ポケットの中の毎日   作:GPTに書かせてみた

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ドーブルのオリジナル

 私の相棒は、ドーブルだ。

 

 絵描きとしては、とても便利な相棒だった。

 

 私が筆を持つ。

 

 ドーブルも筆を持つ。

 

 私が青を使えば、ドーブルも青を使う。

 

 私が細い線を引けば、ドーブルも細い線を引く。

 

 私が描いたものを。

 

 ドーブルは、驚くほど上手に真似する。

 

「うまいなあ」

 

 何度言ったか分からない。

 

 ドーブルは、そのたびに胸を張る。

 

 私の絵だけではない。

 

 他の画家の作品を見せれば、それも真似する。

 

 街で見つけたポスター。

 

 古い絵本の挿絵。

 

 美術館で見た有名な絵。

 

 ドーブルは、見たものを覚えている。

 

 そして。

 

 自分の筆で再現する。

 

 私は、それが好きだった。

 

 私たちは二人で、絵を描いて暮らしていた。

 

 私が構図を考える。

 

 ドーブルが色を塗る。

 

 私が線を描く。

 

 ドーブルが細かな模様を加える。

 

 二人で一枚の絵を完成させる。

 

 評判もよかった。

 

「この絵、素敵ですね」

 

「ドーブルとの合作なんですよ」

 

 そう言うと、みんな笑顔になる。

 

 けれど。

 

 ある日。

 

 大きな展覧会から依頼が来た。

 

「二人だけの、完全な新作をお願いします」

 

 私は喜んだ。

 

「やったな、ドーブル」

 

 ドーブルも嬉しそうに笑った。

 

 私はさっそく、机の前に座った。

 

 何を描こう。

 

 風景か。

 

 人物か。

 

 花か。

 

 動物か。

 

 いろいろ考えた。

 

 けれど。

 

 なかなか決まらない。

 

「ドーブルは何が描きたい?」

 

 聞いてみる。

 

 ドーブルは筆を持った。

 

 そして。

 

 私の顔を描いた。

 

「私?」

 

 ドーブルは頷く。

 

 上手だった。

 

 少し疲れている私の顔。

 

 寝不足で目の下に影がある。

 

 髪も少し乱れている。

 

 鏡よりも。

 

 ずっと私らしい。

 

「……すごいな」

 

 私は笑った。

 

 でも。

 

 これでは展覧会に出せない。

 

 私は筆を取った。

 

「もっと、すごいものを描こう」

 

 ドーブルが首を傾げる。

 

「今までにないものだ」

 

 私は考えた。

 

 今まで描いたことのない構図。

 

 見たことのない色。

 

 誰もやったことのない技法。

 

 ドーブルにも。

 

 今まで真似したことのない絵を描かせよう。

 

 そうして。

 

 私たちは描き始めた。

 

 一日。

 

 二日。

 

 三日。

 

 けれど。

 

 うまくいかない。

 

 私が描けば、どこかで見たような絵になる。

 

 ドーブルが描けば。

 

 どこかで見た誰かの絵に似てしまう。

 

「違う」

 

 私は紙を破った。

 

「これじゃない」

 

 また描く。

 

 また破る。

 

 ドーブルは黙って見ていた。

 

「もっとオリジナルにしないと」

 

 私は焦っていた。

 

「誰にも真似できない絵にしよう」

 

 ドーブルが筆を置いた。

 

 そして。

 

 部屋を出ていった。

 

「ドーブル?」

 

 返事はない。

 

 私は追いかけなかった。

 

 その日の夜。

 

 私は一人で机に向かっていた。

 

 目の前には。

 

 失敗した絵が何十枚もある。

 

 どれも、それなりに上手い。

 

 でも。

 

 どれも好きになれない。

 

「オリジナルって、何なんだろうな」

 

 独り言が漏れた。

 

 翌朝。

 

 ドーブルが帰ってきた。

 

 口に何かをくわえている。

 

 小さな花だった。

 

 私の家の近くにはない花。

 

「どこで見つけたんだ?」

 

 ドーブルは私の袖を引っ張った。

 

 外へ出ろ、ということらしい。

 

 ついていく。

 

 町を抜ける。

 

 坂道を上る。

 

 その先に。

 

 小さな空き地があった。

 

 誰も手入れしていない場所。

 

 雑草が伸び。

 

 石ころが転がっている。

 

 その真ん中に。

 

 一本だけ。

 

 さっきの花が咲いていた。

 

 ドーブルは座り込んだ。

 

 そして。

 

 地面を筆でなぞった。

 

 花。

 

 石。

 

 草。

 

 雲。

 

 そこにいる私。

 

 そして。

 

 隣にいるドーブル。

 

 何でもない風景だった。

 

 私は黙って見ていた。

 

「……これを描きたいのか?」

 

 ドーブルは頷いた。

 

 私は笑った。

 

「そうか」

 

 家に戻る。

 

 新しい紙を出す。

 

 ドーブルが筆を持つ。

 

 私は。

 

 いつものように構図を決めようとして。

 

 やめた。

 

「好きなように描こう」

 

 ドーブルがこちらを見る。

 

「私も好きに描く」

 

 それから。

 

 二人で描いた。

 

 私が青空を描いた。

 

 ドーブルが、その横に少しだけ変わった青を置いた。

 

「その色、使うの?」

 

 ドーブルは頷いた。

 

 私には思いつかなかった色だった。

 

 私が花を描く。

 

 ドーブルは花びらを一枚だけ、別の色にした。

 

 私が「そこは同じ色だろ」と言うと。

 

 ドーブルは首を振った。

 

「……そうか」

 

 私は筆を止めた。

 

「お前には、そう見えるんだな」

 

 ドーブルは笑った。

 

 完成した絵は。

 

 今までの私たちの絵とは、少し違っていた。

 

 上手いかどうかは分からない。

 

 構図も少し変だ。

 

 色だって、統一されていない。

 

 でも。

 

 見ていると。

 

 あの空き地の風が思い出された。

 

 花の匂い。

 

 雲の動き。

 

 隣でドーブルが筆を動かす音。

 

 その日のことが。

 

 ちゃんと絵の中に残っていた。

 

 私は、その絵を展覧会へ持っていった。

 

 係の人がしばらく眺める。

 

「……これは?」

 

「私とドーブルで描きました」

 

「なるほど」

 

 係の人は、少し考えてから言った。

 

「今までの作品とは、ずいぶん違いますね」

 

「そうですね」

 

「でも……好きです」

 

 私は笑った。

 

「私もです」

 

 展覧会の日。

 

 たくさんの人が、その絵の前で立ち止まった。

 

 ある人は。

 

「不思議な絵ですね」

 

 と言った。

 

 別の人は。

 

「この色、面白い」

 

 と言った。

 

 子どもが一人。

 

「このポケモン、楽しそう」

 

 と言った。

 

 ドーブルは。

 

 少し離れたところで、それを聞いていた。

 

 私は隣に立つ。

 

「よかったな」

 

 ドーブルを見る。

 

「お前の絵だ」

 

 ドーブルは首を振る。

 

 それから。

 

 私の肩を筆でちょん、と叩いた。

 

「私のでもある?」

 

 ドーブルは頷いた。

 

 私は笑った。

 

 そのとき。

 

 ようやく分かった。

 

 オリジナルというのは。

 

 誰にも真似できないものを作ることじゃない。

 

 真似できないほど変わったものを作ることでもない。

 

 自分が見たもの。

 

 自分が感じたこと。

 

 自分と誰かが過ごした時間。

 

 そういうものを。

 

 自分の手で残すことなのだ。

 

 ドーブルは。

 

 何でも真似できる。

 

 だからこそ。

 

 何を真似するか。

 

 何を真似しないか。

 

 どこに自分の色を置くか。

 

 それを選ぶことができる。

 

 そして。

 

 選んだものが積み重なれば。

 

 それはもう。

 

 誰かの絵ではない。

 

 ドーブルの絵になる。

 

 帰り道。

 

 ドーブルが私の隣を歩いている。

 

「なあ、ドーブル」

 

 振り向く。

 

「今度は、何を描こうか」

 

 ドーブルは少し考えた。

 

 そして。

 

 私の靴を描いた。

 

「……靴?」

 

 頷く。

 

「そんなに面白いか?」

 

 ドーブルは笑っている。

 

 私はため息をついた。

 

「まあ、いいか」

 

 今日見たものを。

 

 今日感じたものを。

 

 明日の自分が、また違うように描く。

 

 それでいい。

 

 ドーブルの筆先から。

 

 まだ誰も見たことのない一枚が。

 

 少しずつ生まれていく。

 

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