Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
モモイ「そうだ! ゲームセンターに取材に行こうよ! なにかアイデアが見つかるかも!!」
モモイは財布を高く掲げた。
ミドリ「ゲームセンターに行きたいだけじゃないの?」
モモイ「そうだけど、取材でもあるもん!」
ミドリは笑いをこらえながら、スケッチブックを鞄にしまった。
アリスは教室で配られたプリントを持っている。校内の旧実習棟で、廃棄予定の教材を自由に見学できるらしい。実際に触ることもできるようだ。
アリス「なにやら仕掛けがあるみたいです! 宝箱みたいです!」
ユズ「……部室にも、古い試作品ならあるよ」
ユズが戸棚を指さした。外へ行くのは、少し怖い。机の下の段ボールにちらりと目をやってから、入りたい気持ちを今日は抑えた。
今日は一か所に絞り、四人で出かけるか、試作品を囲むことにした。
朝からケイの姿が見えなかったが、今週は特異現象捜査部の用事で部室に来られないとのことで「徹夜はしないように」とだけ念を押して出ていった。
出かける前に、ミドリが鞄を下ろした。
ミドリ「待って。取材って、何を調べてくるの?」
モモイ「それはもちろん、面白いゲームの作り方!」
ミドリ「広すぎない、それ?」
モモイは不満そうに口を尖らせたが、机の没案を一枚取り上げた。竜を百体出す案だった。次の紙には竜が二百体と書いてある。数を増やすことしか思いつかないくらい、昨日の自分は行き詰まっていたらしい。
ユズ「二人で遊ぶ時って……自分が楽しいだけだと、だめなんだよね」
アリス「でも、ユズと一緒に遊ぶと楽しいですよ! アリスが負けそうな時も助けてくれます!」
ユズ「あ、ありがとう。でも、わたしが全部倒しちゃったら……?」
アリスは口を開きかけて、少し考えた。
アリス「それは……次は、アリスにも倒させてほしいです……」
モモイ「そう! 見てるだけじゃ、自分も強くなった気がしないんだよ!」
今度のモモイの声には、さっきより実感があった。ミドリは新しい紙の真ん中に、丸を二つ並べて描いた。遊ぶ人が二人いる、という意味の丸だ。片方だけが忙しい遊びにはしたくない。かといって、二人とも同じボタンを押していればいいのかというと、それも少し違う。
ミドリ「じゃあ、二人とも自分が役に立ったって思える遊び。今日はそれを探すのは?」
アリス「はい! アリスも活躍できるところを探します!」
ユズがノートを引き寄せ、丸の下へ小さく書き留めた。
モモイ「そこ、重要だから星五つね!」
モモイはユズの字の横へ、大きな星を五つ描き足した。
行き先の候補を比べてみる。
ゲームセンターなら、他の人が完成させた協力ゲームを、自分たちの手で遊んで確かめられる。ただし楽しく遊んで終わってしまう可能性もある。
旧実習棟なら、手で動かせる本物の仕掛けに触れる。それをどうゲームへ置き換えるかは、自分たちの仕事だ。
部室の試作品なら、その場で手を入れられる。ユズはその話になると、戸棚を見てから少しだけ視線を落とした。まだ誰にも遊んでもらっていないものを見せるのは、完成品を見せるより勇気が要る。
モモイ「どこでもいいよ。ユズのも、あとで絶対やりたいし!」
ユズ「う、うん。ちゃんと動くかは……分からないけど」
ミドリ「どこで止まるか分かるだけでも、取材になるんじゃない?」
アリス「アリスは三つとも調べたいです! 全部試せば、もっと面白いものが見つかります!」
その言葉に、モモイが紙を指した。
モモイ「今日は一つだけだよ!」
アリス「うう……寄り道クエストは、次に取っておきます」
笑い声で、出発前の緊張が少しほぐれた。四人分の時間を使う最初の取材だ。今日の一か所を、ここで決める。
▶ モモイとミドリの提案で、協力ゲームを遊びに行く [NODE 061]
▶ アリスの見つけた旧実習棟へ、仕掛けを見に行く [NODE 023]
▶ ユズの未完成プロトタイプを、部室で試す [NODE 039]