お読みいただきありがとうございます。
片蔵清優と申します。
本作『機動戦士ガンダム A.S.T.R.A.E.A』は現在執筆中の作品です。
今回は、今後の執筆・改稿の参考とするため、第1章のみ試験的に公開しています。
正式な連載開始ではありません。
今回特に知りたいのは、良かった点だけではなく、
「ここは分かりにくかった」
「ここで少し退屈した」
「この展開には違和感があった」
「自分には合わなかった」
といった部分です。
厳しいご意見も含め、実際に読んで感じたことを率直に教えていただければ、今後の作品作りの参考にさせていただきます。
また、本作では執筆補助として生成AIを使用しています。
世界観・設定・キャラクター・物語構成・展開・台詞等は作者自身が制作し、それらを小説本文として整える工程の一部でAIを使用しています。
AIに作品制作そのものを一任して生成したものではありません。
それでは――
『機動戦士ガンダム A.S.T.R.A.E.A』
第1章をお楽しみください。
■プロローグ「世界の終わり、すべての始まり」
■400年前――西暦2137年
それは、あまりにもあっけない「終わりの始まり」だった。
当時の人類が築き上げた文明は、まさしく頂点を極めていた。
天を見上げれば、星々の海へと漕ぎ出すための巨大な宇宙植民船が幾千も空を埋め尽くし、地上には富と繁栄の象徴である超高層都市がどこまでも連なっていた。科学の力は自然すら支配し、人類の未来は永遠に続く光に満ちているかのように思われた。
だが。
ほんの些細な国家間の歪み。傲慢。そして疑心暗鬼から始まった『最後の戦争』は、人類が制御できる領域を遥かに超えていた。
ある日を境に、天を切り裂き、大地を焼き尽くす無数の光の雨が降り注いだ。
後に『核の嵐』と呼ばれることになる未曾有の大災厄は、人類が何千年もかけて積み上げてきた営みを、わずか数日間のうちにすべて灰燼に帰せしめたのである。
凄まじい熱線が海岸線を一瞬で蒸発させ、沿岸部を灼き尽くした。爆風が山々を消し去った。大気は容赦なく最悪の死の毒で汚染され、巻き上がった分厚い灰の雲は太陽の光を完全に遮断した。
地上に訪れたのは、かつての氷河期をも上回る凍てつくような絶望の闇。生きとし生けるものすべてを拒絶する、死の星へと地球は変わり果てたのだ。
「地上はもう終わりだ。すべてを捨て、地下へ潜るぞ」
地表に取り残され、行き場を失ったわずかな人類が選んだのは、かつて愛した地球の肌を捨て、岩盤の底深くへと逃げ延びることだった。
幸いにも、戦前から国家規模で建設されていた巨大な地下シェルター群と、未知の深海・地底開拓用インフラが残されていた。
人類は過去の遺産のすべてを注ぎ込み、その巨大施設を拡張。冷たい岩底をくり抜いて、生存維持のための巨大ジェネレーターと人工気象制御システムを据え付けた、最後の約束の地を創り上げる。
それこそが、地底の箱庭――地下都市『アガルタ』の始まりであった。
だが、すべての人類が地下へ潜ったわけではない。
大戦の戦火を免れ、遥か衛星軌道上へと逃れることに成功した一部の特権階級たちは、そのまま宇宙圏で独自の階級社会と宇宙文明を築いていくことになる。
◇
それから約400年の時が流れた。
現在、西暦2526年。
かつて人々が命を懸けて逃げ込んだ地下都市アガルタは、今や鉄とコンクリート、精度を高めた厳格な管理体制によって支配された、息の詰まるような閉鎖世界となっていた。
吸い込む空気はすべてフィルターで何度もろ過された、味のしない精製気体。限られた資源を無駄にしないよう、人々の命すらも数値で管理され、ただ生きるためだけに生きる日々。
人々はいつしか、自分たちのことを自嘲を込めて『地底人(モグラ)』と呼ぶようになっていた。
一方で。
かつて先祖たちが捨て去った地上は、今なお激しい核の影響下に置かれていた。防護服や適切な医療処置なしには、普通の人間はまともに生きることも叶わない、文字通りの地獄。
しかし、その地獄はいつしか、地下都市で行き場をなくした『働けなくなった者』の間引き場、あるいは遥か宇宙(そら)で繁栄を続ける『宇宙人(そらびと)』たちの重犯罪者を突き落とす、最も残酷な流刑地へと姿を変えていた。
過酷な汚染環境の中で、肉体を蝕まれ、魂まで摩耗しながらもなお生き延びた者たち。彼らは生ける屍でありながら、執念深く地を這う者として、地下の住人から畏怖と蔑みを込めてこう呼ばれるようになる。
――『屍人(しびと)』と。
アガルタの街並みを行き交う人々は、今日も配給されたわずかな食料を奪い合わないよう、静かに息を潜めている。
かつて先祖が見上げたという、どこまでも青く、どこまでも広く、どこまでも自由だったという『本当の空』の存在を、今では誰も信じていない。子供をあやすためのお伽話か、老人の妄想の世界のことだと、誰もが冷たく笑い飛ばす。
地底の底で生まれ、地底の底で死んでいく。
それが、この世界で生きるモグラたちの「当たり前」の現実だった。
定刻になると、重苦しい駆動音と共に、天井にそびえる巨大な人工発光体が一斉に冷たい光を放ち、アガルタの街を無機質に照らし出す。
『午前6時。人工太陽、点灯。市民の皆さんは速やかに起床し、定時労働の準備を――』
聞き飽きたアナウンスが響く中、鉄格子のような窓の奥、支給された粗末なベッドから退屈そうに身体を起こす、一人の少年がいた。
少年はゆっくりと目を開け、眩しそうに目を細めながら、鉄の天井でギラギラと輝く不自然な人工の光を見つめる。
「チッ、またこのクソ暗い朝かよ……」
少年は小さく毒づき、乱暴に髪をかきむしった。
星がかつて持っていた輝かしい青色の記憶が、完全に風化したその場所で。
誰も空を知らない時代。
誰も海を知らない時代。
誰も本当の太陽を知らない時代。
地底の底で生まれ、地底の底で死んでいくはずだったその少年が。
やがて世界を変えることになる。
それは、失われた空を取り戻す物語。
忘れられた星を再び目覚めさせる物語。
そして――
世界にもう一度、
「おはよう」
と言うための物語である。