ポケットの中の毎日   作:GPTに書かせてみた

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忠犬ガーディ

 ぼくのトレーナーは、朝が弱い。

 

 目覚まし時計が鳴る。

 

 止まる。

 

 また鳴る。

 

 止まる。

 

 それでも起きない。

 

 だから、ぼくが起こす。

 

「ワン!」

 

 布団を引っ張る。

 

 動かない。

 

 もう一度。

 

「ワン!」

 

「……あと五分」

 

 ぼくには五分という時間がよく分からない。

 

 だから、もう一度引っ張る。

 

「……ガーディ、朝から元気だな」

 

 ようやく顔が出てくる。

 

 寝癖がひどい。

 

 ぼくは尻尾を振る。

 

 この顔を見ると、今日も一日が始まる気がする。

 

 トレーナーは、朝ご飯を食べる。

 

 ぼくにもご飯をくれる。

 

 それから靴を履く。

 

 ここで、ぼくは少し寂しくなる。

 

「行ってくる」

 

 トレーナーが頭を撫でる。

 

 ぼくは玄関までついていく。

 

 でも、外には出ない。

 

「今日は仕事だから、お留守番な」

 

 知っている。

 

 ぼくはいつも、ここで待つ。

 

 扉が閉まる。

 

 足音が遠ざかる。

 

 ぼくは玄関に座る。

 

 しばらくしてから、窓辺へ行く。

 

 外を見る。

 

 車。

 

 自転車。

 

 知らない人。

 

 知っている人。

 

 でも、トレーナーはいない。

 

 ぼくは耳を立てる。

 

 遠くの音を聞く。

 

 まだ帰ってこない。

 

 昼になる。

 

 眠くなる。

 

 それでも、玄関の音がすると起きる。

 

 違う。

 

 また寝る。

 

 夕方になる。

 

 外が少し暗くなる。

 

 ぼくは玄関へ戻る。

 

 この時間になると、少しだけそわそわする。

 

 トレーナーが帰ってくる時間だからだ。

 

 もちろん、毎日ぴったりではない。

 

 遅い日もある。

 

 早い日もある。

 

 雨の日は、少し遅い。

 

 ぼくには分かる。

 

 雨の匂いがする日は、トレーナーの靴が濡れている。

 

 疲れている日は、歩く音が少し重い。

 

 嬉しいことがあった日は、玄関を開ける前から足取りが軽い。

 

 今日の足音は、重かった。

 

 鍵が回る。

 

 扉が開く。

 

「ただいま」

 

 ぼくは飛びつく。

 

「おお、ガーディ」

 

 撫でてくれる。

 

 手から、外の匂いがする。

 

 仕事の匂い。

 

 雨の匂い。

 

 知らない人の匂い。

 

 それから、いつものトレーナーの匂い。

 

 ぼくはそれが好きだ。

 

 トレーナーは靴を脱ぐ。

 

 ぼくはついていく。

 

「今日は疲れたなあ」

 

 ソファに座る。

 

 ぼくも隣に座る。

 

 トレーナーがぼくの頭を撫でる。

 

 手が止まる。

 

 眠ってしまったらしい。

 

 ぼくは動かない。

 

 起こさない。

 

 この人は、眠っているときが一番無防備だから。

 

 ぼくがそばにいる。

 

 それでいい。

 

 ある日。

 

 トレーナーがぼくを連れて、町の外へ出かけた。

 

 森。

 

 川。

 

 広い草原。

 

 ぼくは走った。

 

 走って、走って。

 

 トレーナーが呼ぶ声が聞こえたら戻る。

 

「ガーディ!」

 

 ぼくは戻る。

 

「いい子だ」

 

 頭を撫でてもらう。

 

 また走る。

 

 それが楽しかった。

 

 トレーナーは、ときどきぼくに命令する。

 

 待て。

 

 おいで。

 

 行け。

 

 でも、ぼくは知っている。

 

 命令されなくても。

 

 この人が困っていたら、ぼくはそばに行く。

 

 悲しそうなら、隣に座る。

 

 怖そうなら、前に立つ。

 

 嬉しそうなら、一緒に走る。

 

 それは命令ではない。

 

 ぼくが決めている。

 

 ある夕方。

 

 森の中で、トレーナーが転んだ。

 

「痛っ……」

 

 ぼくは駆け寄った。

 

 膝から血が出ている。

 

 ぼくは傷を舐めようとした。

 

「大丈夫、大丈夫」

 

 そう言って笑う。

 

 でも、声が少し震えていた。

 

 ぼくは動かなかった。

 

 トレーナーの隣に座る。

 

 トレーナーがぼくを見る。

 

「……心配してくれてるのか?」

 

 当たり前だ。

 

 ぼくは尻尾を振った。

 

「ありがとう」

 

 その言葉の意味は、全部は分からない。

 

 でも。

 

 トレーナーが笑ったときの声は知っている。

 

 だから、ぼくも嬉しくなる。

 

 帰り道。

 

 トレーナーは少し足を引きずっていた。

 

 ぼくはいつもよりゆっくり歩いた。

 

 隣を歩く。

 

 離れない。

 

 トレーナーが立ち止まれば、ぼくも止まる。

 

 歩き出せば、ぼくも歩く。

 

 それだけだった。

 

 家に着くころには、もう日が暮れていた。

 

 トレーナーが玄関を開ける。

 

「ただいま」

 

 誰もいないのに、いつものように言う。

 

 ぼくは思った。

 

 たぶん、この人は「ただいま」と言うことが好きなのだ。

 

 帰ってくる場所があるから。

 

 そして。

 

 帰りを待っているぼくがいるから。

 

 夜。

 

 ぼくはトレーナーのベッドの横で眠る。

 

 昔は、一緒に寝ようとすると怒られた。

 

「毛がつくだろ」

 

 でも、今は何も言わない。

 

 ぼくは丸くなる。

 

 トレーナーの寝息が聞こえる。

 

 一定のリズム。

 

 安心する音。

 

 ぼくは目を閉じる。

 

 明日の朝も、ぼくが起こす。

 

 仕事の日は、玄関まで見送る。

 

 帰りが遅ければ待つ。

 

 疲れていたら隣にいる。

 

 それから、いつか。

 

 ぼくがもっと大きくなったら。

 

 もっと強くなったら。

 

 この人を、もっと遠くまで連れていけるかもしれない。

 

 でも。

 

 強くなることだけが、ぼくの役目じゃない。

 

 この人が帰ってくる場所にいること。

 

 この人が帰ってきたとき、一番に喜ぶこと。

 

 それも、ぼくにしかできないことだと思う。

 

 だから、ぼくは待つ。

 

 忠実だからじゃない。

 

 命令されたからでもない。

 

 この人が好きだから。

 

 そして、この人の隣が。

 

 ぼくの帰る場所だから。

 

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