Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
001
――発表まで、あと七日。
「タイトル画面ができた!」
モモイが振り向いた。黒い画面の真ん中で、白い文字が明滅している。
『タイトル未定』
「それ、昨日と同じだよね?」
「違うよミドリ。昨日は点滅してなかった!」
「ゲームの内容は?」
モモイは画面に向き直った。
カーソルも、返事を待つように点滅した。
ミレニアムの新作試遊会へ申し込んだ時には、七日というのはもっと長い時間に思えた。ゲーム開発部の机には、その長い時間を費やした没案が積み上がっている。
勇者。宇宙戦艦。百階建ての塔。宇宙戦艦になる百階建ての塔。
ミドリは紙の山から、まだ裏が白い一枚を抜き取った。端にはモモイの描いた竜の尻尾がはみ出している。壁の予定表には、試遊会の日だけ大きな赤丸が付いていた。ミドリはその丸を見上げ、紙を裏返して机の真ん中へ置いた。
「TSC2の続きなら……まだ、考えられるんだけど」
ユズがノートを閉じた。
「今度は違うのを作るって決めたじゃん。こう、コントローラーを握った瞬間から面白いの!」
「アリスは、みんなで遊べるゲームがいいです!」
アリスは机の下から、ケーブルが絡まった二つのコントローラーを引っ張り出した。
「一人がピンチになっても、仲間が助けてくれるゲームはどうでしょう!」
「いいね! じゃあ落とし穴いっぱいにしよう!」
「助けあう前に落とす方を考えないで、お姉ちゃん」
ユズが二つのコントローラーを受け取る。一方のケーブルをミドリがほどき、もう一方をモモイが引っ張った。結び目が締まった。
「ちょっと、引っ張らないで!」
「そっちこそ!」
アリスが結び目をのぞき込む。
「あっ! 二人とも、別々の方向へ進もうとしています…… これでは、パーティーが前に進めません!」
ユズは小さく笑った。それから、閉じたばかりのノートを開いた。
「違うことができる二人で……仕掛けを解いて進むのは、どうかな」
「協力パズル!」
「動かす楽しさもほしいな。ジャンプしたり、物を運んだり」
ミドリが言うと、モモイがペンを取り上げた。
『協力型パズルアクション』
ようやく、消さずに残しておける一行ができた。
「で、その二人って誰?」
沈黙。
「どんな仕掛けを解くの?」
もう一度、沈黙。
アリスが画面を見た。
「タイトルも決めなくちゃですね!」
そこへ先生が、お菓子をもって様子を見に来た。
次の仕事があるらしく長居はできなかったが、お菓子を摘みながらみんなの話を聞き、完成を楽しみにしてる旨を伝えて帰っていた。
扉が閉まると、モモイは椅子から立ち上がった。
「よし。楽しみにされたからには、作らないとね!」
「先にネタを探そう、お姉ちゃん」
ユズが保存ボタンを押す。
TITLE:NO DATA
GENRE:CO-OP PUZZLE ACTION
PLAYER 1:NO DATA
PLAYER 2:NO DATA
CORE:未確立
DESIGN:未着手
TEAM:未着手
空欄は多い。けれど、最初の一歩は踏み出された。
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