Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム   作:瑠璃色ゲンソウ

14 / 118
014

「最後に二人そろって帰れたら、こう言いたいです!」

アリスが画面を指す。ユズはその言葉を、終了画面の仮テキストから正式な台詞へ移した。

 

「これで、保存するね」

ユズが入力欄を確定した。

点滅していた仮の文字が、正式なロゴに置き換わる。

 

FINAL BUILD

TITLE:おかえり、相棒!

PLAYER 1:トコ/発明家

PLAYER 2:マモ/ロボット

BUILD:COMPLETE

CORE:未確立

DESIGN:要調整

TEAM:ACQUIRED/全体を共有

 

――翌日。ミレニアム、新作試遊会。

 

「『おかえり、相棒!』、遊んでいきませんか!」

モモイの声が会場に響いた。

ミドリがパネルを支え、アリスがコントローラーを差し出す。ユズは机の向こうで、起動した画面を見守った。

トコが工具鞄を揺らし、マモが大きな手を上げる。名前のある二人が、時計塔へ歩き始めた。

 

四人はよく動いた。迷った人にはアリスが説明し、ミドリが画面を示し、モモイが場をつなぐ。

ユズも、質問されるたびに小さく返事をした。

「みんなで作ったんだね。楽しそう」

そう言ってもらえるのは嬉しい。

ただ、遊ぶ側は同じくらい楽しめているだろうか。二人の役割は交互の作業になり、仕掛けの説明には何度も補足が要った。

アリスが感想用紙を大事にそろえた。

「次は、遊ぶ人たちもパーティになれるようにしたいです」

 

昼過ぎ、先生が展示を見に来た。机の前で足を止め、完成おめでとう、と四人へ声をかける。

「ありがとうございます、先生! みんなで完成させました!」

アリスが笑顔で答えると、先生はコントローラーを受け取り、最後まで遊んでいった。返す時に、楽しかったよ、と笑顔で言い添えた。

アリスはそれを見送り、次の人へコントローラーを渡した。

 

閉場が近づくと、四人は交代で少しずつ休んだ。モモイは飲み物を持って戻ってきて、ユズの隣へ一本置いた。

「喉、乾いてない? さっきの人に、けっこう長く説明してたでしょ」

「う、うん……聞いてくれたから」

ユズは容器を両手で持った。部室で三人へ説明するのとは違う。知らない人が自分の返事を待っている。そのたびに緊張したけれど、聞いてもらえるのは嬉しくもあった。段ボールは、部室に置いてきた。

ミドリは展示の写真を一枚撮り、すぐにもう一枚撮り直した。最初の写真には、ゲーム画面ばかりが大きく写っていたからだ。

「今度は、みんなも入って」

ミドリは端末を固定してタイマーを設定し、三人の隣へ回った。

アリスが嬉しそうに顔を上げた。モモイは飲み物を置き、ユズも少しためらってから画面の横へ寄る。仮の文字が点滅していた机とは違う場所で、名前の決まったゲームと四人が並んだ。

片付けの時、アリスは感想の紙を折らずに箱へしまった。いいことも、困ったことも書いてある。何度も遊んできた自分たちだけでは、気づかなかったことがあった。

「帰ったら、みんなで読んでいいですか?」

「もちろん。お菓子も出そう!」

モモイの返事に、ミドリがまず機材を戻してからねと付け加える。ユズは写真を見返し、小さくうなずいた。アリスは感想の箱を両手で抱えた。紙がずれないように持ち直してから、機材を運ぶ三人の後を追った。

 

帰りの部室で、モモイはノートを開いた。

「まず、次に直すところを決めよう」

「次の新作じゃなくて?」

ミドリが聞くと、モモイは少しむくれた。

「この二人、まだ面白くできるもん」

ユズが笑った。今度は空白のノートではない。アリスがそのページに、発明家とロボットの小さな絵を描き足した。

 

RESULT:悪くはないけど、惜しい

 

ゲーム開発部と『おかえり、相棒!』

END

 


 

▶ 別の道から、もう一度作ってみる [NEW GAME+/NODE 001]

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。