少女と精霊の聖剣十年戦記 ~ひとりの少女が勇者になるまで~   作:美風慶伍

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05:視察団到着

 伝令役の兵士が駆けつけてくると、ソフィアに駆け寄り、そっと耳打ちしてくる。

 

「判った、お伝えするわ」

 

 伝令は去っていった。続いて、ソフィアがカリナにそっと耳打ちする。

 

「カリナ、諸王国の方々お見えになられたわよ」

「はい」

 

 いよいよである。結局、ギリギリのところでカリナは間に合った。

 セリアスと語らい合っている間に、七王国の残り6つの王国の軍幹部の方たちが現れたからだ。

 ソフィアに小さく返答をすると、セリアスに向けて答える。

 

「セリアス様、諸王国の方々お見えになられたので失礼いたします」

「うむ、では私も皆と合流するとしよう」

 

 カリナはエルリックやソフィアたちと歩き出し、セリアスも控えの場に戻っていったのだった。

 

 ちなみに――

 この世界ソルスターにおける人間種族の国家には、主だったものにルミナリアはじめとして7つの王国がある。そして、それぞれ国家の主力となる軍がある。その軍部を代表する人物が揃ったのだ。

 

 光国ルミナリア王室聖騎士団『ルミナス・ガーダー』騎士団長、セリアス・ダースブレイズを筆頭として――

 

 強力な海軍と海兵部隊を持つ――、アクアリス国防海軍・海兵軍軍団長オーシア・ウェイウォークス

 歩兵部隊の数ではトップの農業国――、グレインリーフ国防兵軍・作戦参謀将軍レイモンド・ハーベスト

 山岳ゲリラ戦術の雄――、モントクラウド山岳連邦軍・歩兵軍団長ヘレナ・ストーンハート

 騎馬文化大国――、ガルガンダイン騎馬騎士団・騎士軍団総長ローラン・サンストライダー

 剣士文化を尊ぶ武勇の国――、ヴァルハイト正騎士団・騎士団総長アルトゥール・シルバリオ

 魔法技術の総本山国家――、エーテルノヴァ魔法アカデミー近衛軍・魔導剣士総長シルヴィア・ミスティ

 

 以上7つの王国の重鎮たちが揃ったのだ。

 それぞれの側近を連れての登場ということも有り、錚々たる陣容である。

 

 カリナと彼らとは、カリナがルミナリアに保護され、アルカナヴァンガードが発足して以来の付き合いである。カリナが勇者として独り立ちを始めた頃から、その歩みをずっと見守り続けている大切な間柄の人々である。

 

 彼らのところへとセリアスが向かい、カリナも挨拶に顔を出す。

 

「諸王国の皆様方、遠路はるばるご来訪いただき、誠にありがとうございます!」

 

 にこやかに、そして毅然と答える十歳のカリナに諸王国の幹部たちはそれぞれに挨拶する。

 その中で飄々とした雰囲気で無精髭の中年男性グレインリーフのレイモンド将軍が言った。

 

「あぁ、今日は嬢ちゃんのアルカナヴァンガードの〝仕上がり〟とくと見させてもらうぜ」

 

 すると、モントクラウドの女傑であるヘレナが言葉を添えた。

 

「結成開始から幾月、すでにいくつかの事案で実績を示していると聞き及んでいるわ」

 

 いかにも海の男と言った風情の髭面のオーシアの言葉が続いた。

 

「うむ、国境防衛、都市に潜入した破壊工作員の摘発、諸王国軍との連携作戦――、着実に実績を積み上げていると聞き及んでいる」

 

 そして、その場を締めるように、武勇の騎士たるヴァルハイトのアルトゥールがカリナに告げる。

 

「カリナ卿、では早速見せていただこうか」

 

 7人の重鎮たちを前にしても、カリナはいささかもひくことはなかった。

 

「承知いたしました、それでは早速〝歓待式〟に入ろうと思います」

 

 そして、カリナと諸王国の彼らは練兵場への所定の場所へと向ったのである。

 

 ちなみに歩いている途上、カリナにソフィアが耳打ちした。

 

「カリナ、間に合ってよかったわね」

「はい、ボロを出さずに済みました」

 

 苦笑しつつもホッとした表情を浮かべるカリナ、そのカリナの頭をソフィア優しく撫でるのだった。

 




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