Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
モモイ「三、二、一、いま!」
ジャンプ。スイッチ。ジャンプ。
覚えた手順は正確だった。最後の扉を抜け、二人は同時に拳を上げた。
モモイ「よーし! これを新作にしよう!」
ミドリも、うなずきかけた。けれど、手が途中で止まる。順番を覚えてからの自分は、ただお姉ちゃんの合図に合わせてボタンを押していただけだ。それを二人で解いた、と言っていいのだろうか。
その違和感を言葉にする前に、画面がタイトルへ戻ってしまった。
ユズ「二人で順番どおりに進むゲーム、だね」
ユズはメモを取った。二人が互いに何を判断するのか、その欄だけが残った。
成功の音が消えても、モモイは口の中で操作の順番を繰り返していた。忘れないうちにメモを取らなければ。ミドリも画面を見上げたまま、足場が動いた数を指で数える。
モモイ「一回目で分かんなくても、練習したらできる。これ、大事だよね!」
ユズ「うん。できなかったことができるのは……嬉しいと思う」
アリス「はい! 最後のジャンプ、二人とも同時でした! アリスもやってみたかったです!」
その声に、モモイが空になった小銭入れをのぞいた。ミドリは首を振る。今日の予算は終わりだ。
モモイ「続きは部室で! 今度は私たちが作ったので遊ぼう!」
意気込みは本物だった。部室へ戻る道でも、ジャンプする位置とスイッチを押す順番を、モモイは身振りまで付けて説明した。アリスは真剣に聞いていたが、交差点で一つ質問した。
アリス「モモイ。途中で違う方に行ったら、どうなるのでしょう?」
モモイ「え? それはやり直しじゃない?」
アリス「アリス、気になる宝箱があったら見に行きたいです」
ミドリ「そっか。お姉ちゃんが数えてる間に、別のことをする人もいるんだ」
さっきの成功は、二人とも正解を覚えていたからこそだった。初めて遊ぶ人が何を見て、どこへ行こうとするかまでは、まだ分からない。
モモイは少し黙ってから、鞄からペンを出した。手近な紙に、丸を二つ並べて描く。
モモイ「でも、何ができるかは分かりやすくしたい。こっちは細かい仕掛けで、こっちは重いもの!」
ミドリ「じゃあ、片方は器用な小さい子で、もう片方は力持ちの大きい子だね」
アリス「アリスは力持ちの方を使いたいです! ……器用な方も、ちょっと気になります」
ユズ「交代できるようにしておこうか。試す時だけでも」
キャラクターの形については、次々に案が出た。モモイの走り書きが増え、ユズのメモにも実装できそうな操作が並ぶ。
みんなで話しているうちに、大きなロボットと、小さな発明家をキャラクターにすることが決まった。
絵にするのは部室に戻ってからだ。遊びに出た意味は、ちゃんとあった。
ただ、ミドリは最後に一行だけ、自分のノートへ書き足した。相手の合図を待っている時間に、何を感じるか。すぐに答えは出ず、その下に空白が残った。
モモイが振り向き、遅れている妹を呼ぶ。ミドリはノートを閉じて追いついた。いまはまず、あの二人組を絵にしてみたい。その気持ちは、四人とも同じだった。