田舎少年が行く学園青春狂騒曲 厄ネタを添えて 作:ビスマルク
当然そんな不意打ちが理不尽が服を着ているようなこのジジイに通用するはずもなく俺もまた他のクラス名と同じように迎撃されて頭から突っ込み壁に穴をあけることになった。
「もはやこの光景も見慣れてきたわね……。この一週間でどれだけ見たのかしら」
リリィの言葉が胸に突き刺さる。このジジイに挑み敗北し続けてきた彼女を安心させるには勝利するしかないだろうが、今のところその目途どころかきっかけも見えていない。それだけこのジジイが理不尽な強さを誇っているということだ。
「大体100回くらいじゃないかな。あの鍛えられた筋肉が吹き飛ぶのは迫力があるよね。あまりにぶっ飛ばされ過ぎててもう驚きもなくなったけどさ」
「やっぱりアイツが一番ヤベェ奴なのでは?」
「いやちょっと待って。なんでユウキはヨルの筋肉見たことあるの。そんな機会なかったわよね」
「…………ちょっと、夜に外出たら偶然水浴びしてるところ見ちゃって」
ああ、あったあった。ここ一週間の濃密すぎる生活ですっかり忘れていたがユウキが興味本位で外に出た結果俺の水浴びシーンを見てしまい叫んだせいで夜中にモンスター討伐祭りが勃発したんだよな。まぁ夜目が利く以上俺達闇属性にとっては暗闇とはそこまでバッドステージではないが。
「ほれ、さっさと出て来い。話しが進まんじゃろがい。それと今日の襲撃も失敗して儂に負けたんじゃから儂の言うことに従えよ。今日は他寮の一年生代表に会ってこい」
「分かったから足どけろクソジジイ……!!!」
背後からの強襲は全て失敗。やはりこのジジイは後ろに目が付いているようなものだ。だがそれが分かれば攻め方も変わる。次は落とし穴を掘って潰してやる。5mくらいのデカい奴をだ。
「んでこの馬鹿だけだと心配だからラニアック、お前一緒に逝け」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぞ。我全一年生でペーパーテスト4位じゃぞ」
故郷の村ではやることがあんまりない上に村人達が長命種であるせいか物凄いのんびりしているのでよく時間が空くのだ。任される仕事もこう、期限が長いので。
その時間もあって村人達全員から色々と教え込まれた。魔法や数字やら古文やら、ひたすらに勉強したものだ。嫌いではなかったし村の人と交流することは好きだったので楽しい時間だったが。
「ヨルに成績で負けてるのはこの際いいとするわ。なんで頭いいのに学習しないの……?」
「だって真っ直ぐ行ってぶん殴る方が間違いなくあのジジイに負けを認めさせられるし。もうなりふり構わないで罠仕掛けてでも勝ちに行くけど」
頭がいいのとそれを選べることはまた別のことなのだ。俺が欲しいのは絶対的勝利であって、姑息な山賊が得るような勝利ではない。落とし穴はいいのかって?どうせ抜け出してくるから誤差だよ誤差。あのジジイが落とし穴程度でやれるわけない。どんな対処をしてくるかのデータ集めだ。その為ならば幾度の負けだって許容してやる……!!最後に俺が勝てればそれでいい……!!!!
「ルグ先生ー。俺この頭いい馬鹿と同類に見られるの嫌なんですけど。他の奴じゃダメなんですかー?」
「ふむ。そうかそうか。それは残念じゃなぁ……」
あからさまに嗤っているのが分かる。この後ジジイが何をするか手に取るようにわかる。間違いなく爆弾を投下して俺達の反応を見て嘲笑うつもりだ。この愉悦変態ジジイが……!!
俺ほどまだこのジジイ教師にぶっ飛ばされていない他のクラスメイト達はその反応を見て訝しんでいる。だが違和感を覚えているようで警戒を強めているのは流石と言えるだろう。
そんな中でこのジジイ教師は爆薬に炎属性の魔法をぶち込むような暴挙を行った。
「そういえば……他の寮には女子生徒が多いのう。性格に難のあるような奴や妄想癖やら収集癖のない、真っ当な女子生徒が」
「「「「「!!!!!?????」」」」
全員の身体が止まり、生命活動が行われているかも謎なほどの硬直を見せる。そこに叩き込まれるようにジジイ教師が更なる争いの種を投下した。
「この交流をきっかけに人間関係が広がるかもしれん。もしかしたらモッテモテのウッハウハになるかもしれんが……。だがまぁ嫌だというのならば他の奴に任せるしかないわいのう」
「はいはいはーい!!!俺!!俺が行きまーす!!!!」
「いやいや俺が行きますよ!!!代表だけに嫌な思いはさせねぇぜ!!!」
「一人ぼっちは寂しいもんな、いいよ、一緒に行ってやんよ」
「ふざけんな!!俺こそが代表の側近に相応しいんだよ!!!」
「テメェは明らかにヤベェのと一緒にいろよ!!!スネークコングの雌とか!!!」
醜い争いが勃発した。以前も行ったがこの闇寮一年は男子40人に対して5人の女子しかいない。要するに女に飢えているのだ。しかもこいつら全員モテ男志望でその為なら他のクラスメイトの足を引っ張ることをいとわない屑共である。
いやまぁ俺も俺を放置してコイツら屑共が恋人を作ったりしたら許せないので可能な限り邪魔して破談に持ち込む所存ではあるが。
そんな馬鹿共に対して一括したのは俺について行けと言われたばかりのテニアである。先程まで面倒くさくて拒否していたのだが女子に会えると分かった瞬間に手のひらをひっくり返した。
「うるせぇ!!!一番イケメンな俺が一番最初に彼女を作るんだよ!!!俺が青い性の春を過ごしてる時テメェらは灰の春でも過ごしてろ!!!」
「いっそ見てて清々しく感じるほどの理不尽な言い分だなこいつ」
コイツが俺の側近枠としてくるという事?それって相手からどんな目で見られるか分からないんだが。というかコイツ確かにイケメンだけど女すぐ捨てそうな顔してんだよな。なんというかこう、悪い男感が凄い。
「テメェふざけんなその顔をボコボコにへこませて俺達以下の顔にしてやろうか!!!」
「いやだが待て。ここは奴をサポートしてそこから女子生徒を紹介してもらうというルートはどうだろうか」
「成程、確かにその方が成功率は高そうだな……。奴が抜け駆けしようとすればその時処すればいいだけだ」
「つまり……他寮と交流を深くするために顔だけはいいラニアックを代表にした方がいい、と?」
この流れは見覚えがある。そしてここでの生活のおかげで大体こいつらがここから何をしようとしているかも分かる。静かに立ち上がりその時を待つ。俺が生き延びる為に先制攻撃を成功させられるように静かに準備をする。
「「「「「そう言うわけだ代表。悪いが死んでくれ」」」」」
「上等だクソボケ共が!!まずはテメェらを殲滅して後顧の憂いってもんを消してやるよ!!!」
こうして第一次大乱闘闇寮ブラザーズが始まった。女子達はいつの間にか退席して食堂にスイーツを食いに行ったらしい。既に放課後とはいえ彼女達も大分この闇寮に馴染んできたようで安心する。同級生達をちぎっては投げてちぎっては投げてを繰り返しながら俺はぼんやりそう思った。
ちなみに主人公のヨル君のステータスですがかつてダイスで振った結果です。
頭いいのに馬鹿なんですコイツ。
というか闇寮全体が基本的にステータス高いけど馬鹿の巣窟です。