「……ッ!!」
目が覚める。
いや、あれは目を覚めたと言っていいのか。
「……何で」
おかしい、あの時確実に死んだはず。
ツリーガードのハルバードで吹き飛ばされ、体の臓器がぐちゃぐちゃになり背骨も折れ、トドメに胴体を真っ二つにされたはずなのに。
「うっ……!!」
先程の出来事を思い出した瞬間、吐き気が襲い掛かる。
ノアは建物の端の所へと行き、吐瀉物を吐く。
「うぐっ……オエッ…ゴホッ……カホッ……」
存分に吐いた後、壁にもたれかかって地面に座る。
完全記憶のノアは嫌でも記憶は残る
いや、どんな人でもあれは嫌でも記憶に残ってしまう。
しかし、あれは夢だったのか?
夢にしてはリアル過ぎる。
分からない、確信がないからだ。
「……」
奥くに、先程ノアを殺したツリーガードがいた。
今考えるととんでもない馬鹿な事をした、話が通じそうと思い近づいてしまってこのザマだ。
戦おうと思っても、運動音痴のノア、それに剣の使い方何でこれっきし。
「なんなんですか、この世界……」
「何で私が………」
いつもの様に記録し、親しい人達と何気ない日常を過ごしていたはずだった。
それが謎の世界に飛ばされ、殺され、なせが生きている。
「…グスッ…………」
気付けばノアは涙を流していた。
「ヒグッ…グスッ……ユウカ……ちゃん……」
「私……どうすればいいの……」
それからノアは泣き続けた
涙で目元が腫れていようとも、それでもノアは泣き続けた。
あれから数時間が経過して落ち着いてきたがノアは俯いたまま。
無理もないだろう、まだ数々の青春を送る年頃なのに謎の世界へと飛ばされ、挙句の果てには殺されるという前の生活では考えられないこと経験した。
これからどうすればいいのか分からないという不安
『死』を経験し、また死ぬかもしれないという恐怖
色々な感情が入混ざって涙を流していた。
気づけば日が暮れていた、この世界にも日の満ち引きは存在するらしいが。
それがどうしたというんだ、それを感じてもこの世界には意味がない。
「……」
ふと正面に光を感じた。
顔をあげてみると、そこには黄金に輝く『ナニカ』があった。
ノアは立ち上がり、その輝くところへと向かう。
触れると、黄金の波長が広がる。
『祝福の導き』
祝福は本来、褪せ人を導き
進むべき道を指し示すものである
そして今でも、一部の祝福はその力を残し
黄金の光跡で道を示している
「暖かい……」
祝福からは、暖かい感じがした
これにそのような効果があるとはわからないが、今のノアにはそう感じた。
その場に座り、その温かさを体感していた時。
「…おお、貴女は…褪せ人ですね」
「え?」
不意に声をかけられた。
声がした方へ顔を向けると、仮面の様な物をつけた人物がいた。
そういえばこの人、ノアが初めてここに来た時もいたような気がした。
完全に辺りの景色に目がいってしまって見えていなかった。
「そして、
「分かりますよ、そうでしょうとも」
「………えっ?」
なんか違う。
ノアは謎の本を呼んでここへ迷い込んでしまった、別にエルデンリングという物を求めてやってきた訳ではない。
色々とおかしな所があり、首を傾げ困惑する。
「ですか、悲しきかな。 貴女は、『巫女無し』です。」
「導きも知らず、ルーンの力を得ることもできず、円卓に招かれることもない」
「…ただ名も無く死んでゆくでしょう」
「……」
いきなり『褪せ人』とか『巫女無し』とか言われ、挙句の果てには『死んでゆくでしょう』って言われた。
何様なんだこいつとノアはムッとする。
しかしだ、かなり重要な事を言っていた気がする。
『巫女無し』っと言うもの、おそらくだかその『巫女』っと言うものを持てば何かしら変わるのではないだろうか。
言い方はアレだが、かなりいい情報をくれた。
今日は夜も遅く、仕方ないのでここで休むことにする。
終始あの人物は黙ったままたが……
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日が上り、同時にノアも目を覚ます。
そこはミレニアムにある自分の自室――ではなく、狭間の地である。
どうやらこの世界は夢ではないことが確定した。
元の世界に帰る為には、先へ進むしかないのだろう。
しかしだ、その前には大きな壁が立ちはだかっている。
「あの黄金の騎士をどうにかしないといけませんね……」
ノアを1度殺したツリーガード。
あいつをどうにかしなければ先へ進むことすらできない。
だが運動音痴のノアでは到底勝てる訳もなく、この世界での戦い方もよくわかっていない。
「隠れてなら……行けますでしょうか……」
あえて戦わず、隠れてやり過ごす手もある。
今の状況ではそれが得策だろう。
「……」
足が震えている。
無理ない、1度殺された相手だ
それなのに再び死に行く様なことはできるわけが無い。
しかしここで動かなければミレニアムに帰る事すらできない。
「……ッ!」
覚悟を決めたノアは、歩き出す。
ツリーガードの目線に入らないように草や岩などを使って隠れながら進んでいく。
「(心臓の鼓動がうるさい……)」
ドクンッドクンッと激しく跳ねる心臓。
気付かれれば死ぬ、その緊張感の中さに鼓動が激しくなる。
「……」
チラッとツリーガードを見るが、背を向けていてこちらには気付いていない様子。
このまま進めば大丈夫だろう。
そう慎重に進んでいた時
「……ウッ」
ノアの後ろから大きな影が迫る。
鼓動が激しくなり、息も荒くなる。
ノアは冷や汗を流しながら振り返ると。
「…あっ………ああ………」
ツリーガードがノアの背後に佇んでいた。
ノアはしりもちをつく、腰が抜けて立つことすらできない。
そしてツリーガードは、黄金のハルバードを持ち上げる。
「……嫌だ!やめて!私はっ――!」
必死に叫ぶが、それも虚しく黄金のハルバードは振り下ろされる。
ノアは顔と体を潰され、そのまま動かなくなり塵となって消えた。
「……ッ!!」
気付けば、また戻っていた。
それも、1度殺され戻ってきた時と同じ場所。
やはり夢でない、死んで戻っている。
「うっ!!」
「うぐっ……オエッ…ゴボッ………ゴホッ……」
ツリーガードと対面した時の恐怖と死んだという感覚でノアはまたも吐瀉物を吐き出した。
「やっぱり…死んだ……私は、死んだ……」
「ウッ……オエッ、ガボッ……」
受け入れたくない気持ちと、押し寄せる変な感覚にさらに吐瀉物を吐き出すノア。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
胃が空っぽになった感覚
冷や汗がダラダラと流れ、息も荒くなる。
「はぁ、何で……バレたの……」
思い返してみれば、あの時ツリーガードの様子を見ようと顔を出した時、おそらくツリーガードは目線を感じ取ったのだろう。
余計な事をしなければ、抜け出せたのかもしれない。
「……またやり直し」
ノアは、息を整えてもう一度挑戦する。
今度は、余計な行動はせずすぐに抜ける様に進む。
だが……
「えっ……」
進む道にツリーガードが立ちはだかっていた
黄金のハルバードを横に振り、ノアを吹き飛ばす。
体が両断され、最後に見たのは塵となって消える自分の『半身』だった。
「……ッ」
また戻ってきた。
なぜさっきまでいなかった場所にいたのか、たぶんだが二回目の時とは時間が違ったからだ。
二回目はかなり時間を使ってしまったためツリーガードの行動が変化した。
だが今回は、すぐに行ったためほぼ初期地点の場所にツリーガードがいてノアが進んでいた目地にバッタリとあってしまったからである。
count4
今度は別の場所に気を取らせて進む。
ノアとツリーガードの反対側に、小石などを投げて気を取らせようとする戦法。
だが逆に気づかれてしまい黄金のハルバードで体ごと潰され即死。
「……ッ」
戻ってきて次の方法を考える
count5
今度は大回りを試みる。
崖のギリギリを攻め、進んでいく。
しかし身を隠す場所がなく、見つかってしまい、ハルバードの先端部分の刺突に体を突き刺される。
「ゴホッ……ウッ……」
血を吐き出し、刺突部分を掴むが。
ツリーガードはハルバードを持ち上げ、そのまま勢いよく振り下げる。
その反動でノアの体はハルバードの刺突部分から抜けるが。
そのまま落下して行った。
地面と激突して骨が折れる音がした瞬間、意識は途切れ
また戻ってきた。
それからも、何度も何度も……何度も何度も何度も何度も何度もやり直してきたが、どれもダメで殺され戻っていく。
そしてcount12の時。
「……やるしか……ない」
ノアは腰にかけられた剣を抜き、盾を持つ
逃げてはダメなら、倒して押し通る。
かなり無謀な事だ、しかしだ
これ以上逃げて同じことをやっても同じ結果にしかならないと思う。
なら少しでも、ツリーガードの動きを覚え
それに適した動きを見つけていくしかない。
ノアはツリーガードの前に立ち、盾を構える。
count12
まずは動きを見る。
ツリーガードはハルバードを振り上げ、勢いよく振り下ろす。
盾で受けるが、その威力は凄まじく吹き飛ばされてしまう。
「アガッ……腕……が……」
盾とはいえ、ツリーガードのハルバードの攻撃をモロに受けてしまえば、耐えれるのが難しい。
ノアは左腕が折れてしまうが、立ち上がる。
少しでも動きを覚え
だがハルバードによって、頭を吹き飛ばされ即死
首から上が無くなったノアの体は力無く倒れ塵となって消えた。
count13
盾で受けるのではなく、後ろに下がりながら様子を見る。
しかし、ハルバードを突き刺してきてそれがノアの足に直撃してしまう。
片足は切断され、ノアは地面に転がる。
「あっ……あああっ!!」
足を抑え悶えるノアだが、そんなのお構い無しにツリーガードはハルバードを振り下ろす。
体が真っ二つに切断され即死。
count14
先程とはかなり長い間生き残れるようになり、動きも見えてきた。
「(動きはだいたいパターン化されていますね、これを覚えれば……)」
ノアがそう思ってた時、突如としてツリーガードの姿が消える。
「え?」
困惑するノアだが、上から影が迫る。
見上げると、馬に乗りながら高く飛び跳ねているツリーガードの姿が見えた。
そのままノア目掛けて落下し、馬の足がノアに直撃する。
馬の足がノアの体をえぐり、血が吹き出す。
「ウガッ……ウゥ……」
必死にツリーガードに手を伸ばすが、意思が薄れ伸ばした手が地面に付き塵となって消えた。
count15、count16と動きを見て覚え死んで、また覚え死んでを繰り返す。
count18
振り上げ来たハルバードを回避して、剣を振る。
馬に当たったが、片手だけではあまり効果が見られない
馬に体当たりをされ体制を崩された所にハルバードが振り下ろされ即死。
count19
盾を外し、両手持ちをする。
両手持ちなら片手持ちよりも威力は出るが、せいぜい与えらるのはちょっぴり。
しかし、少しずつ……だが確実にダメージは与えられている。
「(このまま行けば……)」
そう安心した時、またしても姿が消えた。
「(飛び上がった!上を警戒!)」
そう見上げたが。
「……えっ?」
迫り来るのは馬では無く、黄金の巨大な『盾』であった。
振り下げられらた盾は地面ごとノアの身体を切断。
声を上げる暇もなく即死。
count20
先程の事を活かし、相手の動きをよく見る。
気を抜けはやられる。
集中を切らさず着実にダメージをあたえていく。
だが……
「えっ?」
何故か、ノアの髪が剣に絡まってしまった
すぐに解こうとするが。
ツリーガードから目を離してしまった為、攻撃に気付くのに遅れ。
上半身を吹き飛ばされ即死。
それから何度もやり直し、そしてcount25
「……髪は、邪魔」
ノアは髪を束ねて、剣で髪を切ってしまった。
それと、ノアの目は変わっていて
何を考えているのか分からない目になっていた。
「……はぁ……………」
大きく息を吸い、吐く。
両手で剣を持ち構える。
ツリーガードが接近してきてハルバードを振り下げる。
この25回で繰り返して得た情報で、編み出したものは。
「フッ!」
ツリーガードの攻撃に合わせて
前までは動き回り回避していたが、ノアの体力的に苦しくなり最終的に殺られてしまう。
だがこの方法なら、体力消費は少しでも抑えれると思いたい。
しかし、タイミングをミスってしまうと。
「アガッ!!」
振り上げられたハルバードに直撃して空高くへと打ち上げられる。
そのまま頭から地面に落下して即死。
count26
動きも、攻撃速度も、ツリーガードの動きをほぼ全て記憶した。
回避をして、勢いよく剣をを振り上げる。
目に見えてダメージを与えているのが見えた。
馬の体当たりで吹き飛ばされても、すぐに体制を立て直して追撃のハルバードを回避する
突進からのハルバード振り上げは、タイミングを見て飛び込み前転で回避。
ハルバード3連撃も前転で何とか回避できる。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
傷だらけの体、疲れきった体。
そこでノアは聖杯瓶を取り出し飲む
美味しくないし不味くもない、不思議な味。
聖杯瓶を飲んだ瞬間、びっくりするほど傷が消えていく。
しかし疲弊した体は元に戻らないみたい、それには別の聖杯瓶があるが、回数は1回。
それに、敵の目の前で回復薬を飲むとどうなるのかその答えは明白であろう。
隙ができてしまってそこを突かれる。
ハルバードを振り下げ、ノアの頭を潰す。
count27
聖杯瓶は離れた所で飲み、それを見て突進してきたツリーガードの攻撃を前転で回避してカウンターの構えからの振り上げ。
ついにツリーガードは怯む。
「今しかないッ!」
ノアは馬をよじ登り、ツリーガード本体の肩に乗り
剣を逆手持ちをして……
「…………ごめんなさい」
そのまま思いっきりツリーガードの首へ突き刺す。
突き刺されたツリーガードは激しく揺れ、ノアは地面に投げ飛ばされる。
そのままツリーガードは倒れ、塵となって消えた。
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
起き上がったノアは、それを見て。
「勝った……」
そう安堵の息をつくが。
「(もう……戻れない……)」
いくら自分を何十回殺した相手とはいえ、殺したのは殺した。
ノアは初めて人を殺してしまった。
もう、戻れなくなってしまった。
「ムグッ……オエッ…ゴボッ……ゴボッ……」
ツリーガードを打ち倒した達成感と安堵した気持ち、人を殺した感覚、これまで死ぬ直前の光景がフラッシュバックし、またも吐瀉物を吐き出してしまった。
「……」
吐瀉物をすべて吐き出した後。
ふと地面を見ると、黄金のハルバードが落ちていた。
ツリーガードが使っていた奴だろう
ノアは持ち上げようとするが……
「重……」
両手でやっと持ち上げられる程の重さだった。
こんな物を片手で振り回していたツリーガードの異常さを体感できるものだった。
「どうやって運ぼう……」
こんな重いものをいつも背負って戦う訳にも行かない。
そう悩んでいた時、黄金のハルバードは光に包まれて消えてしまった。
「えっ?」
いきなりの事で戸惑うノアだったが
「もしかして……」
ノアは右手を伸ばして念じる。
イメージ的には目の前に対象の物を取り出す見たいな感じ。
すると、ノアの手に黄金のハルバードが現れるが。
「ヒャン!?」
片手では持てず、その前地面へと倒れてしまった。
アイテムボックスやインベントリみたいな感じだと思われる。
「……」
この武器を扱える様になるのは、もっと先であろう。
「……はぁ」
ノアは祝福の前まで来て、座り休息をとろうとするが。
「(……慣れるのが……怖い)」
果たして、この世界……ましてや『死ぬ』事に慣れてしまった自分はどの様に見えてしまい、どんな姿になってしまうのか。
そんな姿になってミレニアムに戻ったとき、ユウカは果たしてそんなノアの姿を受け入れていつもの様に接してくれるのだろうか。
その不安が募るばかりであった。
ツリーガード......リムグレイブに出て初めて戦う相手にしては強すぎじゃないですか?
嘔吐のシーンがありましたが......大丈夫ですかね......
かなりこういう感じにノアには死に戻りしてもらって曇らせる感じに進んでいこうと考えています。
ユルシテ...