暗律の戦乙女は盤上を覆すが故、己が未来を選ぶ   作:カミッシー

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第56話 迷宮が生まれる前に

 

 

 【破滅のグレイブヤード】へ入って二日目。

 

 地下深くまで続く石造りの回廊には、死者を弔うための場所とは思えないほど濃い魔力が満ちていた。壁や床には古い術式が刻まれ、その隙間から、淡い燐光を放つ鉱石がいくつも顔を覗かせている。

 

「止まって」

 

 先頭を歩いていたプレセアが片手を上げた。

 

 その周囲では、専用武装となった【ランビリス】の構造体がゆっくりと旋回している。いくつかは盾として前方へ配置され、残りは細い刃となって左右の壁際を警戒していた。

 

「右奥から三つ。左から一つ来るわ」

 

「見えているのか?」

 

 サーシャが尋ねる。

 

「見えてはいないわ。空気の動きと魔力反応。それにランビリスが拾った振動から推測しただけ」

 

「十分見えてるようなものじゃないか」

 

 イレーネが呆れたように言った。

 

 直後、暗闇の向こうから四体の魔物が飛び出した。

 

 

 以前のサーシャなら、真っ先に斬り込んでいただろう。

 

 だが今回は動かなかった。

 

 まず見る。

 

 敵の速度。

 

 距離。

 

 味方の位置。

 

 オーフェリアが既に右側へ視線を向けている。イレーネは前へ出られる位置。プレセアのランビリスは防御状態。

 

「オーフェリア。右の三体を頼めるか?」

 

「いいよ」

 

 返事とほぼ同時に、濃密な瘴気が回廊を走った。

 

 三体。

 

 消失。

 

「イレーネ、残り!」

 

「任せろ!」

 

 最後の一体へ、イレーネが真正面から飛び込む。

 

 サーシャはその間に周囲を見る。

 

「プレセア、後方警戒。タイクーン、右の鉱石層を記録してくれ。ピアソラは――」

 

「言われなくても回復準備してるわよ」

 

「助かる」

 

 敵を倒すだけではない。

 

 目的に合わせて。

 

 仲間を見て。

 

 それから答えを選ぶ。

 

 遥に叩き込まれたものが、少しずつ戦い方へ染み込み始めていた。

 

 

「変わったね」

 

 休憩に入ったところで、プレセアが言った。

 

「何が?」

 

「あなた」

 

 サーシャが飲み物を口へ運ぶ。

 

「そう見えるか?」

 

「前なら、最初に自分が突っ込んでいたでしょう?」

 

「……否定出来ないな」

 

 プレセアは小さく笑った。

 

「今は皆を見てから決めている」

 

「まだ意識しないと出来ないけどな」

 

「最初はそれでいいんじゃないかしら」

 

 サーシャは、少し離れたところでオーフェリアとイレーネを見る。

 

「それに」

 

「ええ」

 

「この二人を私のやり方に押し込んだところで、意味がない」

 

 オーフェリアは規格外の火力を持つ。

 

 イレーネも、サーシャとは戦闘思想そのものが違う。

 

 なら。

 

 相手の強さを、自分の正解へ無理に合わせる必要はない。

 

「……遥の奴」

 

 サーシャが苦笑する。

 

「剣の話しかしてないのに、余計なところまで刺してきたな」

 

「優秀な先生ね」

 

「木刀一本で五連敗させられた側は素直に認めたくない」

 

 

 同じ頃。

 

 アルルカント・アカデミー。

 

 普段は使われていない小規模研究区画には、ハイセ、ヒルダ、シムーン、イーサンの四人だけがいた。

 

 研究室中央の端末には、現在の【雛形】とはまるで違う簡素な表示が浮かんでいる。

 

SIREN-Δ SYSTEM

 

LOCAL MODE

 

NETWORK CONNECTION:NONE

 

 【セイレーンデルタシステム】。

 

 ヒルダが【雛形】へ《武器マスター》の中核を取り込むより以前に作成した、旧世代のバックアップデータだった。

 

「古いね」

 

 ハイセが言う。

 

「失礼だね」

 

 ヒルダは楽しそうだった。

 

「基礎設計だけなら今でも十分通用するよ。当時の私は、人体と能力の反応を解析するために大量の環境データまで扱えるよう設計していたからね」

 

「武器は分からない?」

 

「今の【雛形】ほどはね。ただし今回必要なのは武器ではない」

 

「ダンジョンが生まれる前」

 

「その通り」

 

 ヒルダが笑う。

 

「では、世界の方を解剖してみようじゃないか」

 

「言い方怖い」

 

 

 最初に集めたのは、過去のダンジョン発生記録だった。

 

 発生地点。

 

 発生日。

 

 規模。

 

 ランク。

 

 周囲の魔力濃度。

 

 地形。

 

 気温。

 

 魔物の移動記録。

 

 さらに、地脈の流れや空間異常の報告まで、取得可能な情報を可能な限り放り込んでいく。

 

 だが。

 

「多すぎる」

 

 ハイセが画面を見る。

 

「普通ならね」

 

 ヒルダが答える。

 

「だからデルタを使う」

 

 膨大な情報の中から、発生前後で変化した項目だけを抽出する。

 

 それでも。

 

 まだ。

 

 共通点は見えない。

 

「シムーン」

 

 ハイセが振り返る。

 

「何?」

 

「前に言ってた空間の歪みって、どんな感じ?」

 

「……説明するの難しい」

 

「色?」

 

「違う」

 

「音?」

 

「それも違う」

 

 シムーンは少し考えた。

 

「引っ張られる感じ」

 

「どっちに?」

 

「場所による」

 

 イーサンも隣で頷く。

 

「何もないところなのに、魔力だけ流れ方が変になる」

 

 ハイセの目が細くなった。

 

「流れ方」

 

 

 二人には、無理をさせない。

 

 それだけは最初に決めていた。

 

「今から、過去の発生地点をいくつか再現する」

 

 ハイセが説明する。

 

「感覚的に変だと思ったら言ってほしい。でも疲れたらすぐ止める」

 

「研究に必要なの?」

 

 イーサンが聞く。

 

「うん」

 

「じゃあやる」

 

「嫌になったら?」

 

「やめていい?」

 

「もちろん」

 

 その返事に。

 

 シムーンはほんの少しだけ、安心したように表情を緩めた。

 

「……前だったら、そんなこと聞かれなかった」

 

「前?」

 

「売られる時」

 

 ハイセは。

 

 少し黙った。

 

「ここでは聞くよ」

 

「…………うん」

 

 

 シミュレーション。

 

 一つ目。

 

「何も感じない」

 

 二つ目。

 

「少し変」

 

 三つ目。

 

 イーサンが首を傾げる。

 

「ここ、嫌だ」

 

「何で?」

 

「魔力が……集まってるのに、外にも流れてる」

 

「同時に?」

 

「うん」

 

 ヒルダの指が止まる。

 

「その地点のランクは?」

 

 ハイセが確認する。

 

「B」

 

「次」

 

 四つ目。

 

「普通」

 

 五つ目。

 

 シムーンの顔が変わった。

 

「これ、さっきより強い」

 

「ランク」

 

「A」

 

 ヒルダの笑みが。

 

 少しずつ。

 

 研究者のものへ変わる。

 

「もう一つ」

 

 最後。

 

 過去に確認されたS級ダンジョンの発生地点。

 

 二人が。

 

 同時に。

 

 顔を上げた。

 

「これ」

 

「すごく変」

 

 ハイセとヒルダが。

 

 目を合わせる。

 

 

「何が違う?」

 

 ハイセが聞く。

 

 シムーンは慎重に言葉を探した。

 

「集まるだけじゃない」

 

「うん」

 

「場所そのものが……そこに何かを置こうとしてる感じ」

 

「空間が?」

 

「多分」

 

 イーサンが続ける。

 

「周りの魔力が同じところに集まって、そこから逃げなくなる」

 

 ヒルダが端末へ向き直る。

 

「相対座標の固定に似ているな」

 

「収束?」

 

「原理は別物だろう。ただ、現象としては近い」

 

 魔力が集まる。

 

 密度が上がる。

 

 だが、それだけではダンジョンは発生しない。

 

 ある段階から。

 

 空間そのものが。

 

 その状態を維持し始める。

 

「……固定される?」

 

 ハイセが呟いた。

 

「可能性はあるね」

 

 

 そこから。

 

 解析速度が。

 

 一気に上がった。

 

 調べるべき項目が分かったからだ。

 

 魔力量ではない。

 

 魔力が特定領域へ滞留し続ける時間。

 

 さらに。

 

 その領域内で起こる。

 

 空間圧。

 

 地脈。

 

 生物反応。

 

 魔物の移動。

 

 周辺環境の変動。

 

 それらの組み合わせ。

 

CORRELATION DETECTED

 

 デルタシステムが表示する。

 

「来た」

 

 ハイセが身を乗り出す。

 

「まだ相関だ」

 

 ヒルダが止める。

 

「因果とは限らない」

 

「分かってる」

 

「本当に?」

 

「多分」

 

「不安だねぇ」

 

「ヒルダに言われたくない」

 

 

 【破滅のグレイブヤード】。

 

 三日目。

 

 最深部に近づくにつれ、資源価値は明らかに上昇していた。

 

「これは……」

 

 タイクーンが壁際に埋まった鉱石を見る。

 

「今までの層と違う」

 

 オーフェリアが手を翳す。

 

「壊す?」

 

「待て」

 

 サーシャが即座に止めた。

 

「まず調査する」

 

「前なら壊していた」

 

 オーフェリアが言う。

 

「お前まで言うのか」

 

「事実」

 

「分かったから!」

 

 イレーネが後ろで笑う。

 

「サーシャ、成長してんなぁ」

 

「本当に腹立つな、お前ら!」

 

 それでも。

 

 サーシャは。

 

 先に手を出さなかった。

 

 

 調査の結果、その鉱石は極めて高密度の魔力を保持していることが分かった。

 

 ただし。

 

「八岐大蛇の宝珠ほどじゃないな」

 

 サーシャが言う。

 

「比較対象がおかしいのよ」

 

 ピアソラが呆れる。

 

「普通なら十分異常よ」

 

 プレセアが【ランビリス】を操作し、鉱石周囲だけを丁寧に切り離していく。

 

「採取は最小限にしましょう。周辺構造まで崩したら価値がなくなるかもしれないわ」

 

「賛成」

 

 サーシャは頷く。

 

「ディルクにも送る」

 

 

 数分後。

 

 レヴォルフ。

 

 ディルクの端末へ。

 

 分析速報。

 

「…………」

 

 イレーネから送られた写真。

 

 含有エネルギー。

 

 推定市場価値。

 

「どう?」

 

 近くにいたプリシラが尋ねる。

 

「悪くねぇ」

 

「嬉しそうじゃないけど」

 

「クローディアの天空城資源ほど派手じゃない」

 

「じゃあ負け?」

 

 ディルクが鼻で笑った。

 

「一回の採掘量で勝負してねぇよ」

 

「?」

 

「供給源が増えたことに価値がある」

 

 プリシラはよく分からない顔をした。

 

 ディルクは説明しなかった。

 

 市場とは。

 

 一個の大当たりより。

 

 複数の供給先を押さえた方が強い。

 

「……それに」

 

 ハイセから聞いた。

 

 まだ。

 

 もう一つ。

 

 話がある。

 

 

 アルルカント。

 

 解析開始から十時間。

 

 デルタシステムは、過去の発生記録を逆算し続けていた。

 

 低ランク。

 

 中ランク。

 

 高ランク。

 

 大量のデータ。

 

 その結果。

 

「これ」

 

 ハイセが言った。

 

「B以上から条件が狭くなってる」

 

「そう見えるね」

 

「Aは?」

 

 ヒルダが表示する。

 

 複数条件。

 

 魔力滞留。

 

 空間圧。

 

 地脈交差。

 

 魔物密度。

 

 環境変化。

 

「全部一定値以上」

 

「Sは?」

 

「さらに厳しい」

 

 ハイセの目が。

 

 輝く。

 

「じゃあ予測出来る?」

 

「まだ早い」

 

「でも」

 

「ハイセ」

 

 ヒルダが。

 

 珍しく。

 

 少し真面目な声を出した。

 

「予測と確定は違う」

 

「分かってる」

 

「これを外せば、人員を危険地域へ待機させることになる」

 

「……うん」

 

「だから最低でも過去データで検証する」

 

「分かった」

 

 その返事を聞いて。

 

 ヒルダが少し笑った。

 

「以前より慎重になったね」

 

「サーシャに六時間怒られたから」

 

「教育とは素晴らしいものだ」

 

「ヒルダも受ける?」

 

「遠慮しよう」

 

 

 過去データ。

 

 百件。

 

 二百件。

 

 三百件。

 

 条件式を。

 

 過去へ適用する。

 

 結果。

 

HIGH-RANK DUNGEON PREDICTION

 

A-RANK:81.4%

 

S-RANK:76.1%

 

「…………」

 

 ハイセが。

 

 画面を見る。

 

「高い?」

 

「異常に高い」

 

 ヒルダが答える。

 

「初期モデルでこれならね」

 

「まだ上げられる?」

 

「シムーンとイーサンの感覚を数値化出来れば」

 

 二人を見る。

 

 シムーンが。

 

 警戒するように。

 

 ハイセを見返す。

 

「何するの?」

 

「感覚を測りたい」

 

 少し。

 

 間。

 

「身体に何かする?」

 

「しない」

 

「痛い?」

 

「痛くない」

 

「やめたくなったら?」

 

「すぐ止める」

 

 シムーンは。

 

 少し考えて。

 

「ならやる」

 

 ハイセは。

 

 頷いた。

 

「ありがとう」

 

 

 夜。

 

 シムーンとイーサンが寮へ戻ったあと。

 

 ハイセとヒルダだけが。

 

 研究室に残っていた。

 

 画面。

 

 過去記録。

 

 新しい。

 

 予測モデル。

 

「ヒルダ」

 

「何だい?」

 

「これ」

 

 ハイセは。

 

 A級とS級だけを。

 

 表示する。

 

「発生する前から分かるようになったら」

 

「争奪戦になるね」

 

「うん」

 

「先に押さえる?」

 

「最初は」

 

 ヒルダが。

 

 楽しそうに。

 

 ハイセを見る。

 

「最初は?」

 

「全部は取らない」

 

「何故?」

 

「取ったらバレる」

 

「なるほど」

 

「でも」

 

 ハイセは。

 

 画面を見る。

 

「バレないのも困る」

 

 ヒルダの眉が。

 

 上がった。

 

「……キヒヒ」

 

「何?」

 

「君」

 

 笑う。

 

「また何か考えているね」

 

「まだ途中」

 

「なら聞かないでおこう」

 

「珍しい」

 

「完成してから聞く方が面白そうだからね」

 

 

 同じ頃。

 

 別の研究区画。

 

 カミラ。

 

 中央【雛形】。

 

 【王冠】。

 

PROJECT CROWN

 

PROTOTYPE STABILITY:99.3%

 

「よし……」

 

 あと。

 

 僅か。

 

 市場版。

 

 個人適応。

 

 独立学習。

 

 中央依存。

 

 ほぼ。

 

 ゼロ。

 

 カミラは。

 

 知らない。

 

 数十メートル先。

 

 完全ローカル環境。

 

 同じアルルカントの中で。

 

SIREN-Δ SYSTEM

 

PREDICTION MODEL UPDATE

 

A-RANK:89.7%

 

S-RANK:84.2%

 

 まで。

 

 精度が。

 

 上昇していることを。

 

 

 翌朝。

 

 【破滅のグレイブヤード】。

 

 サーシャ達は。

 

 巨大な扉の前へ。

 

 辿り着いていた。

 

「最奥?」

 

 イレーネが聞く。

 

「可能性は高い」

 

 タイクーンが答える。

 

 扉。

 

 古い。

 

 紋章。

 

 その奥。

 

 何か。

 

 大きな魔力反応。

 

 サーシャは。

 

 すぐには。

 

 扉へ手を掛けなかった。

 

「休憩する」

 

「ここで?」

 

 イレーネが意外そうに見る。

 

「ああ」

 

「前なら即開けてただろ」

 

「うるさい」

 

「褒めてんだよ」

 

「お前の褒め方は分かりにくい!」

 

 それでも。

 

 全員。

 

 休む。

 

 準備する。

 

 相手を知らずに。

 

 先に答えを決めないために。

 

 

 そして。

 

 アルルカント。

 

 ハイセの端末に。

 

 一つ。

 

 新しい結果が。

 

 表示された。

 

PRE-EMERGENCE PATTERN:CONFIRMED

 

HIGH-RANK DUNGEON COMMON PRECURSOR DETECTED

 

「……見つけた」

 

 ハイセが。

 

 小さく。

 

 呟いた。

 

 ヒルダが横から見る。

 

「これで」

 

「うん」

 

 A級。

 

 S級。

 

 少なくとも。

 

 高ランクのダンジョンについては。

 

 発生前に。

 

 候補地点を。

 

 絞れる。

 

「誰に話す?」

 

 ヒルダが聞いた。

 

 ハイセは。

 

 少しだけ。

 

 考える。

 

「カミラ以外」

 

「キヒヒヒ!」

 

「笑わないで」

 

「無理だね!」

 

 ハイセは。

 

 通信端末を。

 

 取り出した。

 

 呼び出す相手。

 

DIRK EBERWEIN

 

 数回。

 

 呼び出し。

 

『何だ』

 

「ディルク」

 

『用件』

 

 ハイセは。

 

 画面に映る。

 

 新しい。

 

 予測モデルを見る。

 

「話がある」

 

『金になる?』

 

「なると思う」

 

 ほんの一瞬。

 

 ディルクの。

 

 目が変わる。

 

『続けろ』

 

 ハイセは。

 

 少し。

 

 笑った。

 

「ダンジョンが生まれる前の話」

 

 通信の向こう。

 

 ディルクが。

 

 黙った。

 

 そして。

 

「……今どこだ」

 

「アルルカント」

 

『動くな』

 

「何で?」

 

『そっち行く』

 

 通信が。

 

 切れる。

 

「早いね」

 

 ハイセが言う。

 

「彼も嗅覚だけは超一流だからね」

 

 ヒルダは。

 

 楽しそうに笑った。

 

 【破滅のグレイブヤード】の。

 

 最奥。

 

 ダンジョン発生予測。

 

 【王冠】。

 

 それぞれの。

 

 答えが。

 

 もうすぐ。

 

 出ようとしていた。

 

 ただし。

 

 その三つの答えが。

 

 同時に。

 

 市場へ。

 

 世界へ。

 

 何をもたらすのか。

 

 まだ。

 

 誰も。

 

 知らなかった。

 

 そして。

 

 カミラだけは。

 

 本当に。

 

 何も。

 

 知らなかった。

 

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