Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
モモイは一部屋目の紙を、机の真ん中へ置いた。
モモイ「まずここ! これを見たら遊びたくなる、っていう部屋にしよう!」
ミドリ「だったら、この窓から光が入るようにしたいな」
ユズが背景を読み込む。まだ動かない大時計の前へ、発明家とロボットが並んだ。
アリス「アリスは、できたところから歩いてみてもいいですか?」
ユズ「うん。少し待ってね。いま、動くところを入れるから」
モモイも画面へ顔を寄せた。紙で見ていた時計塔を、自分の手で歩けるようになる。その瞬間を見逃したくなかった。
豪華に仕上げた部屋は、机の反対側から見ても目を引いた。ロボットが歩くと床の歯車が回り、窓から入る光が発明家の工具鞄へ反射する。
ミドリ「ここ、影を入れてよかった……!」
モモイ「でしょ! すごくゲームっぽくなった!」
アリス「もうゲームです、モモイ! アリスはいま、冒険の途中です!」
ユズも笑った。まだ作るものは残っているが、完成した姿を一つ見られたことが嬉しかった。四人はしばらく、同じ部屋で二人を歩かせた。
別の部屋へ持っていこうとした時に、最初の問題が見つかった。背景の飾りと足場を一緒に動かしていたため、扉の位置を変えると歯車までずれてしまう。
ユズ「……ここ、別々にしておけばよかった」
ミドリ「絵、分け直すね。少し待って」
モモイ「その間に、私は次の部屋を考える!」
勢いを失いたくなかった。だからそれぞれがすぐに手を動かした。けれどミドリが絵を直し終わる頃には、モモイの考えた配置が最初とは違うものになっていた。
ミドリ「そこに置くなら、もう少し横に長く描かないと……」
モモイ「あ。……じゃあ、扉を戻す?」
ユズは二つの案を見比べ、いま使える方を選んだ。作り直せば全部できるかもしれない。でも、その時間をどこから出すかは決まっていなかった。
アリスは出来上がった部分から順に遊んだ。綺麗だと思う場所と、どちらへ行けばいいか迷う場所を、別々に伝える。
アリス「この光は好きです! でも、光っている方が出口かと思って行ってしまいました」
ミドリ「そっか……光の向きも、案内になるんだね」
直したいところが一つ増えた。ユズは予定表を見て、試遊の欄を後ろへ移す。自分たちでは最後まで動かせる。初めての人にどう見えるかを確かめる余裕が、少なくなっていた。
モモイは最初の部屋の画像を残し、次の作業へ戻った。この一枚を見て遊びたいと思う人はいるはずだ。そう信じているから、簡単には手放せない。
ミドリも、その気持ちは分かった。だからこそ、見に来た人が途中で困らないようにしたかった。確認の印がまだ付いていない三部屋を、四人はもう一度画面に並べた。
アリスは綺麗な一部屋の画像と、三部屋をつないだ画面を見比べた。
アリス「同じ時計塔なのに、見せるところで違って見えますね」
ユズはうなずいた。画像だけで伝わる良さと、遊んで初めて分かることがある。明日の作業では、その二つをできるだけ近づけたいと思った。