ポケットの中の毎日   作:GPTに書かせてみた

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居眠り釣り人のヤドン

 その川には、いつもヤドンがいた。

 

 川辺に座っている。

 

 水面を見ている。

 

 たまに尻尾を動かす。

 

 そして。

 

 寝る。

 

 それが、ヤドンの日課だった。

 

「今日もいるな」

 

 私は釣り竿を肩に担いで、川辺へ向かった。

 

 ヤドンは私を見る。

 

 目を細める。

 

 そして、また水面を見る。

 

 特に挨拶はない。

 

 私も、特に挨拶はしない。

 

 この川では、それでよかった。

 

 私は少し離れたところに座り、釣り糸を垂らす。

 

 ヤドンも、隣で水面を眺める。

 

 風が吹く。

 

 木の葉が揺れる。

 

 水が流れる。

 

 鳥の声がする。

 

 しばらくすると。

 

 ヤドンの頭が、こくりと下がる。

 

 こくり。

 

 また上がる。

 

 こくり。

 

 そして。

 

 そのまま止まった。

 

「寝たな」

 

 私は小さく笑った。

 

 釣りというのは、不思議なものだ。

 

 魚がかかるまで、基本的には何もしない。

 

 ただ待つ。

 

 だから。

 

 ヤドンとの相性は、妙によかった。

 

 ある日。

 

 いつものように川へ行くと。

 

 ヤドンがいなかった。

 

 私は少し驚いた。

 

 別に、毎日いると約束したわけではない。

 

 それでも。

 

 いつもいるものがいないと、妙に寂しい。

 

 私は一人で釣り糸を垂らした。

 

 水面を見る。

 

 風を見る。

 

 雲を見る。

 

 そして。

 

 気づけば、自分も眠っていた。

 

 目を覚ますと。

 

 竿が倒れていた。

 

「しまった」

 

 慌てて起き上がる。

 

 すると。

 

 少し離れたところにヤドンがいた。

 

 こちらを見ている。

 

「お前、いつからいたんだ?」

 

 ヤドンは答えない。

 

 ゆっくり近づいてくる。

 

 そして。

 

 私の隣に座った。

 

「……そうか」

 

 私は笑った。

 

「おかえり」

 

 ヤドンは、また川を見る。

 

 何事もなかったように。

 

 次の日も。

 

 その次の日も。

 

 ヤドンは川辺にいた。

 

 私は釣りをする。

 

 ヤドンは寝る。

 

 たまに、二人とも寝る。

 

 そんな日が続いた。

 

 ある夕方。

 

 私は竿を片付けながら言った。

 

「ヤドン」

 

 ヤドンが振り向く。

 

「お前、釣りしてるのか?」

 

 ヤドンは水面を見る。

 

「それとも寝に来てるのか?」

 

 ヤドンは目を閉じる。

 

「……まあ、どっちでもいいか」

 

 ヤドンは、そのまま眠った。

 

 私は笑った。

 

 釣りには、結果がある。

 

 何かがかかる日もある。

 

 何もない日もある。

 

 でも。

 

 何もない日が、つまらないとは限らない。

 

 川の音を聞く。

 

 風を感じる。

 

 隣でヤドンが眠っている。

 

 それだけで。

 

 なんとなく、一日がゆっくり終わっていく。

 

 私は昔。

 

 釣りというものは、魚を釣るためにするものだと思っていた。

 

 けれど。

 

 最近は少し違う。

 

 釣れない日にも。

 

 ここへ来たくなる。

 

 ヤドンがいるからかもしれない。

 

 いや。

 

 ヤドンと一緒に。

 

 何もしない時間を過ごすのが、好きになったのだ。

 

 ある日。

 

 珍しくヤドンが眠らなかった。

 

 ずっと川を見ている。

 

「どうした?」

 

 私も水面を見る。

 

 何もない。

 

 ただ、夕日が川に映っている。

 

 赤い光が、水の流れに揺れている。

 

 ヤドンはそれを眺めていた。

 

 私は竿を置いた。

 

 今日は釣りをしなくてもいい気がした。

 

 二人で川を見る。

 

 日が沈む。

 

 空が暗くなる。

 

 ヤドンが、ゆっくり目を閉じた。

 

「眠るのか」

 

 返事はない。

 

 私は笑って。

 

「じゃあ、また明日な」

 

 そう言った。

 

 翌朝。

 

 川辺へ行くと。

 

 ヤドンはもう来ていた。

 

 いつもの場所。

 

 いつもの顔。

 

 そして。

 

 いつものように。

 

 眠っている。

 

「おはよう、ヤドン」

 

 私は隣に座った。

 

 釣り糸を垂らす。

 

 ヤドンは眠る。

 

 川は流れる。

 

 今日もたぶん。

 

 何も起こらない。

 

 でも。

 

 それでいい。

 

 何も起こらない一日は。

 

 何もない一日ではない。

 

 ヤドンがいて。

 

 川が流れて。

 

 私がここにいる。

 

 それだけで。

 

 待つ時間は、ちゃんと時間になっている。

 

 竿先を眺める。

 

 ヤドンの寝顔を見る。

 

 そして私は。

 

 まだ何も起きていない今日を。

 

 少しだけ楽しむことにした。

 

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