ポケットの中の毎日   作:GPTに書かせてみた

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オーロンゲのヘアアレンジ

オーロンゲの髪は、長い。

 

とにかく長い。

 

背中を覆うくらいではない。

 

腕にも、肩にも、足元にまで届く。

 

風が吹けば、

 

ぶわっ。

 

と広がる。

 

歩けば、

 

さらさら。

 

と揺れる。

 

本人は気にしていないようだった。

 

けれど、僕は少し気になっていた。

 

なぜなら僕は、美容師だからだ。

 


 

「おはよう、オーロンゲ」

 

店のドアを開けると、オーロンゲが立っていた。

 

「……」

 

いつもの無表情。

 

そして、いつもの長い髪。

 

今日は少し寝ぐせがついている。

 

頭の上から一本だけ、ぴんと飛び出していた。

 

「寝ぐせ、すごいな」

 

「……」

 

オーロンゲは鏡を見る。

 

飛び出した髪を見る。

 

そして僕を見る。

 

「直してほしい?」

 

「……」

 

少しだけうなずいた。

 

「じゃあ、座って」

 

オーロンゲが椅子に座る。

 

僕はブラシを手に取った。

 

長い髪をとかしていく。

 

さら。

 

さら。

 

髪が指の間を流れていく。

 

思ったより柔らかい。

 

「きれいだな」

 

「……」

 

オーロンゲは鏡の中の自分を見ている。

 

「普段、どうしてるんだ?」

 

「……」

 

「自分でとかす?」

 

首を横に振った。

 

「じゃあ、誰かにやってもらう?」

 

首を横に振る。

 

「……今まで、ずっとそのまま?」

 

こくん。

 

僕は少し笑った。

 

「それなら今日は、いろいろ試してみようか」

 


 

最初は、髪をまとめてみた。

 

後ろでひとつに結ぶ。

 

すると、いつものオーロンゲより少しすっきりした。

 

「どう?」

 

オーロンゲは鏡を見る。

 

「……」

 

無言。

 

「気に入らない?」

 

首を横に振る。

 

「じゃあ、嫌でもない?」

 

こくん。

 

「なるほど」

 

美容師としては、なかなか難しい客である。

 

次は、左右に分けて編んでみた。

 

長い髪を少しずつ取る。

 

編んで。

 

編んで。

 

編んで。

 

ようやく形ができる。

 

鏡を見る。

 

オーロンゲは、少し目を見開いた。

 

「どう?」

 

「……!」

 

今度は、はっきり分かった。

 

気に入ったらしい。

 

「いいじゃん」

 

僕も笑った。

 

するとオーロンゲは、鏡を見ながら、自分の髪をそっと触った。

 


 

それから、オーロンゲは毎週店に来るようになった。

 

「今日はどうする?」

 

「……」

 

オーロンゲが雑誌を指差す。

 

「これ?」

 

こくん。

 

「分かった」

 

翌週は、三つ編み。

 

その次は、片側だけまとめる。

 

さらにその次は、髪を少し高い位置で結んでみた。

 

オーロンゲは、毎回鏡を見る。

 

気に入ったときは、ほんの少し口元が緩む。

 

気に入らないときは、

 

「……」

 

じっと僕を見る。

 

「分かった。やり直そう」

 

そう言うと、少しだけ満足そうにする。

 

僕はだんだん、オーロンゲの「好き」が分かるようになってきた。

 


 

ある日。

 

店に小さな女の子がやってきた。

 

母親に連れられて、髪を切りに来たのだ。

 

けれど、女の子は椅子に座るなり泣き出した。

 

「髪、切りたくない……」

 

「どうして?」

 

「長い髪が好きなの」

 

母親は困った顔をする。

 

「でも、毎朝大変でしょう?」

 

女の子は泣きながら髪を握った。

 

その様子を見ていたオーロンゲが、突然立ち上がった。

 

「え?」

 

オーロンゲは女の子のところへ歩いていく。

 

そして、自分の髪を持ち上げた。

 

長い。

 

ものすごく長い。

 

女の子が泣き止んだ。

 

「……おんなじ」

 

オーロンゲはうなずく。

 

それから、自分の髪を三つに分けた。

 

慣れた手つきで編んでいく。

 

長い髪が、一本の太い三つ編みになった。

 

女の子は目を輝かせた。

 

「かわいい!」

 

オーロンゲは鏡を指差す。

 

女の子も鏡を見る。

 

「わたしも、これにしたい」

 

母親が笑った。

 

「じゃあ、今日は切らずに結んでもらおうか」

 

「うん!」

 

僕はオーロンゲを見る。

 

オーロンゲは何でもないような顔をしていた。

 

けれど、少しだけ胸を張っていた。

 


 

その日から、女の子も毎週来るようになった。

 

「今日はオーロンゲと同じにして!」

 

「はいはい」

 

オーロンゲは隣でじっと見ている。

 

僕が髪を編んでいると、

 

「……」

 

オーロンゲが手を伸ばしてきた。

 

「やってみる?」

 

こくん。

 

僕は少し場所を譲った。

 

オーロンゲは女の子の髪をそっと持つ。

 

力加減に慣れていないのか、最初は少しぎこちない。

 

でも、

 

ゆっくり。

 

ゆっくり。

 

三本の髪を編んでいく。

 

女の子は鏡を見ながら笑っている。

 

「オーロンゲにやってもらってる!」

 

オーロンゲは何も言わない。

 

ただ、丁寧に編み続ける。

 

最後に髪を結ぶ。

 

「できた」

 

僕が言うと、

 

女の子が振り返った。

 

「ありがとう!」

 

オーロンゲは、少しだけ目を細めた。

 


 

閉店後。

 

僕はオーロンゲの髪を整えていた。

 

今日はいつもの三つ編みにする。

 

「最初は、こんなに長い髪、どうしようかと思ったよ」

 

オーロンゲは鏡を見る。

 

「でも、いろいろできるんだな」

 

髪を編む。

 

「結び方を変えるだけで、雰囲気も変わる」

 

さらに編む。

 

「同じ髪なのに、不思議だよな」

 

最後に結ぶ。

 

鏡を見る。

 

オーロンゲは満足そうだった。

 

僕はふと思った。

 

強そうに見えるオーロンゲ。

 

長い髪も、鋭い目も、堂々とした体つきも。

 

最初は、近寄りがたいと思っていた。

 

けれど今は違う。

 

髪をとかすときにはじっとしている。

 

好きな髪型を見つけると嬉しそうにする。

 

誰かの髪を編むときには、驚くほど優しい。

 

強さと優しさは、別々のものではないのかもしれない。

 


 

翌朝。

 

店の前にオーロンゲが立っていた。

 

今日の髪型は、いつもと違う。

 

自分でやったらしい。

 

少し不格好だけれど、ちゃんと編まれている。

 

「……自分でやったの?」

 

こくん。

 

「上手になったな」

 

オーロンゲは鏡を見た。

 

そして、

 

ほんの少しだけ笑った。

 

僕も笑う。

 

髪は長くても短くてもいい。

 

結んでもいい。

 

編んでもいい。

 

その日の気分で変えてもいい。

 

髪型を変えるだけで、その人の見える景色が少し変わることもある。

 

オーロンゲは今日も、長い髪を揺らして歩いていく。

 

その髪には、昨日までの形も、今日の形も、これから試す新しい形も。

 

全部、残っている。

 

僕は店の鏡を拭きながら思う。

 

髪を整えるというのは、

 

ただ見た目をきれいにすることじゃない。

 

その人が、

 

「今日はこれで行こう」

 

と思える姿を、一緒に見つけることなのかもしれない。

 

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