほっぺを膨らませてこちらを見てきている。

やってしまった。

 

「ご、ごめんなさい。さっきのは、そういう意味ではなくて……」

 

 俺が必死に言い訳をすると、

リオさんは何も言わずに、こちらへダッシュし、

そのまま、みぞおちのあたりに飛び込んできた。

 

「うごぇっ」

 

 俺はリオさんの飛び込みのダメージに思わず変な声が出た。

だが、リオさんは何事もなかったかのように、

「遊星君あそぼ〜」と言ってきた。

 

 それを聞いた俺は、絶え絶えの声で誘いに乗り、

リオさんと一緒に部屋を出て、リビングへ向かった。 

 

 ダメージは痛いが、先輩のことを一旦忘れられるし、

ちょうどいいかもしれない。

そのあと、俺とリオさんは、

テーブルゲームなどをして遊んだ。

 

 そして、しばらく遊んでいると、

玄関の方から音がし、

そこから、先輩とお母さんが来た。

 

 二人の手には買い物袋があり、

どうやら、買い物に行っていたらしい。

 

「先輩、お母さん、お、おかえりなさい。買い物行ってたんですね」

「おかえり〜マオ」

『ただいま。枕木君、お姉ちゃん。今日のご飯の食材を買いに行っていたのさ』

 

 そんな感じで、俺は先輩とリオさんと三人で少し話していたが、

その間、お母さんはなにかを待っている表情だった。

……もしかして、早く話を終えてほしいのだろうか。

 

「あ、あの、すいません。長く話しちゃって」

 

 俺がそう言うと、

お母さんは目を瞑って、首を横に振った。

 

「あっ、遊星君じゃないわよ〜」

「えっ」

「リオが私にただいまって言ってくれなかったから、ずっと待ってたの〜」

 

 確かに、思い返せば、

リオさんは先輩にしか「おかえり」と言っていなかったが、

そんなに待つほどのものなのだろうか。

 

「リオ〜、お母さんにおかえりは?」

「しーらないっ」

 

 そう言うと、リオさんはダッシュで自分の部屋に戻っていった。

リオさんもリオさんで、言ってあげればいいのに……。

先輩の家族は、先輩を含めて、よく分からない。

 

 そのあと、お母さんは持っていた買い物袋を床に置いて、

リオさんの部屋へ行ってしまった。

 

『いつものことだから、あまり気にしないでね』

「あっ、はい」

『……そうだ、食材を冷蔵庫に入れるのを手伝ってくれるかな?』

「も、もちろんです」

 

 そのあと、俺は先輩と一緒に冷蔵庫に食材を入れはじめた。

……食材を入れる時に気づいたが、食材はどれも高そうだ。

俺がいつも買っている物の、

ワンランク……いや、ツーランクくらいは上のものだ。

 

「先輩の家って凄いですね……いつもこんなに買ってるんですか?」

『いや、普段はこんな高いのは買わないよ。ただ、お母さんが君が来たからって、張り切ってるだけさ』

「そんな……俺のためにすいません」

 

 すると、先輩が少し笑った。

 

『ふふ、君ってすぐ謝るよね。そんなに謝らなくてもいいよ』

「い、いやそんなこ……んぐ、もごご」

 

 俺が喋りかけると、先輩は俺を抱きしめ、

そのまま俺の口を塞いだ。

先輩の感触と良い匂いがしてきて、

考えないようにしていた、お風呂のことを考えてしまいそうだ。

 

そして、少し経って先輩は俺を離してくれた。

 

「な、なにするんですか」

『君が謝らないように口を塞いだだけさ。ほら、残りも冷蔵庫に入れるよ』

 

 そのあと、俺は先輩と共に、

冷蔵庫へ買ってきた食材を入れた。

 

『ふー、これで終わりだね。助かったよ枕木君』

「これくらいなんてことないです。そういえば、お母さん戻ってきませんね」

『ん〜、じゃれあってるんじゃないかな。ふふ、お姉ちゃんってね、お母さんのこと怖がってるのに、普段はあんな態度なんだよ』

「そうなんですか……」

 

 前は、あんなに怖がって俺の家に避難するくらいだったのに、

普段はあんな態度だったなんて。

 

『まあ、仲が悪いわけじゃないから、あまり気にしないでね』

「はあ……」

『それより枕木君……』

 

 先輩が、俺に近づいてきて、囁いた。

 

『お風呂、楽しみだね』

 

 その時の先輩の顔は、

目を少し細めていて、とても妖艶だった。

 

 ……そうだ、俺は先輩とお風呂に入るんだ。

この、白くて美しい、妖精のような人と。

 

『ふふ、じゃあ僕は部屋へ戻るよ。また、夜ご飯の時にね』

 

 そう言うと、先輩は部屋へ戻っていった。

その間、俺は先輩のことばかりを考えて、

動くことができなかった。

 

 そのあと、俺も自分の部屋へ戻り、

先輩のことを考えていると、

いつのまにか夜ご飯の時間になってしまった。

 

 ……先輩のことを考えているだけで、

こんな時間が過ぎてしまうなんて。

俺は五億年ボタンを押しても、

先輩のことを考えていたら、あっという間に五億年経ってしまいそうだ。

 

 そんな冗談を思いながら、俺はダイニングへ向かった。

テーブルを見ると、すでに美味しそうな料理が、たくさん置いてある。

キッチンの方を見ると、先輩とお母さんが一緒に料理をしていた。

リオさんは食器を並べている。

 

 すると、お母さんが俺に気づいたのか、話しかけてきた。

 

「あら、ちょうどできたところなのよ〜遊星君。ほらほら、座って」

 

 そう言われ、俺は言われるがままに椅子へ座った。

そして、座って待っていると、先輩が料理を持ってテーブルへ来た。

 

『じゃーん、これが今日のメインさ』

 

 先輩の持っている料理は、パエリアだった。

ムール貝が乗っていて、とても美味しそうだ。

そして、先輩は料理をテーブルへ置いたあと、

俺の隣に座った。

 

『ふふ、お隣はもらったよ』

「あっ、ずるいぞマオ。私だって遊星君の隣に座ろうとしてたのに〜」

『早い者勝ちということさ。さて、じゃあいただこうか』

 

 そのあと、俺たちは四人揃っていただきますをし、

食べはじめた。

頑張って作ってくれたからか、とても美味しい。

みんなで会話しながら楽しく食事をしていると、

あっという間に料理がなくなってしまった。

 

「ふえ〜、美味しかったよ。さすがマオだね」

「お母さんも作ったのよ。リオ〜」

「ふーん」

「なによそれ〜、お母さん涙が出ちゃうわ〜」

 

 またお母さんとリオさんが、少し言い争っている。

だが……二人とも楽しそうだ。

 

『さて、じゃあお風呂の順番を決めようか』

 

 それを聞いた瞬間、俺は思い出した。

俺は先輩とお風呂に入るのだと。

 

『枕木君、最初に入るよね?』

「えっ」

 

 先輩が『最初に入ると言ってほしいな』と言わんばかりに、こちらを見てくる。

 

「じゃ、じゃあ俺最初でもいいですか」

『いいよね。お母さん、お姉ちゃん』

 

 先輩がそう二人に聞くと、

二人とも了承してくれた。

それを聞いた先輩は、ニヤッとしたあと、

俺に『じゃあ、後で行くね』と囁き、お湯を張りに行った。

 

 ……俺はどうなってしまうのだろう。

そう考えながら、貯まるのを待っていると、

お風呂が沸いたという、アナウンスが流れた。

 

 そして、俺はお風呂へ向かい、

先輩が入ってこれるように、脱衣所の鍵を閉めず、

お湯へ浸かった。

 

 ……しかし、先輩はいつ来るのだろう。

まさか、一緒に入るというのは嘘で、

先輩を待っているこの時間は、無駄なのだろうか。

そう考えていると、浴室のドアがノックされた。

 

 ドアの向こうには、先輩らしき人影が見える。

だが、すりガラスと湯気のせいで、

人がいること以外は、あまり分からない。

 

「先輩……ですか?」

 

 俺がドアの向こうの人影に尋ねると、

声が聞こえてきた。

 

『うん……』

「……入っても大丈夫ですよ」

『でも、その前にこれ巻いてほしいなと思って……』

 

 そう言うと、ドアが少しだけ開き、

ドアの向こうから先輩の腕が伸びてきた。

その腕の先にはタオルが握られていた。

 

『流石に……ね』

「わ、分かりました」

 

 俺は先輩からタオルを受け取り、

腰にタオルを巻いた。

 

「つけましたよ」

『……じゃあ、僕も入るね』

 

 ついに、先輩とお風呂に入ってしまう。

未来を考えると、興奮で鼻血が出てしまいそうだ。

そして、浴室のドアがゆっくりと開いていき、

それと同時に、俺の心臓の鼓動が高まっていく。

 

 ああ、ついに、ついに、

先輩とお風呂に──。

 

『じゃーん』

「はえ?」

 

 ……先輩は、学校のジェンダーレス水着を着ていた。

鼓動が、だんだんと落ち着いていくのを感じる。

 

「先輩、それ……水着ですよね……?」

『うん』

「お、俺を騙したんですか!?」

『僕は、裸で入るとは言っていないよ』

 

 ……確かに、思い返せば先輩はそんなことを言っていない。

俺が勝手に、裸だと勘違いしていただけだ。

だが、俺はガッカリしてしまった。

 

「ど、どうじて水着着てるんですかああ……」

 

 そう俺が言うと、

先輩は少し顔を赤らめた。

 

『最初は僕もタオルだけで入ろうと思ったんだけれどね……』

「なんですかあ……」

『その……恥ずかしいから、水着を着たんだ』

 

 先輩は、頬がとても赤くなっている。

こんな先輩を見るのは初めてだ。

……とても可愛らしい。

 

 俺の心の中から、騙されたガッカリ感が吹き飛んでいく。

これが見れたなら、それはそれでいいのかもしれない。

 

 そのあと、俺たちは一緒に湯船に浸かり、

少し話して、すぐにお風呂から上がった。

 

『……ごめんね。枕木君』

「え? なにがですか?」

『水着を着てしまったからね』

「……先輩」

 

 俺は、先輩を優しく抱きしめた。

 

「そんな謝らなくていいですよ。俺は……恥ずかしがっている先輩が見れたから満足です」

『……ふふ、枕木君って優しいね』

 

 その先輩の顔は、とても嬉しそうだった。

 

 そのあと、先輩に先に着替えてもらい、

そのあと、俺も浴室から出て着替えた。

 

 ……水着を着てはいたけれど、むしろそっちの方が、

俺が興奮しすぎて気絶しないから、これで良かったのかもしれない──。

 

その日の夜──。

 

 俺が布団に入って寝ようとしていると、

先輩が俺の部屋へやってきた。

お風呂で忘れていたが、

先輩は俺と一緒に寝るんだった。

 

『やあ、枕木君。布団、入っていいかな?』

「あっ、はい」

 

 ──先輩が俺の布団に入ってくる。

 

『お風呂どうだったかな?』

「それはまあ……楽しかっ……」

 

 その瞬間、俺はあることを思い出した。

先輩が男かどうかの疑問が解消されていないっ。

 

「先輩、俺の疑問が解消されてませんっ」

『……そういえば、そうだったね。じゃあ、えいっ』

 

 そう言うと、先輩は俺の腕を掴んで、

自分の下半身に当てた。

……あまりサイズは大きくなさそうだが、

確かに、男だと感じさせるモノがそこにはあった。

 

 その後も、先輩のモノを触っていると、少し大きくなった気がした──。

 

『……ん、これでもう分かったかな。枕木君?』

 

 先輩が何かを言っているが、よく分からない。

俺の脳はもう今のことでいっぱいだ。

先輩はこんなに綺麗で可愛いのに、ちゃんと男の子で──。

 

『枕木君? あっ……』

 

 俺は、気絶した。

 

『……ちょっと刺激が強すぎてしまったね──』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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