少女と精霊の聖剣十年戦記 ~ひとりの少女が勇者になるまで~   作:美風慶伍

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12:カリナの参戦と突入作戦指揮

 一方カリナたち、中央大聖堂制圧作戦部隊では――

 

「カリナ団長! 第一陣後続500名! 到着いたしました!」

 

 作戦会議本部となっている創業ギルドの本部庁舎に、後続の500名が兵員輸送馬車に乗って駆けつけてくれた。カリナはこれにも指示を発する。

 

「ご苦労です! 現在突入作戦を準備中です。300名をこれに投入、残り200名は避難している一般市民の救護や負傷者の治療に当たってください」

「了解です!」

 

 後続部隊500名の構成は工作兵と斥候兵、標準歩兵が中心だった。

 これが各部隊ごとに分かれて作戦の対象となる大聖堂付近の周囲警戒や市民の避難にすでに動いていた。

 

「報告! 敵魔族の一派と思われる潜伏者を確認しました」

「よし! 魔導装備を用いて無力化しろ。無力化が困難の場合殺傷も許可する」

「了解です」

 

 周辺地域には大聖堂の制圧の妨害の目的で、別な魔族が潜伏していることもあった。そうした存在を速やかに摘発し排除していく。これも他の一般的な軍には見られないアルカナヴァンガードの特技だった。

 さらには銃器兵が大聖堂周辺の様々な建物に入り、屋根上や高所の窓から大聖堂敷地を見下ろして敵兵への狙撃の可能性を探っていた。

 

「どうだ撃てそうか」

「塀があると言っても、軍事基地のような高い壁ではありません。狙撃は十分に行けます」

「よし、カリナ団長に報告する。狙撃準備をして指示を待て」

「了解」

 

 ここでもアルカナヴァンガードの隊員たちは自発的に行動を開始していた。

 さらには市民たちにもアルカナヴァンガードの善意は向けられる。

 

「避難に遅れた市民を発見しました」

「老人と子供女性を優先し避難所まで誘導しろ」

「了解」

 

 ここでも隊員たちの自主性が発揮された。

 

「カリナ、アルカナの隊員たち。自分自らやるべきことを見つけて行動しているようよ」

「重畳です。事後で結構ですから必ず報告をさせてください」

「わかったわ」

 

 そしてカリナは聖剣レギオンブレイドを手に中央大聖堂を見据えた。

 

「人員は揃った。敵がこの大聖堂の中にしかいないことも分かった。ならばあとは突入するのみ――」

 

 彼らはエルリックに指示を出す。

 

「ヴァンガード全隊員及び、協力してくださる各軍諸勢力に突入作成を開始すると伝えてください」

「突入指示の同期方法は?」

「精神感応魔法により、人間種族にのみ聞こえる念話メッセージを発します」

 

 そしてもう1人の仲間であるソフィアにも告げた。

 

「ソフィア」

「ええ、分かってるわ作戦の全体構造も把握したわ」

「ありがとうございます」

 

 そしてエルリックや、ライザック准将と言った、ルミナリア国軍の幹部たちを集めて作戦全体の確認を行った。

 

「ルミナリア王国軍の協力を得て迫撃砲や榴弾砲で大聖堂敷地に潜伏する魔導兵をまず排除、

 次に周辺地域に展開しているアルカナヴァンガードの銃器兵で可能な限り外部から狙撃。敵の余剰勢力を完全排除します。

 さらに大聖堂の正面正門を大型砲で破壊、突破口を作ります。そこから突撃部隊が内部潜入。しかる後に大聖堂の建物の複数の入り口から潜入し、内部に立てこもる魔族たちを一斉制圧します」

 

 カリナはさらに補足した。

 

「なお建物内部には人間の捕虜などの残留者はいないことが確認できています。遠慮なく攻撃してください」

 

 するとそこにライザック准将が感心したように言った。

 

「噂には聞こえていたが、君のその指揮能力は見事だな。決断力判断力何より君の判断を信頼している部下との絆、まさにアルカナヴァンガードの相互信頼の成果と言えよう」

 

 そして准将は褒め称える。

 

「見事なり、アルカナヴァンガード! カリナ卿! 必ずやこの作戦を成功させよう!」

「はい! 恐悦です!」

「ではまいろうか!」

「はい!」

 

 そして制圧作戦の開始の号令が念話により発せられたのである。

 

『現時点を持って魔族潜伏部隊一斉制圧作戦を開始する! 砲撃開始!』

 

 そしてルミナリア国軍の砲兵部隊が曲射弾道による迫撃を行った。

 

「目標大聖堂敷地! 迫撃砲撃て!」

 

 集められた40機の迫撃砲が一斉に火を吹いた。そしてその砲弾は空中に弧を描いて大聖堂の庭園敷地へと次々に打ち込まれる。

 

――ドォオオオン!――

――ゴォオオオオン!――

 

 塀の向こう側で魔族兵が吹き飛んでいる姿が垣間見えた。

 

「狙撃攻撃開始!」

 

 砲弾で吹き飛ばなかった生き残りの魔族兵を、アルカナヴァンガードの銃器兵が次々に打ち抜いて倒していく。数分ほどの時間が経ってカリナに報告が上がった。

 

「報告、大聖堂敷地庭園部分に展開する200名以上の魔族兵の無力化に成功しました」

 

 カリナは頷いて次の指示を出した。

 

「大聖堂敷地正門開け!」

 

 堅牢にかんぬきがかけられ閉ざされている正門を、大型砲で連続発射して破壊する。

 

――ゴヴァアアンッ!――

 

 木製ながら堅牢なその門は見事に吹き飛んだ。あとはそこから突入するのみだ。

 カリナは抜剣しながら高らかに叫んだ。

 

「ものどもよ! 露払いは終わった! あとは制圧のみ! 続け!」

 

 そして突撃行動のための聖句を詠唱する。

 

「自由の火を燃やせ! アルカナヴァンガード突撃!」

「自由の火を燃やせ!」

 

 掛け声も高らかにカリナたちは一斉突撃を開始したのである。

 

 

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