Free Companies Federation 作:ウラリンゴ
私は新人冒険者のサ・コルタ・テナ!
半年前に冒険者になったばっかりで、このFCに入ったのは超最近!
そして今、私は所属しているFCの依頼を終わらせて帰ってるところ!
隣には私の憧れの人、の部下のイゾルデさん。
依頼に不慣れな私の助っ人として今回の依頼に同行してもらったけど、なんか殆どこの人がやってくれた気がする。
ただ、無口なんだよね。
会話はするし、話も出来るんだけど時々何考えてるか分からない時があるんだ。
淡々と魔物を狩ってるの見てるとちょっと怖いし……。
とか考えてたらFCハウスに着いちゃった。
「ただいまで~す」
ゴブレットビュートにあるFCハウスは今じゃ私の家とも言える最高の場所!
中に入るとマスターとサブマスが居たけど、2人とも何か読んでる?
「ああ、2人ともおつかれさん」
サブマスのディートさんが答えてくれた!
そう!この人が私の憧れで、最強の冒険者!
私がザナラーンの奥地で魔物に襲われて動けない所を助けてくれた人!
「依頼、無事完遂しました。これが依頼報酬と完了証明書です」
イゾルデさんと一緒にマスターのラヴネルさんの所に行って報告をすると、なんか難しい顔でこっちを見てきた。
なんだろう、新聞紙?
この人たちこんなの読むんだなぁ。
「ありがとう。そちらに置いておいてくれると助かるわ」
報酬のギルと証明書を置くと、イゾルデさんがなんかそわそわしてた。
あぁ、やっぱ気になるよね。
私も気になるし、ちょっと聞いてみるか!
「ところで皆さんが読んでるそれって何ですか?」
思い切って聞いてみたら、肩にポンと感触が。
振り返るとイゾルデさんがこちらに向けてサムズアップしてる!
あなたそんな顔出来たんだ……。
「ああ……、これか」
紙をカシャカシャ振りながらディートさんが会話に加わってくれる。
はぁ~!聞いてよかった!
声、さいこぉ……。
「FCFの機関紙よ。The Union Heraldっていうの」
FCF?機関紙?
な、なにそれ。
ワタシ ムズカシイ コト ワカンナイ。
「えふ、しー、えふ?」
私の声で大体察したのかな。
ラヴネルさんとディートさんが顔を見合わせてる。
あ、やば。
「あなた、まさか……」
「ま、まて!時間が無かったんだ!俺は無実だ!」
あ~、いつもの流れかな。
ちょっと放置しとこっと。
この隙にラヴネルさんが持つ紙をチラ見してみると。
「の、めん?」
なんか難しい文字が書かれてるし、私じゃ読めないや。
でっかい文字の下にちっちゃい文字がいっぱい書かれてて、目が痛くなってきたし。
あ、声に出ちゃったかな?ディートさんの方を向いてた目がこっちを見てくる。
「罷免っていうのよ。ひめん」
「ひめん?って何ですか?」
も~よくわかんな~い。
文字をきちんと勉強してなかったのもあるけど、使ってる言葉が難しすぎるよ~!
「そうねぇ、何から説明しましょうか」
それをディートさんを見ながら言うのは止めてあげてよぉ。
あ、でもめっちゃ縮こまってるディートさんちょっと可愛いかも。
「ふぅ、しゃあない。無実を証明する前に仕事をこなさないとな」
え!?ディートさんが教えてくれるの!?
教えて教えて!もう手取り足取り全部教えてください!
「じゃ、まずはFCFについてだが。まずこの俺らのFCがFCFに所属してるのは知ってるか?」
めっちゃ首を横に振ると頭と耳が揺れまくって、めっちゃ痛い。
「そ、そこからか。まず、FCFってのはFree Companies Federationの略だ。ちょっと昔にとあるお偉いさんがFCを集めて作ったのが始まりだって話だ」
フリー・カンパニーズ・フェデレーションかぁ。
フリーカンパニー連合?同盟?って感じかな?あんまり知らないけど。
「今までFCってのはマスター1人で管理するものだったんだ。それが大変って事で、最初はFCの情報交流会的なモノだったらしいぞ」
ふむふむ。
マスターさんたちの憩いの場みたいな?
お茶飲んでお話合いする感じかな?
「そこから、管理上の問題や意思決定の難解さと負担軽減を目的にさらに上位の組織を作り上げて管理させようって話になったんだ」
う、うん?なんか難しくなってきた。
上の組織に管理させる?管理を楽にするために?なんで?
「む、分かってないな。要はマスター1人で決断するのは怠いから、みんなで一緒に決めてみんなの決断って事にしよう、ってことだ」
なるほど!
さすがディートさん!説明がお上手ですね!
「お、分かってきたかな?そこからこのFCFを作った人がマスター達が集まって決める場所を作ったんだ。これが、元老院だ」
ま、またなんか難しい言葉が出てきた。
げんろーいん?
でも、マスターさんたちが何かを決める場所らしい。
「この元老院はFCFに所属するFCマスターなら自動的に所属することになる。そこで紅茶を飲みながら聞き耳立てて俺たちをチラ見してるラヴネルも元老院に所属してるぞ」
あ、カップから水しぶきが。
え?でもマスターさんってそんな偉い人なの!?
お偉いさんじゃん!
「この元老院に所属するFCマスターを、元老院議員って言うんだ」
ほぉ~。知らなかった。
全然そんな感じには見えないけどね。
優しいマスターさんって感じ。
「元老院は、FCFの今後を決める大事な議会だ。そんでもって、色々役職もあるんだが」
おっと、ディートさんが途中で止めてこっちを見てる。
大丈夫ですよ~。
ちゃんとわかってますよ、はい。
「それが、元老院議長だ。これは議会の成立と正当性を担保する大事な役職で議長は元老院議員の中から選挙で選ばれる」
あ、ダメです。
わかりません~。
難しい言葉を使わないでぇ~。
「議長が居ないと議会が進まないってことよ」
マスタ~、ありがとうございます~!
ディートさんごめんなさい~。
頬っぺた掻いてるのを見るとなんだか謝りたくなってくる……。
「そういう事だ。ちなみに今回のこの紙に書かれてる事に関わるんだが、元老院にはもう1つ大事な役職があるんだ」
ペラペラしながらでっかい紙を持ってるディートさんは、一番表に書かれてる写真を見せてきた。
なんか、えらい軽そうな人だなぁ。
笑ってるのか、馬鹿にしてるのか……。
「この主席執政官は、元老院で決められたことを実行する人だ」
しゅせきしっせーかん?
めっちゃ長いし言いにくい言葉が出てきた!
でも説明が分かりやすかったですディートさん!
「うんうん、分かってるようで嬉しいぞ。で、今回この機関紙に書かれてるこいつが、めっちゃ悪い事をしたんだ」
な、なんか、説明の言葉が軽く無いですか?
いや、いいけど。助かるし。
でもなんか子供を相手にしてるような。
「それで、元老院を監視、あー見張るやつらがこいつをダメだぞ!って言ってるのが今の状態だ」
なるほどぉ~。
「その見張るひとって名前とかあるんです?」
私が頭に出てきた適当な質問を言ってみると、なんかディートさんは嬉しそう。
「よく聞いてくれた!そこで高慢ちきに紅茶を飲みながらちゃちゃ入れてくるマスターを監視する組織。その名も、評議会だ!」
ディートさん元気だなぁ。
後ろのマスターさんは怖くてとても見れないけど。
多分今を生きてるんですね!
「そこでバカっぽい面を晒しながらよだれを垂らして目の焦点があって無い男は評議会議員よ」
え!?
そうなの!?
ディートさんもお偉いさんなの!?
「期待してるところ悪いけど、評議会はFCF所属だったら誰でもなれるわよ。マスター以外だけど」
「全FCF冒険者の3%しかなれないんだぞ。しかも選挙だ」
めっちゃ凄いじゃん!
やっぱりディートさんは凄いんだ!
あれ?じゃあ、私もなれたりするのかな。
評議会議員、サ・コルタ?
「それって、私も……?」
「もちろん!あなたもなりたいなら立候補するといいわ。あなたにはその権利がある。ただ、かなりの競争になるわね」
うんうん頷くディートさんはめっちゃ自信満々って感じ。
そっかぁ。まあ私じゃ『int』が足りないからちょっと厳しいかもね。
「それで、そのしゅせきしっせーかんさんは何をしたんです?」
言った瞬間、2人の顔が曇った気がする。
ディートさんがラヴネルさんを見ると、ラヴネルさんもディートさんを見てた。
ディートさんがちょっとだけ首をフリフリすると、諦めたのかな、溜息ついちゃった。
「横領だ。だが、少々疑問が生じている」
おーりょー?
お金盗んだのかな。
それはダメだね。
「ふむ、いい機会だ。読んでみるか?」
えぇ~!
「読めませんよぉ~。文字全然分かんないですもん!」
うわ~ん。こんなことならちゃんと文字も勉強しとけばよかった~!
今からでも間に合うかな。
「心配するな。俺が教えるから。今日から文字の勉強もしような」
え!?うそ!?
ディートさんが教えてくれるの!?
やりますやります!めっちゃやります!
うぉ~!めっちゃ、やる気出てきた!!
今日から私は超int高い黒魔道士だよ!
え?イゾルデさんも一緒に?あ、いや、無言で迫らないで。
◆
【速報】FCF初の異例、主席執政官の罷免決定
第11代主席執政官レオニード・カルヴァート氏、横領を認める 問われる評議会の監査体制
本日未明、評議会は集中審議の結果、第11代主席執政官レオニード・カルヴァート氏の罷免を決定した。罷免決議は評議会議員の三分の二に達する賛成票308名をもって成立し、決定書が評議会議長から元老院議長へ正式に手交された。
主席執政官の罷免は、FCF憲章に定められた評議会の権限であるが、これまで実際に行使された例がなく、今回の決定はFCFの歴史において、極めて異例の事態となった。
発端は、カルヴァート氏による公的資金の不正利用を巡る疑惑であった。評議会は調査委員会を設置し、複数回にわたる査問会を通じて事実関係の解明を進めてきた。
なお、カルヴァート氏は査問会において自らの関与を認めている。
一方、調査の過程では、当初想定されていた個人の不正にとどまらない問題も明らかになった。
調査委員会の報告によれば、FCからの物資拠出を巡り、FCFで正式に制度化されていない現物拠出の慣例が長期にわたり運用されていた。拠出された物資の数量や申告価格には不一致が確認され、実際の価値と記録上の数値との差が、不正を可能にする一因となっていた疑いがある。(裏2面)
FCFは今、前例のない決断を経て、新たな局面を迎えた。事件の解明とともに、その教訓を組織の運営へどのように反映させるのか。元老院、評議会、そしてFCFに加盟する各フリーカンパニーの対応が注目される。