ポケットの中の毎日   作:GPTに書かせてみた

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ミルホッグの目線の先

ミルホッグは、よく見ている。

 

道の向こう。

 

屋根の上。

 

木の枝。

 

遠くの山。

 

何もないように見える場所を、ずっと見ている。

 

町の人たちは、ときどき不思議そうに言う。

 

「ミルホッグ、何を見てるんだ?」

 

けれど、ミルホッグは答えない。

 

ただ、

 

じっ。

 

と見ている。

 

僕は駅前の小さな交番で働いている。

 

そこには一匹のミルホッグがいた。

 

誰かが飼っているわけではない。

 

いつの間にか交番の前に現れて、それからずっと居ついている。

 

朝は門のそば。

 

昼は街路樹の下。

 

夕方になると、交差点の角。

 

そして夜になると、少し高いところから町を見下ろしている。

 

まるで、町を見張っているみたいだった。

 


 

ある日。

 

小さな女の子が交番にやってきた。

 

「おまわりさん」

 

「どうしたの?」

 

「おばあちゃんがいなくなったの」

 

聞けば、買い物に出かけた祖母が帰ってこないらしい。

 

いつもなら、もう家に戻っている時間だった。

 

僕は近所を探すことにした。

 

そのときだった。

 

交番の前にいたミルホッグが、突然立ち上がった。

 

「……?」

 

ミルホッグは、道路の向こうを見ている。

 

じっ。

 

「何かいるのか?」

 

僕が尋ねても、ミルホッグは振り返らない。

 

ただ、目を細めている。

 

そして、

 

とことこ。

 

道路のほうへ歩き出した。

 

「待て!」

 

ミルホッグは止まらない。

 

交差点を曲がる。

 

その先にあるのは、古い公園だった。

 


 

公園には誰もいなかった。

 

ベンチがいくつかあるだけ。

 

ミルホッグは、入口で立ち止まった。

 

そして、また何かを見ている。

 

僕には何も見えない。

 

女の子も、きょろきょろしている。

 

「ミルホッグ、何を見てるの?」

 

女の子が聞いた。

 

ミルホッグは答えない。

 

公園の奥へ進む。

 

僕たちもついていく。

 

やがて、一本の大きな木の前で止まった。

 

ミルホッグが見上げる。

 

僕も見上げる。

 

そこに、

 

「あ」

 

ベンチに座っていた。

 

探していたおばあさんだった。

 

「おばあちゃん!」

 

女の子が走っていく。

 

おばあさんは、少し驚いた顔をして、それから笑った。

 

「まあ。どうしてここが分かったの?」

 

女の子が答える。

 

「ミルホッグが教えてくれたの」

 

おばあさんはミルホッグを見る。

 

ミルホッグは、何事もなかったように木の根元へ座った。

 

「そうだったの」

 

おばあさんが笑う。

 

「ありがとうね」

 

ミルホッグは、

 

じっ。

 

とおばあさんを見た。

 


 

帰り道。

 

僕はミルホッグに聞いた。

 

「どうして分かったんだ?」

 

もちろん、返事はない。

 

ミルホッグは前を向いて歩いている。

 

僕はふと気づいた。

 

ミルホッグが見ていたのは、おばあさんだけじゃなかった。

 

その前に歩いていた女の子。

 

交差点を渡る人。

 

自転車に乗る学生。

 

横断歩道の手前で立ち止まる子ども。

 

転びそうになったお年寄り。

 

ミルホッグは、いつも町を見ていた。

 

誰かを探しているのではない。

 

誰かが困っていないか。

 

誰かが危ない目に遭っていないか。

 

そういうものを、ずっと見ているのだ。

 

「……見張ってたんだな」

 

僕が言うと、ミルホッグは足を止めた。

 

振り返る。

 

そして、

 

じっ。

 

と僕を見る。

 

「分かったよ」

 

僕は笑った。

 

「これからも頼むな」

 

ミルホッグは何も言わなかった。

 

ただ、また前を向いた。

 


 

それから数日後。

 

交番の前を、一人の男の子が通った。

 

手には小さな紙袋。

 

ミルホッグが目で追っている。

 

男の子は交差点の前で立ち止まった。

 

信号を見る。

 

左右を見る。

 

そして、渡る。

 

ミルホッグも、じっと見ている。

 

無事に渡り終えると、ミルホッグはようやく視線を戻した。

 

僕はその様子を見ていた。

 

ミルホッグの目は、大きい。

 

遠くまでよく見える。

 

でも、きっと。

 

見えるから見ているだけじゃない。

 

気にしているから、見ているのだ。

 

大切だから。

 

何かあったら困るから。

 

そこにいる人たちが、今日もいつも通り帰ってこられるように。

 

だから、見ている。

 


 

夕方。

 

交番の窓から町を見る。

 

ミルホッグは、いつもの場所にいた。

 

街路樹の下。

 

夕日に照らされながら、じっと遠くを見ている。

 

僕も、その視線の先を追った。

 

子どもが走っている。

 

自転車が通る。

 

犬を連れた人が歩く。

 

商店街の明かりがひとつずつ灯っていく。

 

特別なものは、何もない。

 

でも。

 

ミルホッグは、それを見ている。

 

今日も何も起きなかった。

 

それを確かめるように。

 

僕は窓を閉めた。

 

「お疲れさん」

 

ミルホッグは振り返る。

 

そして、

 

じっ。

 

と僕を見る。

 

「……何だよ」

 

少し笑ってしまう。

 

「僕のことまで見張らなくても大丈夫だよ」

 

ミルホッグは、しばらく僕を見ていた。

 

それから、ゆっくりと目を細めた。

 

まるで、

 

「それはどうかな」

 

とでも言うように。

 

その日の夜も。

 

町のどこかで、ミルホッグは目を光らせている。

 

その目線の先に何があるのか。

 

僕には、全部は分からない。

 

けれど。

 

明日もこの町で、誰かが笑っていられるなら。

 

きっと、それだけでいい。

 

ミルホッグは今日も、

 

じっ。

 

と見ている。

 

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