ポケットの中の毎日   作:GPTに書かせてみた

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伝書マメパト

 町には、一羽のマメパトがいた。

 

 郵便局の屋根に巣を作っている。

 

 朝になると、決まってそこから飛び立つ。

 

 そして。

 

 夕方になると、決まって戻ってくる。

 

 私は、この町の郵便屋だった。

 

 マメパトと一緒に仕事をするようになって、もう何年になるだろう。

 

 今では、誰もが知っている。

 

「あ、マメパトだ」

 

 子どもたちが空を見上げる。

 

 マメパトは翼を広げて、町の上を飛んでいく。

 

 郵便物を運ぶのは、私たち人間の仕事だ。

 

 けれど。

 

 どうしても私たちだけでは届けられないものがある。

 

 山の向こうの小さな家。

 

 橋を渡った先の農家。

 

 車では入りにくい細い道。

 

 そんなところへ。

 

 マメパトは手紙を運んでくれる。

 

 首に小さな袋をつけて。

 

 ひらり。

 

 ひらり。

 

 空を飛ぶ。

 

 昔は、もっとたくさんのマメパトがいたらしい。

 

 けれど今は。

 

 手紙そのものが少なくなった。

 

 声を届けるなら電話がある。

 

 写真を送るなら、すぐに送れる。

 

 短い言葉なら、もっと簡単に伝えられる。

 

 それでも。

 

 郵便局には、時々。

 

 少し厚みのある封筒が届く。

 

 何度も書き直したような跡がある手紙。

 

 きれいな字で書かれた手紙。

 

 震えた字で書かれた手紙。

 

 私は、それらを大切に扱う。

 

 ある冬の日。

 

 一人のおばあさんが郵便局へやってきた。

 

 手には、一通の手紙。

 

「これを、届けてもらえますか」

 

「もちろんです」

 

 宛先を見る。

 

 山の向こうの町だった。

 

 少し遠い。

 

「急ぎですか?」

 

 おばあさんは首を振った。

 

「いいえ」

 

 そして。

 

 少しだけ笑った。

 

「でも、できれば今日」

 

 私は頷いた。

 

「分かりました」

 

 マメパトに手紙を預ける。

 

 小さな袋に入れる。

 

「頼んだぞ」

 

 マメパトは翼を広げた。

 

 窓から飛び立つ。

 

 青空へ。

 

 小さくなっていく。

 

 その姿を見ながら。

 

 私は、少し不思議に思った。

 

 今日中に届けたい。

 

 でも急ぎではない。

 

 その意味が、よく分からなかった。

 

 夕方。

 

 マメパトが帰ってきた。

 

 袋は空になっている。

 

 ちゃんと届いたらしい。

 

 私は安心した。

 

 翌朝。

 

 おばあさんがまた来た。

 

「ありがとうございました」

 

「届きましたか?」

 

「ええ」

 

 おばあさんは頷いた。

 

「返事は、まだですけどね」

 

 そう言って笑う。

 

「それでもいいんです」

 

 私は何も言わず、頷いた。

 

 手紙というものは。

 

 返事をもらうためだけに書くものではないのかもしれない。

 

 言いたかったことを。

 

 ちゃんと形にする。

 

 遠くにいる誰かへ。

 

 時間をかけて届ける。

 

 それだけで。

 

 少しだけ心が軽くなることもある。

 

 それから数日。

 

 マメパトはいつも通り仕事をしていた。

 

 けれど。

 

 ある日。

 

 帰ってこなかった。

 

 夕方になっても。

 

 空が暗くなっても。

 

 郵便局の屋根に姿がない。

 

「どうしたんだろう」

 

 私は何度も空を見上げた。

 

 夜になった。

 

 風が強くなった。

 

 私は心配になった。

 

 翌朝。

 

 まだ帰ってこない。

 

 町の人たちも気づき始めた。

 

「マメパト、どうしたの?」

 

「昨日から見ないね」

 

 私は山の方を見た。

 

 そして。

 

 ふと思った。

 

 あのマメパトは。

 

 届けることだけを仕事にしているわけではない。

 

 帰ってくることも。

 

 きっと仕事なのだ。

 

 だから。

 

 帰ってこないということが、こんなにも気になる。

 

 その日の昼。

 

 一人の少年が郵便局へ来た。

 

「これ」

 

 手には、小さな紙袋。

 

「マメパトにあげて」

 

「どうしたんだ?」

 

「いつも手紙を持ってきてくれるから」

 

 私は笑った。

 

「帰ってきたら渡すよ」

 

「うん」

 

 少年は帰っていった。

 

 夕方。

 

 空の向こうに、小さな影が見えた。

 

「あっ!」

 

 誰かが叫んだ。

 

 マメパトだった。

 

 少し疲れている。

 

 翼も泥で汚れている。

 

 けれど。

 

 ちゃんと戻ってきた。

 

「おかえり」

 

 私は駆け寄った。

 

 マメパトは、私の肩に乗った。

 

「よく帰ってきたな」

 

 その首には。

 

 見慣れない手紙が一通、結ばれていた。

 

 私は目を丸くした。

 

 差出人を見る。

 

 あのおばあさんが出した手紙の。

 

 返事だった。

 

 私は、翌朝。

 

 おばあさんの家へ向かった。

 

「返事が届きましたよ」

 

 そう言って手紙を渡す。

 

 おばあさんは、しばらく封筒を見つめていた。

 

 それから。

 

 ゆっくり封を開ける。

 

 一行。

 

 二行。

 

 読み進めるうちに。

 

 目に涙が浮かんだ。

 

「……そうですか」

 

 それだけ言って。

 

 手紙を胸に抱いた。

 

 私は何も言わなかった。

 

 少し離れたところで。

 

 マメパトが待っている。

 

 おばあさんが手紙を読み終えるまで。

 

 じっと。

 

 そこにいる。

 

 帰り道。

 

 私はマメパトに言った。

 

「お前、えらいな」

 

 マメパトは私を見る。

 

「でもな」

 

 少し考えてから。

 

「急がなくてもいい手紙って、あるんだな」

 

 マメパトは首を傾げた。

 

「今日届けば嬉しいけど」

 

「明日でも」

 

「明後日でも」

 

「届くまで待てる手紙もある」

 

 風が吹く。

 

 マメパトが翼を広げる。

 

 私の少し前を飛んでいく。

 

 速くはない。

 

 車ほどでもない。

 

 機械のように正確でもない。

 

 雨の日には休む。

 

 疲れれば帰ってくる。

 

 それでも。

 

 手紙はちゃんと届く。

 

 誰かが誰かを思って書いたものを。

 

 遠くまで運ぶ。

 

 それが。

 

 このマメパトの仕事なのだ。

 

 郵便局の屋根に戻る。

 

 マメパトは巣へ入る。

 

 私は明日の手紙を整理する。

 

 机の上には。

 

 また一通。

 

 少し古い封筒が置いてあった。

 

 宛先は遠い。

 

 急ぎではない。

 

 私は封筒を手に取る。

 

 そして。

 

 窓の外を見る。

 

 屋根の上では。

 

 マメパトが眠っている。

 

「明日、頼むな」

 

 返事はない。

 

 でも。

 

 明日の朝になれば。

 

 きっと飛び立つ。

 

 誰かの想いを乗せて。

 

 今日より少し遠くへ。

 

 今日より少し先へ。

 

 そして。

 

 いつか誰かのもとへ。

 

 手紙が届く、その瞬間まで。

 

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