お前たち褪せ人が、いつまで、二本指に徒順であるのかをな
祝福で休み、翌朝。
剣を腰に掛け、盾を背中に納め
ツリーガードと戦う時に邪魔になった髪を切ったことによりショートヘアーとなり、雑に切ってしまったため少し手直しを加える。
諸々準備をして立ち上がり、先へ進む。
まず目指すのは、ツリーガードと戦ったところの奥に建物が見えた、見た感じ廃墟っぽい気がするが、多少なりともこの世界の情報はあるはずだ。
ツリーガードと戦った場所を抜け、廃墟へと向かう。
廃墟へたどり着き、中を見ると。
謎の商人らしき人がいた。
「サンタ……服?」
その商人はなぜかサンタのコスチュームをしていた、この季節...季節の概念があるのが知らないが、確実に季節外れのコスチュームである。
いつでも剣を抜けるようにし、ゆっくりと近づき声をかける。
「あの~...」
ノアは商人に声をかけると商人は顔を上げ、ノアを見る。
「...あんた、褪せ人か?」
褪せ人...
それはノアを示していることはわかる、しかしそれがどういう意味なのか全く分からない。
「それに...」
「どうやら、俺を襲う気はなさそうだ」
「......襲いませんよ」
話が通じる人は初めてだ、それに襲う理由がない。
「あんた、だったら何か買っていかないか」
そうしてその商人は品物を出してきた。
[武器]
松明
[盾]
ラージレザーシールド
[防具]
チェインシリーズ
[戦灰]
タリスマン
[貴重品]
ヒビ壺
ツール鞄
[アイテム]
望遠鏡
スローイングダガー
ボルト
矢
文書 「霊薬の聖杯瓶について」
文書 「宿場跡について」
放浪戦士の製法書 [1]
放浪戦士の製法書 [2]
宣教師の製法書 [1]
鉤呼びの指薬
といったラインアップ、見た感じまずまずな品揃えである。
今使えそうなのは、スローイングダガーだろうか、しかし運動音痴にノアは以前ボール投げをやったところ思いっきり地面に投げつけ顔に直撃した記憶がある。
投げ方は違うとは思う、それにあって損はないだろう。
ノアはスローイングダガーを購入した。
この世界はお金が『ルーン』といったもので取引をするみたい。
ツリーガードを倒したことによりルーンをかなりもらえた。
スローイングダガーを購入したノアは、廃墟を出て先へと進む。
進むこと数分、ある大きな廃墟が見えた
ノアは先ほど商人からスローイングダガーのほかに望遠鏡を購入していた。
望遠鏡を覗き、あたりを見てみたが、廃墟には多くに『兵士』の姿が確認できた。
「……」
見た目は人だが、信用してはいけない。
ツリーガードでよく味わったからだ、この世界の人間はあまり信用してはいけない。
先ほどの商人は友好的で信用できるが、あの兵士たちは信用できない、そう感じたからだ。
たとえ話しかけても、剣でお出迎えされるだろう。
しかしだ、どうやって突破するか、もしもこの兵士たちがツリーガード並みの索敵能力を持っていたらすぐに見つかって黒ひげ危機一髪みたいに串刺しにされる。
悩んだ末、夜なら見つかりにくいだろうと一度廃墟に戻って時間を潰すとする。
そうしてノアは廃墟へと戻っていった。
時刻は夜。
ノアはゆっくりと見つからないように廃墟を抜けていった、幸いにも見つからず無事に通りぬくことができた。
廃墟を抜け、とある門の前まで来たノア。
近くには祝福があり、祝福に触れ、休憩をとる。
休憩をとっていた時だった、ノアに右側から突如としてフードを被った人物が現れた。
ノアはびっくりして剣を手に取るが、よく見たら見覚えのある人物だった。
気を失っていたあの洞窟で、一度その人物を見た。
その人物は、ノアを見て。
「はじめまして」
「霧の彼方から来た人よ」
霧の彼方?
それはどういうことなのか、よくわからなかった。
「私はメリナ」
「……はじめまして、ノアです」
何なのかよくわからず、戸惑うノア。
その人物は、ノアの近くに座り、かぶっていたフードを外す。
外見は左目が閉ざされた赤髪の少女であった、年齢はノアと同じだろうか。
「…貴女と、取引がしたいの」
「取引?」
取引とは、いったい何を要求されるのか。
まさか左目を差し出せとか言われそう、そうノアは身構える。
「…貴女は、指の巫女様を知っている?」
「二本指に仕え、褪せ人を助け、導く存在…」
「いえ、知りません……そもそもこの世界の事も……」
二本指?指の巫女様?
そう名前を出されてもこの世界を一ミリも知らないノアからすれば『?』が頭からいっぱい出そうなほどにわからない。
「けれど今、貴女には巫女様がいない」
「……」
あの仮面の人物にも言われたが、やはり『巫女』というのはこの世界にとってはかなり重要らしい。
ノアに巫女がいないのは、おそらく全く別の世界から来てしまったせいだろうが、それでも巫女無しと言われると少しムッとするノア。
「…私は、その変わりができる」
「え?」
メリナという人が巫女の代わり?
そんなことができるように見えないが、そういうならできるのだろう。
「私は、ルーンを貴女の力にすることができる」
「
「…だから、私を連れていってほしい」
「あの黄金樹の麓に」
「……」
別にノアはエルデンリングを求めている訳ではない、ただ自分の元いた場所に戻りたいだけ。
黄金樹に連れて行って何をするの?
それで元の世界に帰れるの?
ノアは拳を握りしめて、メリナのほうへ向く。
「黄金樹という所に連れていって何をするんですか……」
「それは、まだ言えない」
「……」
自分から交渉を持ち掛けたくせに、その目的すら言わない。
それにそれはメリナだけの事じゃないか、それが余計に腹立たしかった。
「黄金樹に連れて行ったら、貴女は私を元の世界に返すことができるんですか……」
「それは……」
ほらやっぱり、何もできないじゃないか。
「私は、エルデンリングを求めてここに来たわけじゃない」
「私は……帰りたいだけ……」
ノアの目から涙が滴り落ちる。
「なのにあなたは...黄金樹に連れて行ってと言いながら、目的も教えないし私を元の世界に返すことすらできるかわからない......」
「それでよく交渉といえますね!!」
ノアは声を荒らげる、メリナは驚き冷や汗を流す。
突然謎の世界に引きずり込まれ、理不尽に何度も殺された。
帰る方法もわからず、いきなり交渉を持ち掛けられ、自分の事しか言わずこっちの事は何もできない。
別にメリナが悪い訳では無い、彼女にもできないことはある、だがこの怒りと悲しみをどこにぶつければいいのかわからず、メリナに八つ当たりしてしまっている。
悪いとはわかっている、だが理不尽な事が続き理性が乱れているからだ。
ノアはメリナの胸倉をつかむ、地面に押し倒して馬乗りになり、声で喉を裂かんとばかりに叫ぶ
「ノ...ノア......」
「私は帰りたいんです!!」
「いきなりこの世界に引きずり込まれて!!理不尽に何回も殺されて!!」
「何ですかこの世界は!!なんで私はこの世界にいるんですか!!なんで殺して殺されなきゃいけないんですか!!」
ぽろぽろと大粒の涙がメリナの顔に落ちる、ノアはメリナの胸に顔をうずくませて、今にでも枯れそうな声で言う。
「帰して...私を......ユウカちゃんの所に...ミレニアムに......」
メリナの胸に顔を埋めながら泣きじゃくる。
それが......ずっとメリナの頭から離れなかった。
彼女は、ゆっくりとノアの頭に手を置き。
「一つだけ......貴女が帰れる方法がある」
「............え?」
突然そんなことを言われ、顔を上げるノア。
涙をぬぐい、メリナの話を聞く。
「確信はない、けど無いわけではない」
「教えて.........」
「
「それが、私が帰る方法?」
エルデの王になることがキヴォトスに帰る方法?
いまいち信じられない話だが......
「信じなくてもいい、けど、ここで何もしないよりかは、何か行動をした方がいい」
「そのためにも、私を黄金樹に連れて行ってほしい」
メリナの言う通り、ここで何もしないよりかは少しでも可能性がある方に行った方が断然マシだ。
だがそうなると、かなりの回数死ぬことになるだろう。
それにより精神もおかしくなるかもしれない。
これは、自分との戦いだ。
「わかりました、行きます」
「...交渉成立、ですね」
「では、ルーンを力にするときは、祝福で私を呼び出してほしい」
「...ああ、それと」
「この指輪を渡しておく」
メリナから謎の指輪をもらった。
「これは?」
「遠い距離を駆けるときは、それを使ってみるといい」
「トレントという名の、駿馬をの霊を呼ぶことができる」
「...トレントは自ら貴女を選んだ」
「大切に、してあげてほしい」
そういうと、メリナは消えてしまった。
ひとまず目標ができた、メリナのいう通りならエルデの王になれば帰れるらしいが、それは黄金樹に行けばわかるだろう。
メリナからもらった指輪、これを使えば馬を呼べるらしいが......
「......」
分からない。
とりあえず、手笛でよんでみることにする。
ピーと高い音が鳴った瞬間ノアの体が打ち上げられる。
「きゃっ!?」
突如として馬が現れ、ノアを乗せる。
もしやこれがメリナが言っていた馬なのだろう。
馬の乗り方なんて教わったことがない、まぁ何とかなるだろうと試行錯誤しながら馬を動かしていく。
とりあえずあの商人がいる廃墟まで行ってみる。
商人がいるところまできて、馬から降りる。
なんとなくだが、扱い方はつかめた。
もう一度戻ろうとした時、急に辺りの地面に煙のようなものが現れ始めた。
「えっ?」
ノアは驚き、すぐさま剣に手を添える。
周りをキョロキョロと見ていた時、ふと背後に気配を感じた。
剣を抜き、振り返って構えた時、そこにいたのは
白い服に、真っ青な肌、そして
その女性とノアの目が合う。
「…はじめまして、褪せ人よ」
向こうから話しかけてくれた、どうやら敵意はないみたい。
ノアは剣を仕舞い、その女性のもとへ歩く。
「はじめまして……」
「私は魔女、レナ」
「……ノアです」
お互いに名前を言う、レナはノアの名前を聞いて少し笑みをこぼし。
「霊馬を駆る、褪せ人がいるときいてな」
「少し探していたのだが...」
「どうやら、お前のことらしい」
霊馬を駆る褪せ人......
確かにそうだが、やはり褪せ人は自分の事を表しているようだ、どういう意味なのかはまだ分からないが......
「お前は、喚んでいるのだろう」
「トレントという名の霊馬を」
「はい、喚んでいます.....」
だってメリナにそう呼ばれていたし...
まぁそれは口には出さない。
ノアの回答を聞いたレナは微笑み。
「...ああ、よい答えだ」
「お前に、預かりものがあってな」
「トレントの古い主が、私に託したものだ」
そうしてレナはノアに一本の笛と『何か』渡した。
「それは、霊喚びの鈴でな」
「それは黄金樹に還ることのなかった遺灰から、霊を喚ぶことができる」
「その霊たちは、一時お前を主とし、かつての戦いを思い出すのだ」
「まぁ、お前の好きにするといい」
「邪魔をしたな、褪せ人よ」
「もう会うことはないだろうが、狭間の地をよく知るがよい」
「…私は、楽しみにしているのだよ」
「お前たち褪せ人が、いつまで、二本指に徒順であるのかをな」
レナは意味深な言葉を残し、消えてしまった。
彼女は何かとノアを特別視していた様だが、それは単なる
謎が深まるばかりだ、それを解明する為にも、先に進まなければならないのだろう。
ノアはトレントを呼び、先に見える城へと向かって行った。
今回は戦闘はありません、ですがご安心を
次回は奴と戦います。
……しかしメリナとの場面はアリだったのかね?