エンジニアのSAO Progressive ~NPCが売ってないなら作ればいい~   作:Edward

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58 自分の立ち位置は慎重に

第五層《カルルイン》。

 

迷宮区の探索が進み、いよいよフロアボス攻略が現実味を帯び始めた頃。

 

攻略組による会議が開かれることになった。

 

会場となったのは、主街区にある比較的大きな酒場。

 

長机をいくつも並べ、攻略組の主要メンバーが顔を揃えている。

 

「それじゃ、第5層攻略会議を始める」

 

進行役の言葉とともに、ざわついていた室内が静かになった。

 

いつもの攻略会議――。

 

……のはずだった。

 

しかし。

 

「…………」

 

キバオウは腕を組んだまま、じっと一点を睨んでいた。

 

その隣では、シヴァタも難しい顔をしている。

 

視線の先には――。

 

「お腹すいたなあ……」

 

「会議中よ 」

 

「何か食べながらでもよくない?」

 

「よくない!」

 

こっことリズ。

 

その横にはシリカとピナ。

 

少し離れた場所にはキリトとアスナ、エギルも座っている。

 

こっこ本人は、まるで緊張感がない。

 

だが――。

 

キバオウには、そう見えていなかった。

 

「……シヴァタ」

 

小声で呼ぶ。

 

「なんだ?」

 

「あいつら、今何人おる?」

 

シヴァタは少し考えた。

 

「……どこまでを『あいつら』に含める?」

 

「そこやねん」

 

キバオウの眉間に皺が寄る。

 

第一層では、ただの変わったプレイヤーだった。

 

料理を作り、武器を修理し、妙な道具を作っていた男。

 

第二層では職人たちが集まり始めた。

 

第三層ではクロスボウまで開発し、攻略組とは別系統の戦力を形成。

 

第四層では――。

 

船を造った。

 

しかも一隻ではない。

 

物流網まで作った。

 

そして今。

 

情報組織《MMOトゥディ》と業務提携。

 

シンカーが情報と組織運営。

 

ユリエールが財務と予算。

 

こっこが現場指揮。

 

そこへ各層で活動していたエンジニア、職人、商人、採取組、運搬組、情報屋などが繋がった結果――。

 

関係者は約千人。

 

シヴァタが静かに答えた。

 

「直接所属、協力関係、取引先まで含めるなら……千人近い」

 

「…………」

 

キバオウが固まった。

 

そして、ゆっくりこっこを見る。

 

当人はピナに干し肉をあげていた。

 

「きゅるる♪」

 

「内緒ね」

 

「見えてますよ、こっこさん」

 

シリカが苦笑する。

 

キバオウの頬が引きつった。

 

「なんであいつ、千人のトップみたいな立場でピナに餌やっとんねん 」

 

シヴァタも頭を抱えた。

 

「たぶん本人に自覚がない」

 

「それが一番怖いんや!!」

 

思わず声が大きくなる。

 

室内が静まり返った。

 

「?」

 

こっこが振り返った。

 

「どうしたの?」

 

「お前の話や!!」

 

「僕?」

 

「せや!」

 

キバオウが立ち上がった。

 

「議題追加や!」

 

どんっ、と机を叩く。

 

「第五層攻略以前に、確認しとかんとアカンことがある!」

 

アスナが眉を上げる。

 

キリトも嫌な予感を覚えたらしく、こっこを見る。

 

「……何だ?」

 

キバオウは指を突きつけた。

 

「こいつらや!」

 

「僕ら?」

 

「お前ら今、何人おるんや!」

 

こっこは首を傾げた。

 

「何人って……」

 

指を折る。

 

「僕と、リズと、シリカと……」

 

「違うわ!!」

 

即座にツッコミが飛んだ。

 

「組織の話しとるんや!!」

 

「ああ」

 

ようやく理解した。

 

「MMOトゥディと提携したから……千人くらい?」

 

さらり。

 

会場がざわめいた。

 

攻略組の中にも正確な規模を知らなかった者が多かったらしい。

 

「千人……?」

 

「そんなにいたのか?」

 

「攻略組より多くないか?」

 

「いや、戦闘職だけじゃないだろ」

 

「それでもヤバいだろ……」

 

キバオウが机を叩く。

 

「ほら見い!!」

 

こっこは困惑した。

 

「でも、別にギルドじゃないよ?」

 

「そこがもっとややこしいんや!!」

 

シヴァタが立ち上がる。

 

キバオウほど感情的ではない。

 

だからこそ、その言葉には重みがあった。

 

「こっこさん。俺たちはあなたを敵視したいわけじゃない」

 

「うん」

 

「むしろ、これまでの功績は認めている。生産職や攻略に参加できないプレイヤーに仕事を作ったことも、物流を整備したことも大きい」

 

こっこは黙って聞く。

 

「だが、問題は規模だ」

 

シヴァタは続ける。

 

「情報を持っている」

 

シンカー。

 

「資金を管理できる」

 

ユリエール。

 

「生産設備を持っている」

 

リズを始めとする職人たち。

 

「輸送手段もある」

 

第四層で整備された船舶と物流網。

 

「そして現場を動かす人間がいる」

 

全員の視線が――こっこへ集まった。

 

「…………」

 

こっこは自分を指差した。

 

「僕?」

 

「あなたです」

 

「ええー……」

 

リズが頭を抱える。

 

「今さら何言ってんのよ……」

 

シリカも苦笑した。

 

「こっこさん、ずっと現場の人たちから頼られてますよ?」

 

「僕、店のおっちゃんくらいのつもりなんだけど」

 

エギルが重々しく口を開いた。

 

「千人規模の店のおっちゃんは存在しねえよ」

 

「……そうなの?」

 

「そうだ」

 

即答だった。

 

キリトが口元を押さえている。

 

明らかに笑いを堪えていた。

 

アスナが小声で囁く。

 

「キリト君」

 

「ん?」

 

「笑い事じゃないわよ。秘鍵クエストで私たち、この人の組織力に何回振り回されたと思ってるの?」

 

キリトの笑顔が消えた。

 

「…………」

 

遠い目になる。

 

煙玉。

 

クロスボウ。

 

船。

 

ラット。

 

ピナ。

 

そして、意味不明な工具の数々。

 

「……議論を続けよう」

 

「逃げたわね」

 

キバオウが腕を組む。

 

「ワイらが心配しとるんはな、攻略組のバランスや」

 

攻略を主導する勢力が複数存在するからこそ、互いを牽制できる。

 

一つの集団が突出すれば、攻略方針そのものを左右できてしまう。

 

しかも――。

 

「お前んとこ、攻略組だけやないやろ」

 

「うん」

 

「鍛冶屋がおる」

 

「いるね」

 

「料理人がおる」

 

「いる」

 

「商人も情報屋も運搬屋もおる」

 

「いるね」

 

「エンジニアも山ほどおる」

 

「いるねえ✨️」

 

「嬉しそうに言うな!!」

 

キバオウの怒声が響いた。

 

そしてシヴァタが核心を突く。

 

「つまり、戦闘ギルドとは違う」

 

「……?」

 

「戦闘だけなら、まだ比較できる。だがあなたたちは、生活基盤そのものを持っている」

 

室内が再び静かになった。

 

これは確かに重い。

 

武力だけではない。

 

武器を作る。

 

修理する。

 

食料を供給する。

 

情報を集める。

 

物流を担う。

 

そして攻略組が進めば、その先に店と拠点を作る。

 

SAOという閉鎖世界において、それは単なるギルド以上の意味を持つ。

 

キバオウが低い声で言った。

 

「国やん」

 

「…………」

 

こっこが瞬きをした。

 

「いやいやいやいや」

 

両手を振る。

 

「違う違う! 僕、そんなつもりないよ!」

 

「知っとるわ!!」

 

キバオウが叫んだ。

 

「自覚ないから警戒しとるんや!!」

 

「ひどい 」

 

リズがため息をついた。

 

「でも否定できないのよね……」

 

シリカも頷く。

 

「こっこさん、『面白そうだから』で始めちゃいますから……」

 

「船とか」

 

「船ですね」

 

「クロスボウとか」

 

「クロスボウですね」

 

「ラット軍団とか」

 

「……あれは偶然じゃない?」

 

キリトがぼそり。

 

「一番怖いのは、本人が権力を欲しがってないことだと思う」

 

全員がキリトを見る。

 

「普通、大きなギルドなら目的がある。攻略トップを取りたいとか、ボスのLAを狙うとか、発言力を強めたいとか」

 

キリトはこっこを見る。

 

「でも、この人は違う」

 

こっこは干し肉を食べていた。

 

「面白そうなものを見つけると、勝手に走っていく」

 

「うん」

 

アスナが即答した。

 

「それで周りが巻き込まれて、気づいたら組織になってる」

 

「うん」

 

リズも即答。

 

「そして予算を使う」

 

「そこです」

 

ユリエールの声がした。

 

「!?」

 

こっこが硬直する。

 

いつの間にか会議室の入口にユリエールが立っていた。

 

「ユ、ユリエールさん……」

 

「お話は聞いていました」

 

にこり。

 

こっこの背筋を冷たいものが走る。

 

キバオウが初めて安堵した顔になった。

 

「おお……あんたが噂の予算担当か」

 

「はい」

 

「頼むわ」

 

キバオウは深々と頭を下げた。

 

「こいつ止めてくれ」

 

「善処します」

 

「なんで敵対ギルドみたいな人たちが意気投合してるの 」

 

こっこが泣いた。

 

エギルが肩を叩く。

 

「諦めろ」

 

そして会議は、ようやく本題へ戻る。

 

第五層フロアボス。

 

その攻略方法。

 

戦力配分。

 

偵察。

 

装備。

 

ポーション。

 

そして――ラストアタック。

 

しかし、この日の会議で攻略組が共有した最大の認識は、ボスの情報ではなかった。

 

《ALS》。

 

《DKB》。

 

二大勢力。

 

そして、そのどちらにも属さない――巨大な第三勢力。

 

戦闘を目的として生まれたわけではない。

 

支配を目指したわけでもない。

 

ただ、生き残るために人が集まり。

 

物を作り。

 

店を開き。

 

情報を交換し。

 

仕事を作り。

 

船まで造った。

 

その結果。

 

いつの間にか、攻略組ですら無視できない勢力になっていた。

 

その中心人物だけが――。

 

「ねえ、会議終わったら王家の墓でもう一回お宝探しに行かない?」

 

「行かないわよ 」

 

「こっこさん、封印したでしょう!? 」

 

「ちょっとくらい……」

 

「ダメです!!」

 

まったく自覚していなかった。

 

キバオウはその光景を眺めながら、ぼそりと呟いた。

 

「……シヴァタ」

 

「なんだ」

 

「あいつ、絶対監視しといた方がええで」

 

「同感だ」

 

二人の意見が、初めて完全に一致した。

 

第五層攻略会議。

 

――攻略組に、新たな議題が加わった瞬間であった。

 

《こっこをどうするか》。

 

なお本人だけは最後まで、

 

「なんで僕が議題なの 」

 

と納得していなかった。

 

 

会議は、こっこの組織規模という思わぬ議題で一度大きく脱線した。

 

しかし――。

 

笑っていられる話は、そこまでだった。

 

シヴァタが腕を組み、低い声で口を開く。

 

「……では、次の議題に移りましょう」

 

先ほどまでの騒がしさが嘘のように消えた。

 

キバオウも椅子に深く座り直す。

 

シンカーは手元の資料を閉じ、ユリエールも表情を引き締めた。

 

議題は――。

 

《フラッグ》。

 

次のフロアボスから得られる可能性がある、攻略組の勢力図そのものを変えかねないアイテムだった。

 

シヴァタが言う。

 

「問題は単純です。誰が取るかです」

 

「せや」

 

キバオウも頷いた。

 

「俺らが取るんか、あんたらが取るんか。それとも――」

 

キバオウの視線が、こっこへ向く。

 

「こいつらが取るんか」

 

「僕?」

 

こっこが自分を指差した。

 

「そうや!」

 

キバオウが机を叩いた。

 

「なんでそこで『僕?』になるねん!」

 

「いや、僕ら別にフラッグ欲しいって言ってないし」

 

「そこが一番怖い言うとるんや!」

 

「ええっ!?」

 

リズが頭を抱えた。

 

「……分かるわ」

 

「リズ!?」

 

シリカも申し訳なさそうに頷く。

 

「私も……ちょっと分かります」

 

「シリカまで!?」

 

シヴァタは苦笑しながらも、視線は真剣だった。

 

「こっこさん。あなたが欲しがっているかどうかは問題ではないんです」

 

「?」

 

「あなたの組織が入手する可能性がある。それだけで十分なんですよ」

 

攻略組には現在、大きく三つの勢力が存在する。

 

キバオウたち。

 

シヴァタたち。

 

そして――。

 

本人にまったく自覚がないまま巨大化してしまった、こっこたち。

 

「そういえば」

 

こっこが突然、思い出したように手を挙げた。

 

「さっき人数、千人くらいって言ったけど」

 

全員の視線が集まる。

 

「ちゃんと調べたら、千五百人いたよ」

 

沈黙。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

キバオウの眉間に青筋が浮かんだ。

 

「適当やな 」

 

「ごめん」

 

「五百人も誤差で増やすな!」

 

シヴァタも額を押さえる。

 

「それ、もう誤差って言わないですよ……」

 

シンカーが静かに補足する。

 

「正確には、提携組織、職人、物流担当、情報提供者まで含めて約千五百名ですね」

 

「ほら、僕の直属じゃないし」

 

「同じや!」

 

キバオウが即座に突っ込んだ。

 

ユリエールが冷静に付け加える。

 

「なお、現在も増加傾向です」

 

「増えとるやないか!!」

 

「僕、勧誘してないよ?」

 

「だから怖いんや!!」

 

しばらくキバオウの怒鳴り声が会議室に響いた。

 

だが――。

 

やがて再び、空気が重くなる。

 

シヴァタがフラッグの話へ戻した。

 

「……だからこそです」

 

全員が彼を見る。

 

「このアイテムをどこか一つの勢力が独占すれば、現在の均衡は崩れる」

 

誰も反論しなかった。

 

それがキバオウとシヴァタが、こっこを警戒する最大の理由だった。

 

こっこ本人に野心がなくても関係ない。

 

千五百人もの人間が関わる組織。

 

生産。

 

物流。

 

情報。

 

攻略支援。

 

そして戦闘要員。

 

そこへ強力なフラッグまで加わったなら――。

 

もはや二大ギルドと肩を並べるどころではない。

 

キバオウが腕を組んだ。

 

「悪いけどな、こっこ。俺はあんた個人を疑っとるわけやない」

 

「うん」

 

「けど、組織の頭が善人やったら安心、なんて話でもないんや」

 

シヴァタも頷く。

 

「力は、持っているだけで周囲を動かします」

 

こっこは少しだけ考え込んだ。

 

珍しく反論しない。

 

「……なるほどね」

 

そして、ぽつりと言った。

 

「僕がどう思っているかじゃなくて、周りからどう見えるかってことか」

 

「そういうことや」

 

ようやく話が通じた。

 

キバオウが小さく息を吐く。

 

しかし――。

 

もう一つ。

 

さらに厄介な問題が残っていた。

 

シヴァタが声を落とす。

 

「そして、もう一件」

 

机の上に一枚の資料が置かれた。

 

そこに記されていた二つの名前。

 

《ジョー》。

 

《モルテ》。

 

空気が変わった。

 

こっこの表情からも笑みが消える。

 

第五層地下。

 

こっこたち自身がモルテとジョーに遭遇している。

 

偶然と言うには、あまりにも出来すぎていた。

 

キバオウが険しい表情になる。

 

「……ジョーについては、俺も気になっとる」

 

「モルテは以前からキリトと接触してる」

 

こっこが言った。

 

「僕も地下で戦った。二人とも、普通の攻略プレイヤーとはちょっと違う」

 

リズが腕をさする。

 

「あれは……嫌な感じだったわ」

 

シリカも頷いた。

 

「モンスターと戦っている時とは違いました。最初から私たちを狙ってましたから……」

 

彼らが何を目的としているのか。

 

まだ誰にも断定できない。

 

だが――。

 

もし攻略組同士を争わせることが目的なら。

 

フラッグほど都合のいい火種はない。

 

キバオウとシヴァタ。

 

二大ギルド。

 

そこへ急速に成長した第三勢力。

 

三者が互いを警戒し始めれば――。

 

少し情報を流すだけでいい。

 

「あいつらが先にボスへ向かった」

 

「あいつらがフラッグを狙っている」

 

「あいつらが裏切った」

 

それだけで。

 

攻略組は内側から割れる。

 

シンカーが静かに言った。

 

「……これは、ボス攻略だけを考えていればいい状況ではありませんね」

 

「ああ」

 

キバオウが頷いた。

 

「むしろ誰がボスを倒すかより、誰かに勝手に倒させんことのほうが重要かもしれん」

 

こっこも頷いた。

 

「じゃあ決めよう」

 

全員を見る。

 

「年内は攻略しない」

 

シヴァタが確認する。

 

「全勢力、ですか?」

 

「うん。もう年末だしね」

 

ゲームの中とはいえ。

 

もうすぐ新しい年を迎える。

 

こんなデスゲームの中だからこそ、一日くらい戦わない日があってもいい。

 

キバオウも考えた末、頷いた。

 

「……ええやろ」

 

シヴァタも同意する。

 

「異論ありません」

 

シンカーも続く。

 

「こちらも了承します」

 

こっこが笑った。

 

「じゃあ決まり。次の本格攻略は――年越ししてから」

 

三勢力の代表者たちは互いに頷いた。

 

少なくとも。

 

この場にいる者たちは約束した。

 

抜け駆けはしない。

 

フラッグを独占するための先行攻略もしない。

 

次の攻略は年が明けてから。

 

――そのはずだった。

 

会議が終わる。

 

一人。

 

また一人。

 

プレイヤーたちが部屋を出ていく。

 

最後に扉が閉じた。

 

静寂。

 

そして――。

 

場所は変わる。

 

カルルインの薄暗い路地。

 

人通りのない建物の陰に、二つの人影があった。

 

「年明けから、だってさ」

 

くくっ。

 

小さな笑い声。

 

「仲良しだなぁ、攻略組は」

 

もう一人の男が壁にもたれる。

 

「だったら――」

 

口元が歪んだ。

 

「年が明ける前に、壊せばいい」

 

遠くから。

 

年末を祝うプレイヤーたちの声が聞こえてくる。

 

誰も知らない。

 

攻略組が束の間の休息を選んだ、その裏側で。

 

すでに次の一手が打たれ始めていることを。

 

そして。

 

彼らが争わないために結んだ約束そのものが――。

 

逆に、最大の隙を生み出そうとしていることを。

 

第五層攻略戦。

 

その本当の戦いは。

 

ボス部屋へ辿り着くよりも前から――

 

すでに始まっていた。

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