暗律の戦乙女は盤上を覆すが故、己が未来を選ぶ   作:カミッシー

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第42話 三つの選択肢

 

 

 砂漠の禁忌迷宮から戻ったハイセ達は、その日のうちにハイベルグ王国へ帰還した。

 

 八岐大蛇から回収した超抜級の宝玉、《草薙の剣》をはじめとした未知素材は最低限の記録だけを済ませ、世界間ゲートを通じてアスタリスクへ送られる。ハイベルグ側との取り分については既にバルバロスとディルクの間で大枠が決められており、王国側にも十分な量の素材が残された。

 

 しかし、一つの禁忌迷宮が終われば、もう一つが待っていた。

 

 クラン【セイクリッド】が挑むのは、西方の極寒地フリズドに存在する《ディロロマンズ大塩湖》。サーシャ達にとっては、ハイセが砂漠側を攻略したからといって予定を変える理由にはならなかった。

 

「手伝おうか?」

 

 出発準備の最中、ハイセは何気なく尋ねた。

 

「いらない」

 

 サーシャの返答は早かった。

 

「即答だね」

 

「これは【セイクリッド】の冒険だ。お前はお前の仲間と自分の道を進んだ。なら、私も私の仲間と進む」

 

 ハイセは少しだけサーシャを見つめた。

 

 以前なら、意地を張っているのかと思ったかもしれない。だが、今の言葉にはそれだけではないものがある。

 

「そっか」

 

「ああ」

 

「じゃあ気をつけて」

 

「……それだけか?」

 

「止めてほしいの?」

 

「そういう意味ではない!」

 

 サーシャは少しだけ不満そうにしたが、結局それ以上は何も言わなかった。

 

 ハイセが自分の決断を否定しなかった。

 

 それだけで、今は十分だった。

 

 

「私も行くわ」

 

 プレセアが告げたのは、その翌日だった。

 

 砂漠の禁忌迷宮で試した煌式武装の長期運用データを取りたい。短時間の戦闘では分からない摩耗、環境変化への適応、長期間使用した際の使い手の成長を記録するには、大塩湖ほど都合のいい場所もない。

 

 カミラも最初は難色を示したものの、プレセア本人の意思を確認すると最終的には許可した。

 

『ただし、深部では世界間通信が切れる可能性が高い。【雛形】との同期は入口までだ』

 

「中では?」

 

『ローカルクライアントだけで学習を続ける。帰還後、差分データを中央へ統合する』

 

「分かったわ」

 

『それと、試作機を壊しても構わない。自分の命を優先しろ』

 

「ええ」

 

『本当に分かっているな?』

 

「カミラって心配性なのね」

 

『お前達が心配させるんだ!』

 

 砂漠組と行動して、プレセアにも既に分かっていた。

 

 この研究者は、怒鳴っている時ほど心配している。

 

「プレセア」

 

 ハイセが声を掛けた。

 

「何かしら?」

 

「持っていってほしい物がある」

 

 差し出されたのは、一つではなかった。

 

 長方形のケースが三つ並んでいる。

 

「……三つ?」

 

「うん」

 

 最初のケースには、二挺一組の煌式武装が収められていた。

 

「『双機関銃型』。大勢を相手にする時とか、距離を取って戦いたい時用」

 

 二つ目。

 

「《ルインシャレフMARK-2》。こっちは違う状況に対応するために調整してある」

 

 そして三つ目。

 

 最も新しい設計の武装を、ハイセが取り出す。

 

 通常時は一本の剣に見える。しかし刀身はいくつかの区画へ分割され、起動時には限定的な範囲でのみ各節が可動する構造になっていた。

 

「《ヘルスーピオン》」

 

「これが新型?」

 

「うん。《蛇剣オロロムント》の可動構造を参考にした。でも、あれみたいに全部自由に動くと量産向きじゃないし、使う側も危ないから可動域を絞った」

 

 プレセアが興味深そうに刀身を見る。

 

「普通の剣としても使えるのね」

 

「基本はそう。必要な時だけ軌道を曲げられる」

 

「なるほど……それで三種類を、状況によって使い分けろと?」

 

「試してほしい」

 

「…………」

 

 プレセアは三つの武装を見る。

 

 そして、ハイセを見る。

 

「あなた、本当にそれだけでこんな物を渡すのね」

 

「それ以外に何かある?」

 

「いいえ」

 

 プレセアは少し笑った。

 

「もう慣れてきたわ」

 

 少し離れたところで、サーシャが無言でこちらを見ていた。

 

 

「でも」

 

 プレセアが《ヘルスーピオン》をケースへ戻しながら首を傾げた。

 

「三種類を戦闘中に切り替えるという考え方は、どこから思いついたの?」

 

「綾斗」

 

「…………」

 

 遠くで。

 

 何かが凍った。

 

「また天霧綾斗なのね」

 

「前に刀藤綺凛と戦った時の記録をくれたんだ」

 

「戦闘記録?」

 

「うん。『役に立つかな?』って」

 

 ハイセはそう言ってから、少しだけ視線を逸らした。

 

 その時のことは、今でもよく覚えている。

 

 天霧綾斗は本当に何の裏もなく、一本のデータ端末を差し出してきた。

 

『以前、刀藤さんと戦った時の記録なんですけど。途中で武装を切り替えて戦った場面があって……ハイセなら何かに使えるかなと思って』

 

『……俺に?』

 

『はい』

 

『…………』

 

『どうしました?』

 

『いや、その……ありがとう』

 

 受け取ったハイセは、何故かまともに綾斗の顔を見られなかった。

 

『……大事にする』

 

『戦闘記録ですよ?』

 

『うん』

 

『そんな大事そうに受け取らなくても……』

 

 綾斗自身は最後まで困惑していた。

 

 その日のうちに記録は三重にバックアップされた。

 

 一つは研究用。

 

 一つは【雛形】内部。

 

 そして最後の一つには、何故か。

 

PERMANENT PRESERVATION

 

 というタグが付けられた。

 

「家宝だから」

 

「戦闘記録を家宝にするな!!」

 

 サーシャの声が飛んできた。

 

「聞いてたの?」

 

「聞こえる!!」

 

「何で怒るの?」

 

「戦闘記録を貰っただけだろう!」

 

「うん」

 

「なら何故そんなに大事そうにする!?」

 

「綾斗がくれたから」

 

「そこだよ!!」

 

 プレセアは口元を押さえた。

 

「ふふ……」

 

「何?」

 

「何でもないわ」

 

「笑ってるよね?」

 

「女の子らしくなったと思っただけよ」

 

「俺、今は女だけど」

 

「そういう意味ではないわ」

 

 サーシャの眉間の皺が、また一本増えた。

 

 

 数日後。

 

 極寒のフリズドを経て、《ディロロマンズ大塩湖》へ辿り着いた【セイクリッド】は、必要な物資を揃えて迷宮内部へ踏み込んだ。

 

 サーシャ、レイノルド、タイクーン、ロビン、ピアソラ。そして臨時同行者のプレセア。

 

 入口付近までは中央【雛形】との接続が維持されていたが、深部へ進むにつれて通信状態は悪化していった。

 

CENTRAL LINK:UNSTABLE

 

LOCAL LEARNING MODE:ACTIVE

 

「ここから先は、この子だけなのね」

 

 プレセアが携帯端末を見る。

 

 返答の代わりに、三種類の武装が表示された。

 

AVAILABLE WEAPONS:3

 

USER DECISION SUPPORT:ACTIVE

 

 最初に現れたのは、硬い塩の殻のような外皮を持つ小型魔獣の群れだった。

 

 二十。

 

 三十。

 

 さらに奥から増える。

 

RECOMMENDED:DUAL MACHINE GUN TYPE

 

「まずはこれね」

 

 プレセアが二挺を抜く。

 

 煌式武装が起動し、連続した光弾が通路へ走った。前列を牽制しながら足を止め、ロビンの矢とタイクーンの魔法がその隙間へ撃ち込まれる。

 

「右から来るぞ!」

 

「見えているわ!」

 

 サーシャが声を上げるより早く、プレセアは片方の銃口を右へ向けた。

 

 撃破より制圧。

 

 倒すことに拘らず、【セイクリッド】が戦いやすい形へ敵を押し込む。

 

「悪くないな」

 

 レイノルドが笑う。

 

「むしろ便利すぎるだろ、それ!」

 

「ハイセが作ったの?」

 

 ロビンが聞く。

 

「ええ」

 

「…………」

 

 サーシャの眉が動く。

 

 

 次に現れた大型個体は、銃撃ではほとんど怯まなかった。

 

TARGET DEFENSE:HIGH

 

RECOMMENDED WEAPON CHANGE

 

「分かったわ」

 

 プレセアは即座に二挺を収納し、《ルインシャレフMARK-2》へ持ち替えた。

 

 その動きを見て、タイクーンが目を細める。

 

「交換が速いな」

 

「武器を一つの答えにしないように設計されているみたい。相手に合わせて、私が選ぶの」

 

 推奨表示は出ている。

 

 だが。

 

 決定するのはプレセアだった。

 

 大型魔獣が突進する。

 

 サーシャが正面から受けようとした瞬間、プレセアが横から一撃を叩き込み、敵の体勢を崩した。

 

「今よ!」

 

「ああ!」

 

 サーシャの剣が急所を捉える。

 

 巨体が倒れた。

 

「いい武器だな」

 

 サーシャが素直に言った。

 

「ええ。ハイセと――」

 

「そこまででいい」

 

「まだ何も言ってないわよ?」

 

「言わなくても分かる!」

 

 

 さらに数時間後。

 

 狭い通路で、異様に素早い蛇型魔獣が現れた。

 

 壁を蹴り、天井へ移動し、死角から牙を伸ばす。

 

RECOMMENDED:HELLSPION

 

 プレセアは今度も指示を見てから武器を交換した。

 

 《ヘルスーピオン》を抜く。

 

 普通の剣として一撃を受け流し、返しの斬撃。

 

 魔獣は紙一重で避けた。

 

「逃がさないわ」

 

 刀身の一部が展開する。

 

 蛇腹状に無制限へ伸びるのではない。

 

 許された可動域だけ。

 

 刃の軌道が途中で変わる。

 

 避けたはずの魔獣の側面へ、二段目の斬撃が回り込んだ。

 

「へぇ!」

 

 ロビンが目を輝かせる。

 

「曲がった!」

 

「完全な蛇腹剣ではないのね」

 

 ピアソラも少し興味を示した。

 

「ええ。《蛇剣オロロムント》のような自由度をそのまま量産品へ持ち込むのは難しいらしいわ。だからハイセが必要なところだけ残したの」

 

「…………」

 

 サーシャがまた黙った。

 

 プレセアが続ける。

 

「武装を交換して連撃へ繋げる発想は、天霧綾斗の戦闘記録――」

 

「分かった!!」

 

 サーシャの声が迷宮へ響いた。

 

「何が?」

 

「何でもない!」

 

 プレセアが首を傾げる。

 

 その横で。

 

 ピアソラのこめかみが震えていた。

 

 

 攻略開始から六日。

 

 まだ先は見えなかった。

 

 曲がりくねった道を進み、魔獣を倒し、休息を取り、再び進む。それを繰り返すほどに【セイクリッド】の連携は少しずつ洗練されていった。

 

 プレセアも同じだった。

 

 最初は【雛形】の推奨表示を確認してから武器を替えていた。

 

 六日目。

 

 敵の姿が見えた瞬間。

 

 表示より先に。

 

「銃ね」

 

 プレセアが『双機関銃型』へ交換した。

 

 一拍遅れて画面へ表示される。

 

RECOMMENDED WEAPON:DUAL MACHINE GUN TYPE

 

USER DECISION:MATCH

 

「あら」

 

 プレセアが笑う。

 

「先に当てられたわ」

 

 サーシャはその戦い方を見る。

 

 三つの武器。

 

 状況に応じて。

 

 迷うことなく。

 

 選ぶ。

 

「……ハイセは」

 

「サーシャ」

 

 ピアソラが低い声を出した。

 

「何だ?」

 

「さっきから何回ハイセって言った?」

 

「まだ一回しか――」

 

「顔で百回言ってるわ!!」

 

「顔!?」

 

「プレセアが武器替えるたびにハイセ! その戦い方の話になれば天霧綾斗! またハイセ! また天霧綾斗!」

 

「私は口に出していないだろう!」

 

「だから顔で言うなって言ってるのよ!!」

 

 ピアソラがサーシャへ詰め寄る。

 

「それ、私への当てつけか!?」

 

「何のだ!?」

 

「知らないわよ!! でも腹が立つの!!」

 

「理不尽すぎる!」

 

 レイノルドは二人を見て、静かにタイクーンへ尋ねた。

 

「止める?」

 

「まだ魔獣は来ていない。体力を消耗しない程度なら好きにさせよう」

 

「お前、冷静だな」

 

「慣れた」

 

 ロビンは腹を抱えて笑っていた。

 

 プレセアだけは、《ヘルスーピオン》を肩へ乗せながら困ったように笑う。

 

「大塩湖より、この二人の方が攻略が難しそうね」

 

 

 同じ頃。

 

 世界を一つ隔てたアスタリスクでは。

 

 春だった。

 

 比喩ではなく。

 

 研究者達にとっては、完全な春だった。

 

「もう一回」

 

『だから非破壊検査なら好きにしろと言っているだろう!』

 

 カミラが怒鳴る。

 

 巨大な実験室の中央には、八岐大蛇の体内から回収した超抜級宝玉が固定されていた。

 

 ヒルダは周囲を歩き回りながら目を輝かせ、エルネスタは解析端末から離れない。ハイセは【雛形】を使い、宝玉内部を循環するエネルギーの経路を武器構造と同じように細分化していた。

 

「循環自体が安定装置になってる」

 

「そうだ」

 

 カミラが頷く。

 

「単純に莫大なエネルギーを溜めているわけじゃない。内部を巡回させ、負荷の偏りを逃がしている。この原理だけ抜ければ……」

 

「小さいの作れる?」

 

「可能性はある」

 

 エルネスタが手を上げた。

 

「さらに分散して繋いだら?」

 

「それを今考えている!」

 

「じゃあ都市一個くらい動く?」

 

「まだそこまで言っていない!」

 

 ヒルダが宝玉へ顔を寄せる。

 

「ならば一度切開して内部を直接――」

 

「お前は三歩下がれ」

 

「何故だね?」

 

「危険だからだ!」

 

「宝玉が?」

 

「お前が!」

 

 【雛形】が静かに表示を出した。

 

PROPOSAL:DESTRUCTIVE DISASSEMBLY

 

REJECTED

 

ADMINISTRATOR OVERRIDE:DENIED

 

「…………」

 

 ヒルダが止まった。

 

「私のシステムでは?」

 

「もうお前だけのシステムじゃない」

 

 ハイセが答える。

 

「素晴らしい」

 

 ヒルダは満足そうだった。

 

「そこは悔しがれ!」

 

 

 成果は、宝玉だけではなかった。

 

 プレセアへ渡した三種類の武装。

 

 特に《ヘルスーピオン》は、それまでの煌式武装とも純星煌式武装とも少し違う位置へ収まり始めていた。

 

 希少なウルム=マナダイト由来の固有能力を持つわけではない。

 

 それでも。

 

 構造そのものが高性能であり、個人適応制御によって通常型を明確に上回る。

 

「仮分類」

 

 カミラが資料へ文字を入れた。

 

強化型煌式武装

 

「これでいいだろう」

 

「普通の煌式武装と純星煌式武装の間?」

 

 ハイセが尋ねる。

 

「単純な上下関係ではない。ただ、市販型の技術体系から発展させられる高性能規格としては、その認識で構わない」

 

「量産は?」

 

「それをプレセアに試してもらっている」

 

 エルネスタが笑う。

 

「戻ってくる頃にはデータ山盛りだね」

 

「無事に帰ってくることが先だ」

 

「分かってるって」

 

 言いながら。

 

 顔は完全に楽しそうだった。

 

 

 その日の午後。

 

 聖ガラードワース学園。

 

 アーネスト・フェアクロフの机には、三枚の報告書が並んでいた。

 

 一枚目。

 

アルルカント・アカデミー、新規高密度エネルギー物質を研究中。

 

 二枚目。

 

既存煌式武装を拡張する新規格《強化型煌式武装》の試作を確認。

 

 三枚目。

 

レヴォルフ黒学院が異世界資源取引へ正式参画。

 

「…………」

 

 いつもの穏やかな笑みは崩れていない。

 

 ただし。

 

 先ほどから紅茶が一口も減っていなかった。

 

「アーネスト」

 

 レティシアが資料を置く。

 

「笑顔が怖いですわよ」

 

「いつも通りだけど?」

 

「いつもより三割ほど固いですわ」

 

「そうかな」

 

「そうです」

 

 レティシアは二枚目の資料を指で叩いた。

 

「アルルカントが新兵器を作るのは今に始まったことではありませんわ。ですが、これは事情が違います」

 

「特殊な一人のための武器じゃない」

 

「ええ。量産出来る可能性がある」

 

 そこへ。

 

 ノック。

 

「失礼します。レヴォルフ黒学院から、お届け物です」

 

 室内が静かになった。

 

「…………」

 

「爆発しませんわよね?」

 

「学校間で爆発物を送るほどディルクも馬鹿じゃないと思うよ」

 

 箱を開ける。

 

 中には、上等な茶葉が入っていた。

 

 それだけなら。

 

 普通のお中元だった。

 

 添えられた紙を除けば。

 

胃を労れ。

――ディルク・エーベルヴァイン

 

「…………」

 

 レティシアの額に青筋が浮かんだ。

 

「喧嘩を売っていますわね?」

 

 アーネストは紙を見る。

 

「本人は気遣いのつもりかもしれない」

 

「なお悪いですわ!!」

 

 もう一枚、小さな紙が入っていた。

 

追伸:まだ序の口だ。

 

「…………」

 

 アーネストは。

 

 初めて。

 

 笑顔を消した。

 

「お茶、淹れようか」

 

「胃に来ていますわね!?」

 

「少しだけ」

 

「まだ第一段階ですわよ!?」

 

「それを言わないでほしいな」

 

 

 レヴォルフ黒学院。

 

 ディルクは通信端末へ表示された配送完了通知を確認し、鼻で笑った。

 

「届いたか」

 

 近くにいたハイセが尋ねる。

 

「何送ったの?」

 

「茶」

 

「優しいね」

 

「胃にいい奴だ」

 

「やっぱり優しい」

 

「お前はそう思ってろ」

 

 ディルクは端末を閉じた。

 

 大塩湖の奥では、【セイクリッド】が一歩ずつ迷宮を進んでいる。

 

 その間にも。

 

 アスタリスクでは。

 

 新しいエネルギー体系。

 

 新しい武器規格。

 

 新しい世界間市場。

 

 三つが。

 

 同時に動き始めていた。

 

 そして。

 

 聖ガラードワース学園には。

 

 まだ誰も知らない。

 

 二回目のお中元の候補が。

 

 既に。

 

 ディルクの机の上へ置かれていた。

 

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