『ラグナクリムゾン』の世界をお借りした二次創作です。
原作には登場しないオリジナル血族「角」と、そこに所属する8人の龍たちを中心に描いていきます。
シリアスな世界観の中に、ちょこちょこコメディも入る予定です
原作キャラも登場予定ですが、基本はオリジナルキャラクター中心です。
※原作未読の方には分かりにくい部分があるかもしれません。
それでは――
『角の血族ですが何か?』
お楽しみください!
第1話「第七血族『角』」
――龍の世界には、七つの血族が存在する。
翼。
鱗。
爪牙。
咆哮。
眼。
骨。
そして――
角。
その中でも「角」の血族は、他の血族とは少し変わっていた。
血族を率いる血主を含め、たった八人しか存在しない。
そして、その八人は――
遥か昔から、一度も入れ替わっていない。
つまり。
現在の「角」の八人は、全員が途方もない年月を生きている古参だった。
しかし、人間たちは彼らについてほとんど何も知らない。
知っているのは、ただ一つ。
「角」という血族が存在する。
それだけだった。
理由は簡単。
角の血族は――
ものすごく臆病だった。
危険を避ける。
人間を避ける。
面倒事を避ける。
そして、逃げられるなら迷わず逃げる。
……ただし。
臆病と弱いは、決して同じではない。
むしろ角の血族は、生き残ることに関して異常なほど優れていた。
そんな彼らの拠点。
薄暗い部屋の奥。
玉座に腰掛けているのは、一人の龍だった。
腰まで届く長い髪。
細く華奢な身体。
整った中性的な顔立ち。
そして頭には、角の血族であることを示す二本の角。
その姿だけを見れば、血主とは思えないほど穏やかだった。
彼の名は――
リュゼ。
角の血主である。
リュゼは玉座に頬杖をつきながら、ぼんやり天井を見上げていた。
「……暇だなぁ」
その瞬間。
――バァンッ!!
「リュゼ!!」
勢いよく扉が開いた。
入ってきたのは、身長190cm近い大男。
鍛え上げられた巨体。
乱れた短髪。
鋭い目つき。
そして後方へ伸びる太い角。
巨大な武器を肩に担ぎ、獰猛な笑みを浮かべている。
第一位階――ヴァル。
角の血族きっての戦闘狂である。
「戦おうぜ!!」
「嫌」
「なんで!?」
「死にたくないから」
「血主なのに!?」
「血主でも死ぬよ」
「いやそうだけどよ!!」
ヴァルが頭を抱える。
その後ろから、銀髪の青年が面倒くさそうに入ってきた。
肩まで伸びた銀髪。
細身の身体。
眠そうな細い目。
長い外套には大量の紙や資料が挟まっている。
第二位階――セイル。
魔法や龍の血、歴史、人間の技術。
知らないものなら何でも調べたがる、角の血族きっての研究狂だ。
「朝からうるさい」
「セイル、お前も戦うか?」
「興味ない」
「つまんねぇ!」
「君と違って、僕は戦闘以外にも興味がある」
「喧嘩売ってんのか?」
「事実を言っただけ」
「二人とも朝から元気だねぇ」
リュゼが笑う。
すると、部屋の隅から小さな声がした。
「……帰りたい」
三人が振り向く。
そこには、小柄な少年が立っていた。
幼く見える顔。
不安そうに揺れる大きな目。
小さな角。
そして――
異様に長い袖。
手が完全に隠れてしまっている。
第三位階――ノイル。
角の血族の中でも特に臆病な男だった。
「まだ何も始まってないよ?」
リュゼが言う。
「だから帰りたいんだよ……」
「ノイル、お前は本当に臆病だな!」
ヴァルが笑う。
「うるさい……。死にたくないんだよ……」
ノイルは袖で顔を半分隠した。
しかし――
彼が弱いわけではない。
危険察知。
逃走。
隠密。
緊急時の判断。
生き残る能力だけなら、七角衆でも屈指だった。
「生き残った方が勝ちだろ……」
「まあ、それはそうだね」
リュゼは頷いた。
「リュゼまで納得すんなよ!」
そこへ、低い声が響く。
「……人間の気配がする」
大柄な龍が立っていた。
第四位階――ガルム。
190cm近い巨体。
筋肉質な身体。
鋭い目。
前方へ伸びた太い角。
見るからに強者と分かる風貌だった。
「人間なら殺す」
「待って」
リュゼが止める。
「まだ何もしてないよ」
「だが人間だ」
「人間って面白いじゃない」
「理解できない」
ガルムは真顔で言った。
「龍こそ頂点だ」
「そういうところ、ガルムらしいね」
「褒めているのか?」
「たぶん」
「そうか」
ガルムは納得した。
……本当に納得したらしい。
「ねぇねぇ、そんなことよりさぁ」
今度は少女のような声。
第五位階――ロゼ。
細身の身体。
長く緩やかな髪。
楽しそうに細められた目。
細い角。
そして、いつでも遊びに行けそうな軽い服装。
「今日は何して遊ぶ?」
「僕は強い奴と戦いたい」
「また戦い?」
「うん」
「私は美味しいもの食べたい」
「それもいいね」
「じゃあ人間の街行こうよ」
ガルムの眉が動く。
「……なぜ人間の街に行く」
「楽しそうだから」
「却下だ」
「えー」
そんな騒ぎの中。
部屋の隅に、一人の女が立っていた。
黒髪。
細身。
黒い服。
そして――
目元を完全に覆う黒い布。
第六位階――ネロ。
彼はいつからそこにいたのか、誰にも分からない。
「……うるさい」
「ネロ、いたの!?」
ヴァルが驚く。
「最初から」
「マジかよ……」
「うん」
「なんで目隠ししてんの?」
「なんとなく」
「見えてんの?」
「見えてない」
「じゃあなんで歩けんだよ」
「慣れた」
「……そうかよ」
ヴァルは諦めた。
そして――
窓際。
そこに、もう一人いた。
白銀の髪。
中性的な顔。
左右で少し形の違う角。
口元には、楽しそうな笑み。
第七位階――レム。
誰にも気づかれないまま、ずっと外を眺めていた。
「……ねぇ」
レムが振り返る。
「なんか、面白そうなのが来るよ」
「何が?」
リュゼが尋ねる。
「分かんない」
「分からないんだ」
「うん」
レムは笑った。
セイルが眉をひそめる。
「何か感じたのか?」
「さあ?」
「……」
「でも、面白そう」
七角衆。
そして、その中心に立つ血主リュゼ。
彼らは皆、好き勝手に生きていた。
神がどう言おうと。
龍がどう生きろと言おうと。
そんなものは知ったことではない。
リュゼは静かに立ち上がる。
「――神なんてどうでもいい」
六人がリュゼを見る。
「自分の生き方は自分で決めろ」
そして、少し笑った。
「好きに生きようぜ」
その瞬間。
リュゼの角が――
微かに震えた。
「……?」
リュゼの表情から、笑みが消える。
何かいる。
遠く。
まだ姿も見えない。
けれど確かに――
強い何かが近づいている。
リュゼの能力――「共鳴」。
本来なら、相手の力を感じ取り、その構造を理解することで干渉できる。
だが。
今感じている力は――
分からない。
「……まだ、共鳴できない」
セイルも異変に気づく。
「リュゼ?」
「うん」
リュゼは遠くを見つめる。
「……新しい強敵が現れる」
静かな声。
そして――
「そんな気がする」
少しだけ間を置いて。
「でも……」
リュゼは小さく呟いた。
「死にたくないなぁ」
――第1話、終。
第1話、読んでいただきありがとうございました!
今回は「角の血族」と、血主リュゼ、そして七角衆を一気に登場させました!
……改めて並べてみると、まともな奴がいない。
戦闘狂のヴァル、研究狂のセイル、超絶臆病なノイル、龍至上主義のガルム、自由人ロゼ、目隠し女ネロ、謎のレム。
そして一番上にいるのが、
「戦いたい。でも死にたくない」
とか言ってるリュゼです。
果たしてこの8人は、この先どうなってしまうのか……。
次回から少しずつ「角」の血族について掘り下げていく予定です!
それではまた次回! ✨
――好きに生きようぜ。