エンジニアのSAO Progressive ~NPCが売ってないなら作ればいい~ 作:Edward
ランスロットは、誰にも告げず第八層の王都へと戻っていた。
正規の道は使わない。
湖岸の茂みから静かに水へ入り、そのまま湖底近くまで潜る。
水面に姿を晒さぬよう、ゆっくりと――。
だが、王都へ近づくほど、湖中にも警戒の気配が増していた。
水面の上を、巡回船の影が横切る。
一隻。
通り過ぎたと思った直後、別の船が反対方向から現れた。
ランスロットは息を殺し、湖底の岩陰へ身を伏せる。
船底が頭上を通り過ぎる。
櫂が水を叩く音。
衛兵たちの低い話し声。
「桟橋周辺を重点的に見ろ。侵入者は水路を使うかもしれん」
「安置所の警備も増やすべきでは?」
「まだ何も起きていない。だが、闇エルフが例の宝を奪いに来る可能性がある」
その言葉に、ランスロットの指がわずかに強く握られた。
すでに警戒されている。
予定よりも厳しい。
それでも、ここで引き返すわけにはいかなかった。
やがて巡回船が遠ざかる。
ランスロットは水面を見上げ、次の船が来ないことを確認してから、再びゆっくりと進んだ。
王都へと続く桟橋の下へ辿り着くと、杭に手をかけ、そっと水面から目だけを出した。
衛兵の姿を確認する。
一人。
だが、桟橋の先にはもう一人。
さらに城壁の上にも見張りが立っている。
ランスロットはすぐには動かなかった。
一人目が桟橋の向こうへ消えたあと、二人目が振り返る。
その視線が水面をなぞる。
ランスロットは杭の陰へ身を沈め、息を止めた。
衛兵はしばらく湖を見つめていたが、やがて背を向けた。
城壁の上の見張りも、反対側へ視線を移す。
今だ。
ランスロットは音もなく水から上がった。
濡れた衣服を絞る時間すら惜しい。
「……予定通りだな」
ここでも、こっこの作った潜入用のマニュアルが効果を発揮していた。
第八層攻略時、こっこ自身がこの王都へ入っている。
建物の配置。
衛兵の詰所。
城壁の死角。
巡回兵が通りそうな経路。
そして――秘鍵が保管されている場所。
ランスロットとの事前打ち合わせでは、当時の記憶と地図を照合しながら、考えられる侵入経路をいくつも洗い出していた。
『ここは見通しがいいから使わない方がいい』
『こっちは建物の陰が続いてる。夜ならたぶんいける』
『衛兵が配置されるなら、この交差点と、この階段。だから――』
ランスロットは呆れるほど細かい指示を思い出す。
「……本当に、妙なところで抜け目のない男だ」
そして今。
その予測は、ほとんど外れていなかった。
巡回兵が角を曲がる。
ランスロットは壁に背をつけ、足音が遠ざかるのを待った。
だが、完全に消えたわけではない。
遠くで別の足音が重なる。
巡回の間隔が、事前に聞いていたものより短い。
ランスロットは一瞬だけ迷った。
進めば、次の通りで鉢合わせする可能性がある。
戻れば、桟橋側の衛兵に見つかる。
ならば――。
彼は路地脇に積まれていた木箱を一つ蹴り、反対側へ転がした。
ガタンッ、と乾いた音が響く。
「何だ!?」
衛兵の声。
足音が木箱の方へ向かう。
その隙に、ランスロットは反対方向へ滑り込んだ。
次の衛兵が来る前に路地へ入り、城壁沿いを移動。
角を曲がる直前、彼は足を止めた。
前方に二人。
予定にはなかった配置だ。
ランスロットは壁際の排水溝へ身を伏せ、衛兵たちが通り過ぎるまで待つ。
一人が立ち止まった。
「……今、何か聞こえなかったか?」
「風だろう。安置所の警備を急げ」
二人の足音が遠ざかる。
ランスロットはようやく息を吐いた。
王都の構造を知り尽くした者のように、迷うことなく目的地へ近づいていく。
だが、警備の増加は明らかだった。
このままでは、帰り道がさらに厳しくなる。
それでも、今は進むしかない。
やがて――。
秘鍵の安置所へ辿り着いた。
問題はここからだった。
ランスロットは扉の前に膝をつく。
分厚い扉。
そして、見るからに複雑な構造の錠前。
当然、これを解錠するための正規の鍵など持っていない。
ランスロットは腰のポーチから、小さな工具を取り出した。
出発前。
こっこから渡されたものだった。
『ピッキングツール。こっちの世界でどこまで通用するか分からないけど、試す価値はあるよ』
ランスロットは細い工具を鍵穴へ差し込む。
慎重に内部を探る。
一つ。
二つ。
内部の機構を探って――。
その時、遠くから足音が聞こえた。
一人ではない。
二人、いや三人。
ランスロットは工具を止め、扉へ耳を寄せる。
「安置所の周囲を確認しろ」
「異常はありません」
「念のため、裏手も見ておけ」
巡回が近づいている。
時間がない。
「……駄目だな」
早々に見切った。
単純な錠ではない。
時間をかければ可能性はあるかもしれない。
だが、ここは警戒の中心。
一つの扉に何分も費やす余裕などない。
足音が、さらに近づく。
ならば――次だ。
ランスロットは、もう一つの包みを取り出した。
『こっちが駄目だった時用』
そう言ってこっこが渡した、小さな筒。
特殊火薬。
爆発するものではない。
着火すると、ごく狭い範囲に強烈な熱を発生させる。
『鍵穴そのものを焼き切る。かなり強引だけどね』
ただし――。
『煙と臭いが出る。使った瞬間から時間との勝負になるよ』
ランスロットは一瞬だけ筒を見つめた。
足音が扉の向こうまで迫る。
衛兵が角を曲がる気配。
「……最初からこちらでよかったかもしれんな」
迷わず鍵穴へ差し込んだ。
着火。
――ジュウウウウウウッ!!
凄まじい熱が錠前へ集中する。
金属が赤く染まり――。
溶ける。
白い煙が立ち上り、焦げた金属特有の臭いが辺りへ広がった。
当然。
「何だ!?」
「安置所から煙が出ている!」
「侵入者だ!」
ランスロットは溶け落ちた錠前を蹴り飛ばした。
扉が開く。
背後で衛兵たちが駆けてくる。
迷わず内部へ飛び込む。
そして――。
あった。
長く森エルフが守り続けてきた秘鍵。
ランスロットはそれらを一つ残らず回収し、ポーチへ押し込んだ。
「止まれ!」
背後から怒号が響く。
扉の向こうに衛兵の影が迫る。
ランスロットは一瞬だけ室内を見回した。
正面の出口は塞がれる。
ならば、こっこが示した別の通路へ。
彼は壁際の棚を押し倒し、隠されていた狭い通路へ身を滑り込ませた。
その瞬間。
鐘が鳴り響いた。
――カン! カン! カン!
「侵入者だ!!」
「安置所が破られたぞ!!」
ランスロットは走った。
ここから先は、隠密ではない。
脱出だ。
狭い通路を抜け、裏路地へ飛び出す。
だが、すでに王都中の衛兵が動き始めていた。
「東へ回れ!」
「桟橋を塞げ!」
「城門にも知らせろ!」
「闇エルフだ! 見つけたら絶対に逃がすな!」
次々と退路が潰されていく。
こっこが想定した脱出経路の一つ。
潰された。
二つ目。
そこにも衛兵。
ランスロットは足を止めず、角を曲がった。
正面から衛兵が現れる。
彼は即座に引き返した。
だが、背後からも足音。
挟まれた。
ランスロットは壁を蹴り、建物の屋根へ飛び上がる。
しかし――。
「いたぞ!」
弓兵がこちらを向く。
矢が放たれた。
ランスロットは身をひねってかわし、屋根の縁から飛び降りた。
着地した先にも衛兵。
前。
後ろ。
左右。
完全に囲まれつつあった。
「……ここまでか」
剣の柄へ手をかける。
できることなら同胞とは戦いたくない。
だが、捕まるわけにはいかなかった。
何より。
この秘鍵だけは――。
絶対に奪い返されるわけにはいかない。
衛兵の一人がランスロットへ近づく。
「顔を見せろ!」
別の衛兵が槍を構える。
「武器を捨てろ!」
ランスロットは周囲を見回した。
逃げ道はない。
剣を抜けば、ここにいる全員を斬り伏せることになる。
だが、ためらえば捕らえられる。
衛兵の手が、ランスロットの肩へ伸びた。
ランスロットが剣を抜こうとした――。
その瞬間だった。
――カッ!!
「ぐっ!?」
「目がっ!!」
夜の王都が、一瞬だけ真昼のように白く染まった。
閃光弾。
続けざまに――。
ボンッ!!
何かが地面へ落ちた。
猛烈な白煙が噴き出す。
「煙だ!」
「伏せろ!」
「侵入者を逃がすな!」
衛兵たちが混乱する。
ランスロット自身も、一瞬状況が理解できなかった。
「これは……」
知っている。
この手口を。
だが――。
なぜ?
その時。
腰に、ごく僅かな違和感が走った。
「……?」
ランスロットは反射的にポーチへ手を伸ばす。
そして目を見開いた。
「な――」
ない。
先ほど確かに入れたはずの――。
秘鍵が。
一本残らず消えていた。
「まさか……!」
白煙の向こう。
足音がした。
一歩。
また一歩。
衛兵たちも、その気配に気づく。
「誰だ!」
「そこにいるのは誰だ!」
煙の中から、一つの人影が現れた。
片手を上げ。
もう片方の手には――。
奪われたはずの秘鍵。
それも一本ではない。
三本全部!
ランスロットは呆然と、その男を見つめた。
「……こっこ殿?」
こっこはランスロットを見ない。
むしろ、衛兵たちによく見えるように堂々と秘鍵を掲げた。
そして。
王都中に聞こえるほどの大声で宣言する。
「秘鍵は――いただいた!!」
「なにっ!?」
「貴様!!こっこ殿か!?」
こっこはさらに秘鍵を高く掲げる。
隠れる気など、微塵もない。
むしろ逆だった。
顔を見ろ。
姿を覚えろ。
秘鍵を盗んだのは――この男だ。
そう言わんばかりに。
「秘鍵を盗んだのは俺だ!!」
ランスロットは、そこでようやく理解した。
こっこが自分に説明していた作戦は――途中までだったのだ。
ランスロットが無断で王都へ侵入した。
ランスロットが安置所を破った。
ランスロットが秘鍵を奪った。
そんな事実を残せば、たとえ計画が成功しても、後に必ず禍根となる。
だから――。
最後の最後。
すべての罪を、自分が持っていく。
人間のプレイヤーのこっこが秘鍵を奪った。
森エルフも闇エルフも関係ない。
ただ一人。
《こっこ》という、とんでもない盗人が現れた。
それだけの事件にしてしまうために。
こっこはニヤリと笑った。
「じゃあ皆さん!」
煙玉をもう一つ取り出す。
「鬼ごっこの時間ですよ!!」
ランスロットは絶句した。
「……そこまでが作戦だったのか……」
次の瞬間。
――ボンッ!!
再び王都を白煙が覆った。
ランスロットは、懐に手を入れた。
――ない。
先ほどまで確かにそこにあった、秘鍵を収めたポーチが消えている。
代わりに指先に触れたのは、一枚の紙だった。
「……?」
訝しげに取り出し、広げる。
そこには見慣れた文字で、こう書かれていた。
『ランスロットさんへ。
脚本変更しました。
カンペを入れたので、その通りにお願いします。
こっこ✌』
「………………」
ランスロットはしばらく無言で紙を見つめた。
それから、その下に書かれていた台詞へ視線を落とす。
そして――。
「……貴様、こっこだな。裏切るのかー」
棒読みだった。
恐ろしいほどの棒読みだった。
魂が一切こもっていない。
物陰に潜んでいたこっこが、一瞬固まる。
「…………」
だが、ここまで来たらやるしかない。
こっこは意を決して姿を現した。
「す、すまないランスロットくん! 事情が変わって、この秘鍵……私が使わせてもらう!」
棒読みだった。
ランスロットにつられて、こちらまで完全な棒読みになっていた。
「もうエルフ達の個人的な使用はさせない! 私が責任を持って、アインクラッドの為に使わせてもらう!」
「…………」
「…………」
二人の間に、何とも言えない空気が流れる。
少し離れた茂み。
そこに身を潜めていたリズベットは、額を押さえた。
「あの、アホ…… 」
「こっこさん……もう少し自然にできなかったんでしょうか…… 」
シリカも困ったように眉を下げる。
だが――周囲の衛兵たちに、そんな事情が分かるはずもない。
「侵入者だ!」
「秘鍵を奪われたぞ!」
「捕らえろ!!」
一斉に衛兵たちが動いた。
その瞬間。
「今!」
こっこが地面を蹴る。
同時に――。
「もうっ! 知らないわよ!」
「いきます!」
茂みの中で、リズとシリカが特殊なワイヤーを思い切り引いた。
こっこの身体に繋がれたワイヤー。
その先には、建物上部へあらかじめ仕掛けておいた滑車。
二人の力と、こっこ自身の跳躍が合わさる。
――ギュンッ!!
「うおおおおっ!」
こっこの身体が、一気に夜空へ舞い上がった。
「飛んだ!?」
「なんて跳躍力だ!」
地上の衛兵たちが驚愕する。
その声を聞いた瞬間――こっこの顔が輝いた。
「はーっはっはっはっ!」
高笑いまで始めた。
「カッコつけすぎよ、あの馬鹿!」
リズがワイヤーを操作しながら怒鳴る。
シリカは苦笑いした。
「以前から言ってましたからね……。怪盗みたいに敵の前へジャジャーンって登場して、そのまま華麗に逃げてみたいって…… 」
「馬鹿なの!? 」
その時だった。
「照明を!」
衛兵の号令と共に――。
パッ!
パパパパッ!!
複数の警戒照明が一斉に点灯した。
闇夜を切り裂く幾筋もの光。
そのすべてが、屋根の上に立つこっこへ集中する。
「うひょー!」
こっこのテンションがさらに上がった。
「あのアニメのオープニングみたい✨」
別に眩しくはない。
ゲーム内の照明なので視界阻害効果など存在しない。
にもかかわらず――。
こっこは片腕を顔の前へ掲げ、いかにも「眩しい!」という真剣な表情を作った。
「…………」
ランスロットが下から見上げている。
「…………」
何とも言えない顔だった。
そしてこっこは、隣の建物へ向かって走り出す。
「とうっ!」
屋根の縁を蹴った。
「次!」
「はい!」
リズとシリカがワイヤーを操作する。
今度は滑車を利用した振り子運動。
こっこの身体が大きな弧を描き――。
――ギュオッ!
「おおおおおっ!」
夜空を横切る。
「飛び移ったぞ!」
「追え!」
衛兵たちが地上を走る。
その遥か頭上。
月明かりを背に、大ジャンプするこっこ。
――完璧だ。
自分でも痺れるほどに。
これだ。
これがやりたかった。
怪盗。
華麗なる逃走。
夜の街。
無数の追っ手。
そして屋根から屋根へ飛び移る自分!
(か、かっこいい……!✨)
本人の中では、百点満点だった。
――その時。
ギッ。
ワイヤーが、途中に伸びていた木の枝へ触れた。
細く、敵から視認されにくい特殊ワイヤー。
しかしその代償として、擦れには弱い。
ギギッ――。
リズの顔色が変わった。
「……え?」
ブツンッ!!
「やばっ!!」
ワイヤーが切れた。
「あ」
こっこの身体が、それまでとは違う軌道を描いた。
建物ではない。
街の外側。
その先に広がっているのは――。
湖。
「こっこさん」
シリカが声を殺して叫ぶ。
「このままだと湖に――ピナ! お願い!!」
「きゅるりー!」
シリカの肩からピナが飛び立った。
猛烈な勢いでこっこを追いかける。
「ピナ、こっこさんを――」
「きゅるるるるっ!」
ピナが大きく息を吸い込んだ。
そして。
――ブオオオオオッ!!
風のブレス。
こっこの背中へ直撃した。
「うおおおおおおお!?」
飛距離が伸びた。
猛烈に伸びた。
シリカの顔が引きつった
「ピナ、違いますよぉぉぉ」
「きゅるっ!?」
ピナは「えっ?」という顔をした。
「加速させてどうするのよ」
リズの心のなかで響く。
こっこは夜空をものすごい速度で飛んでいた。
「うひょおおおおおおっ!!」
眼下には湖。
このまま水面へ激突すれば、洒落にならない。
「まずいまずいまずい!」
空中でメニューを開く。
装備変更。
足装備――。
《水蜘蛛》。
「間に合えぇぇぇっ!」
水面が迫る。
着水――。
その瞬間。
バシャンッ!!
「ふんっ!」
水面を蹴った。
一段!
バシャンッ!
身体が再び浮く。
「もう一回!」
二段!
バシャンッ!
さらに前へ。
「もういっちょおおお!」
三段!!
バシャアアンッ!!
三度の水切り。
その先には――事前に逃走用として用意していた小舟があった。
「船ぇぇぇぇぇ!!」
ドゴォン!!
華麗な着船――。
ではなかった。
ほぼ激突だった。
小舟が大きく揺れ、こっこは船底を何度も転がった。
ゴンッ!
「ぐえっ!」
ゴロゴロゴロ。
「きゅ~~~…… 」
仰向けになる。
しばらく星を見ていた。
だが。
その口元が、ゆっくりと緩んでいく。
「……でも……」
幸せそうだった。
「やった……」
満面の笑み。
「あのシーンみたいに……三段ジャンプ、できた✨」
――満足。
心の底から満足していた。
一方。
岸ではエルフの衛兵たちが呆然としていた。
「…………」
「…………」
「いま……水面を三回跳ねなかったか?」
「……あれは、人間なのか?」
誰もすぐには動けなかった。
その混乱に乗じて。
「今よ、シリカ!」
「はい!」
リズとシリカは茂みを抜け、一気に湖岸を駆ける。
ピナも慌てて二人を追いかけた。
「きゅるりー!」
「ピナ、あとで反省会ですよ!」
「きゅるっ!?」
そして――。
騒ぎの中心に残されたランスロット。
衛兵たちの視線が、ゆっくり彼へ集まる。
ランスロットは手元の紙を見た。
もう一度、カンペを見る。
そこには最後の一文。
『ここで悔しそうな顔をしてください。できれば拳を握ってください。 こっこ✌』
「…………」
くしゃっ。
紙を握り潰した。
これは演技ではなかった。
「……こっこぉぉぉぉぉ!!」
王都に響き渡る怒声。
遠ざかる小舟の上。
「おおっ! ランスロットさん、最後すっごい迫真の演技!✨」
「たぶん、そこだけ本気よ 」
「私もそう思います…… 」
「きゅる……」
こうして――。
秘鍵奪取作戦は成功した。
計画通りだった部分がどこまでなのかは、もはや誰にも分からなかった。