Blue Archive Fam-made Gamebook ゲーム開発部と未完成のゲーム 作:瑠璃色ゲンソウ
モモイ「見て! このカットから鐘が鳴って、タイトルがドーン!」
ミドリ「名前、まだないよ」
モモイ「そこはいまから!」
モモイの紹介映像は勢いがあった。ミドリの展示パネルは、一目で操作が分かる。
ただ、映像はロボットの活躍ばかりで、パネルは発明家の説明が大きい。
アリス「どっちも主役なのに……」
ユズは二つを交互に見た。同じゲームのはずなのに、紹介の仕方が違う。
モモイは映像を短くするのを嫌がり、ミドリも絵を小さくしたくなかった。
モモイ「順番に見てもらえば、どっちも使えるよ」
ミドリ「一緒に見た時の形から考え直す方が……」
残り時間は少ない。
展示の机を模して、部室の机の上を空けた。そこへパネルと画面を並べると、モモイの映像が大きく場所を取った。
ミドリ「これだと、こっちの絵が見えないんだけど」
モモイ「でも、最初に動いてるものが見えた方が、立ち止まってもらえるじゃん!」
アリスは入り口へ戻り、初めて来たつもりで近づいてみた。ロボットが大きく跳び、鐘が鳴る。確かに目は引かれる。
アリス「すごいです! ……でも、発明家はどこでしょう?」
モモイ「映ってるよ、右の方!」
ミドリ「小さすぎるってことじゃない?」
モモイは映像を止めた。発明家はいる。ただ、最初から二人を知っている自分でないと気づかないかもしれなかった。
ミドリのパネルにも別の偏りがあった。細かい仕掛けを説明するために発明家を大きく描いた結果、ロボットは下の方で物を持っているだけに見える。
ユズ「これ、一人用だと思う人もいるかな……」
ミドリ「二人用って書いてるよ」
ユズ「うん。でも、絵だけ見た時に……」
ミドリは口を閉じ、パネルを少し離して見た。自分が描きたいところへ目が行くのは当たり前だった。その見方を、来た人もしてくれるとは限らない。
アリスは二つのコントローラーを並べた。
アリス「二人で持っている絵もあったら、分かるでしょうか?」
モモイ「それもいいね! だったらゲームの二人も……」
ミドリ「待って。いまから全部描き直すのは無理だよ」
残り時間を考えると、二人とも自分の仕事を崩すのは怖かった。
モモイ「……一緒に見せるって、私の映像を短くするってことでしょ」
ミドリ「私の絵も小さくなるよ」
ユズは操作画面を開いた。展示用に新しいことを作る余裕はない。いま遊べるものの中から、何を見せたいか決める。
モモイが映像を巻き戻し、ミドリはペンを持った。アリスはもう一度入り口へ立つ。来た人に最初の十秒で何を見てもらうか、四人で考え直すところだった。
ミドリは使わない絵を入れるフォルダも開いておいた。消すのではなく、今回の展示から外すだけなら、少し決めやすい。
モモイ「あとで使えるように残すのは、ありだよね」
ユズがうなずいた。アリスは再生待ちの画面を見ている。次に流す映像で、何が伝わるのか楽しみにしていた。
▶ 二人の受け渡し場面を中心に、紹介を組み直す [NODE 032]
▶ 映像とパネルを別々に仕上げ、両方の魅力を残す [NODE 044]