水の街での仕事を終えた数日後、ギルドで神官と合流しゴブリンスレイヤーの到着を待っていると何と無く普段と違う様子のゴブリンスレイヤーが現れ2人は互いに首を傾げながら話を聞こうと近付く。
しかし2人に気付いた筈のゴブリンスレイヤーは2人に何も言わずその他大勢の冒険者達の前に立つ。
「すまん、聞いてくれ、頼みがある」
思ってもいなかった言葉に神官と調教師だけでなくその場の冒険者が思わず各々の手を止める。
「ゴブリンスレイヤーが頼み?」
「あいつソロじゃなかったか?」
「いや、最近は新人2人とベテラン何人かと組んでるらしいぞ」
「ゴブリンの群れが来る。街外れの牧場にだ、時期は恐らく今夜、数は分からん」
周りで話される自分の話題にも反応せずゴブリンスレイヤーは必要な事を淡々と告げていく。
「だが、斥候の足跡の多さから見て【ロード】が居るはずだ、つまり、100匹は下らんだろう」
その言葉に話半分に聞いていたベテラン冒険者達も思わず真剣な顔付きで一党の仲間と話を始める。
「洞窟なら兎も角野戦となると俺1人では手が足りん、手伝ってほしい」
ゴブリンスレイヤーはそう言って頭を下げるが冒険者達の反応は芳しく無い。
「おい、お前なんか勘違いしてねぇか?」
その時、辺境最強と言われる槍使いの冒険者が立ち上がりゴブリンスレイヤーに詰め寄る。
「俺達は冒険者だ、お願いなんざ聞く義理は無ぇ、依頼を出せよ、つまり報酬だ、なぁ?」
「そうだそうだ!!ただ働きなんてごめんだぞ!!」
「そうだ!!報酬寄越せ!!」
「確かにしかもゴブリンだからな〜」
「ああ、最もな意見だ」
冒険者達の言葉にゴブリンスレイヤーはそう言う。
「おう、じゃあ言ってみな、ゴブリン100匹の相手をさせる報酬を」
「全てだ」
「ああ?全てだぁ?」
「俺が持つ物、俺の裁量で自由になるものだ、俺の装備・財産・能力・時間、そして」
「命か」
「そうだ、命もだ」
その言葉に槍使いの目が鋭くなる。
「じゃあお前、俺が死ねっつたら死ぬのか?」
「いや、それは無理だ、俺が死ねば泣くかも知れん者が居る、【泣かせるな】と言われた、つまり俺の命は俺の裁量でどうにもならんらしい」
少しの沈黙と共に槍使いがガシガシと頭を掻く。
「ド畜生が、お前が何考えてるかさっぱり分かんねぇが、本気だって事は分かった」
「ああ、俺は本気だ」
「分かったよ!!後で一杯奢れよ」
「………………………………ありがとう」
ゴブリンスレイヤーはそう言って頭を下げる。
「じゃあ私もやるわ!!その代わり、冒険1回付き合ってよね」
ハイエルフが2階から飛び降りそう言いドワーフとリザードマンも酒樽とチーズを報酬に依頼を受けた。
「しかしなぁ」
「ああ、ゴブリン退治だろ?」
「じゃあ俺からも報酬を出そう」
渋る他の冒険者を見かねて調教師がそう言う。
「俺のモンスターを【依頼に連れていける権利】だ、肉盾にしようが実験台にしようが好きにして良い、回復に炎に身体能力強化と何でもござれだ」
「皆さん!!ギルドからも依頼を出します!!ゴブリン1匹に付き金貨1枚ですよ!!」
更に受付嬢がそう言って現れギルドにいる冒険者全員を仲間にする事が出来た。