Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
「小さく表示しても覚えてもらえる名前がいいと思って」
ミドリがロゴを描く。モモイはその横で、画面に出た文字の大きさを何度も変えて、小さくしても読めることを確かめた。
「これで、保存するね」
ユズが入力欄を確定した。
点滅していた仮の文字が、正式なロゴに置き換わる。
TITLE:ちいさなネジと、おおきな手
PLAYER 1:ネジ/発明家
PLAYER 2:テト/ロボット
BUILD:COMPLETE
CORE:未確立
DESIGN:要調整
TEAM:ACQUIRED/全体を共有
――翌日。ミレニアム、新作試遊会。
「『ちいさなネジと、おおきな手』、遊んでいきませんか!」
モモイの声が会場に響いた。
ミドリがパネルを支え、アリスがコントローラーを差し出す。ユズは机の向こうで、起動した画面を見守った。
ネジが工具鞄を揺らし、テトが大きな手を上げる。名前のある二人が、時計塔へ歩き始めた。
四人はよく動いた。迷った人にはアリスが説明し、ミドリが画面を示し、モモイが場をつなぐ。
ユズも、質問されるたびに小さく返事をした。
「みんなで作ったんだね。楽しそう」
そう言ってもらえるのは嬉しい。
ただ、遊ぶ側は同じくらい楽しめているだろうか。二人の役割は交互の作業になり、仕掛けの説明には何度も補足が要った。
アリスが感想用紙を大事にそろえた。
「次は、遊ぶ人たちもパーティになれるようにしたいです」
昼過ぎ、先生が展示を見に来た。机の前で足を止め、完成おめでとう、と四人へ声をかける。
「ありがとうございます、先生! みんなで完成させました!」
アリスが笑顔で答えると、先生はコントローラーを受け取り、最後まで遊んでいった。返す時に、楽しかったよ、と笑顔で言い添えた。
アリスはそれを見送り、次の人へコントローラーを渡した。
閉場が近づくと、四人は交代で少しずつ休んだ。モモイは飲み物を持って戻ってきて、ユズの隣へ一本置いた。
「喉、乾いてない? さっきの人に、けっこう長く説明してたでしょ」
「う、うん……聞いてくれたから」
ユズは容器を両手で持った。部室で三人へ説明するのとは違う。知らない人が自分の返事を待っている。そのたびに緊張したけれど、聞いてもらえるのは嬉しくもあった。段ボールは、部室に置いてきた。
ミドリは展示の写真を一枚撮り、すぐにもう一枚撮り直した。最初の写真には、ゲーム画面ばかりが大きく写っていたからだ。
「今度は、みんなも入って」
ミドリは端末を固定してタイマーを設定し、三人の隣へ回った。
アリスが嬉しそうに顔を上げた。モモイは飲み物を置き、ユズも少しためらってから画面の横へ寄る。仮の文字が点滅していた机とは違う場所で、名前の決まったゲームと四人が並んだ。
片付けの時、アリスは感想の紙を折らずに箱へしまった。いいことも、困ったことも書いてある。何度も遊んできた自分たちだけでは、気づかなかったことがあった。
「帰ったら、みんなで読んでいいですか?」
「もちろん。お菓子も出そう!」
モモイの返事に、ミドリがまず機材を戻してからねと付け加える。ユズは写真を見返し、小さくうなずいた。アリスは感想の箱を両手で抱えた。紙がずれないように持ち直してから、機材を運ぶ三人の後を追った。
帰りの部室で、モモイはノートを開いた。
「まず、次に直すところを決めよう」
「次の新作じゃなくて?」
ミドリが聞くと、モモイは少しむくれた。
「この二人、まだ面白くできるもん」
ユズが笑った。今度は空白のノートではない。アリスがそのページに、発明家とロボットの小さな絵を描き足した。
ゲーム開発部と『ちいさなネジと、おおきな手』
▶ 別の道から、もう一度作ってみる [NEW GAME+/NODE 001]