少女と精霊の聖剣十年戦記 ~ひとりの少女が勇者になるまで~ 作:美風慶伍
そして、地上に舞い降りたカリナを待っていたのは、危機を救われた王の都の市民の人々の大歓声だったのである。
「勇者様!」
「勇者カリナさま!」
割れんばかりの拍手と共にカリナを褒め称える言葉が熱い。
「あれこそまさに救世主だわ」
「聖剣の巫女様! 実に神々しいお姿だ!」
「わずか10歳とは到底思えないわ」
それだけでなく感謝の言葉も熱かった。
「ありがとう!」
「勇者様! その臣下の人々の皆様」
「本当にありがとうございます!」
それらの声の中には、やむを得ないとはいえ、カリナが中央大聖堂を破壊した件については、非難の言葉は誰からも寄せられてはいなかったのである。
「みなさん! ご無事で何よりです!」
カリナは人々に笑顔で答えた。そして、その笑顔にもまた、称賛の声が送られたのである。
さらに各地で行われていた戦いのその後の様子についても続々と知らせが入ってくる。
「王都内、及び大聖堂周辺地域での潜伏している魔族の姿、確認されません」
「西方街道上で行われていた戦闘、無事集結したとのことです」
マイザック准将は答える。
「担当者にご苦労と伝えてくれ」
かたや、カリナはようやく地上へと舞い降りた。
そしてその瞬間、エアリスとブレイズは霊体重合を解除した。3人はそれぞれに分かれ、エアリスとブレイズは姿を現した。だが、2人が離れたときにカリナは思わずよろめいて倒れてしまった。
「あっ――」
するとそこにアルカナヴァンガードな仲間たちが駆けつけてくる。
剣を持った一般隊員たちが、倒れようとするカリナを抱き起こして支えた。
「団長大丈夫ですか?」
「カリナ団長!」
「大丈夫です、少し疲れただけです――」
「ご無理なさらないでください」
「あとは我々がお支えします」
そう言うと、わずか10歳の少女勇者を隊員は姫抱きに抱き起こして支えていた。
そんなカリナにエアリスとブレイスが告げた。
『もう大丈夫だな』
『ああ、思ったよりもダメージは少なそうだ』
『しばらく2‐3日は影響が残るだろうが徐々に回復するだろう』
『何はともあれ、これで解決ということだな』
『ああ』
そして2人は天を仰いだ。
『それじゃカリナ、俺たちは失礼するぜ』
『お疲れ! 機会があればまた会おう』
召喚限界を迎えて2人の姿は光の粒子へと変わろうとしていた。
「エアリス様、ブレイズ様、本当にありがとうございました!」
『召喚限界迎えます。エアリス・ウィーバー、ブレイズ・レオンハート、天界に帰還いたします』
こうして2人の英霊は、魂の帰るべき場所へと戻っていた。その姿に兵士の誰もが敬礼で見送る。
この日、ルミナリア王都を襲った、魔王軍による大規模テロ事件は、今ここに、カリナとアルカナヴァンガードの活躍により被害を最小限規模にして無事集結したのである。