結局、この3つが
だが、所詮はSFロボットでの話。どうせ実現でなんざできない。そう思ってた時期が私にもありました。
そう、この私、”
死んで転生した当初は「現代転生か」と落胆したものの、調べて見れば見るほどあら不思議。ここが2817年の未来ということが分かり、この世界には”アイゼンリッター”、略して”ER”なんて呼ばれるパワードスーツがあった。
当然技術もかなり進歩しており、ガス推進による大ジャンプや超パワー。機体によってはあるある程度の滑空も可能になっているという。
まさしく未来と浪漫が煮詰まりまくった男の夢のような代物だ。
と、ここで話は逸れるがこの世界には3つの人種が存在する。
1つ目が人間。霊長類のホモ・サピエンスだ。
2つ目がヒューマノイド。人間の脳細胞から生み出された自律思考人格AIのブレインコンピュータ、まぁ要するに人口の脳ミソを頭にぶち込んだ人型機械だ。
3つ目がデミヒューマン。デミヒューマノイドとも呼ばれる。簡単に言えば人体の一部をヒューマノイドへと置き換えた半分人間半分機械の存在だ。
この3種間の間で争い───というか一方的なジェノサイドが起こってる。何となく察せるだろうがしてるのはヒューマノイド、されてるのはヒューマンだ。デミヒューマンは基本県外から野次馬決め込んでるが、一部の過激派ヒューマノイドはデミヒューマンを嫌っている。差別するやつもいるくらいだ。
人間と機械なんてパワーやフィジカル、知能の差なんて歴然そのもの。人間はヒューマノイドに徐々に生活圏を追い込まれて、現状はヒューマノイド:ヒューマン=6:4程度だ。
まぁ、そんなの不毛とも言える争いが40年以上続いた結果、人間はパワードスーツERを生み出したに至るわけだ。
パワードスーツなのは、機動性や汎用性、屋内戦に対応する物を作ろうとした場合、パワードスーツが1番有効と考えられたかららしい。
一応、昔は強化装甲戦闘車両なるものが存在したらしいが、ビル街に誘い込まれて、ビル内部に潜んでたヒューマノイドが機動力をブイブイ言わせて圧倒した時に即座にプロジェクトが打ち切りになったんだとか。
話を戻してERが登場してから人間側は勝利数が徐々に多くなり、領土も一時期は5:5まで戻ってたらしいが、ヒューマノイド側もアームドボディと呼ばれる戦闘用の肉体を作り出し、人間と同等になり、そして技術力と発展速度の圧倒的な差で現状の6:4になった。
そして今。
人間側は人類防衛軍を設立し、今も少ない人類の生活圏でヒューマノイドに対して抵抗をしている───が、今は冷戦状態、と言うよりかは人間側は半分諦めており、冷戦という名の敗北状態だ。
だが俺は、”俺たち”は違う。
レジスタンス”
構成員は俺含まず計18人。人間が13、デミヒューマンが4、ヒューマノイドが1だ。このヒューマノイドだいぶ初期の思想弱めのやつで、数少ない人間擁護派の奴だ。
他にも人間擁護派は居たらしいが最後に会った時でも5人程度しか居ないんだとか、なんだとか。
うちのERの所持数は7機で、分配は人間4人とデミヒューマン3人に渡してる。
元はヒューマノイドの奴に渡す予定だったが、なんでも操縦が出来ない所謂諜報と情報管理専門のヒューマノイドらしく、ER配給はお預けとなった。
そんな事もあり、今はウェンブリガンテのリーダとして活動している。それが俺、瞠羅 雄児だ。
冷たい風が吹雪く道。ある程度の舗装はされているものの、それでもかなり荒れており、大きな石や鉄の破片、何かの骨も転がっていた。
1人の男、瞠羅 雄児はそこで双眼鏡に目を通しながら当たりを見回していた。
「あー、あー、聞こえるかー?瞠羅だ。北北東推定1.5Km先に戦車3車、
雄児が双眼鏡で見ている先には雪迷彩の機体色をして、サイズの大小や武装量、装甲面の違いで軽装型と重装型の2種類に分けられる人型、アームドボディのヒューマノイドが合計16機。そして全長3m程度はあろう強撃弾機銃を装備した支援型タレットドローンが浮かんでいた。
「”飯嶋”、今動かせるERの数は?」
『4機、でも1機は戦えても長持ちはしない。3機に思ってた方が無駄な信用を持たなくて済むぞ』
トランシーバーの先にいる人物”
ウェンブリガンテの本拠地である巨大な廃工場に着き、シャッターを近くのボタン操作で開けて中へと入っていった。
錆び付いて茶色に変色したり、蔦が生えていたりなどして古びた外見とは裏腹に内装はかなり整っており、コンテナハウスが積み上がった住居やERの整備を行うリペアスペース、武器や火薬類の補完を行う武器庫などがあった。
「戻ってきたか。そろそろERに乗っといた方がいいんじゃないか?あんくらいの距離ならすぐそこだろ?」
そう言ったのは先程トランシーバーで雄児と通話していた男、飯嶋 大喜だった。
大喜はERの格納を行うハンガースペースの近くにあるベンチにもたれ掛かりながら、雄児に問いかけた。
「言われなくても出るところだ。それで今戦える面子は?」
「富士乃とウェンバー、あと桐野か。武装的には桐野が少しアレだな」
それを聞いた雄児は唸りながら首を傾げた。
富士乃とウェンバーに関しては実力は中の下程度でも遠距離狙撃や支援で何とかなる。戦闘経験がかなりある為ウェンブリガンの中でも強い方だが、近接戦が得意だった。しかし現状ではアサルトナイフ以外マトモな近接武器が無く、出しても非常に不利と言えた。
「んーー……。しゃーなしだが、今回は随伴2で行く。もう1機は交換用の物として扱わせてもらう。それでいいな?」
「わかった、あと2人はもう待機してる。早めにいけよ」
前に雄児が戦線に遅れたことを掘り返し、釘を刺すように大喜は言い、左手の缶コーヒーを一口飲んだ。
それを聞いた張本人はバツが悪そうに顔を逸らしながら、そそくさとハンガースペースへ向かって行った。
ハンガースペースでは4機のERがハンガーで固定され、並べられていた。
4機の内3機は白と灰色の雪迷彩の機体色に全体的にエッジの効いた鋭い形状をしている。元はハンターと呼ばれる機体を改造した機体”ハウンド”だ。
「おぉ、今日は送れなかったか、サボり魔さんよぉ?」
「偵察、お疲れ様です。瞠羅さん」
1人は細身ながらも筋肉のついた所謂細マッチョの部類に入る男”
「富士乃、あの時の事はマジで反省してる。だからそれやめてくれ」
「んな事言うならさっさと治せよ、その遅刻癖。シャレになんねぇぞ?」
両手のひらを合わせて反省の色があまり取れない謝罪をする雄児に対して、瑠衣はそう一蹴する。
それを見ていたカルロトはフフッと微笑みながら2人の横を通り過ぎた。
「瞠羅さんの遅刻癖は擁護できませんが、治せと言うのもおそらく無理でしょう。その分、成果は残していただきますからね。そうですよね、瞠羅さん?」
「オーキードーキー、そこら辺は理解してる。その上でやってる時もあるけどな」
「はぁ!?」
カルロトの脅し交じりの問い掛けに雄児は軽く返事を返す。それを聞いた瑠衣は青筋を浮かばせ、怒鳴り声になっていた。
「さてと、作戦はいつも通り。後方からの支援頼んだ。弾丸が底を着くか俺が信号を送り次第撤退。いいな?」
「了解」
「わかりました」
2人はほぼ同時にそう言い、それぞれハウンドに搭乗した。そして雄児もERの後方に立つが、それはハウンドではなかった。
雪が降る山脈に似つかわしくないような黒色に曲線と鋭角が混ざり合った独特な機体形状をし、頭部のヘルメットユニットにはスリッド状のラインが備えられている機体”ルールヴナン”だ。
雄児は背部装甲が展開されたところから自身の足をルールヴナンの両足に通し、内部に入った。
両腕を通し、顔にヘルメットユニットを密着させると、展開していた背部装甲が閉じ、真っ暗になった視界に光が灯り、視界に映っていた様々なウィンドウが消え、外の光景が鮮明に見えた。
「神経遠隔接続完了…、全システム異常無し…各武装状態異常無し……。万全だな」
流石はうちの整備班だと付け足すように言った後、ハンガーとルールヴナンの接続を解除し、歩き始めた。
左腕に小型のシールドと両手に”強撃弾サブマシンガン”を持ち、ハウンドに乗った2人と合流した。
2人は各々砲身が折りたたまれた巨大な大砲である92mmライフル砲とアサルトライフル、ルールヴナンと同系統の小型のシールドを左腕に装備していた。
それ以外にも特に目を引くものがあった。それは機体全体に纏っている外套だ。パールカラーの少し光沢がある外套を2機は纏っていた。
「さて、これから作戦行動を開始する。詳しい指示はオペレーターに聞いてくれ。俺はいつも通りで行かせてもらう。それじゃ、各自位置に着いてくれ」
そして雄児を除いた2人は外套のフードを深く被り、腰のサブアームでライフル砲を支える。
すると、外套がジジ……ジジジ…………と音を立て、淡い七色に変色、発光しながら周囲の風景に消えていった。
”光学迷彩マント”。外装式光学迷彩の一種で名の通りマントを用いて光の屈折を変化させ、透明化するというものだ。
そして透明化しながら目的地へと向かう2人の足跡を少し見届けた後に雄児も正面の道を歩いていった。
吹雪が治まってきた山道で、左手首裏に装備された掛鉤牽引装備”ワイヤーアンカー”を急な斜面の高所にある岩の隙間に突き刺し、ぶら下がりながら下の様子を伺っていた。
頭部のスリッドの下からツインアイが淡く光り、目を凝らしていた。鋭く、粘り着く泥のように。ただ漠然と1点のみを見つめていた。
『瞠羅さん、そちらに来ましたよ』
カルロトからの通信でより警戒を強め、見渡す。
目に入ったのは行軍だ。だが、偵察の時見た時より
「追加で3体……、まぁ誤差の範囲か。ウェンバーは徹甲弾で戦車を、富士乃は拡散弾で支援してくれ。撃ち漏らした奴は俺が殺る」
雄児は指示を出した後にワイヤーアンカーを完全に巻き取り、崖から行軍に向かって急降下をした。
ゴンッ!と重々しい音を立て、戦車の砲塔に着地し、手に持つサブマシンガンで周囲にいる
「出た!フレミスの狼だ!」
「火力支援は無視しろ!とにかくヤツを先に殺せ!!」
ヒューマノイド達は雄児に向かって手に持つ強撃弾が装填されたアサルトライフルを撃つ。それを雄児は腰部のジャンパーユニットからガスを噴出し、上空へ飛び上がることで回避し、サブマシンガンで目の前にいる2体の
『拡散弾、撃つぞ!』
瑠衣からの通話を聞き、頭を撃ち抜いた2体の
周りにいるヒューマノイドやタレットドローンが雄児を狙い、銃口を向けた時、空に打ち上がった1つの巨大な弾丸が放物線を描くように飛び出し降下してくる。
1機のタレットドローンがその弾丸を撃ち抜いた瞬間、弾丸からは小型の炸裂弾が辺りに散らばる。
小型の炸裂弾は物体に当たるや否や爆発し、辺り一帯を火の海に変える。
「てか、まだなのかよウェンバーは」
『今、準備が終わりました。ですが、生憎と見えませんね』
爆発で煙や粉雪が舞い上がった状態、それも乱戦の最中では
「なら俺が戦車の近くで銃をぶっぱなす。そこを狙ってくれ」
『了解しました』
雄児はジャンパーユニットで煙の中から飛び出し、煙の中にいる1機の戦車を補足。そしてその上に乗りかかった。
戦車は抵抗するように車台を揺らすが、両足部の鋭い爪”フィックスネイル”を戦車の装甲の隙間に突き立て、空に向かってサブマシンガンを乱射した。
その瞬間、遠方から重々しい音と共に空気を切り裂くような音が鳴り響き、鋭い鉄の塊が戦車の車輪部分を貫いた。
「あと50cmくらい上で!」
雄児はウェンバーに伝え、戦車から離れた。
指示通り、射線が高くなったウェンバーの狙撃で装甲ごとハッチを貫通し、戦車を無力化した。
そのまま雄児は煙幕に隠れながらサブマシンガンで生き残った
ルールヴナンのセンサーや火器管制装置は遠距離戦などまともに出来るような物では無いが、その代わり視覚が低下する環境や近接戦に置いては横に並ぶ機体などそう居ないほど偏った代物になっていた。
だからこそ、悪視界の場面でも雄児は戦闘をすることが出来た。
「チッ……、もう煙が晴れやがった…。拡散弾、2発目行けるか?」
『行けるぜ』
「わかった。7秒後に撃て」
指示を出した後に残ったタレットドローンと
次の瞬間には爆発音が再び鳴り響く。
隠れていた戦車の車体も大きく揺れた。戦車ということもあり、無傷だが、戦場には再び煙が立ち込めた。
「ウェンバー、撃てるか?」
『1機は確実に、もう1機は凡そですが』
「それだけでいい、とりあえず撃ってくれ。
それを確認した後、戦車の下から飛び出し、サブマシンガンを撃つ。だが、引き金を引いてもカチッカチッと気の抜けた音しかしなかった。
「無駄撃ちしすぎたか」
弾切れだ。
いくら強撃弾と言えどサブマシンガンの本質は同じ、威力はあまり高いとはいえず、至近距離でもタレットドローンや
それに雄児の性格も相まって弾切れを非常に起こしやすかった。
「チッ!2人は撤退しろ。後はやれる」
すぐ通信を切り、両手に持っていたサブマシンガンを投げ捨てた。それと同時に両前腕下部に備えられていた基部が展開し、何かの柄が突出した。
”対装甲アサルトナイフ”。超高周波で振動させた刀身で対象のフレームを装甲ごと斬り裂く、この機体の主武装である武器だ。
柄を引き抜き、逆手でナイフを持つと、耳を劈くような甲高い音と共に刀身が白く鈍い輝きを放つ。
そして静かに、構えを取る。その時、機体装甲部に電子回路のような模様が浮かび上がる。
装甲は黒色から一変し、淡い七色へ変色し、徐々に周囲の風景に溶け込み。完全に姿を消した。
37型オプチカル・カモフラージュ装甲。装甲式光学迷彩の1種であり、分子の組み換えによる屈折の変化で透明化を行う特殊な装甲だ。
両脚に力を入れ、踏み込みながらジャンパーユニットを噴出し、勢いよく飛び出す。
見えない敵を撃ち落とさんと
「何っ!?近寄るなぁ!」
自身の足元に足跡が付くことに気づき、懐に潜り込まれた
火花が飛び散り、
「とにかく撃て!撃ち続けろ!」
指揮官の
粉雪を巻き上げながらジャンパーユニットで勢いをつけ、目の前にいた1機の
「来るなっ!来るなぁっ!!」
残り1機は錯乱状態に陥り、ガトリング砲を乱射するが、雄児は先程斬り裂いた
雄児は上空に飛び上がり、ジャンパーユニットで急降下しながら、その
「ふぅ。いっちょ上がり、ってな」
雄児は突き刺した頭部をナイフから外し、サッカーボールのように足の側面でどこかへの蹴り飛ばす。
重低音の電子音と共に光学迷彩が解除され、姿を顕にした。
”フレミスの狼”、”獣の亡霊”。そう呼ばれた彼は1人、雪道を歩き、その姿を消した。
【瞠羅 雄児】
・年齢/誕生日:21歳/8月11日
・身長:176cm
・好きなもの:
・苦手なもの:ウェンバー、苦いもの
ウェンブリガンテのリーダーであり、ルールヴナンのパイロット。ヒューマノイド側からは”フレミスの狼”、”亡霊”と呼ばれている。
リーダーとしてのカリスマ性や統治性はイマイチだが、ER関連や戦闘、特に近接戦に優れており、リーダーではあるがリーダーと言うよりかは部隊長の方が近しい。
【
瞠羅 雄児をリーダーに置く反ヒューマノイドを掲げるレジスタンス。構成員は18人、保有ER数は6機となっている。
主要機体はハンターの改造機ハウンドと、リーダー機であるルールヴナン。
発足理由は機能しなくなった人類防衛軍の代わりにヒューマノイドを駆逐するためだと思われている。
名前の由来はアイヌ語の
【ルールヴナン】
・型式番号:CTS-08/OC-37
・武装:対装甲アサルトナイフ(×4)、ワイヤーアンカー(×2)、フィックスネイル、手刀、スモークディスチャージャー
・装甲:37型オプチカル・カモフラージュ装甲
ウェンブリガンテの指揮官機で、瞠羅 雄児の機体。
近接戦に特化した作りとなっており、装甲は極めて薄く軽量で、夜間迷彩の為に黒色になっている。火器管制装置も遠距離戦には向いておらず、接近戦にて真価を発揮する。
カメラアイは外見上スリッドだが、その奥に2基1対のカメラアイと2基2対のセンサーが備えられている。
武装は対装甲アサルトナイフ、移動や攻撃に使えるワイヤーアンカー、姿勢固定用のフィックスネイル、極めて硬度の素材を採用したマニピュレーターによる手刀、スモークディスチャージャーを装備している。