エンジニアのSAO Progressive ~NPCが売ってないなら作ればいい~ 作:Edward
霧が晴れかけた街道で――。
こっことキリトは、真正面から向かい合っていた。
アスナも、ギズメルも。
リズも、シリカも。
誰も手を出さない。
これはもう、秘鍵争奪戦というより――。
「……デュエルね」
アスナが小さく呟いた。
キリトは片手剣を正眼に構える。
対するこっこも、曲刀《ノーグサーベル》を右手に持った。
二人の視線が交差する。
「今度こそ、逃がさない」
「ふふん。捕まえられるものなら、捕まえてみたまえ✨️」
「その余裕、いつまで続くかな」
次の瞬間――。
キリトが消えた。
いや。
そう見えるほどの速度で、一気に間合いを詰めた。
「速っ!」
こっこの曲刀とキリトの剣が激突する。
甲高い金属音。
一撃。
二撃。
三撃。
キリトの剣術は、速く、正確で、美しかった。
無駄のない足運び。
相手の重心を読み、フェイントを混ぜ、最短距離から斬撃を送り込む。
SAOという世界で磨き上げられた、正統派の剣士。
対して――。
こっこは。
「うおっと!」
変な方向へ飛んだ。
「……は?」
キリトの剣が空を切る。
こっこは妙な前傾姿勢のまま、地面すれすれを走っている。
「なんだ、その動き!」
「田舎っぺ剣術!」
「そんな剣術あるか!!」
ない。
もちろん、ない。
剣道でもなければフェンシングでもない。
リアルで染みついた身体の癖と、両利きゆえの独特な重心移動。
そして何より――。
相手が嫌がることを、とにかくやる。
それが、こっこの剣術だった。
キリトが追う。
こっこが曲刀を振る。
受ける。
弾く。
再び斬る。
キリトは確信した。
純粋な剣技なら――。
勝てる。
「もらった!」
キリトの剣が、こっこの防御を崩した。
しかし。
こっこの左手が動く。
空中にシステムウインドウが展開された。
視線すら向けない。
指先だけが高速でアイテム欄を操作する。
《ブラインドタッチ》。
次の瞬間。
ガチン!!
「……え?」
キリトの剣が止まった。
刀身を挟み込んでいたのは――。
巨大なハサミ。
「捕まえた✨️」
「なんでハサミなんだよ!!」
こっこはハサミで剣を挟んだまま、曲刀を振る。
キリトは慌てて剣を引き抜き、後退した。
「くっ!」
再び踏み込む。
今度は確実に斬撃が入る――。
カァン!!
「!?」
フライパン。
こっこは左手に取り出したフライパンでキリトの剣を受け止めていた。
「盾代わり✨️」
「料理道具だろ、それ!」
「料理スキルをなめるな!」
フライパンで剣を横へ逸らしながら、右手の曲刀を振る。
攻防一体。
キリトは辛うじて回避した。
「だったら――!」
距離を取る。
道具を取り出す隙を与えない。
キリトはそう判断した。
だが。
「甘い!」
こっこの左手に、今度は巨大なカッターナイフが現れる。
ジャキン!
刃が伸びた。
「うわっ!?」
間合いが突然変わる。
縮む。
伸びる。
また縮む。
「そんな武器の使い方ありか!?」
「工具だ!」
「もっと悪いわ!!」
アスナは、とうとう口元を押さえ始めた。
「ぷっ……」
ギズメルが怪訝そうに見る。
「アスナ?」
「だ、だって……キリトが……真面目に剣で戦ってるのに……」
キリトは必死だった。
剣。
ハサミ。
フライパン。
カッターナイフ。
そしてまた剣。
武器種という概念そのものを無視した攻撃が飛んでくる。
しかも左手はシステムウインドウを見てすらいない。
指先の感覚だけで必要な道具を取り出している。
「……だったら!」
キリトが一気に踏み込んだ。
真正面。
小細工を使わせないほどの連撃で押し切る。
こっこのHPが少しずつ削られる。
「やっぱり……剣だけならキリトさんが上です!」
シリカが叫ぶ。
リズも頷く。
「当たり前よ! 相手は攻略組トップクラスよ!」
それでも。
こっこは笑っていた。
「……キーリトくん」
「なんだ!」
「忘れてない?」
「何を――」
こっこの曲刀が。
キリトの剣に絡みついた。
独特な湾曲。
引っ掛けるような軌道。
キリトの顔色が変わった。
「あっ――」
《ノーグサーベル》。
この剣に付与された特殊効果。
落下補正。
そして――。
《ディスアーム》。
ガキィィン!!
キリトの剣が手を離れた。
宙を舞う。
「しまっ――!」
その瞬間だった。
「シリカ!」
「はいっ!」
「ピナ!」
「きゅるるるるっ!」
ピナが大きく息を吸い込む。
そして――。
真っ白な霧を吐き出した。
《霧のブレス》。
一瞬で視界が白く染まる。
「またこれか!」
キリトが叫ぶ。
「アスナ! 秘鍵を!」
「分かってる!」
ギズメルも剣を構えた。
「逃がさん!」
三人が霧の中を走る。
だが。
その時――。
「ピナ、もう一発!」
シリカの声。
「きゅるるるるる――っ!」
今度、霧の向こうから飛んできたものは。
大量の――。
泡。
「え?」
アスナの足元に泡が広がった。
キリトも。
ギズメルも。
次の瞬間。
つるっ。
「きゃっ!?」
「うわっ!」
「なっ!?」
ズッテェェェン!!
三人まとめて盛大に転倒した。
《せっけんのブレス》。
霧で視界を奪った直後、地面を泡まみれにする。
凶悪極まりない逃走コンボだった。
霧の向こうから笑い声が聞こえる。
「あーっはっはっはっは!!」
キリトの額に青筋が浮かぶ。
「こっこぉぉぉぉぉ!!」
「戦闘に集中して逃走を許すなんて、勇者じゃないよ!」
声が遠ざかっていく。
「キーリトくーん!」
そして。
最後に、とんでもなく楽しそうな声が響いた。
「あーばよー! Byキャッツ、ルパ~ン♪」
「どっちなんだよ!!」
キリトの絶叫が森に響き渡った。
その横で。
アスナは地面に座り込んだまま――。
「……ふっ」
肩を震わせる。
「ふふっ……あははははっ!」
とうとう笑い出した。
「アスナ!?」
「だ、だって……キリト……あれだけ本気で戦って……最後、石鹸で転んで……!」
「笑うな!」
「無理よ……あはははっ!」
そして。
もう一人。
「……ふっ」
「?」
キリトが振り返る。
ギズメルだった。
「ふふ……」
口元を押さえている。
「ギズメル?」
アスナも驚く。
これまで秘鍵を巡って、こっこ達を警戒し続けていた森エルフの騎士。
カーソルは未だ、黒に近い。
秘鍵を奪われた。
本来なら怒って当然だった。
なのに。
ギズメルは笑っていた。
「……あの男は、本当に妙な男だな」
アスナとキリトは顔を見合わせた。
ほんの少しだけ。
ギズメルが変わった。
敵として追い続けてきたはずの相手を。
少なくとも今は――。
憎むべき相手としてだけ見ているわけではない。
アスナは小さく微笑んだ。
「そうね」
キリトだけは。
「俺は笑えない……」
地面に転がった自分の剣を拾い上げる。
「次は絶対捕まえる……!」
その目には炎が燃えていた。
◆
一方。
《ダナエ村》。
「秘鍵だ!」
「秘鍵が戻ったぞ!」
「こっこ殿たちが奪還した!」
村中に歓声が響いた。
ランスロットは、こっこが差し出した秘鍵を両手で受け取る。
しばらく言葉もなく、それを見つめていた。
そして。
「……見事だ、こっこ殿」
深々と頭を下げる。
「森エルフ一同、この恩は決して忘れぬ!」
「いやいや✨️」
こっこは胸を張った。
その後ろでリズが呟く。
「盗んできたんだけどね」
シリカも苦笑する。
「しかも石鹸で転ばせて……」
「勝てば官軍!」
「盗人猛々しいわ!!」
その夜。
《ダナエ村》では盛大な祝宴が開かれた。
森エルフの料理。
果実酒。
焚き火。
音楽。
笑い声。
ピナも森エルフ達から果物をもらい、上機嫌で飛び回っている。
リズとシリカも、いつしか騒ぎの輪の中へ入っていた。
そして――。
「こっこ殿!」
「飲め!」
「英雄殿に乾杯だ!」
「いやあ、それほどでも✨️」
「調子に乗るな!」
リズのツッコミが飛ぶ。
「きゅるるる♪」
「ピナまで!」
笑い声は夜通し続いた。
誰も眠ろうとしなかった。
長かった秘鍵争奪戦。
奪って。
奪われて。
追いかけて。
逃げて。
時には本気で剣を交えた。
そして今回。
真正面からキリトと戦い。
こっこは――勝った。
剣士として上回ったわけではない。
正統派の剣術なら、間違いなくキリトの方が上だった。
けれど。
ハサミを使い。
フライパンを使い。
カッターナイフを使い。
最後には曲刀の《ディスアーム》まで叩き込む。
使えるものは全部使う。
相手の嫌がることを考える。
そして――目的を忘れない。
敵を倒すことが勝利ではない。
秘鍵を持ち帰ることこそが勝利。
それが。
攻略組の剣士とはまるで違う――。
田舎っぺ。
素っ頓狂。
エンジニア。
そしてローグ。
こっこの戦い方だった。
夜明け。
ダナエ村の空が白み始める。
こっこは宴会場の片隅で満足そうに笑った。
「ふふん✨️ 今回は僕の勝ちだね、キーリトくん♪」
――第五層。
琥珀の秘鍵争奪戦。
勝者――。
《こっこ・リズ・シリカ・ピナ》。
ただし。
キリトの怒りゲージは――。
過去最高値を更新していた。
その頃――。
森エルフの《ダナエ村》では。
「秘鍵を奪還したぞ!」
「こっこ殿たちに乾杯!」
「乾杯!」
夜通しの祝宴が続いていた。
こっこ、リズ、シリカ、そしてピナ。
三人と一匹は森エルフ達に囲まれ、盛大な歓迎を受けている。
そして――。
その頃。
反対側。
闇エルフの村《シヤーヤ村》。
「…………」
村の入口に、三人の人影が現れた。
キリト。
アスナ。
ギズメル。
誰も喋らない。
特にキリトは。
恐ろしく機嫌が悪かった。
服には土埃。
髪も乱れている。
そして何より――。
悔しい。
ひたすら悔しい。
あと少しだった。
こっこを追い詰めた。
純粋な剣技では押していた。
正面からの一騎打ちなら、間違いなく自分が優勢だった。
なのに。
巨大なハサミで剣を挟まれ。
フライパンで斬撃を防がれ。
巨大カッターナイフで間合いを狂わされ。
最後には《ノーグサーベル》のディスアーム。
霧。
そして――。
石鹸。
「…………」
思い出しただけで腹が立つ。
隣を歩くアスナが、ちらっとキリトを見る。
「…………」
そして。
「ぷっ」
「…………」
キリトが振り返る。
「今、笑った?」
「笑ってないわよ」
「絶対笑っただろ」
「笑ってないってば」
「こっち見て言えよ」
アスナは顔を背けた。
肩が震えている。
「笑ってるじゃないか!」
「だ、だって……!」
アスナはとうとう耐えられなくなった。
「あははははっ!」
「アスナ!」
「ご、ごめん……! でも最後……三人揃って……つるって……!」
「言うなぁぁぁ!!」
ギズメルが横を歩きながら口元を押さえる。
「ふっ……」
キリトが勢いよく振り返った。
「ギズメルまで!?」
「いや、私は笑ってなど……」
「笑っただろ!」
「……少しだけだ」
「なんでだよ!」
その時。
村の闇エルフ達が三人に気づいた。
「ギズメル殿!」
「お戻りになられた!」
「キリト殿、アスナ殿も!」
次々と集まってくる。
キリトは嫌な予感がした。
ものすごく嫌な予感がした。
そして。
当然の質問が飛んできた。
「それで――」
闇エルフの一人が期待に満ちた顔で尋ねる。
「秘鍵は?」
「…………」
キリト。
沈黙。
アスナ。
目を逸らす。
ギズメル。
沈黙。
「…………」
「…………」
「…………」
闇エルフ達が顔を見合わせる。
「秘鍵は?」
もう一度聞かれた。
キリトの拳が震える。
「……取られた」
「なんと!?」
「森エルフに!?」
「いや」
ギズメルが答える。
「あの三人だ」
「三人?」
「こっこ、リズ、シリカだ」
闇エルフ達がざわめく。
「また、あの者達か!」
「どうやって!?」
「ギズメル殿とキリト殿、アスナ殿の三人がいて……!?」
「…………」
キリトは答えたくなかった。
絶対に。
答えたくなかった。
ギズメルが静かに説明する。
「まず、リズが跳躍して大槌を叩き込み、我々の進路を妨害した」
「なるほど」
「その後、ピナという小竜が霧を発生させた」
「ほう」
「そして、こっこが……」
ギズメルが止まった。
「どうされた?」
「…………」
ギズメルの口元が震える。
アスナも口を押さえた。
キリトが叫ぶ。
「そこは説明しなくていい!!」
「なぜです?」
「いいから!」
しかし。
ギズメルは真面目だった。
「いや。敗因を正しく伝えることは重要だ」
「ギズメル!?」
「キリトと、こっこが一騎打ちになった」
闇エルフ達がざわめいた。
「一騎打ち!」
「黒の剣士と、あの奇妙な男が!」
「結果は!?」
キリトが少しだけ胸を張る。
「剣技では俺が――」
「こっこが巨大なハサミを取り出した」
「ギズメルぅぅぅ!!」
「ハサミ?」
闇エルフ達が首を傾げる。
「剣を挟んだ」
「…………」
「次にフライパンを出した」
「…………」
「盾として使った」
「…………」
闇エルフ達の顔がおかしくなってきた。
「その次は巨大なカッターナイフだ」
「なんなのだ、その男は……」
「俺が聞きたいよ!!」
キリトの魂の叫びだった。
ギズメルは続ける。
「最終的には、こっこの曲刀によってキリトが武器を落とされた」
「ディスアーム効果だ!」
キリトが必死に補足する。
「俺のミスじゃない! あの武器の特殊効果なんだ!」
「そして霧に包まれた」
「……それで逃げられたのですか?」
「いや」
ギズメルは首を横に振った。
「その後――」
キリトが青ざめる。
「やめろ」
「石鹸で――」
「やめろぉぉぉ!!」
アスナが吹き出した。
「ぷっ……!」
ギズメルも。
「ふっ……!」
闇エルフ達は意味が分からない。
「石鹸?」
「なぜ戦場で石鹸が?」
ギズメルが説明する。
「小竜が泡を吐いたのだ」
「それで?」
「我々三人、揃って転倒した」
沈黙。
そして。
「…………ぷっ」
誰かが吹き出した。
「笑うなぁぁぁぁ!!」
シヤーヤ村にキリトの絶叫が響き渡った。
◆
その後。
三人は村の一角で休息していた。
キリトは椅子に座り、腕を組んでいる。
「…………」
まだ悔しい。
猛烈に悔しい。
「剣なら勝ってた……」
ぽつり。
「俺の方が押してた……」
アスナが苦笑する。
「分かってるわよ」
「途中からおかしいんだよ」
「うん」
「ハサミは剣術じゃない」
「そうね」
「フライパンも剣術じゃない」
「そうね」
「カッターナイフなんて、もっと違う」
「そうね」
「最後は石鹸だぞ」
「…………」
アスナの肩が震える。
「笑うな!」
「あははははっ!」
「アスナぁ!」
ギズメルはそんな二人を眺めていた。
「だが――」
静かに口を開く。
「今回は我々の負けだ」
キリトが固まった。
「ギズメルまでそんなこと言うのか……」
「秘鍵を奪われたのだからな」
「……くっ」
正論だった。
何も言い返せない。
ギズメルは少し考えてから続ける。
「それにしても……妙な男だ」
「こっこ?」
「ああ」
ギズメルの表情が少しだけ柔らかくなる。
「正面から戦えば、お前の剣技が上だった」
「だろ!?」
キリトが食いつく。
「だが、あの男は最初から剣士としてお前に勝とうとはしていなかった」
キリトが黙る。
「秘鍵を奪い、仲間と共に逃げ切る。それだけを考えていた」
「……うん」
アスナも頷く。
ギズメルは小さく笑った。
「だから、使える物は何でも使ったのだろう」
「……フライパンまで?」
「フライパンまでだ」
「ハサミも?」
「ハサミもだ」
「石鹸も?」
「…………」
ギズメルの口元が緩んだ。
「石鹸もだ」
「くっそぉぉぉぉ……!」
キリトが頭を抱えた。
アスナはそんなキリトを見て笑う。
しかし。
彼女はふと、ギズメルを見る。
「ギズメル」
「なんだ?」
「あなた……変わったわね」
「私が?」
「前だったら、秘鍵を奪われたらもっと怒ってたと思う」
ギズメルは答えなかった。
しばらく。
遠くを見つめる。
「……そうかもしれんな」
森エルフと闇エルフ。
本来なら相容れない存在。
そして森エルフ側についた、こっこ達。
だが。
何度も争い。
追いかけ。
騙され。
剣を交えるうちに。
いつの間にか――。
ただの敵とは思えなくなっていた。
「次に会えば、また敵同士だ」
ギズメルは言った。
「秘鍵も取り戻さねばならん」
「うん」
「だが……」
少しだけ笑う。
「次は、あの男が何を出してくるのか見てみたい気もする」
アスナが笑った。
「私も」
キリトが勢いよく立ち上がる。
「俺は見たくない!!」
「えー?」
「次は道具を出させる前に決める!」
アスナがニヤリとする。
「できる?」
「やる!」
「またフライパン出てきたりして」
「出させない!」
「石鹸は?」
「絶対に食らわない!」
「おばけのシーツは?」
「それはアスナの担当だろ!」
「キリトくんっ!! 」
今度はアスナが真っ赤になった。
ギズメルが。
「ふふっ……」
笑った。
二人が同時に振り返る。
そして――。
キリトとアスナは顔を見合わせた。
やはり。
ギズメルは変わった。
ほんの少しだけ。
それが二人には、なんだか嬉しかった。
その頃。
遠く離れた《ダナエ村》では――。
「かんぱーい!!」
「秘鍵奪還に乾杯!」
「こっこ殿に乾杯!」
「ふははははは✨️」
盛大な祝宴が続いていた。
もちろん。
シヤーヤ村でキリトが、
「次は絶対勝つ!!」
と叫んでいることなど。
こっこは知る由もない。
ただ――。
なぜだか急に。
「……へっくし!」
「どうしたの?」
リズが尋ねる。
こっこは鼻をすすった。
「いやあ……誰かが僕の噂してるような気がする」
シリカが苦笑する。
「たぶんキリトさんですよ」
「おお✨️」
こっこは杯を掲げた。
そして、遥か彼方のシヤーヤ村へ向かって――。
「キーリトくーん!」
満面の笑顔。
「あーばよー♪」
リズの拳が飛んだ。
「もう煽るな!! 」