Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
固定具で重い方の取っ手を留めると、作業はずっと楽になった。
ミドリは写真を撮り、ユズが解除手順を記録する。実習教材としては、よくできていた。
アリス「これなら一人でもできますね!」
アリスが喜び、モモイが一瞬だけ首をかしげた。
モモイ「あれ、二人用の取材……まあ、道具って大事だし!」
そうしている間に、ミドリはペンを取り出していた。装置を動かす三人の姿を、手早く紙へ写していく。
ミドリのスケッチには、工具を持つ小さな発明家と、重い物を運ぶロボットが並ぶ。
役割は分かりやすい。順番に仕事をすれば、扉も開く。
ユズはそこまで書いて、ペンを止めた。固定具の代わりにロボットを置いただけなら、待っている方は何をしているのだろう。
その一行の横に、小さな丸を付けておく。
モモイは自分でも固定具を付け直してみた。最初は向きが逆で、取っ手を挟めない。ミドリに笑われて、すぐにひっくり返した。
モモイ「分かった! 使い方が分かれば簡単なんだね」
ユズ「うん。順番を覚えたら、一人でも繰り返せるようになってるんだと思う」
実際、次の一回は迷わなかった。固定具を留め、軽い方を動かし、噛み合う位置で止める。扉が開いた時、モモイは満足そうに両手を上げた。
アリス「モモイ、もう攻略したんですね!」
モモイ「まあね! 次はアリスもやってみて!」
アリスはうなずいたものの、一瞬だけ手が止まった。いままさに全部の手順を見たところだった。間違えないようにすることはできる。でも、どこを自分で考えればいいのかは分からない。
アリス「……同じように開けてみます」
今度も扉は問題なく開いた。アリスは嬉しそうに振り返り、それから、ずっと見ていたミドリへ場所を譲った。四人で来たのに、一人ずつ同じ実験をしている。
ミドリ「これ、道具を見つけるところからなら面白いかもしれないね」
モモイ「そう! 固定具を手に入れるまでが冒険!」
ユズ「ゲームの中で、どう使うかを探すのもできそうだね」
紙の上には、工具の種類が増え始めた。モモイは大きなハンマーを描きたがったが、ミドリは発明家の小さな工具鞄に入るものからにしようと言った。ロボットなら鞄ごと運べる、とアリスが提案する。
二人の見た目はまとまってきた。細かいものを扱う発明家と、重いものを運ぶロボット。その違いは、一枚の絵を見れば伝わりそうだった。
ただ、ユズのノートには、歯車を合わせている間のロボットの仕事が書けなかった。さっきの実験では、そこを固定具が支えていた。ロボットに同じことをさせたら、押した後はただ立っているだけになる。
その疑問を話すと、モモイは少し考え、まず一回作ってみようと言った。
モモイ「動くのを見たら、もっと思いつくかも。絵だけじゃ分かんないし!」
ユズ「うん。ここは、あとで確かめよう」
教材を片付ける時、アリスは一人で箱を持ち上げず、ミドリが歯車をそろえ終わるのを待っていた。ゲームの中でも同じようなやり取りが生まれるかどうかは、まだこれからだった。