エンジニアのSAO Progressive ~NPCが売ってないなら作ればいい~   作:Edward

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92 道なき未知を往く

一方――。

 

こっこたちは、第九層東部に設けられた森エルフの野営地へと到着していた。

 

荒涼とした高山地帯の中に、そこだけが不自然なほど緑に覆われている。

 

背の低い木々。

柔らかな草。

風に揺れる葉の音。

 

つい先ほどまで、岩と雪と冷たい風しかなかった場所とは思えない。

 

リズ「……ここだけ別世界ね」

 

シリカ「本当に森があります……」

 

ピナ「きゅるるー♪」

 

緑を見つけて安心したのか、ピナが嬉しそうに木々の間を飛び回る。

 

こっこ「ランスロットさん。これ、どうやって作ったの?」

 

ランスロット「長老から預かったものだ」

 

ランスロットが取り出したのは、小さな苗木だった。

 

《万緑の苗》

 

森エルフの長老が所有する、いわゆる『おまじないアイテム』の一つ。

 

一本を地面へ植えるだけで、周囲の環境に左右されることなく、一定範囲に小さな森を作り出すことができる。

 

しかも一度限りの消耗品ではない。

 

役目を終えれば回収し、再び別の場所で使用することができるという、長老が代々受け継いできた財産だった。

 

こっこ「……こんなの持たせてくれたんだ」

 

ランスロット「ああ。長老から直々に預かった」

 

その意味は軽くない。

 

長老にとっても、この第九層で行われようとしていることは、それだけ重要なのだ。

 

こっこたちが森の中へ足を踏み入れる。

 

すると――。

 

視界の端に表示され続けていた《高山》のステータスアイコンが、すっと消えた。

 

こっこ「おおっ! 高山判定が消えた!」

 

リズ「なるほど。森そのものが安全地帯になってるんだ」

 

シリカ「じゃあ、ここでは《Oxygen Leaf》を使わなくても大丈夫なんですね」

 

ランスロット「そういうことになる。この地で長期間活動するためにも、野営地は必要だった」

 

休息を取った後。

 

こっことランスロットは、野営地の奥で改めて打ち合わせを行った。

 

周囲にいる森エルフたちを見ながら、こっこが少し声を落とす。

 

こっこ「……この人たちは、大丈夫なの?」

 

今回の目的は、単なる森エルフの任務ではない。

 

森エルフと闇エルフ。

 

そして、未だ所在すら分からないドワーフ。

 

三者に関わる、失われた魔法の復活。

 

情報が漏れれば、森エルフ内部の過激派がどう動くか分からない。

 

だがランスロットは、静かに頷いた。

 

ランスロット「ここにいる者は全員、私の直属だ。長年、共に戦ってきた者だけを連れてきた」

 

そして、はっきりと言い切る。

 

ランスロット「ここで交わされた話が、外へ漏れることはない」

 

こっこ「……そっか」

 

ランスロット「それに――」

 

彼の表情が険しくなった。

 

ランスロット「サーベントの周辺が、慌ただしくなっているらしい」

 

こっこ「……やっぱり」

 

ランスロット「奴らも何かを察しているのだろう。もし中途半端な情報が流れれば、長老とて無事では済まない」

 

最悪の場合。

 

長老自身が拘束される可能性すらある。

 

それほど森エルフ内部の情勢は、不安定になりつつあった。

 

だからこそ長老は――サーベントたちが大きく動き出す前に、ランスロットへ命じた。

 

信頼できる直属の兵だけを率い、第九層へ向かえ、と。

 

そして出立の直前。

 

長老はランスロットに、もう一つだけ言葉を添えていた。

 

――わしの想いも、お前と同じじゃ。

 

ランスロット「……長老も、この争いを終わらせたいと思っておられる」

 

こっこ「長老さん……一人で頑張ってくれてるんだね」

 

ランスロット「ああ」

 

短い返事だった。

 

だが、その声には強い決意があった。

 

ランスロット「そのためにも、この任務……しくじるわけにはいかない」

 

こっこも頷く。

 

ならば、こちらも立ち止まってはいられない。

 

こっこ「ランスロットさん。ドワーフについて、何か分かったことはない?」

 

ランスロット「……残念ながら、何も」

 

こっこ「じゃあ、儀式の地は?」

 

ランスロット「それも同じだ」

 

こっこ「…………」

 

第八層でもそうだった。

 

ドワーフについて尋ねても、手掛かりは皆無。

 

第九層に儀式の地が存在する。

 

分かっているのは、それだけ。

 

場所も分からない。

 

行き方も分からない。

 

そもそもドワーフがどこにいるのかすら分からない。

 

こっこ「……まずいな」

 

焦りが滲む。

 

ここまで来た。

 

六本の秘鍵もある。

 

森エルフも動いた。

 

闇エルフ側では、キリトとアスナがギズメルと共に動いている。

 

それなのに――。

 

最後の一片だけが、どうしても見つからない。

 

こっこは第九層の地図を開いた。

 

こっこ「北は迷宮区……」

 

指を動かす。

 

こっこ「東は、ここ」

 

森エルフの野営地。

 

さらに反対側へ。

 

こっこ「西にはキリト君たちがいる」

 

そして――。

 

指が止まった。

 

残された方角。

 

南。

 

地図上には、ほとんど情報がない。

 

こっこ「……南に行くしかない」

 

ランスロット「待て」

 

即座に制止された。

 

ランスロット「南方は、この階層でも特に標高が高い山々が連なる未開地域だ」

 

こっこ「……」

 

ランスロット「出現する魔物も強い。私たち森エルフにも、あの地域の情報はほとんどない」

 

ランスロットは険しい顔で南を見た。

 

遠くには、幾重にも重なる巨大な山々。

 

頂は雲に隠れ、時折、白い吹雪が山肌を覆っている。

 

ランスロット「情報がないまま踏み込むような場所ではない」

 

こっこ「うん……」

 

その言葉が正しいことくらい、分かっている。

 

第九層へ来て早々、高山デバフで酷い目にも遭った。

 

《Oxygen Leaf》という対策手段を手に入れたとはいえ、万能ではない。

 

まして南は、さらに標高が高い。

 

――それでも。

 

こっこは遠くの山々から目を逸らさなかった。

 

こっこ「でも……だからこそ、なんだよ」

 

ランスロット「?」

 

こっこ「北には迷宮区がある。東には森エルフがいる。西には闇エルフがいる」

 

もう一度、地図を見る。

 

そして南を指差した。

 

こっこ「なのに、南だけ何も分からない」

 

リズ「……まさか」

 

シリカ「こっこさん……」

 

こっこ「ドワーフが見つからないんだったら――」

 

地図を閉じる。

 

こっこ「まだ誰も調べてないところを、自分の目で確かめるしかない」

 

ランスロット「…………」

 

しばらく、ランスロットは何も言わなかった。

 

無謀だ。

 

情報もない。

 

危険度も高い。

 

そこに何かがあるという保証すらない。

 

だが――。

 

情報がないから行かない。

 

それでは、いつまで経っても情報は増えない。

 

こっこはストレージを開き、残っている《Oxygen Leaf》の数を確認した。

 

こっこ「酸素の葉がある間だけ探索する。残量が一定以下になったら、必ず引き返す」

 

リズ「……ちゃんと引き返すのよ?」

 

こっこ「もちろん」

 

リズ「怪しい」

 

シリカ「すごく怪しいです」

 

こっこ「信用ないなあ 」

 

ピナ「きゅる!」

 

こっこ「ピナまで!? 」

 

ほんの少しだけ、張り詰めていた空気が緩む。

 

だが、こっこはもう一度南を見る。

 

雲に覆われた、名も知らぬ山々。

 

地図には何も記されていない。

 

クエストマーカーもない。

 

ドワーフの情報もない。

 

儀式の地がそこにあるという証拠も――何一つない。

 

それでも。

 

こっこ「……探しに行こう」

 

こうして――。

 

何の手掛かりもないまま。

 

こっこたちは、第九層で最も危険な未踏地域。

 

南方山岳地帯へと足を向けることになった。

 

その先に何が待っているのか。

 

この時の彼らは、まだ知らない。

 

 

 

第九層――《ヒマラズ》。

 

こっこたちが森エルフの野営地を目指し、キリトとアスナが闇エルフの首都《リーンガルド》へ向かっていた頃。

 

攻略組は――。

 

完全に足止めを食らっていた。

 

ディアベル「……参ったな」

 

主街区《ヒマラズ》の広場。

 

ディアベルは腕を組み、目の前に広がる山岳地帯を見上げていた。

 

第九層攻略開始から、すでにかなりの時間が経っている。

 

それなのに攻略組は、まともにフィールドへ出ることすらできていなかった。

 

原因は、この階層特有の《高山デバフ》。

 

一定時間以上、高山判定のフィールドで活動するとステータスが徐々に低下する。

 

最初は軽い能力低下だけだが、そのまま戦闘を続ければ命中率、回避力、STR、AGIまで落ちていく。

 

攻略組にとっては致命的だった。

 

そして、ようやくアルゴが対策アイテムの情報を掴んだ。

 

《Oxygen Leaf――酸素の葉》。

 

噛んでいる間、高山デバフを無効化する消耗品。

 

問題は――。

 

アルゴ「売ってるのは、エルフの街なんだヨ」

 

キバオウ「……入れへんやないか!!」

 

そう。

 

攻略組の多くは、第三層から続くエルフ戦争キャンペーンを進めていない。

 

当然、エルフ勢力との友好度もない。

 

第八層に存在するエルフの街へ行ったところで、門前払いである。

 

今から第三層へ戻ってイベントを始めるなど、現実的ではない。

 

攻略組は、完全に詰んでいた。

 

――ところが。

 

数日後。

 

アルゴが一人の商人を連れてきた。

 

アルゴ「ようやく見つけたゼ。エルフから《酸素の葉》を仕入れられる商人ダ」

 

ディアベル「本当か!」

 

攻略組から歓声が上がる。

 

現れたのは、中国風の服を着た一人の商人。

 

サタンの装備やアイテム調達を担当している、あの商人だった。

 

彼は高い《商人》スキルとこれまで築いてきたNPCとの取引実績を利用し、エルフとの交渉に成功。

 

正規の雑貨屋とは異なる流通経路を作り上げ、《酸素の葉》を人間側へ卸すことに成功したのである。

 

商人はニコニコしながら露店を開いた。

 

商人「《酸素の葉》あるアルヨー。一枚――四百コルアル」

 

キバオウ「…………」

 

ピタッ。

 

攻略組の動きが止まった。

 

キバオウ「……今、なんぼ言うた?」

 

商人「四百コルアル」

 

キバオウ「ふざけんな!!」

 

広場中に怒声が響いた。

 

キバオウ「エルフの里では五十コルで売っとるんやろ!? なんで八倍になっとんねん!!」

 

商人「嫌なら他を当たるといいアル」

 

キバオウ「なっ……!」

 

商人「それか今から第三層に戻ってエルフイベントを始めて、森エルフか闇エルフと仲良くなって、八層までイベント進めれば雑貨屋で五十コルで買えるアルヨ」

 

キバオウ「できるかぁぁぁ!!」

 

商人「なら四百コルアル」

 

キバオウ「足元見やがってぇ……!」

 

商人は肩をすくめる。

 

キバオウ「お前には攻略組に協力しようっちゅう気概はないんか!」

 

商人「ないアルネ」

 

キバオウ「即答すんなや!!」

 

周囲の攻略組から、思わず笑いが漏れる。

 

しかし商人は、そこで少しだけ表情を変えた。

 

商人「攻略組の皆さんは、強い敵を倒すアル」

 

キバオウ「当たり前や!」

 

商人「敵を倒せば素材が出る。コルも出る。それを街へ持ち帰るアル」

 

商人は自分の露店を指差した。

 

商人「商人は、それを売る。買う。加工する人に回す。そこで儲けたお金を別の商品に投資するアル」

 

今度は鍛冶屋を指差す。

 

さらに宿屋。

 

料理屋。

 

アイテムショップ。

 

荷物を運ぶプレイヤーたち。

 

商人「そのお金が街を回って、装備になって、ポーションになって、食事になって、また攻略組のところへ戻るアル」

 

キバオウ「…………」

 

商人「攻略組だけがゲームを攻略していると思うのは――思い上がりアル」

 

辺りが静かになった。

 

ディアベルは何も言わなかった。

 

アルゴも珍しく口を挟まない。

 

攻略組が前線で戦えているのは、彼らだけの力ではない。

 

鍛冶師が武器を直す。

 

料理人がバフ料理を作る。

 

裁縫師が防具を作る。

 

情報屋が危険を調べる。

 

そして商人が、それらを繋ぐ。

 

誰か一人が欠けても、攻略は止まる。

 

キバオウ「…………言いたいこと言いおって」

 

商人「…………」

 

商人は少し考えた。

 

商人「確かに、ちょっと言い過ぎたアル」

 

キバオウ「……分かればええんや」

 

商人「三百九十コルにまけるアルヨ」

 

キバオウ「…………」

 

十コル。

 

キバオウ「……クソが!!」

 

アルゴ「ヒャハハハハ!」

 

ディアベルも堪えきれず吹き出した。

 

結局――。

 

攻略組は《酸素の葉》を大量購入した。

 

当然である。

 

買わなければ、フィールドにすら出られないのだから。

 

商人「毎度ありアルー♪」

 

キバオウ「覚えとけよ……」

 

商人「次回もご贔屓にアル♪」

 

キバオウ「二度と買うか!!」

 

――そして数十分後。

 

キバオウは予備の《酸素の葉》を追加購入した。

 

四百コルで。

 

◇

 

ようやく、攻略組が動き出す。

 

目標は迷宮区へ続く北方ルート。

 

だが、その途中には巨大な障害が存在していた。

 

荒涼とした岩山。

 

その上空を旋回する、無数の影。

 

クライン「……多くねえか?」

 

ディアベル「多いね」

 

石の身体。

 

鋭い爪。

 

巨大な翼。

 

《Gargoyle》。

 

そして群れの遥か上空。

 

ひときわ巨大な翼を広げる個体がいた。

 

フィールドボス。

 

《Elder Gargoyle》。

 

キバオウ「空飛ぶ敵かいな……!」

 

地上主体の攻略組にとって、極めて相性が悪い。

 

剣も槍も斧も――届かなければ意味がない。

 

だが。

 

ディアベル「準備はしてきた」

 

攻略組の後方から、ガチャリ、と金属音が響く。

 

クライン「おお……!」

 

プレイヤーたちが取り出したのは――。

 

《クロスボウ》。

 

第三層以降、エンジニアたちによって運用されてきた対空・遠距離武器。

 

通常の弓と違い、弦を引いた状態で保持できるため、射撃スキルの低いプレイヤーでも照準に集中できる。

 

そして今回は――数が違った。

 

一挺。

 

二挺。

 

十挺。

 

さらに後方にも並ぶ。

 

ディアベル「前衛は防御に専念! ガーゴイルが降下したところを受け止める!」

 

盾持ちのプレイヤーたちが前へ出る。

 

「了解!」

 

ディアベル「後衛! クロスボウ射撃準備!」

 

一斉にボルトが装填される。

 

ガチャン!

 

ガチャン!

 

ガチャン!

 

その音を聞いたかのように、上空のガーゴイルたちが翼を畳んだ。

 

一斉に急降下を始める。

 

クライン「来るぞぉ!!」

 

ディアベルは空を睨む。

 

距離――まだ遠い。

 

百メートル。

 

八十。

 

六十。

 

まだだ。

 

ガーゴイルの赤いカーソルが、はっきり見える。

 

四十。

 

ディアベルが片手を上げた。

 

「狙え!!」

 

クロスボウが一斉に空へ向けられる。

 

二十。

 

ガーゴイルたちが爪を広げる。

 

ディアベル「――撃てぇぇぇ!!」

 

バシュッ!!

 

無数のボルトが空へ飛び出した。

 

第一射。

 

数体のガーゴイルが撃ち抜かれ、空中で体勢を崩す。

 

そこへ――。

 

ディアベル「第二射!!」

 

バシュッ!!

 

さらに矢の雨。

 

翼を撃ち抜かれたガーゴイルが、次々と地面へ墜落していく。

 

キバオウ「落ちた奴から叩けぇ!!」

 

「おおおおお!!」

 

剣。

 

槍。

 

斧。

 

攻略組の本領は、ここからだった。

 

クライン「飛べなきゃこっちのもんだぜ!!」

 

着地に失敗したガーゴイルへ、クラインの刀が走る。

 

だが――硬い。

 

ガキィン!!

 

クライン「ってぇ! やっぱ石じゃねえか、こいつら!」

 

その横を、巨大な影が駆け抜けた。

 

エギル「だったら――」

 

両手斧を大きく振りかぶる。

 

エギル「石ごと叩き割ればいい!!」

 

ドゴォォン!!

 

豪快な一撃。

 

ガーゴイルの胴体へ叩き込まれた大型斧が、石の装甲ごとその身体を粉砕した。

 

クライン「うおおっ!?」

 

砕け散ったガーゴイルがポリゴン片へ変わっていく。

 

クライン「エギル! お前こういう奴と相性良すぎだろ!」

 

エギル「俺に回せ! 硬い奴は引き受ける!」

 

キバオウ「ほな、ワイらは翼狙いや! 飛べんようにしたれ!」

 

攻略組が即座に役割を変える。

 

クロスボウ部隊が翼を射抜く。

 

キバオウたちが着地した個体の翼や脚を狙い、機動力を奪う。

 

そして――。

 

動けなくなった敵へ。

 

エギル「おおおおおっ!!」

 

ズガァァン!!

 

大型斧が振り下ろされる。

 

一体。

 

さらに一体。

 

石造りのガーゴイルが、まるで採石場の岩のように次々と砕かれていった。

 

クライン「……あいつだけ別のゲームやってねえ?」

 

キバオウ「採掘ゲームやな」

 

エギル「聞こえてるぞ!!」

 

ディアベル「ははっ! でも、このまま行こう!」

 

戦況は攻略組へ傾き始める。

 

だが――。

 

バサァァァァッ!!

 

それまでとは比較にならない風圧が、山肌を叩いた。

 

プレイヤーたちが一斉に空を見上げる。

 

巨大な翼。

 

通常個体の倍以上はある石造りの巨体。

 

フィールドボス――。

 

《Elder Gargoyle》。

 

その周囲には、まだ十数体のガーゴイルが旋回している。

 

ディアベル「……ここからが本番だ」

 

クロスボウ部隊が再装填を始める。

 

ガチャン。

 

ガチャン。

 

ガチャン。

 

キバオウが剣を構える。

 

クラインが刀を抜く。

 

そしてエギルは、巨大な両手斧を肩へ担いだ。

 

エギル「ディアベル」

 

ディアベル「うん?」

 

エギルは空を見上げ、不敵に笑った。

 

エギル「あいつも落としてくれ。地面まで来れば――俺たちの獲物だ」

 

ディアベル「――頼もしいね」

 

ディアベルが剣を掲げる。

 

「クロスボウ部隊! 取り巻きより先にボスの翼を狙う! まずは奴を――地面へ引きずり下ろす!!」

 

「おおおおおおおお!!」

 

第九層の空へ、無数のクロスボウが向けられた。

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