男の娘な真央先輩は俺を放っておかない   作:ろあタルト大福

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第32話 「目安箱&ミスコンとミスターコン&タイツ」

 「目安箱」

 

 昼休みに俺がいつもの場所へ行こうとすると、先輩からメールが届き、

内容を見ると「生徒会室前に来て来て枕木君」と書いてあった。

俺は「なんで生徒会室に行かなければならないんだ……」と思ったが、

先輩が呼んでいるのだし、俺は仕方なく向かった──。

 

「おや、来たね、枕木君」

「ええ、そうですわね」

 

 生徒会室前に着くと、すでに竜崎と先輩が待っていた。

一体、なにが起きるというのだろうか。

ま、まさか、竜崎が選挙を待たずして生徒会長になるために、

カチコミでもするのだろうか──。

 

 竜崎が大声で叫びながら、生徒会室のドアを蹴り破っていく。

 

「おらあッッ、出てこいや現生徒会長、私がこれからの生徒会長ですわーーっっっ」

 

 ──なんてことになったら、生徒会室はスプラッタ映画のような凄惨な現場になってしまうだろう。

そ、そんなことになる前に止めなければ。

 

「や、やめろーっ竜崎、早まるなーっ」

 

 俺は竜崎に突進し、動きを封じようとしたが、

突進をかわされ、さらに絞め技を極められ逆に俺が封じられてしまった。

 

「なんですの? 急に」

「い、いでで。お、お前がカチコミしないようにだな……」

「は? 季節の変わり目でおかしくなったのですか?」

「お、俺は平和のために行動を……」

 

 そんなことを竜崎と言い争っていると、先輩が俺の顔を見つめてきた。

 

「ふうん、君はなかなかユニークな発想をするんだね、枕木君。まあ、全然違うけど。今日ここに来たのはこれが目的だよ」

 

 そう言うと、先輩はある方向へ指を差した。

その方向を見ると、そこには「目安箱」が置いてある。

 

「目安箱……が、どうしたんですか?」

「今日、初めて目安箱があることに気づいたから、せっかくだしみんなで意見を入れようと思ってね」

「はあ」

「だから早速、意見を書いて入れようか。りゅりゅも離してあげて」

 

 先輩の言葉を聞いた竜崎は、俺への絞め技を解いた。

……よ、ようやく解放された。

それはともかく、俺は深呼吸をして落ち着きを取り戻したあとに、

近くに置いてあった用紙を手に取った。

 

「しかし、急に言われてもなに書けばいいか困っちゃいますよ」

「そうかな? 君は学校に改善してほしい部分とかないのかい?」

「はあ……あっ、ありますよ」

「おや、なんだい?」

「授業時間を減らしてほしいです」

 

 俺がそう言った瞬間、竜崎と先輩が俺を冷ややかな目で見つめてくる。

 

「はあ、あなたらしいですわね」

「そうだね、枕木君らしいよ」

「な、なんですか。先輩が改善してほしいことを〜って言ったんじゃないですか」

「はは、まあいいや。僕たちはもう目安箱に入れるよ」

 

 竜崎と先輩が、目安箱に意見を入れた。

 

「え? もう決まってたんですか?」

「そうだよ。君が来る前に二人で先に書いちゃった」

「なんですかそれえ、俺を待っててくださいよお……それはそれとして、二人はなに書いたんですか?」

「私は『食堂に個室が欲しい』と書きましたわ」

 

 なるほど、確かに竜崎が出しそうな意見だ。

俺たちはいつもの場所で食べられない雨の日は食堂へ行くが、

竜崎は人気がありすぎて食堂に行くとパニックが起きてしまうから食堂には行けない。

それを防ぐためにもちょっとした個室が欲しいのは頷ける。

まあ、俺は先輩と二人きりで食堂に行きたいから個室反対だが……。

 

「様々な理由から個室の設置が難しいのは分かっていますが、私も食堂で食べてみたいので意見を書いてみましたわ」

「まあいいんじゃないか。ってか、一緒に食べたいなら変装してみればいいんじゃないか? 今さらだけど」

 

 俺はそう軽口をたたいた。

流石に竜崎もそれくらいは思いついているはずだが、

やらない理由があるはず──。

 

「そ、その手がありましたわっ」

「え?」

 

 ……どうやら思いついていなかったようだ。

俺は、余計なことを言ってしまった。

 

「次の雨の日はそうしますわっ。あなたもたまには役に立つのですね」

「『たまには』は余計だッ。はあ、そういえば、先輩はなに書いたんです?」

「ん、ああ僕はね『食堂にアロスティチーニを置いてほしい』って書いたよ」

「先輩も食堂関係の意見ですか……あとアロスティチーニってあの、羊肉に串が刺さった……」

「そうそうそれだよ。僕はあれが好きだからサイゼリオに行くたびに頼んでいるのさ」

 

 あまり学校の食堂で串焼き肉が出てくるとは思えず、

出てくるとしても串はないだろうが、一つの意見としてはありなのかもしれない。

 

「アロスティチーニ、出てくるかな枕木君」

「どうですかねえ……難しいんじゃないですか」

「…………」

 

 竜崎が黙りながら、顔に手を当て何かを考えている。

 

「どうしたんだよ竜崎」

「今思ったんですわ。目安箱に頼らずとも私が生徒会長になった時に実現すればいいと」

「え?」

「そうと決まれば生徒会長に宣戦布告をしなければっ」

「いや、それはしなくていいだろ……」

 

 そんな会話をしていた時だった。

 

 生徒会室の引き戸が開き、中から男の生徒が出てきた。

その見た目は前髪が目にかかっていて、その上、目も細く、

見た目の印象を陰か陽かで分けると陰寄りだが、

背筋は真っ直ぐで、しっかりとしている。

……なぜだろう、俺はこの人を見たことがある気がする。

 

「あ、目安箱に入れてくださったんですね。ありがとうございます〜」

 

 その生徒は、優しく落ち着いた声で俺たちに喋りかけてきた。

その時、俺はこの人が現生徒会長だとはっきりと思い出した。

きっと入学式で挨拶をしていたから、見覚えがあるのだろう。

 

「あはは、目安箱ってなかなか入れてくれる人が少なくて、こうやって意見を入れてくれるのはありがたいんですよね」

 

 生徒会長がそう話し終えると、突然竜崎が目の色を変え、

目に映らないほどの速度で、生徒会長の手を握った。

 

「あなたが『現』生徒会長さんですね」

「え、あっ、はい」

「いつもお疲れ様ですわ、それで、今年も続ける予定はあるでしょうか」

「え、えっと、できればしたいな〜とは思っていますけど……」

「残念ですがそれは無理ですわ。なぜなら……私、竜崎竜奈が生徒会長に立候補するのだからっ。一年間お疲れ様でしたわっっ。それではさようならっっッ」

 

 そう言うと、竜崎は一人でどこかへ消えた。

生徒会長は、意味が分からなかったのか、何度も瞬きをしながら首を傾げている。

俺も意味が分からないが、宣戦布告だったのだろうか。

 

「えっと……今の方は……」

「……私の後輩が無礼な真似をして申し訳ありません。後ほど改めて正式にお詫びさせていただきます」

 

 困惑している生徒会長に、先輩は頭を下げながらそう言った。

先輩って敬語とか喋れたんだ。

 

「それじゃあ枕木君、ここで待っていてね」

「え、あっ、はい」

 

 そして少し後──。

先輩にお説教をされたのか、うなだれている竜崎を連れた先輩が

生徒会室前に戻ってきて、そのまま生徒会長への謝罪が始まった。

その時の竜崎はいつもの威勢のよさを失っており、先輩の恐ろしさが伝わってくる。

先輩は、怒らせないようにしよう──。

 

 

 

 「ミスコンとミスターコン」

 

 今日の授業も全て終わり、家へ帰ろうと教室を出て廊下へ行くと、

俺はあるポスターを見つけた。

そこには「文化祭 ミス&ミスターコンテスト参加者大募集!」と書いてあり、

さらにキャッチコピーであろう「学校で一番まばゆい星になれ──」が目立つよう、大きく書かれている。

 

(へえ〜、この学校ってミスコンとかやるんだ。はは、俺も出てみようかな〜、なーんてね。さて、先輩と話して帰るか)

 

 俺はそのポスターのことを記憶の片隅に置き、校門へと向かった。

いつも通り、校門のそばで先輩が俺を待ってくれている。

 

「どうも、先輩」

「お、待っていたよ枕木君。今日の学校はどうだったかな?」

「え〜、今日は普通ですよ」

「ふふ、それでもいいから、聞かせてほしいな」

「え〜、しょうがないなあ、先輩はもお〜」

 

 俺がたわいもない学校の話を始めると、

先輩は笑いながら俺の話を聞いてくれて、その顔はまるで天使のようだ。

そんな優しい顔も、風になびく白く綺麗な髪も、日が当たって宝石のように輝く蒼く透き通った目も、全てがとても美しい。

 

「一番まばゆい星だ……」

 

 思わず、声が漏れてしまう。

 

「ん? なにか言った枕木君?」

「え、いやなんでもないですよ……」

「本当になんでもないのかなあ〜?」

 

 俺は誤魔化そうとしたが、先輩に隠してもどうせバレるので、素直に話すことにした。

 

「はあ……先輩の顔を見てたら、廊下のポスターのキャッチコピーを思い出しただけです。先輩にぴったりだなあ、って」

「へえ〜、そうだったんだ。ふふ、嬉しいよ枕木君。僕のことを思ってくれてて」

「……そ、そういえば先輩はミスコンとか出ないんですか。あ、先輩はミスターコンか」

 

 これ以上、先輩と話をしているとからかわれそうなので、

俺は無理矢理、話題を変更した。

だが、さすがに無理矢理すぎたか、先輩がニヤけた顔でこちらを見てくる。

 

「ふふっ、枕木君は話題を変えてほしいんだね」

「そ、そういうわけじゃ……」

「ま、いいよ。君のために変えてあげるさ。僕は出るつもりはないよ」

「えっ、それは強すぎて出るまでもないとかそういう話ですか」

「あまり目立ちたくないからね」

 

 思っていたより消極的な理由だった。

 

「えー、そんな理由で」

「まあ君が僕を出したいなら出てもいいけれど、仮に僕が目立って他の人に人気になったら、それはそれで君はなにか言うだろう?」

 

 た、確かにそうだ。

先輩が知らない人に囲まれていたら脳が破壊されてしまいそうだ。

 

「それに……僕は男だけど女の子の格好をしているからね。ミスターコンに出てもみんな困るんじゃないかな」

「え? 先輩は可愛いから大丈夫ですよ」

「はあ、君は僕が好きすぎて感覚が麻痺しているんじゃないのかな。それより、枕木君こそミスターコンは出ないのかな?」

 

 無理矢理話題を変更されてしまった。

……俺もさっき話題を変えたし、おあいこだと思って先輩の話題に乗った。

 

「俺は、出るつもりはないですけど」

「えー、なんでだい? 君はカッコいいよ、容姿も整っていると思うしね」

「え、そ、そうですか〜」

 

 突然の褒め言葉に思わず照れてしまう。

先輩に「容姿が整っている」なんて言われたら、少し出てみようか悩んでしまう。

 

「ち、ちなみに先輩は、俺の顔って、どれくらい整ってると思います?」

「うーん、君が女の子になったら、みんな口には出さないけれど心の中では『自分だけはあの子の良さが分かってる』と思ってそうなくらいかな」

「なんでわざわざ女の子に変換する必要があるんですかっ。てかなんすかその微妙なラインっ」

「そうかな? 目立たないけれど心の片隅にいる丁度いい存在だと思うけれど」

「目立たなかったらコンテストは勝てませんッ。はあ……少し出ようかなと思ってたのに」

 

 俺がそう言いながら、少しうなだれていると、

先輩は背伸びをしながら、俺の頭を優しく撫でてくれた。

 

「うう、なんですか先輩……」

「君は、さっき言った通り、あまり目立たないタイプだね。光ってはいるけれど、他の星の輝きに隠れてしまう」

「……慰めるか、貶すかどっちかにしてくださいぃ」

「ふふっ。けれど、僕はちゃんと見つけられたよ」

「え……?」

「たくさんの星が輝いている中でも、僕は君を見つけた。君が思っている以上に、君は僕の目を引く存在なんだよ」

 

先輩は、いつものからかうような笑みを浮かべた。

 

「僕にとって君は、一番まばゆい星……いや、太陽のように光り輝いているよ。それじゃあ、ダメかな?」

 

 その先輩の言葉が、俺の心に響いていく。

先輩が俺のことをそんなふうに思ってくれていたなんて。

 

「先輩……ありがとうございます。俺を元気づけるためにそんなお世辞を……」

「……お世辞じゃないよ。君が思わず本音を口にした時のように、本心が出ただけさ」

「先輩……」

 

 俺は思わず、先輩を抱きしめた。

 

「先輩、そんなふうに俺のことを思っててくれてたなんて俺、嬉しいです……」

「……ふふ、枕木君のいいところを僕はたくさん知っているからね。でも、それはそれとして離してほしいな」

「え、あ、苦しかったですか、す、すいません急に抱きしめちゃって……」

「そうじゃなくて、周りを見てほしいな……」

「え?」

 

 そう言われ、周りを見回すと、俺はここが校門だったことを思い出した。

しかも、帰りの時間帯だからか生徒が周りにたくさんいる。

 

「周りの目が恥ずかしいからさ……」

「あ、す、すいません」

 

 俺は先輩を急いで離した。

その時、チラッと先輩の顔を見ると少し赤くなっていた。

周りの目のせいだろう。

 

「え、えーと、それじゃ俺は帰りますね」

「うん、またね……」

 

 そして、その日は急いで別れ、他人のふりをしながら帰った。

……このことを俺も先輩も、恥ずかしくてしばらく引きずってしまいそうだ。

 

 だが次の日──。

 

「やあ、枕木君。おはよう」

 

 先輩は昨日のことなんてなかったかのように、

いつも通り、なにを考えているのか分からないアンニュイな表情で、校門に立っていた。

 

「えっと……昨日のことは……」

「昨日のことは昨日のことさ。切り替えは大事だよ、枕木君」

「は、はあ……」

 

 先輩は切り替えが早い──。

 

 

 

 「タイツ」

 

「やあ、枕木君。突然だけれど、今日の僕はいつもと違うんだ。だから、どこが違うか当ててみてほしいな」

「はあ」

 

 朝、校門に立っていた先輩と目が合った途端、突然質問を投げかけられた。

いつもと違うと言われても、見た感じは普段と変わらないが……。

 

「そんなん急に言われても分かんないですよ、ヒントくださいよ〜」

「仕方ないね。ヒントは『君はスケベ』さ」

「は、はいっ?」

 

 急なスケベ呼ばわりに変な声が出てしまったが、俺は断じてスケベではない。

そもそも、すぐにスケベと呼んでくる先輩の方がスケベなのではないかと、

俺は小一時間先輩を問いただしたい。

しかし、この言葉がヒントということは、それを元にすれば正解に辿り着けるはずだ。

 

(問題はいつもの先輩から変わった部分で、ヒントはスケベ……ううん、考えても分からないな。先輩を見たら分かるかな)

 

 とりあえず、俺は先輩の全身を舐め回すように見つめた。

……顔は、いつも通り綺麗だが、特に普段との変化はなく、

髪も切ったばかりということもなさそうだ。

制服も普段通り、その辺りの女子生徒より断然似合っている女子の制服だし、いったいどこが違うのだろうか。

 

(うーん、どこだ……? はあ、分からないし、探してるふりして先輩の太ももの辺りでも見ようか……うん?)

 

 俺が邪な気持ちで先輩の下半身に目を向けると、なにか違和感があった。

違和感の正体を掴むために、そのあとも先輩の太ももの辺りをじっと見つめ、

ようやく俺は違和感の正体に気づいた。

素肌が見えていないのだ。

 

 先輩は普段は膝上まであるニーソを履いていて、そのニーソとスカートの間には、

先輩の素肌の太もも、いわゆる「絶対領域」というものがあり、

俺はそれをバレないようにいつも見ているが、今日は違った。

脚の全てが黒い生地に覆われていて、素肌が出ていないのだ。

 

 普段との違いに気づいた俺は、先輩に話しかけた。

 

「せ、先輩……」

「おや、気づいたようだね。肌寒くなってきたし、僕はタイツを履くことにしたんだ」

「そ、そうだったんですか」

「ふふ、いつも僕の太ももをいやらしく見てくるスケベ君なら分かってくれると思っていたよ」

「え、あ、俺はスケベじゃ……」

 

 俺が先輩に言い返そうとすると、授業開始十分前を知らせるチャイムが鳴った。

 

「おや、もうそんな時間なんだね。それじゃあ、僕は教室へ行くよ。またね、枕木君」

 

 そう言って、先輩は教室へ行ってしまった。

結局、言い返すことはできず、先輩の問題に正解した報酬は、スケベ扱いされることだけだった。

そして、そのショックを抱え、俺は放心状態で右から左へ聞き流すように授業を受けた──。

 

 そしてお昼休みになり──。

 

「やあ、枕木君」

 

 いつもの場所へ行くと、先輩がベンチに座りながら、普段通りの顔で挨拶をしてくる。

……先輩なら、俺の顔を見て今の気持ちを察しているはずだが、特に慰めようとしてくれたりはない。

ただ、それより気になるのは、竜崎がいないことだ。

普段だったらもう先輩の隣に座っているはずなのに……。

 

「先輩、竜崎は……?」

「ん、あ〜りゅりゅね。りゅりゅは生徒会長選挙に向けて、活動をしているからこれないんだって」

「はあ……」

 

 先輩とお昼を食べずに活動するとは、どうやら本当に竜崎は生徒会長の座を狙っているらしい。

そんなに俺たちを生徒会に入れたいのだろうか。

 

「まあ、いないならいないでいいや……それより、俺元気ないんですよ」

「ふふ、どうかしたのかい?」

「先輩にスケベ扱いされたせいですっ」

「ふふ、そっかそっか、ごめんね。でも、君がいつも太ももをいやらしく見てくるスケベ君なのは本当さ」

 

 慰めと罵倒を一緒に喰らってしまった。

 

「もおっ、素直に慰めてくださいよおっ」

「ふふ、ごめんごめん。そしたら、こっちへ来て座ってほしいな。お詫びをするよ」

 

 そう言うと、先輩が手招きをして俺を呼んでくる。

それに従い、先輩の隣へ座ると、

先輩は俺を優しく横にして、膝枕をしてくれた。

いつもと違い、素肌ではなくタイツ越しの太ももで、これはこれでいいが、

やはりいつもの方が俺は好きだ。

 

「これが、お詫び……ですか」

「うーん、半分そうかな」

「半分……?」

「それより、どうかな。いつもと違うタイツでの膝枕は」

「気持ちいいですけど……」

「ふーん」

 

 先輩が急に俺の顔を見つめてくる。

 

「な、なんですか」

「ふふ、やっぱり素肌の方がいいんだと思ってね」

「そ、それは……」

「……さて、さっき『半分』って言ったよね。もう半分をしてあげるよ。そしたら、一旦起きてほしいな」

「はあ」

 

 指示通り、一旦先輩の膝から離れ、起き上がると、先輩は急に自分のスカートの中に手を入れ、

タイツをゆっくり下ろし始めた。

 

「ちょ、ちょちょちょ、急になにしてるんですかっ」

「ん? 準備さ。よし、これくらいでいいかな。おいで」

 

 先輩の脚を見ると、膝上まで素肌が見えていた。

 

「もしかして……」

「うん、君が素肌がいいと言うから、素肌で膝枕してあげるのさ。はい、おいで」

 

 先輩が自分の太ももをポンポンと軽く叩いて、俺を呼んでいる。

そして、俺は再び先輩の太ももに頭を乗せた。

……素肌のせいか、さっきより先輩の感触や体温が伝わってきて、素晴らしい。

 

「これがお詫びだよ。これで、許してくれるかな?」

「許すっていうか、別に怒ってたわけじゃ……」

「ふふ、そっか。それじゃあ、しばらくこうしてようか──」

 

 そのあと、俺は先輩の膝に頭を乗せて過ごし、

しばらくしてから起き上がった。

 

「はあ〜、先輩の太ももで元気が出ました。ありがとうございます」

「ふふ、やっぱりスケベだね、君は」

「なっ……」

「はは、冗談さ。さて、そしたら君にいいものをあげようかな」

「いいもの?」

「見ててね〜」

 

 先輩が再び、ゆっくりとタイツを下ろしていく。

 

「ちょちょちょ、なにしてんですかっ」

「ん? 君にタイツをあげようかな〜って。嬉しいだろう?」

「う、嬉しいって……いや、嬉しいんですけど……」

「ふふふ……」

 

 ……先輩が履いていたタイツを貰えると思うと、ドキドキしてしまう。

だが、先輩が膝のあたりまで下ろした時だった。

急に下ろすのをやめ、履き直していく。

 

「え? あ、あれ?」

「ふふっ、冗談さ。寒いのに素足になるのは嫌だからね」

 

 先輩がニヤけた顔で俺を見てくる。

 

「か、からかってたんですかっ」

「君のスケベな視線を感じたかったからね」

「なんですかそれっ。俺よりよっぽどスケベな理由じゃないですかっ」

「ふふふ、そうかもね〜。さて、僕はお昼ご飯を食べるとするよ」

 

 そして、先輩はなにもなかったかのように平然とお昼ご飯を食べ始めた。

……俺は今日、あることに気づいた。

俺はスケベだが、先輩はもっとスケベだと──。

「11月10日締め切り」第1回人気投票 どのキャラが一番好きですか?

  • 月城真央(真央先輩)
  • 枕木遊星
  • 竜崎竜奈(りゅりゅ)
  • 月城理央(リオさん)
  • 先輩のお母さん(フレイヤさん)
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