加速世界の鴉――レイヴン――(仮)   作:非正規人類

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 つたない文章ですがどうぞよろしくお願いします。


00-01『最後の日常・前』

 

 ― ― ―

 

 空には満天の星と灰色の月があり、その美しさと対照的に地上は朽ちた建物が並んでいる。

 建物の多くは原型を留めてこそいるがほとんど穴だらけでボロボロ。その姿はまるで廃都だ。

 そこに音が生まれた。巨大な音だ。続いて来たのは衝撃。

 大地が揺れ建物の一部が崩れる。

 一定のリズムで響くそれは巨大な生物の足音。

 高さ30mはあるそれは機械仕掛けの巨大な亀だ。

 甲羅の一部は窪みミサイル射出口となり、時折開く口の中には人一倍大きな砲が確認できる。

 その場所からだいぶ離れた場所、壊れた高層ビルの屋上からその姿を眺める一つの影があった。

 人の形はしていなかった。真っ黒の色をしたロボットのように見える。

 胸部と背中、両足、両肩にスラスターを付け、両手には大型のライフルが握られている。

 それは亀を視界に捉え

 

「……行くか」

 

 呟き、背中のブースターに光が収束する。

 瞬間、影は消え残るのは光の残滓。

 そして衝撃を残し影は行く。亀の元へと。

 

 ― ― ― 

 

 光を放ち直進する黒いロボット型の影――レイヴンは目標に向かっていた。

 およそ現実的な速度ではない、時速一〇〇〇キロあるかもしれない速度。世界の全てが自分の背後へと流れていく。

 直進、と言いつつも高度は弱冠下がりつつある。

 仕方ないか、とレイヴンは思う。

 このアバターは平面方向に対しては圧倒的な加速を得ることができるが上下、垂直方向に対しては加速することは難しい。

 静止状態ならば足裏のブースターでホバリングしある程度は高度を保つこともできる。もっとも少しずつ落ちていくのだが。

 その為、空中での加速は自然と下がってきてしまう。

 姿勢制御次第では平行移動や若干上方へ軌道を修正することも可能だが今はできるだけ無駄な消費を抑えたい。

 ちらり、と視界に映るゲージを見る。

 表示されているのは二つ縦に並んでいる。上に太いゲージ、下に細いゲージだ。太い方は自分のライフを現すライフゲージ、細い方は必殺技ゲージを示す。

 当初は満タンだった両ゲージだが必殺技ゲージは減少を続けそろそろ半分になる。

 

(半分は残しておきたかったが仕方ない、か)

 

 ゲージの減少を恨めしく見ながら目標地点まで超加速――OB(オーバードブースト)を続ける。

 そろそろか、とOBを切る。場所は上空、亀の手前だ。

 今まであった加速が消え、身体は投げ出されたように放物線を描きながら落下を始めた。

 身体をゆっくりと動かし背を天に向ける。

 瞬間、背中から光が噴き出し直ぐに消えた。

 瞬間加速――QB(クイックブースト)。OBと違い持続力はなく最大加速も劣るがそれでも一瞬で時速数百キロの加速を得る事が出来る。

 衝撃と共に落下速度が跳ね上がる。

 両手に持ったライフルを構え一直線に亀へ向け

 

 ドンッ。

 

 激突。甲羅の射出口を破壊しライフルが突き刺さる。

 衝撃により自身のライフゲージも削れるが許容の範囲内だ。

 

「先制攻撃は頂く」

 

 即座に引き金を引く。突き刺さったライフルから腕に伝わるのは衝撃。そして周囲には音が響く。

 あるだけ撃ち尽くすとライフルを引き抜きQBで加速。亀の背後へと移動。

 無防備だった亀は突然の攻撃に叫び声をあげる。それは怒りか、それとも悲鳴か。

 巨大な亀と小さな鳥との戦いは始まった。 

 

 ― ― ―

 

 頭上から雨が降り注ぐ。自然の雨ではない、数十を越えるミサイルの雨だ。

 地面に激突するたびに衝撃と爆炎が上がる。周囲にあった建物の多くは倒壊し地面の所々に窪みができる。

 土埃が宙を漂う。視界は最悪。もし生身の人間がいたら咳き込んでいただろう。

 その中から弾が放たれた。放たれた弾は真っ直ぐと亀にぶつかる。

 そして煙の中で光が放たれ現れたのはレイヴンだ。

 亀の甲羅の一部が開く。所々から放たれたミサイルは一度空へと高く上がると迷うことなくレイヴンへ向かう。

 正確な狙い。故に単調。

 亀に向かい移動しつつ迫りくるミサイルを十分引き付けQB。爆風のダメージエリアの範囲外へと一瞬で逃れる。

 装填の終わったライフルを再び構え撃つ。狙うは亀の尻尾。

 連射により若干狙いがズレるも概ね目標へ命中。だが亀はダメージを受けたように見えず、再びミサイルを放つ。

 

「やっぱ弱点じゃねぇからダメージは期待できないか」

 

 狙い易いのはでかい甲羅だがダメージは通らない。ミサイル射出口を潰せば別だが。基本ダメージが入るのは剥き出しである足と尻尾、そして頭くらいだ。

 尤もダメージを与えることは二の次であり、狙いは必殺技ゲージの回復であったわけだが。

 降り注ぐミサイルをQBで回避しつつさらに近付く。

 装填が終わったのを確認すると再び尻尾を狙うためライフルを構える。

 しかしその動作をすぐにやめOBへと切り替える。亀の尻尾が横に振れたからだ。

 そして尻尾は全てを薙ぎ払った。轟音。ビルは崩れ地面を抉り瓦礫が周囲に飛び散る。

 亀の横を通り抜けターン、正面に亀の頭を捉える。

 が、

 

「ッ! マズい!!」

 

 甲羅の左右それぞれ二門ある砲門から新たなミサイルが放たれた。数はたったの四発だか背中のミサイルと違い追尾性が非常に優れている。

 即座にターンしOBを起動。光が収束し終わる間にQBを使い加速する。亀に背を向け逃げるよう距離を取る。

 直後、この行動は大きな間違いだと気が付くがもう遅い。

 振り返る。迫りくるミサイルの奥、亀がその大きな口を開き白色の光を集めていた。

 死が、そこまで迫っている。

 OBに更にQBを重ねる。生まれるのは爆発的な加速。方向を右斜めへずらし目指すのは壁だ。

 壁を蹴り強制的にターンをする。更にQBで加速を重ねて左側にあったビルの隙間へ逃げ込む。

 そして――光が放たれた。

 背後に迫っていたミサイルは光にのまれ爆発。一直線に放たれた光は百メートルに渡り全てを焼き尽くした。

 何とか即死ビームを回避することに成功したレイヴンだが爆風を完全に回避できずライフゲージが減少する。

 態勢を立て直す。ここからは時間との勝負だ。

 直ぐにビルの影から出る。そしてOB。目指すは亀の頭。

 敵は既に次のチャージに入っている。

 

(間に合うか……!?)

 

 上からミサイルが降り注ぐ。余計な回避行動をとらずただ一直線に目標へ向かう。その為爆風をいくらか受けライフゲージが削れる。

 集中する。OBと言う規格外の加速により世界が全て後ろへと流れていくように見える。この感覚は嫌いではない。

 前から追尾型のミサイルが放たれた。

 息を呑む。

 衝突まで一秒もないだろう。しかしなぜか数十秒にも感じられる。

 圧倒的速度で後ろに流れていた世界がゆっくりと流れ、また自分自身の動きも非常に緩やかだ。

 

(また、この感覚か……)

 

 最初は幻かと思った。しかし何度か経験しているうちにこれはこういうものなのだと理解した。

 新たな領域、とでも言える異様な感覚。加速世界ですら遅く感じる不思議な感覚がここにはある。

 

 思考を切り替える。今はこの後どうするか、が重要だ。

 ミサイルが徐々に距離を詰める。ゆっくりと、しかし正確にレイヴンに向かって来る。

 ここだ、とQBを使う。真横へ。ミサイルが直撃する瞬間、壁を蹴る。今度は上へ。

 無理矢理身体をそらし斜めに上昇する。行く先にあるのは亀の頭。

 さらにQBを使い加速を重ね、亀が光を放とうとした瞬間、口の中へライフルを突き刺し引き金を引き、そのままOBで駆け抜ける。

 瞬間、ゆっくりと流れていた世界は速度を取り戻した。

 背後、巨大な爆発音が響く。

 充電されたエネルギーが内部で爆発を引き起こし、亀の頭が吹っ飛んだ。

 ドスン、と音が響き大地が揺れる。

 頭部を失った機械仕掛けの亀は地面に伏せ、青い粒子に代わり消滅していく。

 一息つきゲージを見る。

 ライフこそ半分近く減っているが必殺技ゲージは空。

 ギリギリだったな、と思い大きく息を吐く。

 

「よう、相変わらず無茶するな。お前は」

 

 静まり返った空間に声が響いた。

 

 ― ― ―

 





 レイヴンの見た目
 ファンタ○ースターの真っ黒いキャ○トの様な感じ
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