ポケットの中の毎日 作:GPTに書かせてみた
僕のガバイトは、宝石が好きだ。
好き、という言葉では足りないかもしれない。
山へ行けば、鉱石のかけらを探す。
川原へ行けば、丸い石をひっくり返す。
僕の部屋には、ガバイトが集めてきた石がいくつも並んでいる。
赤い石。
青い石。
緑色に光る石。
名前も分からない、ただ綺麗なだけの石。
僕が拾ってきたものもある。
けれど、大半はガバイトが自分で見つけてきたものだった。
「これ、そんなに気に入ったのか?」
新しい石を渡すと、ガバイトは嬉しそうに抱え込む。
そして、誰にも取られないように隅へ持っていく。
その様子が面白くて、僕はよく笑った。
ある日。
ガバイトと一緒に、山の奥へ入った。
昔から人があまり来ない場所だった。
岩肌がむき出しになっていて、ところどころに小さな洞窟がある。
ガバイトにとっては、宝探しには絶好の場所らしい。
鼻をひくつかせながら、岩の間を歩いていく。
そして突然、立ち止まった。
「どうした?」
ガバイトが見ている先。
そこに、メレシーがいた。
灰色の身体。
頭には大きな宝石。
岩陰に身を寄せて、こちらを見ている。
ガバイトの目が輝いた。
「ああ……」
僕にも分かった。
ガバイトにとって、あのメレシーは。
今まで見たどんな石よりも、魅力的に見えている。
ガバイトが一歩近づいた。
メレシーが一歩下がった。
「ガバイト」
僕は呼び止めた。
けれど、ガバイトは聞かない。
もう一歩。
メレシーが岩陰へ逃げる。
そのときだった。
洞窟の奥から、別の気配がした。
ヤミラミ。
岩陰から顔を出している。
その目は、メレシーの頭の宝石を見ていた。
ガバイトの様子が変わった。
さっきまでメレシーを追いかけていたのに、今度はメレシーの前へ立った。
ヤミラミが近づく。
ガバイトが唸る。
ヤミラミも引かない。
しばらく睨み合ったあと、ガバイトが地面を強く踏みつけた。
岩が大きく鳴った。
ヤミラミが一瞬ひるむ。
その隙に、メレシーがガバイトの後ろへ隠れた。
やがてヤミラミは諦めたように洞窟の奥へ戻っていった。
静かになった。
ガバイトが振り返る。
そこには、さっきまで追いかけていたメレシーがいる。
メレシーはガバイトを見上げていた。
ガバイトも見つめ返している。
僕は少し不思議に思った。
「……守ったのか?」
ガバイトは答えない。
ただ、メレシーの前に座った。
メレシーも逃げなかった。
それからだった。
僕たちが山へ行くたびに、メレシーが姿を見せるようになった。
最初は遠くから。
次第に近くから。
ある日には、ガバイトの隣に座っていた。
ガバイトは、メレシーの頭の宝石をじっと見ている。
僕は少し心配になった。
「……欲しくないのか?」
ガバイトはメレシーを見る。
それから、自分の巣へ持ち帰った宝石を一つ取り出した。
メレシーの前に置く。
メレシーがそれを見る。
そして、ガバイトを見る。
どうやら交換のつもりらしい。
「いや、メレシーの頭のは取れないぞ」
ガバイトが不満そうな顔をした。
僕は笑った。
「だって、それはメレシーのものだから」
ガバイトはしばらく考えていた。
やがて、宝石を自分の巣へ戻した。
それからメレシーの隣へ座る。
まるで、
――これはこれでいい。
そう言っているようだった。
それからの二匹は、妙な関係になった。
ガバイトは宝石を集める。
メレシーはその中で一番大きな宝石を持っている。
だからガバイトは、最初はメレシーを気にしていた。
けれど、山にヤミラミが現れると、必ずメレシーの前に立つ。
メレシーも、ガバイトが宝石を探していると、近くで待っている。
時にはガバイトが見つけた石を、メレシーが転がして遊ぶ。
ガバイトは怒る。
でも、本気では怒らない。
しばらくすると、また一緒にいる。
ある夕方。
僕は二匹を眺めながら、ふと思った。
ガバイトは、メレシーを「宝石」として見つけた。
メレシーは、ガバイトを「守ってくれるもの」として見つけた。
最初は、それだけだったのかもしれない。
でも今は違う。
ガバイトにとって、メレシーはもう宝石ではない。
メレシーにとって、ガバイトもただの盾ではない。
きっと、お互いに。
そこにいる相手そのものを、大切に思っている。
帰り道。
ガバイトが僕の横を歩く。
少し後ろを、メレシーがついてくる。
「なあ、ガバイト」
僕が呼ぶと、ガバイトが振り向く。
「メレシーは、お前の宝物か?」
ガバイトはメレシーを見る。
メレシーもガバイトを見る。
そしてガバイトは、少しだけ胸を張った。
僕は笑った。
「そうか」
宝物という言葉には、少し不思議なところがある。
大切だから、手元に置いておきたいもの。
誰にも渡したくないもの。
自分のものだと、言いたくなるもの。
でも。
本当に大切なものは、手元に置くことだけが大切にすることではないのかもしれない。
その人が、その場所で、そのまま生きていけるように守る。
必要なら、そっと離れて見守る。
そして、また会えたら一緒にいる。
ガバイトの巣には、今日もたくさんの宝石がある。
赤い石も。
青い石も。
見たことのない鉱石も。
その中に、メレシーの姿はない。
メレシーは、山の中にいる。
ガバイトの宝石にはならず。
誰かの所有物にもならず。
自分の場所で、静かに暮らしている。
そして時々。
ガバイトの巣のそばまでやってくる。
ガバイトは嬉しそうに顔を上げる。
僕はそれを見て思う。
「ぼくのガバイト」と「きみのメレシー」。
そう呼んでいた二匹は、いつの間にか。
どちらのものでもない、大切な友達になっていた。