雨は、思っていたより早く上がり。
森を覆っていた雲が薄くなり、木々の隙間から光が差し込んでいる。
「これなら行けそうなのですよ」
ループが窓から空を見上げた。
「ほんと?」
「山の天気は変わりやすいですけど、このくらいなら大丈夫です」
「よし!」
クレティスは椅子から立ち上がる。
濡れていた服も、雨宿りをしている間にだいぶ乾いた。
槍を手に取り背負い直す。
「じゃあ洞窟に出発!」
「お前は元気だな」
ティルが呆れたように言った。
「だって、やっと宝石が見つかるかもしれないんだよ?」
「見つかると決まったわけじゃない」
「そういうときは『きっと見つかる』って言うものじゃない?」
「根拠もなく楽観する趣味はない」
「ティルちゃんは相変わらずなのですよ」
「その呼び方はもうやめろ」
「では行くのですよ、クレちゃん、ティルちゃん」
「聞け」
ティルが怒るがループは何も聞いてないふりをしながら準備をする。
クレティスは笑いながら扉へ向かった。
その途中でふと足を止め、小屋の奥を見る。
もう一人の気配は消えていてボクたちよりもさっさと出かけたのだろうか?
「…………」
「クレちゃん?」
「ううん、なんでもない」
ループを先頭に、三人は山へ入った。
「こっちなのですよ」
さすがに土地勘があるらしく、ループは迷わない。
しかし、雨上がりの山道は歩きにくかった。
ぬかるみを踏まないよう岩を渡り、滑りそうになれば槍の石突きを地面について身体を支える。
「気をつけるのですよ。 雨の後は足元が――」
「うわっ」
ずるっ。
ティルの足が滑った。
「おっと」
クレティスが腕を掴む。
「大丈夫?」
「……問題ない」
「今、思いっきり滑ったよね?」
「滑ってない」
「滑ったのですよ」
「二人して見てるんじゃあない」
ティルは何事もなかったように立ち直り、先へ歩き出した。
なんか面白くて少し笑ってしまう。
「恥ずかしかったのかな?」
「そうみたいですねぇ」
「聞こえてるぞ」
「耳はいいんだね」
「クレティス!」
「はいはい」
そんなやり取りをしながら、さらに山を登っていく。
やがて木々が少なくなり、岩肌の目立つ場所へ出た。
それまでうきうき気分で歩いていたループが足を止める。
「あそこなのですよ」
「おお……」
クレティスは前を見る。
岩壁に、大きな亀裂のような穴が開いた洞窟。
人が余裕で通れる大きさのこの洞窟なら、中に物を奥のなら最適なのかもしれない。
「受領書にあった場所と合ってる?」
ティルが周囲の様子と方位を確認する。
「ああ、大体の位置は合っている」
「じゃあ、ここで宝石を受け渡してたんだ」
「可能性は高いな」
クレティスは洞窟を見上げた。
「とにかく入ろう!」
「そうだな」
三人は洞窟へ足を踏み入れた。