異世界召喚された俺、魔王と共に元の世界へ戻る。 作:生焼け肉
ベルside
橘「鐘子様、運転免許過程を全て修了致しました。まだ初心者マークを付けての運転を義務付けられてはおりますが、私も県内の運転が可能となりました。」
ベル「そう、ご苦労様。やっと八幡と前の世界の事を気軽に話せる空間が作れるのね。」
橘「この屋敷ではそうもいきませんでしたからね、仕方のない事ではありますが。」
ベル「誰も信じないと思うわよ、私が異世界から転生した魔王って言っても。それは貴女も同じ事でしょう?」
橘「そうですね、なので私が転生して最初の仕事に就いた時には驚かれました。いつの間にそんなに仕事が出来るようになったのだとか、今度は何処に居るのか分からなくなってしまったのかとか色々と言われました。」
ベル「最初はそんなものよ。私だってこの屋敷の出方すら分からなかったのだから。車の事だって鉄の箱としか思っていなかったもの。」
橘「しかしそれも八幡様のおかげで大分楽になりましたね。流石は元召喚者なだけあってこちらの知識が豊富なだけはあると感じました。」
ベル「ふふふ、その知識も少しだけあやふやだったけど。」
橘「無理もありません、私達の世界に300年も居たのですから。元の世界の常識を忘れてしまうのも仕方ありません。」
ベル「それもそうね。」
橘「ところで鐘子様、最近まで出入りしていた御用商人はいかが致しますか?」
ベル「切っていいわ、だって色々持ってくる割に興味が湧かないんだもの。まぁ趣味が合わないっていうのもあるけど。」
橘「では今後はご自身で目利きなさる、という事でしょうか?」
ベル「そうね、その方が私自身の勉強にもなるもの。良い物は自分で見て触って感じてから得たいわ。」
橘「かしこまりました。では後程、先方に解約の連絡を致します。」
ベル「えぇ、お願い。」
橘と居る時がこの屋敷で唯一、心が安心出来る時間ね。勿論1番は八幡と一緒に居る時なのだけど、常に一緒に居られるわけじゃないから。今日だって学校はお休みなのだけど、八幡と合う約束はしていないから、こうして屋敷で橘とお話をしながら偶にFXの確認をしているわ。
橘「ところで鐘子様がお持ちになっている資金の事なのですが、今後どのようになさるおつもりなのでしょうか?」
ベル「そうね、お金は今も増え続けているけれど使い道が無いのよね。私としてはこの屋敷で働いているメイド達に家具のカタログを渡して好きな物を選んでいいって言ったのだけど、皆から返されてしまったもの。」
橘「飛鳥から聞きました、『充分なお給料を貰っているのに、こんな物までいただけませんっ!』っと。」
ベル「私は還元しているつもりなのだけど……このやり方じゃダメだったみたいね。」
橘「方法は間違っていないかと。ただ、あまりにも規模が大き過ぎたのだと思います。聞くだけでも良かったのかと。」
ベル「そう……橘、皆に聞き込みをしてくれるかしら?ただし私からの指示だっていうのは伏せて。あくまでも貴女が気になったからという事で聞いて。」
橘「かしこまりました。」
まぁ私が聞かなければそれでいい事にしましょう。後は橘からの報告を待つだけね。
ベルsideout
八幡side
小町「ねぇお兄ちゃん、今日は彼女さんって来ないの?」
八幡「あぁ、来ない。」
小町「えぇ~見てみたかったのになぁ~。あんな美人さん、日本どころか世界レベルだと小町は思うんだよね~。」
八幡「まぁアイツの見た目は人間離れしてるからな。(実際、前の世界では魔王だったし。)100人居たら100人振り向くレベルだし。」
小町「お兄ちゃんが最初に連れてきた時なんか、驚き過ぎちゃって声出なかったもん……それにあんな美人さん見た事も無かったしさ。」
八幡「今まではずっとお嬢様学校に通ってたからな。それにベルが外出する時は地味な格好をして外に出ていたらしいしな。あの白髪はこの辺りでも目立つしな。」
小町「でも彼女さんが1人で出歩く事ってあるの?」
八幡「無いな。ああ見えて少し前まではお嬢様学校に通ってたくらいだし。」
小町「じゃあお金持ちなんだぁ~お兄ちゃん本当に逆玉の輿じゃん。」
八幡「……一応事実だから否定はしないでおく。」
この妹はベルの事を彼女さんと呼んでいるのは、挨拶をした時に驚いて放心していたから全く聞いていなかったからである。俺がベルと呼んでいるのを聞いて本名だと思い込んでいた時にあだ名というのを教えたら、急に他人行儀みたいになった。まぁ俺としては俺以外にあだ名で呼ばれてほしくないからある意味正解の対応だ。
小町「ぶっちゃけさお兄ちゃん、あの人と何処で出会ったの?お兄ちゃんって今までインドア派のボッチだったじゃん?そんな人があんな人と出会えるのってすっごい低い確率だと思うの。」
八幡「まっ、ふとしたきっかけで意気投合したとだけ言っておこう。」
小町「えぇ~それだけ~?もっと何か無いの?」
八幡「じゃあお前は代わりに何を教えてくれるんだ?この余には等価交換って言葉があるんだ、俺達の馴れ初めが聞きたいのならそれに見合った話題を教えてもらおうか。」
小町「……お兄ちゃんって強かになったよね。」
八幡「これもベルと出会ったからだろうな、じゃないと妹相手に等価交換なんて言葉は使わなかった。」
まぁ俺達の馴れ初めなんて話す気も無いけどな。